USBポートが認識されないときの原因と対処法~DRIVER_POWER_STATE_FAILUREの解消ガイド

USBポートに何も認識されないトラブルは、突然起こると非常に困惑します。特にWi-Fiアダプタやマウスなど、日常的に使用するデバイスが反応しないと作業が滞り、ストレスを感じてしまうでしょう。この記事では、USBポートの不具合やドライバーエラーに関する具体的な原因と解決策を、多角的に詳しく解説していきます。

USBポートが何も読み取らないときに最初に確認すべきポイント

USBデバイスが認識されない場合、まずはソフトウェア的な問題だけでなく、ハードウェア的な観点も含めて確認するのがおすすめです。単純な電源供給の不具合や、USBポート自体の故障であるケースもあるため、以下の基本的なポイントを見落とさないようにしましょう。

ケーブルやポートの状態をチェックする

  • USBケーブルが断線していないか:機器に付属するUSB延長ケーブルを使用している場合は、そのケーブルに断線や折れ曲がりがないか確認してください。別のケーブルがあれば差し替えてテストしてみるのも有効です。
  • USBポートそのものに物理的な問題がないか:内部の金具が曲がっていたり、ホコリが詰まっていないかを目視でチェックしましょう。エアダスターなどで軽く清掃すると改善する場合があります。
  • 他のポートで試してみる:PCに複数のUSBポート(USB 2.0とUSB 3.0など)がある場合は、別のポートで同じUSBデバイスを試してみてください。ハードウェア的な故障の切り分けに役立ちます。

USBポートと電源供給の関連

USBポートは電源供給の仕組みに左右されやすいため、以下の点を考慮することが大切です。

  • USBハブの使用:バスパワー(PCのUSBポートから直接電源を供給する方式)のUSBハブを使っている場合、消費電力の大きいデバイスが複数つながっていると、電力不足で認識しないことがあります。セルフパワー(ACアダプタ付き)のUSBハブを用意すると改善するケースもあります。
  • 省電力設定:OSの省電力機能によってUSBポートの電源がオフになっている場合があります。後述する「デバイスの電源管理設定を変更する」方法を試してみましょう。

DRIVER_POWER_STATE_FAILURE(0x0000009F)が表示される原因

Wi-Fiアダプタやマウス・キーボードなどのUSBデバイスを接続したまま再起動を行うと、「DRIVER_POWER_STATE_FAILURE」というブルースクリーンエラーが表示される場合があります。このエラーはドライバーが不整合な電源状態になっている可能性を示唆します。特に、ネットワーク関連ドライバーやチップセットドライバーなど、OS起動時に読み込まれるドライバーが正常に動作しないと発生しやすい傾向があります。

マイクロソフト公式ドキュメントでのトラブルシュート

マイクロソフトは公式ドキュメントで「Bug Check 0x9F DRIVER_POWER_STATE_FAILURE」について解説しています。内容は英語ではありますが、具体的な原因や対処例が記載されています。該当箇所の主なポイントは下記のとおりです。

  • 電源状態の遷移時(スリープ、休止、再起動など)にドライバーが正常に応答しない
  • 特定のドライバーが不具合を起こし、OSレベルでハングアップを引き起こしている

上記を踏まえ、ドライバーの更新やアンインストールなどの手順で問題の根本を特定し、対策を取ることが必要となります。

システムイベントログの確認

Windowsのイベントビューワーを開き、システムログやアプリケーションログに「エラー」や「警告」が出ていないかを確認することで、問題を引き起こしているドライバーを特定しやすくなります。PowerShellでログを抽出する例を以下に示します。

# PowerShellでシステムログの中からエラーを検索する例
Get-EventLog -LogName System -EntryType Error | 
  Select-Object -First 50 | 
  Format-List

このように特定のログを抜き出して、怪しいドライバーやサービスをピンポイントで洗い出すと効率的です。

USB Wi-Fiアダプタのドライバーを更新またはロールバックする

USB Wi-Fiアダプタが認識されない、あるいは「ドライバーが見つかりません」といったエラーが出ている場合、ドライバーの更新またはロールバックが効果的です。

最新のドライバーへ更新する手順

  1. 公式サイトを確認:メーカー(ASUS、TP-Link、バッファローなど)の公式サイトで最新のドライバーが公開されているかチェックします。
  2. 正しいバージョンを選択:対応OSや製品型番に合ったドライバーをダウンロードしましょう。型番を間違えるとインストールできない、もしくは不具合の原因になります。
  3. インストール前に古いドライバーを削除(推奨):一度、デバイスマネージャーで当該デバイスを右クリックし「デバイスのアンインストール」を実行しておくとクリーンインストールが行いやすくなります。
  4. 再起動後、ダウンロードしたドライバーを適用:インストーラー形式の場合は指示に従って進め、手動インストールの場合は「ドライバーファイルの場所を指定してインストール」を選択します。
  5. 接続テスト:インストール完了後、Wi-Fiアダプタを再度差し込み、認識されるかテストします。

