PowerPointにPower BIを埋め込む新機能でビジュアルをさらに活用

はじめまして。PowerPoint上でPower BIのレポートを扱っていると、思わぬアップデート変更に戸惑うこともありますよね。特に「Show as Saved Image」が使えなくなった、あるいは急に新しい機能が登場したなど、混乱している方は多いのではないでしょうか。本記事ではその背景や理由、新たに追加された「Improved Image Mode」とは何か、実務でのメリット・デメリット、そして具体的な対策・今後の展望までを丁寧に解説します。ぜひ最後までチェックしてみてください。

PowerPointでPower BIレポートを埋め込む環境の変化

PowerPointでPower BIレポートを埋め込む機能が登場して以来、レポートを「ライブ」コンテンツのように表示しつつ、プレゼンテーション中に動的なデータを参照できる点は大きな魅力でした。しかし一方で「事前に静的イメージとして表示しておきたい」「読み込み時間を避けたい」「機密データをロックしたい」というニーズもあり、従来は「Show as Saved Image」というオプションが頼りにされていました。

ところが、ある時期からOfficeのアップデートを適用すると、この「Show as Saved Image」オプションが利用できなくなり、代わりに「Improved Image Mode(スナップショット機能)」なる新機能が追加されたという報告が相次いでいます。アップデート前のバージョンでは問題なく利用できていたにもかかわらず、アップデート後にエラーが発生してしまうユーザーが増えているのです。

以下では、まず旧機能が使えなくなった理由や新機能の概要を整理し、その後にメリット・デメリットを比較しながら、具体的な対処法や今後の見通しについて詳しく解説していきます。

旧機能「Show as Saved Image」が使えなくなった理由

マイクロソフトが狙う新機能への集約

従来、Power BIをPowerPointへ埋め込む際に「Show as Saved Image」を選択すると、レポートが静的イメージ化され、プレゼンテーション中にライブデータの読み込みを待たずにスライドを提示できるメリットがありました。しかしマイクロソフトは、より柔軟なスナップショット表示機能である「Improved Image Mode」を開発し、既存の「Show as Saved Image」機能を徐々に無効化しています。

背景には、「Show as Saved Image」がWeb版PowerPointでの表示に対応しきれていなかったこと、権限チェックが甘かったこと、ユーザーごとの閲覧コントロールが難しかったことなどが挙げられます。これを解決するために、新たな仕組みを導入するのが狙いのようです。

Officeアップデートによる不整合

Officeのバージョンアップを適用すると、Power BI用アドインの設定も更新されることがあります。そのタイミングで旧機能が「表示されてはいるが実行できない」状態になってしまうケースが報告されています。一部のユーザーは「Show as Saved Image」ボタンが残っているにもかかわらず、クリックするとエラーになり、実質使えない状況です。
このように、UI上に古い機能が残りつつ内部的には新機能へ移行しているため、混乱が生じているのです。

新機能「Improved Image Mode」の概要

「Public Snapshot」と「権限確認付きスナップショット」の2種類

「Improved Image Mode」は、従来の「Show as Saved Image」に代わる新たな静的イメージ表示モードです。設定画面で下記2種類のオプションを選択できるようになっています。

  1. Public Snapshot(公開スナップショット)
  • プレゼン資料を閲覧できるすべての人が、Power BIの静的イメージを確認できるモードです。
  • レポートの閲覧権限を必ずしも必要としないため、大人数への発表などに向いています。
  1. 権限確認付きスナップショット
  • 閲覧する人がPower BIレポートの権限を持っていない場合はイメージが表示されない仕組みです。
  • 機密情報を含む可能性があるデータの場合、適切に権限を管理しつつ静的イメージで共有する用途に適しています。

旧機能との違い

旧機能との最大の違いは、Web版PowerPointを開いた時でも静的イメージが保たれることです。従来は、Web版PowerPointでスライドを開くとライブコンテンツ(動的にPower BIを読み込む表示)に戻ってしまうケースがあり、思わぬトラブルにつながっていました。新機能では、この点が解消されて安定した静的表示を維持できるようになっています。

