Microsoft Teamsの音声文字起こしを有効化する方法とAirPods切断問題の対処策

日々リモートワークが浸透し、オンラインミーティングの機能拡充が進む中でも、いざMicrosoft Teamsで「音声文字起こし(Transcription)」を利用しようと思ったらボタンがグレーアウトしていて使えないというケースは意外と多いようです。さらにAirPods Proの切断問題が重なると、仕事に支障が出てしまうこともあります。本記事では「Start transcription」を有効にする具体的な設定方法から、AirPods Proの切断トラブル解消のヒントまで、トラブルシューティングに役立つ情報を徹底的に解説します。

「Start transcription」ボタンがグレー表示になる原因とは

「Start transcription」が使えなくなる原因はいくつか考えられますが、最も多い理由はTeams管理センターの会議ポリシー(Meeting Policy)にある「録画と文字起こし(Recording & Transcription)」が無効化されているケースです。新バージョンのTeamsでも、従来のポリシー設定が反映され、意図せず機能が制限されることがあります。加えて、テナント全体の設定やライセンスの種類によっても文字起こし機能の可否が左右されるので、まずは自分(または管理者)のライセンスやポリシー設定を確認する必要があります。

クラウド録画と音声文字起こしの関係

録画機能と文字起こしは密接な関係にあります。以下に一般的な依存関係を示した表を用意しました。

機能前提条件
録画 (Cloud Recording)組織またはユーザーのMeeting Policyで「Cloud Recording」がオン
音声文字起こし (Transcription)録画が有効 + 「Recording & Transcription」がオン

Teams上で録画は可能だが文字起こしができないという場合、「Recording & Transcription」が無効になっている可能性が高いです。これを有効に切り替えることで、ボタンのグレーアウトを解消できる見込みがあります。

ライセンスのチェックも重要

音声文字起こしにはライセンス要件が存在する場合があります。たとえば、企業向けのMicrosoft 365ライセンス(例: E3やE5など)であれば問題なく利用できることが多いですが、Educationや非営利向けライセンスでは制限があったり、テナント内のポリシー設定がデフォルトでオフになっていたりすることがあります。管理者または自分のアカウント情報を確認し、適切なライセンスが付与されているか確認してください。

Teams管理センターで「Recording & Transcription」を有効にする手順

Teams管理者、あるいは自身が管理者権限を持つユーザーであれば、Teams管理センターから直接ポリシーを変更できます。以下の手順を参考に設定を進めてみましょう。

1. Teams管理センターへのアクセス

  1. ブラウザからMicrosoft 365の管理ポータルにアクセスし、管理者アカウントでサインインします。
  2. 管理センターのメニューから「Teams」を選択し、Teams管理センターへ移動します。

Teams管理センターにアクセスできない場合

組織によっては「全体管理者(Global Admin)」「Teamsサービス管理者(Teams Admin)」など特定の管理者ロールを持つユーザーのみがアクセス可能になっていることがあります。自分が管理者ロールを持っていない場合は、IT部門や管理者に依頼して作業してもらいましょう。

2. 対象ユーザーのポリシーを確認

  1. 左メニューから「Users(ユーザー)」→「Manage Users(ユーザーの管理)」を選択します。
  2. 文字起こしを有効にしたいユーザーを検索して選択します。
  3. 「Policies(ポリシー)」タブから「Meeting Policy(会議ポリシー)」を開きます。

ユーザーの会議ポリシーが「Global(Org-wide default)」のような名称の場合は、テナント全体の既定ポリシーが適用されている可能性があります。場合によっては「カスタムポリシー」が割り当てられていることもありますので、該当のポリシーをしっかり特定してください。

3. Meeting Policyの「Recording & Transcription」をオンにする

Teamsの会議ポリシーを開くと、複数の設定項目が並んでいるはずです。以下のように設定を見直します。

  1. 「Cloud recording(クラウド録画)」がオンになっていることを確認
  2. 「Transcription(文字起こし)」や「Recording & Transcription」がオンになっていることを確認
  3. 設定がオフになっていた場合、オンに切り替えて保存

これらの変更を行った場合、ポリシーの反映に少し時間がかかる場合があります。一般的には数時間以内に反映されますが、待っている間に新規ミーティングをテストで予定しておくと、反映後すぐに動作確認が可能です。

4. 新規ミーティングで「Start transcription」をテスト

ポリシー変更が反映されたら、改めてTeamsで新しい会議をスケジュールし、「Start transcription」ボタンが押せるかどうかをチェックします。既存のミーティングではうまく反映されないことがあるので、必ず新規ミーティングを試すのがおすすめです。

AirPods Proがランダムに切断される問題への対処

会話の中で「Teams使用中にAirPods Pro(A2190, 2019)が突然切断してしまう」というトラブルも挙げられています。別のアプリでは問題がないとのことなので、Teams固有の相性や設定の問題、もしくはBluetoothの接続環境に原因があると考えられます。ここでは、実際に筆者の経験や一般的に効果があるとされる対処法を紹介します。

1. Teamsクライアントを最新バージョンにする

アプリのバージョンが古いと、音声デバイス周りの不具合を引き起こす要因になることがあります。特に新バージョンのTeamsを利用している場合は、プレビュー版やBeta機能が含まれている場合もあるため、こまめに更新をチェックしましょう。

