新しいOutlookを使い始めたものの、従来のOutlookで慣れ親しんだ操作が見当たらず戸惑っている方は多いのではないでしょうか。特に「To」「Cc」などの列をメール一覧に追加したいのに項目が見つからない、暗号化ボタンなどがリボンから消えていてどこにあるかわからない、といった声をよく耳にします。ここでは、新しいOutlookでの列カスタマイズの現状や対処法、暗号化ボタンの配置について詳しく解説していきます。
新しいOutlookで列を自由にカスタマイズできない理由
新しいOutlookは、従来(クラシック)OutlookからUI(ユーザーインターフェイス)や機能配置が大きく変わっています。今まで当たり前のように使っていた列の追加・削除や「View Settings(表示の設定)」画面が見当たらず戸惑うのは当然です。以下では、このような変更が起こった背景や具体的な操作制限について順を追って説明します。
大幅なUI刷新がもたらした制限
Microsoftは、よりシンプルでわかりやすい体験を提供するために、新しいOutlookのUIを刷新しました。しかし、その過程で従来のOutlookにあった細かいビュー設定や列の追加・削除機能が現状では実装されていない、あるいは深く隠されている可能性があります。
従来のOutlookでは、
View (表示) → Current View (現在のビュー) → View Settings (ビューの設定) → Columns (列)
の手順で自由に列を追加・削除できました。しかし、新しいOutlookを立ち上げても同じメニューを探せない、あるいはそもそも「View」タブがないというケースが大半です。これはUIの再設計に加えてクラウド連携の強化や新しいデザイン言語の適用による変更の一環と考えられます。
「To」「Cc」などの列をどうしても表示したい場合
結論からいうと、2023年以降にリリースされた新しいOutlookのプレビュー版や製品版の多くでは、従来のような自由な列のカスタマイズ機能が見つかっていません。今後のアップデートで対応される可能性はありますが、現時点では以下のような代替案しかありません。
- 表示設定を「1行表示」と「複数行表示」の切り替えで見やすさを調整する
- 「差出人(From)」「件名(Subject)」「受信日時(Received)」など、標準で表示される列だけを活用する
- どうしても必要な場合は「古いOutlookに戻す」オプションを利用する
「Settings」→「Mail」→「Layout」→「Message list format」での設定
新しいOutlookの右上にある設定アイコン(歯車マーク)から、「Mail(メール)」→「Layout(レイアウト)」→「Message list format(メッセージリストの形式)」に進むと、表示形式の一部をカスタマイズできます。たとえば、メッセージの高さを変更したり、プレビュー表示を切り替えたりといった微調整は可能です。しかし、この画面から「To」や「Cc」などの列を新規に追加するといった操作はできません。現時点ではそうした機能が実装されておらず、選択肢としては標準列の表示・非表示のみになります。
暗号化(Encrypt)ボタンが表示されない場合の対処法
暗号化ボタン(Encrypt)は、クラシックOutlookでは「オプション(Options)」タブのリボンに配置されていました。新しいOutlookやWindows 11環境でこのボタンが見当たらないという報告が増えています。ここでは、暗号化ボタンが見つからない場合に試せるアプローチをまとめました。
リボンのカスタマイズを試す
新しいOutlookでもリボンのカスタマイズ機能が提供されている場合があります。以下は、リボンをカスタマイズして暗号化ボタンを追加する例です(機能が提供されているバージョンでのみ有効です)。
手順 | 操作内容 |
---|---|
1 | Outlook画面右上の設定アイコンをクリック |
2 | 「View all Outlook settings」または「Customize Ribbon」など類似のオプションを選択 |
3 | リボンのタブやコマンドを編集できる画面が表示される場合は、そこから「暗号化(Encrypt)」を探す |
4 | 暗号化機能が見つかれば、リボンの表示するコマンドに追加 |
ただし、すべての新しいOutlookバージョンでリボンのカスタマイズが可能とは限りません。また、暗号化ボタン自体が廃止されたわけではなく、場所が変更されている場合もあります。検索バー(ルックアップバー)から「Encrypt」と入力して該当機能がヒットしないか確認してみるのも有効です。
クラシックOutlookと新しいOutlookのバージョン差異
暗号化ボタンの有無は、Outlookのバージョン差異によっても変わってきます。以下のようなポイントをチェックしてみましょう。
- Office Insider Programのプレビュー版か
- Microsoft 365 Apps for enterprise(サブスク版)か従来の永続版Officeか
- Windows 11かWindows 10か
上記要素によっては、新機能の提供タイミングやUIが異なることがあります。公式ドキュメントやサポート情報を参照し、対象の環境で暗号化機能がどう提供されているかを調べることも大切です。
「古いOutlookに戻す」オプションの活用
新しいOutlookを使い始めたばかりで、どうしても列カスタマイズなどが必要な場合、暫定的にクラシックOutlookに戻す方法があります。これは、今後新しいOutlookが標準化される流れの中で一時的な措置ではありますが、機能を素早く取り戻したい方には有効な解決策です。
古いOutlookに戻す手順の例
以下はあくまで一例であり、Outlookのバージョンによって手順が異なる可能性があります。
1. 新しいOutlookの右上にある「Help(ヘルプ)」タブ、または「設定」メニューをクリック
2. 「切り替え(Switch)」や「Revert to old Outlook(古いOutlookに戻す)」という選択肢を探す
3. 確認のダイアログが表示されたら「はい」または「OK」を押す
4. Outlookが再起動され、クラシックOutlookのUIに戻る