また、権限チェック機能が強化され、権限のないユーザーにはイメージを非表示にできるなど、セキュリティ面での向上が期待できます。

メリットとデメリット(旧機能との比較)

メリット

以下の表に、新機能と旧機能を比較した大まかなメリットをまとめてみました。

観点旧機能「Show as Saved Image」新機能「Improved Image Mode」
Web版PowerPointでの表示静的表示に戻らず混乱が起きやすい静的イメージを保持
権限管理簡易的(閲覧可/不可程度)権限確認付きスナップショットで柔軟なアクセス制御可能
UI/操作性一部の機能が隠れてわかりにくい設定画面から公然と選べるためわかりやすい
読み込み時の挙動事前に完全ロックされていた場合も多いスナップショットを生成する際に読み込みが発生するが安定
  • Web版でイメージが保持される
    旧機能では、Web版PowerPointを使った場合に自動的にライブビューへ切り替わってしまう不具合がありましたが、新機能はそのままイメージを維持できます。
  • 権限に応じた柔軟な表示
    公開用のスナップショットにすれば、プレゼン資料を見る全員に対してイメージを提示できます。一方、権限確認付きスナップショットに設定すれば、機密情報を守りたい場合にも安全な運用が可能です。

デメリット / 課題

  • 完全オフラインのイメージではない
    「Show as Saved Image」のように完全にオフラインでロックされた状態とは少し異なり、スナップショット化する際に読み込みが必要です。そのため、大量のスライドを一度に切り替えるようなシーンでは、多少のロードタイムが発生するケースがあります。
  • 旧機能ボタンが残っていて混乱しやすい
    アップデート状況によっては、「Show as Saved Image」ボタンがUI上に残ったままになっている場合があり、クリックするとエラーが出るなど、ユーザーが混乱する原因になっています。
  • 一括変更が難しい
    既に大規模にプレゼン資料を作成している場合、新機能(Public Snapshotや権限確認付きスナップショット)へ切り替える作業を大量のスライドに対して行うのは手間です。現時点では、一括で切り替える公式な方法は提供されていません。

具体的な回避策や対処方法

1. Officeバージョンの更新(バージョン2403など)

一部のユーザーからは、Officeのバージョンを2403、あるいはそれ以降の最新バージョンにアップデートすると、旧機能の代替として新機能が正しく動作し、問題が解消されたという報告があります。ただし、企業のITポリシーによって管理者が更新のタイミングをコントロールしている場合や、Semi-Annualチャンネルなどを利用している場合は、いつロールアウトされるかが不透明です。

もし個人利用や自由にアップデートできる環境であれば、まずはOfficeのバージョンを最新に保つことを試してみるとよいでしょう。Enterpriseユーザーは管理者に相談して、更新チャンネルの確認やバージョンアップの計画を検討してください。

2. 「Improved Image Mode」の積極利用

マイクロソフトは新機能への移行を推奨しており、「Show as Saved Image」の再度有効化は予定していないと明言しています。そのため、今後長く使い続けるのであれば、Public Snapshot権限確認付きスナップショットを積極的に活用する方向がベターでしょう。

設定方法の例

以下に、簡単な流れを示します。実際の画面や名称はバージョンによって異なる場合があります。

1. PowerPointを開き、[挿入]→[Power BI]のアドインを選択
2. Power BIレポートを選択(あるいはURLを指定)して埋め込む
3. [Improved Image Mode](新機能)を選択する
4. 「Public Snapshot」または「権限確認付きスナップショット」のいずれかを選択
5. 必要に応じて閲覧権限の設定(Power BI側での権限管理も含む)
6. スライドを保存すると、スナップショットが適用される

3. Power BIサービスからのエクスポートを利用

どうしても「Show as Saved Image」に近い挙動を模索したい場合は、次の手順による回避策が報告されています。

  1. Power BIサービス(ブラウザ)で対象のレポートを開く
  2. 「Export」→「PowerPoint」→「Embed live data」→「Open in PowerPoint」などを選択
  3. 生成されたスライドをダウンロードして、他のPowerPointにコピー&ペースト