ドライバーのロールバック手順

最新のドライバーを入れたことで不具合が起き始めた場合には、以前の安定バージョンへロールバックするのも手です。以下が一般的な手順です。

  1. デバイスマネージャーを開く:「スタート」→「設定」→「システム」→「バージョン情報」→「デバイスマネージャー」などの手順で到達できます。
  2. ネットワークアダプターを展開:Wi-Fiアダプタの項目を右クリックして「プロパティ」を選択します。
  3. 「ドライバー」タブを開く:「ドライバーのロールバック」ボタンがアクティブな場合はクリックして実行します。
  4. ロールバック完了後に再起動:変更を反映させるためにパソコンを再起動し、動作を確認します。

USBデバイスの電源管理設定を変更する

OSの省電力機能によって、USBデバイスの電源が自動的にオフになり、再度オンにならないケースがあります。特にネットワークアダプタの場合、省電力機能が有効化されているとネットワーク接続が途切れたまま復帰しないといった症状が起きやすいです。

デバイスマネージャーからの設定変更方法

  1. デバイスマネージャーを開く:先述の方法でデバイスマネージャーを起動します。
  2. USB Wi-Fiアダプタを右クリック:「プロパティ」を選択します。
  3. 「電源の管理」タブを開く:「電力を節約するためにコンピューターがこのデバイスの電源をオフにできるようにする」のチェックを外します。
  4. 「OK」をクリックして設定を反映:必要に応じてシステムを再起動し、動作を確認します。

USBルートハブやUSBコントローラー側の設定

USBルートハブやUSBコントローラーに対しても、同様の電源管理設定が存在します。すべてのUSBルートハブ・コントローラーに対し、同じように設定をチェックしてみると問題解消に近づきやすくなります。

デバイスマネージャー
└── ユニバーサル シリアル バス コントローラー
       ├── USB ルート ハブ
       ├── USB ルート ハブ (USB 3.0)
       └── その他のUSBコントローラー

上記のように複数項目が並んでいる場合は、順番に右クリック → 「プロパティ」 → 「電源の管理」タブで確認し、「電力を節約するために~」のチェックを外す作業を行うのがおすすめです。

高速スタートアップを無効化する

Windowsの高速スタートアップ機能は、起動時間を短縮するためにスリープや休止状態に近い形でシステムを終了・起動させます。しかし、これが原因でデバイスの認識に失敗する場合もあります。特にUSBデバイス周りのドライバーが正しく再読み込みされないケースが報告されています。

高速スタートアップ無効化の手順

  1. コントロール パネルを開く:「スタート」ボタンを右クリックし、「コントロール パネル」を選択します。
  2. 「ハードウェアとサウンド」→「電源オプション」:「電源ボタンの動作の選択」をクリックします。
  3. 「現在利用可能ではない設定を変更する」:クリックして管理者権限を取得します。
  4. 「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外す:変更を保存します。
  5. 再起動して挙動を確認:高速スタートアップが無効化された状態で、USBデバイスが正常に読み取られるかをテストします。

セーフモードでの動作確認

セーフモードでは、必要最低限のドライバーとサービスのみが読み込まれます。通常モードで問題が発生している場合でも、セーフモードで正常に認識されるのであれば、常駐ソフトウェアや追加ドライバーの競合が疑われます。

セーフモード起動の一般的な方法

  1. システム設定からの起動:
    • 「スタート」→「設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」を開く
    • 「今すぐ再起動」ボタンをクリックし、再起動メニューから「セーフモード」へ入る
  2. 起動時のF8キー(レガシー方式):WindowsのバージョンやPCによっては、起動ロゴ表示前にF8キーを連打して「詳細ブート オプション」を表示し、セーフモードを選択できるケースがあります。

セーフモードでUSB Wi-Fiアダプタを差し込み、正常に機能するようであれば、通常モードで読み込まれるドライバーやサービス、ウイルス対策ソフト、ファイアウォール設定などが影響を与えている可能性があります。

その他の対策と補足情報

上記の対策を行っても症状が改善しない場合、マザーボードやUSBコントローラーそのものに原因があるかもしれません。あるいは、OS起動時に特定のサービスが競合しているケースも考えられます。

マザーボードのBIOSアップデート

マザーボードの公式サイトで最新のBIOSが公開されているか確認し、該当があればアップデートしてみると良いでしょう。USBコントローラーや電源管理に関連する修正が含まれることがあります。BIOSアップデートは高リスクな操作(失敗するとPCが起動できなくなる場合がある)ですが、公式手順に従うことで比較的安全に行えます。

USBコントローラーのドライバー確認

USBコントローラー用のドライバーが古い場合、USB 3.0や3.1の機能を正しく利用できず、USB 2.0互換モードで動作するなど予期せぬ問題を引き起こすことがあります。チップセットドライバーのアップデートを含め、メーカー公式サイトの「ドライバーダウンロード」ページを再確認してみましょう。