2. Bluetoothの設定やAirPodsのファームウェアを確認

  • MacやWindows10/11など、使用しているOS側でBluetoothのドライバーアップデートが存在しないかを確認しましょう。
  • AirPods Pro本体のファームウェアは、自動アップデートされる仕組みになっているものの、アップデートが滞っている場合には、iPhoneなどApple製デバイスとペアリングし直すことで強制的に更新されることがあります。
  • PCとAirPods Proをペアリングする際は、なるべくほかのBluetoothデバイスを切断し、干渉を最小限に抑えながら設定すると安定するケースがあります。

意外と見落としがちなWi-Fiとの干渉

AirPodsを含め多くのBluetoothデバイスは2.4GHz帯を利用して通信しています。一方、Wi-Fiルーターも2.4GHz帯を使用することがあり、その結果として干渉が発生して切断が発生する場合があります。自宅やオフィスであればルーターのチャンネルを変える、あるいは5GHz帯Wi-Fiを優先して利用するなどの対策を試してみる価値があります。

3. 端末の再起動やTeamsアプリの再インストール

クライアントソフトやOSの一時的な不具合でBluetooth接続が途切れやすくなることもあります。以下のステップを試してみてください。

  • PCやMac本体を再起動する
  • Teamsアプリを一度アンインストールしてから再インストールする
  • BluetoothデバイスとしてのAirPods Proを削除し、再ペアリングする

これらは一見単純な対処法ですが、多くのトラブルを解消する基本的な手段です。

トラブルシューティングを効率化するためのコード例

Teamsのポリシー設定を確認するうえで、PowerShellを使うと一括でユーザーの設定を確認できます。以下に簡単なスクリプト例を示します。必要に応じて管理者アカウントでPowerShellにサインインし、実行してください。

# Teams PowerShellモジュールのインストール/更新
Install-Module MicrosoftTeams -Force

# サインイン(管理者アカウント)
Connect-MicrosoftTeams

# 指定ユーザーのMeeting Policy情報を取得
$userPrincipalName = "user@contoso.com"
Get-CsOnlineUser -Identity $userPrincipalName | Select DisplayName, TeamsMeetingPolicy

上記のコマンドを実行すると、ユーザーがどのMeeting Policyを使用しているかがわかります。あとはTeams管理センターと同じ手順で、該当のMeeting Policyを確認し、Recording & Transcriptionが有効になっているかチェックしましょう。

設定変更後の確認と注意点

ポリシーの変更が反映された後、念のため以下のポイントを最終確認してください。

  1. 新しい会議を主催し、「More options(…)」から「Start transcription」が押せるかどうか
  2. 会議録画時に自動的に文字起こしが生成されるか(Teamsの設定やライセンスによっては手動で開始する必要あり)
  3. AirPods Proが通話開始時やミーティング中に切断されないか

継続的な運用のためのヒント

  • Teamsの新機能や不具合修正は頻繁に行われます。定期的に更新情報をチェックして、アプリを最新版に保ちましょう。
  • 組織の規模が大きい場合、管理ポリシーを個々のユーザーごとに細かく管理するのではなく、部署単位でカスタムポリシーを作成して適用する方法もおすすめです。
  • AirPods Pro以外にもBluetooth接続のヘッドセットを試してみると、問題の原因がデバイス固有か、Teams側かを切り分けしやすくなります。

それでも解決しない場合の対処法

  • 別のデバイスで試す: PCではなくスマートフォンやタブレットでTeamsミーティングに参加してみることで、不具合の切り分けができます。
  • 追加ライセンスの導入検討: 音声文字起こし機能を拡張したい場合、Microsoft 365の上位プランやTeams Premiumライセンスなどを検討するのも一つの手段です。
  • Microsoftサポートへの問い合わせ: 管理センターの設定が正しく、Teamsクライアントも最新にもかかわらず問題が続く場合、Office 365やTeamsのサポート窓口に問い合わせて詳細なログ分析を依頼するのも有効です。

エスカレーション前に確認すべきチェックリスト

エスカレーションを行う前に、以下のチェックリストを満たしているか再確認することで、サポート窓口とのやり取りがスムーズになります。

  1. Meeting Policyの状態
  • Cloud recording: オン
  • Transcription: オン
  1. ライセンス確認
  • Microsoft 365 E3 / E5などのエンタープライズライセンスか、文字起こしに対応したプランが付与されているか
  1. Teamsのバージョン
  • 最新バージョンへの更新有無(デスクトップアプリ、モバイルアプリ、Web版含む)
  1. デバイス・OSの更新
  • AirPods Proファームウェア、Bluetoothドライバーなどを最新にしているか
  • PCやMacのOSアップデート状況
  1. 再現性の確認
  • 他のアカウントや他のデバイス、他のネットワーク環境で同じ現象が起きるか

これらを漏れなく確認することで、問題解決までの時間を短縮できるでしょう。

まとめ

Microsoft Teamsで「Start transcription」がグレーアウトして使えない主な原因は、Teams管理センターの会議ポリシー設定が無効になっていることが多いです。録画はできるけれど文字起こしはできないという方は、まず「Recording & Transcription」がオンになっているかどうかを確かめてください。また、新バージョンのTeamsでAirPods Proがランダムに切断される問題も報告されていますが、TeamsクライアントやOSのアップデート、Bluetooth設定の見直し、ファームウェア更新といった基本的な対策で改善する場合が少なくありません。万が一それでも解決しないときには、ライセンスやポリシー設定を再度見直したうえで、サポート窓口に問い合わせるのが最善策です。

これらの手順を踏むことで、録画や文字起こし、音声デバイスの接続トラブルを解消し、快適なオンラインミーティング環境を実現できるはずです。ぜひ参考にしてみてください。

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