Surface Pro 7 PlusにWindows Updateを適用した後、突然画面が真っ黒のまま動かなくなる……。このようなトラブルに見舞われると、作業が滞るだけでなく、どう対処すればいいのか頭を抱えてしまいます。本記事では、具体的な解決策をわかりやすく解説します。
Surface Pro 7 Plusで起動不良が発生する原因とは
Surface Proシリーズは、Windowsとの親和性が高く高性能なタブレットPCとして人気を博しています。しかしながら、Windows Updateなどのシステムアップデートによって、稀にシステムやドライバ周りの不具合が生じることもあります。特にSurface Pro 7 Plusで報告されている起動不良のトラブルは、更新プログラム適用後に画面が真っ黒のまま起動しなくなるという深刻な問題です。
こうしたトラブルは、単にハードウェアが故障しているわけではなく、ソフトウェアやドライバの不具合が原因の場合も少なくありません。実際にSafe Mode(セーフモード)では起動できるという事実が、ハードウェアの損傷ではなくシステムやドライバの競合を疑う根拠となります。
トラブルを引き起こす可能性のある要因
- Windows Updateによる新しいドライバと既存ドライバとの競合
- Surface特有のセンサー関連ドライバの不具合
- UEFI設定、BIOS設定の不整合
- OS再インストール後のドライバインストール順序の問題
これらの複数要因が絡むことで、特定のデバイスドライバが正常に機能しなくなり、起動時にシステムが黒画面で止まってしまう可能性があります。
センサー系ドライバが原因となりやすい理由
Surface Pro 7 Plusのような2in1デバイスでは、画面回転や輝度調整など多彩なセンサーが搭載されています。これらセンサーを制御するドライバがOSと衝突すると、OSの起動プロセスが中断されるケースがあるのです。特に「HID Sensor Collection V2」は、複数のセンサー情報を束ねて管理しているため、不具合が発生するとシステム全体に悪影響が及ぶ恐れがあります。
解決策の具体的手順
黒画面から先に進めず通常起動ができない場合でも、Safe Mode(セーフモード)での起動に成功するのであれば、以下の手順で問題を回避できる可能性が高いです。
Safe Modeでの起動方法
- 電源を投入してロゴ画面が表示されたら、強制終了(電源長押し)を数回繰り返す
- 「自動修復」または「オプションの選択」画面が表示されたら、「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」を選択
- 再起動後に表示されるオプションから「セーフモード」「ネットワークを有効にしたセーフモード」などを選択
このステップを経ることで、安全な環境下でシステムを立ち上げ、不具合を引き起こすドライバを修正・無効化する作業が可能になります。
デバイス マネージャーでのドライバ確認
セーフモードに入った後、以下の手順でデバイス マネージャーからドライバの状態を確認できます。
- キーボードの「Windowsキー + X」を押し、「デバイス マネージャー」を選択
- 表示されたデバイス一覧から「センサー」を展開
- 問題が疑われる「HID Sensor Collection V2」を探す
もしデバイスに警告やエラーが表示されていなくても、Surface Pro 7 Plusで問題が発生している場合は、ここにあるドライバを無効化することで症状が改善されるケースが報告されています。
「HID Sensor Collection V2」を無効化する手順
- デバイス マネージャー上で「HID Sensor Collection V2」を右クリック
- 「デバイスを無効にする」を選択
- 確認ダイアログで「OK」または「はい」をクリック
- セーフモードを終了し、再度通常モードでWindowsを起動
この作業により、自動画面回転などセンサー機能が制限される場合がありますが、大半の使用シーンでは黒画面問題の解消が優先されるでしょう。
追加で試しておきたい方法
実際に「HID Sensor Collection V2」を無効化しても症状が改善しない場合や、他のセンサー関連ドライバが影響している可能性がある場合は、以下の対処法も検討してみてください。
- チップセットドライバの再インストールまたは更新
- Surface公式サイトから最新のSurfaceドライバパッケージをダウンロードして適用
- Windows Updateのオプション更新(ドライバ更新含む)を確認し、すべて適用または一度アンインストール
- 起動している常駐ソフトやセキュリティソフトを一時的に無効化し、ドライバの競合を排除
もしもすべての方法を試しても改善しない場合、ハードウェア的な故障も視野に入れ、サポート窓口への相談や修理依頼を検討してください。
再発防止策と注意点
トラブルが無事に解決したとしても、再度Windows Updateによる更新のたびに同様の問題が起こるようでは安心して利用できません。ここでは、再発を最小限に抑えるためのポイントを整理します。
Windows Updateの管理
Windows Updateが自動的に行われる設定の場合、想定外のタイミングでドライバ更新が実施され、同様の不具合が起こる可能性があります。必要に応じて、以下の対策を行いましょう。
- 「Windowsの設定」→「更新とセキュリティ」→「Windows Update」→「詳細オプション」からアップデートの一時停止を設定
- プレビュー版やInsider Programに参加している場合は一般配信版へ戻し、安定版のアップデートを受け取るようにする
- システムの復元ポイントやシステムイメージのバックアップを定期的に作成しておく
メーカー(Microsoft)の最新情報を確認
Surface Pro 7 Plusは特定のハードウェア構成を採用しており、MicrosoftからリリースされるファームウェアアップデートやSurface向け専用ドライバパッケージは非常に重要です。公式のSurfaceアップデート情報を定期的にチェックすることで、不具合修正が含まれる最新の更新プログラムを見逃さないようにしましょう。
よくある質問とトラブルシューティング
最終的に「HID Sensor Collection V2」を無効化したことで起動できたとしても、「センサー機能が使えなくなるのは困る」という方もいるでしょう。ここでは、センサー機能をできるだけ活かしつつ安定度も保つための追加対策や、よくある疑問を取り上げます。
センサー機能を活用したい場合は?
