新しいTeamsが登場してから、「Officeファイルの既定の開き方」をデスクトップアプリに設定できないという声が増えています。従来の使い方に慣れている方にとってはやや戸惑う点もあるようです。この記事では、その原因やライセンス要件、具体的な対処法について詳しく紹介します。
新しいTeamsで「デスクトップアプリで開く」が消える理由とは
新しいTeamsは、以前のTeamsよりもUIや機能の見直しが行われています。特に、Officeドキュメントを開く際の「既定のアプリ設定」に関しては、大きな変更点として注目されています。ここでは、どうして「デスクトップアプリで開く」オプションが表示されなくなるのか、その背景を解説します。
ライセンスに関する明確化
新しいTeamsでは、Officeドキュメントをデスクトップアプリで開くために必要なライセンス要件が明確に打ち出されました。具体的には、Microsoft 365 E3もしくはE5といったエンタープライズ向けプランが必要とされています。
- E3/E5ライセンス:WordやExcelなどをデスクトップアプリで開く機能がフルにサポートされている
- Business Premiumなどのビジネス系プラン:一部機能が制限される可能性がある
このように、従来はビジネス系プランでも問題なく使えていた機能が、新しいTeamsではエンタープライズプランを前提とする仕様へ変わりつつある点が、混乱の原因となっています。
クライアントアプリのバージョンやインストール状況
デスクトップアプリ側(WordやExcelなど)のバージョンやインストール方法が、Microsoft 365ポータル経由ではない場合、「Teamsとデスクトップアプリ間の連携」に不具合が生じることがあります。
たとえば、Officeのバージョンが古い、またはストアアプリ版(Win10/Win11のMicrosoft Storeからインストールしたもの)を使っているなどのケースでは、Teamsの機能と連携がうまくいかない可能性があります。
「デスクトップアプリで開く」ための前提条件
新しいTeamsでファイルを「デスクトップアプリで開く」に設定するには、次の3つの要件が必要とされています。これらの要件を満たしていない場合は、そもそも「デスクトップアプリで開く」オプションが表示されない、または選択できないことがあります。
1. Teamsデスクトップアプリを使っていること
Webブラウザ版のTeamsでは、一部の機能が制限されることがあります。新しいTeamsにおいても、Web版とデスクトップアプリ版ではサポートされる機能に差異が生じる可能性があります。そのため、最新のTeamsデスクトップアプリがインストールされている環境で確認しましょう。
2. Microsoft 365ポータルからインストールしたOfficeデスクトップアプリを利用
Microsoft公式ポータルからダウンロード・インストールしたWordやExcel、PowerPointなどを使用していることが前提とされています。ストアアプリ版や古いOffice 2013などでは「新しいTeamsでファイルをデスクトップアプリで開く」機能を正常に使えない場合があります。Office 2016以降、できれば常に最新バージョンへのアップデートが推奨されています。
3. E3/E5ライセンスを保有していること
最大のハードルとなっているのが、このライセンス要件です。新しいTeamsでは、E3またはE5ライセンスを持っているユーザー向けに機能がフルサポートされる形になっており、Business PremiumやBusiness Standardなどでは制限を受ける可能性があります。
これにより、「ビジネス系プランを契約しているのに、Teamsでファイルをデスクトップアプリで開けなくなった」という事象が発生しているわけです。
Business Premiumの場合はどうなる?