この方法では一部機能が制限されますが、小規模であれば事前にイメージ化されたスライドを流用することで、ある程度の静的表示を実現できる可能性があります。

新機能を使う上でのポイント

Public Snapshotを選ぶ場合の注意点

Public Snapshotを利用すると、プレゼン資料を閲覧できる全員がイメージを見られるようになります。一般向けの発表会やウェビナーなど、広く情報を共有したい場合に便利です。ただし、機密情報を含んだビジュアルを扱う場合は、後からコントロールが難しくなることもあります。実際のレポート参照を制限したいのであれば、権限確認付きスナップショットに切り替える方が安全です。

権限確認付きスナップショットの使い所

社内向けプレゼンや限られたメンバーだけがアクセスできるレポートを扱う場合は、権限確認付きスナップショットが有効です。Power BI自体のセキュリティ設定を連動させることで、社外の人に見せたくないデータを保護できます。一方、外部コラボレーターが増えたり、権限を動的に付与・剥奪する必要がある場合は、組織内のAzure Active Directory設定や各ユーザーのPower BIライセンス状況なども合わせて管理する必要があるため、ややハードルが高くなるかもしれません。

今後の見通しと開発ロードマップ

旧機能の完全廃止

マイクロソフトは今後、旧機能の「Show as Saved Image」を完全廃止していく流れを明確に示しています。すでに一部の環境ではボタンすら消えているとの報告もあり、近い将来すべてのユーザー環境で新機能へ統合されると予想されます。

さらなる機能拡張の可能性

新機能のスナップショットが登場してから間もないため、「一括変更機能が欲しい」「完全オフラインの画像として埋め込みたい」などの要望がユーザーコミュニティで上がっています。マイクロソフトの開発チームにもこれらの要望は届いており、今後のアップデートで対応が検討される可能性が高いと見られています。

企業環境での対応

企業単位でアップデート方針を決めている場合、すぐに最新バージョンへ移行できない事情もあるでしょう。しかし長期的な視点では、マイクロソフトの方針に従って新機能へ移行するのがベストと考えられます。万が一、どうしても旧機能を維持したい場合は、管理者レベルで更新チャンネルをSemi-AnnualからCurrent Channelへ切り替える、あるいはロールバックする方法が報告されています。ただし、セキュリティリスクや他の機能更新の遅延を招く可能性もあるため、慎重な判断が必要です。

まとめ

旧機能「Show as Saved Image」が使えなくなった背景には、Web版PowerPointでの表示トラブルやセキュリティ面での課題を解決しつつ、より柔軟な権限管理を実現するために、マイクロソフトが「Improved Image Mode」へ移行を進めているという事情があります。これに伴い、Public Snapshot権限確認付きスナップショットといった新しい静的イメージ表示モードが登場し、オフラインロックに近い運用を行いたいユーザーにも対応しようとしているのです。

完全に従来通りの体感・操作感を得ることは難しいかもしれませんが、最新バージョンのOfficeを利用し、スナップショット機能を使いこなすことで、Web版でも安定した静的表示や権限チェック機能が得られます。今後も新しいアップデートや一括切り替え機能などが実装される可能性があるため、企業ユーザーは管理者とも連携しながら、うまくアップデートの波を乗りこなしましょう。

最後に本記事の要点を簡単にまとめると、以下のようになります。

  • 「Show as Saved Image」は無効化方向:旧機能の再有効化予定はなく、新機能へ移行が推奨される
  • 新機能は「Public Snapshot」と「権限確認付きスナップショット」:Web版PowerPointでも静的表示が維持され、権限チェックでセキュアな表示が可能
  • 今後は完全に新機能へ統合される:企業環境でも最新バージョンへの移行を視野に入れるべき
  • 一括切り替え機能は未実装:要望は多く、今後の開発で対応が期待される

自社や自身の環境でPowerPointを用いたプレゼンを作成する際には、ぜひ「Improved Image Mode」の活用を検討してみてください。新しい機能を試す中で疑問点があれば、公式ドキュメントやユーザーコミュニティをチェックし、効率的なプレゼン運用を目指しましょう。

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