Surfaceの醍醐味のひとつは、自動画面回転や自動輝度調整などのタブレット的な機能です。「HID Sensor Collection V2」を無効にすると一部のセンサーが動作しなくなる可能性があります。どうしてもセンサー機能を必要とする場合は、以下のような回避策を試してみてください。
- センサーを部分的に無効化
デバイス マネージャー上で、センサーのうち問題を起こしているものを特定できれば、そのデバイスだけを無効化する。 - 別バージョンのドライバを試す
Microsoft公式サイトやデバイス製造元が提供するドライバをリストから選択し、ロールバックまたは差し替えを検討する。 - Windows Updateブロック策
問題を起こす特定のドライバだけを再びインストールされないようにブロックするツール(Microsoft提供の「Show or hide updates」トラブルシューティングパッケージなど)を利用する。
UEFI設定やセキュアブートの確認
ハードウェア的な設定がSurface Pro 7 Plusの起動に干渉しているケースもあります。UEFI設定でセキュアブートやデバイスの起動順序を変更している場合、既定設定に戻すことでトラブルが改善することもあります。以下はUEFI設定を確認・修正する一般的な手順の例です。
- Surfaceの電源ボタンを押しながら「音量+」ボタンを長押し
- UEFI画面が表示されたら、「Security」や「Boot Configuration」などの項目を確認
- セキュアブートを有効/無効に切り替えたり、Boot Priorityを標準設定に戻す
これらの設定変更を行う際は、変更前にメモを取ったり、スクリーンショット(スマホで撮影など)を残しておくと、万が一元に戻したい際に役立ちます。
表で見る主要なトラブルシューティングステップ
以下の表は、Surface Pro 7 Plusの黒画面トラブルを解決するために試すべき主なステップを一覧化したものです。優先度と難易度の目安を併せて示しています。
ステップ | 内容 | 優先度 | 難易度 |
---|---|---|---|
1. セーフモード起動 | 起動時強制終了を繰り返して「オプションの選択」画面へ | 高 | 低 |
2. デバイス マネージャー確認 | 「HID Sensor Collection V2」を含む怪しいドライバを探す | 高 | 低 |
3. ドライバ無効化または削除 | 問題のドライバを無効化し、通常起動を確認 | 高 | 中 |
4. ファームウェア・OS更新 | Surface用最新ドライバやWindows Updateを適用 | 中 | 中 |
5. センサー機能のロールバック | センサー系ドライバを旧バージョンへ戻す | 中 | 中 |
6. システムの復元・再インストール | 事前に作成したバックアップポイントから復元、またはOS再インストール | 低 | 高 |
7. UEFI設定リセット | UEFIを初期状態に戻して再度起動テスト | 低 | 中 |
8. メーカーサポート | 最終手段:サポートセンターへ連絡、または修理 | 低 | 高 |
コマンドを使ったドライバ管理の例
慣れている方であれば、コマンドプロンプトやPowerShellからドライバ関連を操作するのも一つの方法です。以下は「pnputil」コマンドを利用してドライバを一覧表示する例です。
pnputil /enum-drivers
上記を実行すると、インストールされているドライバのリストが表示されます。不必要または問題のあるドライバを特定して削除する場合は、以下のようなコマンドを使用します。
pnputil /delete-driver <ドライバファイル名.inf> /uninstall
ただし、誤って必要なドライバを削除すると更なる不具合を招きかねません。コマンド操作に不慣れな場合は、デバイス マネージャー上での無効化や削除を優先すると安心です。
まとめ
Surface Pro 7 PlusでWindows Update適用後に黒画面のまま起動しなくなる問題は、ソフトウェアやドライバ、特に「HID Sensor Collection V2」などのセンサー関連が原因となりやすいです。Safe Modeでの起動後に当該ドライバを無効化することで、正常に起動できる可能性が非常に高いとされています。
再発防止には、Windows Updateの管理やSurface専用のファームウェア更新情報を常にチェックし、問題があるアップデートはブロックするなどの対策が有効です。また、センサー機能を無効化すると一部機能が制限されますが、実用面では大きな障害にならないケースもあります。どうしても必要な機能であれば、旧バージョンに戻したりメーカー側の修正を待ちながら利用するなど、自身の使用ニーズに応じた対策を検討してみてください。
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