Windows Performance Toolkitの一部であるWindows Performance Readerを起動しようとした際、「UiaRaiseNotificationEventが見つからない」などのDLLエラーに悩んでいませんか?本記事では、エラーの原因と具体的な対処法を徹底的に解説します。あらゆるケースに対応し、スムーズにWPTを活用できるようにお手伝いします。
Windows Performance Readerの概要とエラーの背景
Windows Performance Reader(WRPUI.exe)は、Windows Performance Toolkit(WPT)の一部として提供されるアプリケーションです。主に収集したパフォーマンスログを可視化・分析するために利用されます。しかし、起動時に「The procedure entry point UiaRaiseNotificationEvent could not be located in the dynamic library ○○.dll」というエラーが表示され、正常に動作しないケースが報告されています。これは、WindowsのバージョンとWPTまたはADK(Assessment and Deployment Kit)のバージョン不一致や、DLLファイルの破損などが原因となることが多いです。
エラーが発生する主な理由
- バージョンの不整合: WindowsとADK/WPTの組み合わせが適切でない場合、必要なシステムDLLが見つからないことがあります。
- DLLファイルの破損または不足: 何らかの原因でインストールファイルが破損し、依存DLLが正しく参照できなくなるケース。
- 依存コンポーネント未インストール: Microsoft Visual C++再頒布可能パッケージなどのライブラリが足りないと、アプリ起動時にエラーが発生する場合があります。
- 権限不足やシステム整合性の問題: 管理者権限での実行を行わない、もしくはシステムファイルが破損していると、DLL呼び出しが失敗することがあります。
Windows Performance ToolkitとWindows OSの対応状況
以下のようにWindows OSバージョンとADK(およびWPT)の対応が公式に示されているケースがあります。必ずしもこれがすべてではありませんが、参考例として示します。
Windows OSバージョン | 対応するADKのバージョン | 備考 |
---|---|---|
Windows 10 (20H2以前) | ADK for Windows 10 vX.X | WPTも同梱される |
Windows 10 (20H2以降) | 最新のADK for Windows 10 | できるだけ最新を利用推奨 |
Windows 11 | ADK for Windows 11 | OSの大型アップデートに合わせて更新 |
Windows Server 2019 | ADK for Windows 10 (対応バージョン) | サーバー環境でも同様に利用可能 |
Windows Server 2022 | ADK for Windows 11 | より新しいバージョンが安定する |
バージョン番号の差異や細かいアップデートによって微妙に互換性が変わるため、常にMicrosoft公式サイトから最新情報を確認することが大切です。
DLLエラーへの具体的な解決策
ここからは、実際にエラーが発生した際に試していただきたい手順を詳しく解説します。システム環境や管理ポリシーによって操作に制限がある場合は、管理者や担当部署に相談しながら進めてください。
1. ADK/WPTのバージョン互換性を確認・調整する
最初に着目すべきなのは、Windows OSとADK/WPTのバージョンの整合性です。互換性のない組み合わせを使うと、必要なDLLがOS側に存在しない、あるいは古いDLLが優先されるなどの問題が発生します。
- 実施手順の例
- 「設定」または「Win + R → winver」コマンドなどで現在のWindowsバージョンを確認します。
- 公式ドキュメントを参照し、Windowsバージョンに合ったADKを入手します。
- 必要に応じて旧バージョンをアンインストールし、新たなADKをインストールします。
2. WPTを完全にアンインストールし再インストールする
インストールファイルが部分的に壊れている場合や、上書きインストールでトラブルが継続している場合は、一度アンインストールを行ってから再度インストールすると問題が解決するケースが多いです。
- アンインストール時の注意
- 「アプリと機能」または「コントロール パネル → プログラムの追加と削除」からADKおよびWindows Performance Toolkitをアンインストールします。
