Microsoft Teams Phoneを活用したリソースアカウントによるAuto Attendant(自動応答)の運用は、コールフローの効率化に大きく貢献します。しかし実際に番号を割り当てようとした際に「No Results Were Found」が表示され、手が止まってしまうケースも少なくありません。これらの問題はロケーション設定やライセンスの割り当てなど、見落としがちな要素が原因となることが多いです。この記事では、具体的な対処法や手順を詳しく解説します。
Auto Attendantとリソースアカウントの基礎知識
Auto Attendant(自動応答)は、組織への電話を自動で受け取り、ガイダンスやメニューによって転送先を振り分ける機能です。Microsoft Teams Phoneでは、この機能をリソースアカウントという専用のアカウントに紐づけて運用します。リソースアカウントには通話を受けるためのライセンス割り当てや、国ごとのロケーション設定が必要になるのが特徴です。
リソースアカウントの役割
リソースアカウントは、いわゆる「ユーザーアカウント」とは異なる概念で、主に以下の特徴を持っています。
- 実際に人が使用しない:ユーザーがサインインしてアプリを利用するわけではない
- 音声ルーティング用:Auto Attendantや通話キューなどの機能を実現するために利用
- ライセンスの考慮が必要:Microsoft Teams Phone Resource Account Licenseなどの特定ライセンスが必要
Auto Attendantのメリット
- 顧客満足度の向上:営業時間外や混雑時でも自動的に電話を振り分けられる
- 業務効率化:担当部署への取り次ぎが自動化されることで、受電担当の負荷を削減できる
- 柔軟なコールフロー設定:営業時間外のメッセージや、ガイダンス内の複数メニューを自由に設定可能
「No Results Were Found」エラーが起きる原因
Auto Attendantに電話番号を割り当てようとした際、「No Results Were Found」と表示される理由は複数考えられますが、特に次の2点が多くのケースで該当します。
1. リソースアカウントのロケーションが不一致
リソースアカウントを作成する際、Microsoft 365管理センターで割り当てたロケーションと、実際に利用したい電話番号の国コード(例:日本なら+81、米国なら+1)が一致していないと、候補として出てこないことがあります。
たとえば以下のようなイメージです。
項目 | 設定されているロケーション | 割り当てようとしている番号の国コード | 結果 |
---|---|---|---|
リソースアカウントA | 米国 (United States) | +81 (日本) | 異なるため番号が表示されない |
リソースアカウントB | 日本 (Japan) | +81 (日本) | 一致するため番号が表示される |
このようにロケーションと番号の国コードが合わないと、番号を検索した際に「No Results Were Found」が表示され、何も候補が出てこない状況に陥るのです。
2. ライセンス割り当て状況の不備
リソースアカウントにはMicrosoft Teams Phone Resource Account License(あるいは同等のライセンス)が必要です。ライセンスが割り当てられていない場合は、基本的に音声関連の機能が使用できません。また、オペレーターコネクトを利用する際には、自社が契約している通信事業者と連携するための要件が満たされている必要があります。
ライセンスの確認ステップ
- Microsoft 365管理センターにアクセス
- 「ユーザー > アクティブユーザー」から対象のリソースアカウントを選択
- 「ライセンスとアプリ」を開いて、Teams Phone Resource Account Licenseなどのライセンスが付与されているか確認
ここでライセンスが付与されていない場合は、エラーが出る前段階としてそもそも番号の割り当て画面へ進めないことも多いです。ただし、環境によっては中途半端に設定が残っているケースもあるため注意が必要です。
解決策:ロケーション設定の確認と修正
実際に「No Results Were Found」が発生した場合は、まずリソースアカウントのロケーションを疑ってみましょう。Teams管理センターだけでなく、Microsoft 365管理センターでのロケーション設定をしっかり見ることが大切です。
ロケーションを確認・修正する手順
- Microsoft 365管理センターにサインイン
- 「ユーザー > アクティブユーザー」から該当のリソースアカウントをクリック
- 「ライセンスとアプリ」を選び、画面右側のロケーションをチェック
- 電話番号を割り当てたい国(たとえば日本ならJapan)に設定
- 設定を保存
- 一度サインアウトしてから再度Teams管理センターにアクセス
ロケーション修正後、改めてResource Accountのページに戻って、Auto Attendantに番号を割り当てる画面へ進みます。その際、電話番号のタイプを「Operator Connect」に設定し直して、目的の番号が出てくるか確認します。
反映に時間がかかる場合もある
ロケーションを修正してすぐに反映されない場合もあります。環境によっては最大で数分から数十分ほど待つ必要があるため、設定を変更後は少し時間をおいてから再度試してみましょう。クラウドサービスゆえのタイムラグは、慌てずに確認を重ねることが重要です。
よくある勘違い
- Teams管理センターだけでロケーションを直せばいいと思いがち:実際にはMicrosoft 365管理センター側のアクティブユーザー情報が重要
- リソースアカウントだからユーザー設定は不要:リソースアカウントも“ユーザー”のひとつの形態として管理されているため、ユーザー一覧から設定を確認する必要がある
解決策:ライセンスの割り当てを再チェック
ロケーションを修正しても番号が表示されない場合は、ライセンス周りも疑う必要があります。オペレーターコネクトを利用する環境では、以下の点をもう一度確かめましょう。