常駐ソフトウェアの競合を探る

USBデバイスの認識は、セキュリティソフトやデバイス制御系のソフトによって制限される場合があります。たとえば企業のセキュリティポリシーでUSBストレージを禁止しているような環境では、USBデバイス全般の認識がブロックされるケースもあります。個人利用のPCでも、セキュリティソフトの設定や追加インストールしたドライバーの中に原因が潜んでいるかもしれません。一時的にアンインストール、または無効化して症状の変化を確認してみるのも有効です。

競合を見つけるためのヒント

確認項目具体例
セキュリティソフトウイルス対策、ファイアウォール設定、デバイス制御機能
デバイス制御ソフト特定のUSBデバイスをブロックする企業向けソリューション
カスタムドライバーカスタムUSBドライバー、独自ソフトウェアのレジストリ変更

DRIVER_POWER_STATE_FAILUREやUSB不具合の症状をまとめる

これまで述べてきたポイントを整理して、発生しやすい症状や対策方法をざっくりまとめておきます。

症状原因候補主な対策
USB Wi-Fiアダプタが認識されないドライバーの問題、USBポートの電源供給不良ドライバー更新またはロールバック、電源管理設定変更
マウスやキーボードを抜き差しすると認識されなくなる電源管理設定、高速スタートアップ、USBコントローラーの不具合電源管理設定を無効化、高速スタートアップを無効化
再起動時にブルースクリーン(0x0000009F)が出るドライバーが不適切な電源状態で停止公式ドキュメントを参照し、ドライバーのトラブルシュートや更新
ネットワーク接続がない状態でPCを起動するとUSBデバイスが機能しないOS起動時のドライバー読み込みに失敗、インターネット経由のドライバー依存オフライン環境でも動作するドライバーを導入、BIOSやUSBコントローラーのアップデート

ハードウェアトラブルの可能性を考慮する

ソフトウェア的な対策をいろいろ試しても改善しない場合は、ハードウェア側の不具合を疑ってみましょう。

USBポートの故障診断

  1. 他のPCで同じUSBデバイスを試す:正常に動作するようであれば、デバイス自体は問題ない可能性が高いです。
  2. USBポートを変えてみる:すべてのUSBポートで同じ不具合が起こる場合は、マザーボードやUSBコントローラーに問題があるかもしれません。
  3. CMOSクリアを試す:マザーボードのCMOSを初期化して、BIOS設定がデフォルトに戻るとUSBポートが復旧することもあります。

マザーボードや拡張カードの交換

デスクトップPCの場合は、USBポートを増設するPCI Express拡張カードを導入することで解決する場合もあります。ノートPCの場合は、マザーボード上のUSBコントローラーが物理的に破損していると修理が必要です。

ネットワーク接続がない状態で起動したときの対処

今回のトラブルでは、有線LANやインターネット接続がある環境で起動するとUSBデバイスが問題なく認識されるとのことでした。これは起動時にオンラインドライバーやWindows Updateの機能を使ってドライバーを読み込んでいる可能性があります。

オフラインドライバーの準備

メーカー公式サイトからドライバーのオフラインインストールパッケージ(.exeや.infファイル)をあらかじめダウンロードしてUSBメモリなどに保存しておけば、ネットワーク接続がなくても手動でドライバーを適用できます。インターネットに依存しない形で更新ができるよう、常に最新のドライバーを手元に用意しておくと安心です。

Windowsのオプション機能やサービスの見直し

Windowsの標準機能やサービスが、ネットワークに接続できない状態では一部動作が制限されることもあります。特に「Windows Updateサービス」や「Device Install Service」が停止している場合、USBデバイスのプラグアンドプレイ処理がスムーズに行われない可能性があります。必要に応じて、サービスが自動スタートになっているか確認してみてください。

まとめ:原因特定と対策を段階的に進めよう

USBポートで何も読み取らない、あるいは起動時にUSBデバイスが認識されない問題は、ドライバーの不具合や電源管理設定、高速スタートアップ機能、さらにはハードウェアトラブルなど、さまざまな要因が絡み合って発生します。特にDRIVER_POWER_STATE_FAILURE(0x0000009F)のようなブルースクリーンエラーが表示される場合、ドライバー同士の競合や電源状態の不整合を重点的に疑ってみるとよいでしょう。

最終的には以下の手順で段階的に解決を進めるのが効果的です。

  1. USBポートやケーブル、電源供給状態など物理的な要因をチェック
  2. イベントログを確認し、関連するエラーメッセージやドライバーの存在を把握
  3. 該当デバイスのドライバーを最新化、あるいは安定動作していたバージョンへロールバック
  4. 高速スタートアップや電源管理の設定を変更して、デバイス電源が切れないようにする
  5. セーフモードで問題が再現するか確認し、常駐ソフトウェアやドライバー競合を調べる
  6. 必要に応じてBIOSアップデートやUSBコントローラーのドライバー更新を実施
  7. 最後にハードウェアレベルの故障を疑い、マザーボードや拡張カードの交換を検討

上記の各ステップを順を追って試すことで、多くの場合は原因が特定でき、不具合を解消できます。日常的にUSBデバイスを多用する方は、万が一のトラブルに備えてドライバー類を最新の状態に保ちつつ、定期的なPCメンテナンスを心がけると安心です。

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