「Business Premiumライセンスでも問題なく使えるはず」と思われる方も少なくありません。実際に旧バージョンのTeamsでは、ビジネス系ライセンスでもデスクトップアプリで開く機能が利用可能でした。しかし、新しいTeamsでは以下のような状況になっているようです。
Business Premiumの現状
Microsoft公式ドキュメントには明示的に「E3/E5ライセンスが必要」と書かれており、Business Premiumは該当しないとの見方が強いです。そのため、「既定でデスクトップアプリで開く」オプションが表示されないケースが報告されています。
一部のユーザーからは、「開けることは開けるが、毎回手動設定が必要」「設定メニューに該当オプションがない」といった声もあり、最終的に安定して利用できるとは限らないのが現状です。
今後のMicrosoftの対応に期待
Microsoft側がこの仕様を変更し、ビジネス系プランにも再度「デスクトップアプリで開く」を拡充するかどうかは不明です。ユーザーフィードバックが多い機能だけに、今後のアップデートによる改善が期待されますが、現時点では明確なアナウンスはありません。
設定変更の手順(前提条件が整っている場合)
実際にE3/E5ライセンスや最新のOfficeデスクトップアプリを利用していても、設定場所が分からず「デスクトップアプリで開く」を有効にできないことがあります。以下の手順を参考に、設定を確認してみましょう。
1. Teamsの「設定」を開く
Teamsデスクトップアプリの右上にある「…」(その他オプション)をクリックし、「設定」を選択します。Web版Teamsからでも似たようなメニュー項目がありますが、先述したようにデスクトップアプリの方が確実です。
2. 「ファイルとリンク」を選択
設定画面が開いたら、左側のメニューにある「ファイルとリンク」(または類似の名称)をクリックします。新しいTeamsでは名称が変更されている場合があるので、見つからない場合は一通り項目をチェックしてみてください。
3. 既定で開くアプリを「デスクトップアプリ」に設定
「Officeファイルを開くアプリ」などの選択肢が表示されたら、「デスクトップアプリ」や「Word/Excel/PowerPointデスクトップアプリ」などを選びます。
もしこのオプション自体が存在しなかったり、クリックできない場合は、ライセンスやOfficeアプリのバージョンが適切であるか再度確認しましょう。
Office 365プラン別:機能対応表
Teamsとデスクトップアプリ連携をめぐるライセンス状況は複雑です。ここでは、代表的なOffice 365/Microsoft 365プランについて、デスクトップアプリでの既定開き機能がどうなっているかを一覧にまとめてみました。
ライセンスプラン | 特徴 | 「デスクトップアプリで開く」対応状況 |
---|---|---|
E3 | エンタープライズ向け、大企業が導入 | ◎(フルサポート) |
E5 | 高度なセキュリティや分析機能を含む最上位プラン | ◎(フルサポート) |
Business Premium | 中小企業向けの高機能プラン | △(制限の報告あり) |
Business Standard | 中小企業向けの一般的なプラン | △(制限の報告あり) |
Business Basic | Webアプリ中心の最廉価プラン | ×(原則非対応) |
このように、エンタープライズ向けプラン(E3/E5)が最も安定してフル機能を利用できます。ビジネス系のプランでも一部利用可能という報告がありますが、公式にはサポート外の扱いになる場合もあるため、注意が必要です。
どうしてもデスクトップアプリで開きたいときの回避策
ライセンスをすぐにアップグレードできない場合や、Teams内での設定にオプションが表示されない場合は、次の回避策を試してみてください。
1. ブラウザでドキュメントを開いた後に「アプリで開く」を選択
Word OnlineやExcel Onlineでファイルを開いた後、ブラウザの上部に表示される「アプリで開く」オプションをクリックする方法です。既定設定ほどの手軽さはありませんが、その都度デスクトップアプリで開くことができます。
2. ファイルをダウンロードしてから開く
最も単純な方法ですが、TeamsやOneDriveからファイルを一度ダウンロードし、ローカルのWordやExcelで開くという手段です。リアルタイムの共同編集機能などはWeb版ほどシームレスではなくなりますが、旧来のオフィスワークフローに近い使い方ができます。
3. エンタープライズプランへの移行を検討
コストや契約内容によってはハードルが高いですが、組織で高度な機能を必要とするのであれば、E3やE5ライセンスへのアップグレードを検討するのも手です。Teamsだけでなく、Exchange OnlineやSharePoint Onlineの高機能化、Power BI Proの利用といった恩恵も得られます。
PowerShellでライセンスを確認する方法
ライセンス周りで混乱している場合は、自分のアカウントにどのライセンスが紐付いているのかをPowerShellで確認することもできます。以下は一例のコードです。
# Azure ADモジュールをインストールしていない場合はインストール
# Install-Module AzureAD
Import-Module AzureAD
Connect-AzureAD
# 自分のユーザー情報を変数に格納
$user = Get-AzureADUser -ObjectId "<あなたのメールアドレス>"
# ライセンス情報を表示
Get-AzureADUserLicenseDetail -ObjectId $user.ObjectId
このコードを実行すると、付与されているライセンスのSKU(Stock Keeping Unit)やプラン情報が返ってきます。その結果をもとに、あなたのプランがE3/E5なのか、Business系プランなのかを判別できます。
今後の展望とまとめ
新しいTeamsでは、以前当たり前に使えていた機能が急に制限されたり、ライセンス要件が厳格化されたりと、ユーザー体験が変化しています。特に「デスクトップアプリで開く」機能は業務効率に関わる重要なポイントでもあり、多くのユーザーが不便を感じているのが現状です。
ただし、Microsoftはユーザーフィードバックを反映してサービスを改善することが多く、今後のアップデートで再びビジネス系ライセンスでもフル機能が使えるようになる可能性もあります。最新情報を確認しつつ、現段階での運用上の回避策を取り入れ、Teamsの使い勝手を向上させていきましょう。
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