ライセンス設定のポイント
- Teams Phone Resource Account License:リソースアカウント用に必須
- 通話プランの有無:場合によっては通話プランが別途必要になる
- Operator Connectの資格要件:自社が契約したオペレーター(通信事業者)側での設定が完了しているか
よくあるトラブル例
- ライセンスが期限切れ:サブスクリプションの期限が切れていたり、トライアル期間が終了している
- 割り当てミス:本来リソースアカウントに振り分けるライセンスを通常ユーザーに割り当てている
- 国コードの不一致(オペレーター側):通信事業者が提供している番号の国コードとリソースアカウントのロケーションが合っていない
オペレーターコネクト特有の注意点
Operator Connectは通信事業者との直接的な連携を通して、Microsoft Teams Phoneに電話番号を割り当てる仕組みです。従来のCalling PlanやDirect Routingと比べて設定がシンプルですが、国による規制や電話番号ポートインの手続きなど、オペレーター側で行う作業が多い場合があります。
オペレーターコネクトで重要な設定
- テナントとオペレーターの連携状況:契約・紐付けが完了しているかどうか
- 国や地域の制限:国際電話規制や地域限定の番号帯の場合は設定が厳密
- 既存PBXとの競合:一部の環境では従来のPBXやSBC(Session Border Controller)との兼ね合いが絡む
トラブルシューティングのヒント
- オペレーターのポータルを確認:契約プランや番号が正しく有効化されているか
- Teams Admin CenterのOperator Connect画面:現在有効な番号のステータスをチェック
- 権限・ポリシーの整合性:通話ポリシーや組織のセキュリティポリシーで制限されていないか
実際の運用におけるヒントと豆知識
Auto Attendantに番号を割り当てる際のトラブルは、初めて設定するタイミングだけでなく、運用中に国や部署の変更が生じたときにも起こり得ます。以下のような点を意識すると、トラブルを未然に防ぎやすくなります。
リソースアカウントの管理ポリシー
リソースアカウントは通常のユーザーと比べると数が増えやすいため、組織内で一元的に管理する仕組みを用意しておくと良いでしょう。たとえば、以下のような表形式の管理表を作り、定期的に見直す運用が望ましいです。
アカウント名 | ロケーション | 割り当てライセンス | 役割 | メモ |
---|---|---|---|---|
AA-Japan | Japan | Teams Phone Resource Account | Auto Attendant | 日本向けの自動応答番号用 |
CQ-US | United States | Teams Phone Resource Account | Call Queue | 米国向けの通話キュー番号用 |
AA-Global | Japan | Teams Phone Resource Account | Auto Attendant | グローバル向けの自動応答番号用 |
このように表を使うことで、どのアカウントがどの番号を使っているか、どのロケーション設定にしているのかを簡単に把握できます。
定期的なライセンス監査
リソースアカウントの数が増えると、不要になったアカウントがライセンスを消費している場合があります。不要なライセンスがあるとコスト面での無駄だけでなく、設定の混乱を招く要因にもなります。
- 監査方法:管理センターからリソースアカウントの一覧をエクスポートし、不要アカウントを洗い出す
- 定期実施:四半期ごとや半期ごとにレビューを行い、常に最新の状態を保つ
ライセンス不足によるエラー例
- ライセンスを割り当てようとしたが在庫がない
- 既存ユーザーへ誤って割り当ててしまい、リソースアカウントへ回らない
- トライアル利用期間が切れていたため、急に通話ができなくなった
さらなる応用:音声メニュー設定のコツ
Auto Attendantを無事設定し、番号を割り当てたら、音声ガイダンスやメニュー選択を活用して顧客にスムーズな体験を提供することが肝心です。適切な音声メニュー設計は、組織の印象や利便性に直結します。
音声ガイダンスのポイント
- 短くわかりやすいメッセージ:長いガイダンスは逆に混乱を招く
- 選択肢は適度な数に:選択肢が多すぎると利用者のストレスになる
- 営業時間外対応:営業時間外のガイダンスや対応メッセージを設定しておくと顧客満足度が高まる
サンプルフロー
- 「お電話ありがとうございます。○○株式会社です。」
- 「総合案内は1を、技術サポートは2を、その他は3を押してください。」
- 1番を押された場合 → 総合受付につながる通話キューへ転送
- 2番を押された場合 → 技術サポート用リソースアカウントへ転送
- 3番を押された場合 → オペレーターへ転送
このようにシンプルな音声メニューが実装できると、企業の電話対応がよりスマートかつ効率的になります。
まとめ:ロケーション設定の見直しが最優先
Microsoft Teams PhoneでAuto Attendant用リソースアカウントに番号が割り当てられないとき、多くの場合は以下のステップで解消されます。
- リソースアカウントのロケーションを電話番号の国コードに合わせる
- ライセンス(Microsoft Teams Phone Resource Account Licenseなど)の割り当て状況を再確認
- オペレーターコネクトの設定状態や、通信事業者との連携をチェック
これらを順番に見直すだけで、スムーズに番号が検索・割り当てできるようになるはずです。特にロケーション設定は見落としがちですが、管理者として必ず把握しておきたいポイントです。トラブルを未然に防ぐために、定期的な監査と運用ルールの策定を行うとより安心してTeams Phoneを活用できます。
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