この操作で、従来のOutlookの画面に切り替わり、「View Settings」画面などが再び利用できるようになります。ただし、今後のアップデートで「古いOutlookに戻す」オプションが廃止される可能性もあるため、長期的には新しいOutlookでの運用方法を模索することが望ましいです。
再カスタマイズ時の注意点
古いOutlookに戻した後、以下の点に注意してください。
- ビューの設定を変更した場合、新しいOutlookに再度切り替えたときには設定が反映されない可能性があります。
- クラシックOutlookでのみ有効なアドインや拡張機能は、新しいOutlookでは正常動作しない場合があります。
- 再度新しいOutlookに戻す際には、もう一度UIがリセットされるため、環境によっては時間がかかることがあります。
Windows 11とOutlookの関係
新しいOutlookをWindows 11上で利用していると「Windows 10では使えた機能が出てこない」と思う方もいるでしょう。しかし、実際にはWindows 10とWindows 11で大きく操作が変わっているわけではありません。むしろ、新しいOutlook自体のUI変更が影響しているケースが多いようです。
OSによる差異よりもOutlook自体のバージョン差異を要チェック
Windows 11だから特別に列のカスタマイズ機能が非表示になるわけではなく、あくまでもOutlookのバージョン(プレビュー版か、正式リリースか、Insiderビルドかなど)やMicrosoft 365の更新チャネルによるものが大きいと言われています。したがって、Windows 10で同じ新しいOutlookバージョンを使えば、同様の操作制限が発生するはずです。
一方で、新しいOSであるWindows 11に切り替えたタイミングでOutlookや他のOffice製品のバージョンも更新された、という状況が重なる場合があります。そのため「Windows 11に変えたらできなくなった」という感想を持たれやすいのかもしれません。
新しいOutlookで快適に作業するための工夫
新しいOutlookは、クラウドとの連携やモバイルとの同期強化など、多くのメリットを備えています。列カスタマイズの制限はあるものの、他の機能を活用して生産性を高めることは可能です。以下の工夫で、新しいOutlookライフをより快適にしていきましょう。
クイック操作やショートカットキーを活用
UIが大きく変わった分、リボンのボタンを探す手間が増えたと感じる方は、ショートカットキーを取り入れてみるのも手です。たとえば、以下のショートカットは従来のOutlookと同様に利用できます。
ショートカット | 動作 |
---|---|
Ctrl + Shift + M | 新しいメールメッセージの作成 |
Ctrl + R | 返信 |
Ctrl + F | 転送 |
Ctrl + Shift + O | 受信トレイを開く |
他にも多数のショートカットが用意されているので、覚えてしまえばUIが変わっても困ることが少なくなるはずです。
検索フォルダーやフォルダー分けの活用
列をカスタマイズできない代わりに、メール管理をフォルダーや検索フォルダーで最適化する方法もあります。たとえば、以下のようなフォルダー戦略が考えられます。
- ToやCcで必要なメールを特定できるルールを作成して、特定のフォルダーに自動振り分けする
- 検索フォルダーを作り、あらかじめ「送信者」や「宛先」にフィルターを設定しておく
- 重要度やプロジェクト単位など、複数の条件を組み合わせた高度な検索フォルダーを活用する
こうした工夫によって、列の表示が自由に変更できなくても目的のメールを素早く取り出しやすくなります。
公式ドキュメントやフィードバックの重要性
新しいOutlookは今後もアップデートが繰り返され、機能が改善されていく可能性があります。現状の制限を克服するには、公式ドキュメントやコミュニティフォーラムを活用し、新機能の追加や解決策がリリースされていないか定期的にチェックすることが大切です。
Microsoft公式コミュニティの利用
Outlookの公式コミュニティでは、ユーザー同士が最新情報を共有しています。新しいOutlookに関しても「列のカスタマイズができない」というトピックや「暗号化ボタンが見当たらない」という相談が頻繁に投稿されており、Microsoftのサポート担当者やコミュニティエキスパートが回答している場合があります。
機能要望はFeedbackから送信
新しいOutlookの開発チームはユーザーの声を基にアップデートを行うため、フィードバック機能を活用して要望を送ることが推奨されています。たとえば、「列のカスタマイズ機能をもっと拡充してほしい」といった要望を送信することで、今後のバージョンで反映される可能性があります。
まとめと今後の展望
新しいOutlookは、クラウド連携やモバイルでのシームレスな使いやすさが向上している一方、従来の細かな列カスタマイズ機能がまだ不足している状態です。「To」や「Cc」を追加表示したい場合は、現時点では「古いOutlookに戻す」か、標準の列を最大限活用しつつ、検索フォルダーやフォルダー分け、ショートカットなどの代替策を講じる必要があります。また、暗号化(Encrypt)ボタンなどが見つからないケースでは、リボンのカスタマイズや検索バーなどで機能を探してみるとよいでしょう。
今後に期待したい機能強化
Microsoftは常にユーザーの声を取り入れ、Office製品を更新し続けています。今後のアップデートで、従来のような細かい列設定やリボンの配置カスタマイズがより直感的に行えるようになる可能性は十分にあります。特に企業ユースでは「To」や「Cc」の列が重要視されるケースも多く、要望が高まっているため、早期の改善が期待されます。
本記事の情報は、あくまで執筆時点での新しいOutlookの仕様に基づくものであり、機能が追加・変更される場合があります。最新情報を追いかけるためにも、公式ドキュメントやコミュニティのチェックをこまめに行ってください。列カスタマイズが早期に実装され、よりスムーズにメール管理ができるようになることを期待しましょう。
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