- システムを再起動してから、残留ファイルやレジストリが存在しないかを必要に応じて確認します。
- 再度Microsoft公式サイトより最新のADK/WPTをダウンロードし、インストールを実行します。
3. 必要な依存コンポーネントを確認する
Windows Performance Toolkitは、Microsoft Visual C++再頒布可能パッケージなどいくつかのコンポーネントに依存しています。これらが正しくインストールされていないとDLLエラーが起こる可能性があります。
- Visual C++再頒布可能パッケージのインストール確認
- 「アプリと機能」または「プログラムと機能」で「Microsoft Visual C++ ○○ 再頒布可能パッケージ」が複数バージョン存在するか確認します。
- 足りないバージョンや破損が疑われる場合は、Microsoft公式サイトから再ダウンロードして再インストールします。
- 再起動後、Windows Performance Readerを起動し、エラーが解消されるかテストします。
4. 管理者権限での実行
システム関連のツールを使う場合、特にADKやWPTのように深いレベルで動作するツールは「管理者として実行」することが推奨されます。権限不足が原因でDLLファイルの参照に失敗してしまうことも稀にあります。
- 実行手順
WRPUI.exe
のショートカットもしくは実行ファイルを右クリックします。- 「管理者として実行」を選択して起動します。
- エラーの再現がなくなるかを確認します。
- 毎回手動で行うのが面倒な場合は、プロパティ→互換性タブから「常に管理者として実行する」を設定できます。
5. Windows Updateの適用を徹底する
システムが最新の状態でないと、一部のDLLが古いままであったり、セキュリティパッチが適用されず不整合が起きたりします。WPTの利用には最新のWindowsコンポーネントが必要なこともあるため、まずWindows Updateを実施してみるのは有効なアプローチです。
- 実施手順
- 「設定」→「Windows Update」を開き、「更新プログラムのチェック」を行います。
- 表示されるアップデートをすべて適用し、再起動を実施します。
- その後、再度Windows Performance Readerを起動し、エラーが出るかどうかを確認します。
6. システムファイルの整合性チェックと修復
Windowsのシステムファイル自体が破損している可能性も考えられます。DLLファイルの参照エラーは、OSの基本的なファイル整合性が損なわれているときにも起こり得ます。以下のコマンドを使って、システムファイルの整合性をチェックおよび修復できます。
- システム ファイル チェッカー(SFC)とDISMのコマンド例
sfc /scannow
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
Dism /Image:C: /Cleanup-Image /revertpendingactions
- 管理者権限でコマンドプロンプトもしくはPowerShellを起動します。
- 上記コマンドを順番に実行し、修復が完了するまで待ちます。
- 修復完了後、再起動してエラーが改善されたかを確認します。
より深いトラブルシューティング方法
上記の基本的な対処法を試しても問題が解決しない場合、より詳細なトラブルシューティングが必要です。考えられる追加のアプローチを紹介します。
7. イベントビューアーでエラーログを確認する
Windowsの「イベントビューアー」に注目することで、DLLエラー発生時にシステムやアプリケーションログがどのような状態だったかを把握できます。特に「エラー」や「警告」レベルのログをチェックし、追加のヒントが得られないかを探ります。
- 確認手順の例
- 「スタート」ボタンを右クリックし、「イベントビューアー」を開きます。
- 左ペインで「Windowsログ」→「アプリケーション」もしくは「システム」を選択します。
- 該当時刻のエラーログをダブルクリックし、詳細な内容を確認します。
- 「障害が発生したモジュール名」や「エラーコード」などが表示される場合は、その情報をもとに追加の解決策を検索します。
8. 他のWindowsコンポーネントやサービスとの競合を疑う
Windows Serverの役割や他の管理ツール、サードパーティ製のアンチウイルスソフトウェアなどがDLLの参照をブロックしている可能性もゼロではありません。特にセキュリティ関連のソフトは、特定の操作を検出してブロックする仕組みが働いていることがあります。
- 一時的にセキュリティソフトを無効化してテスト
- 管理者またはセキュリティ担当者と相談の上、一時的にアンチウイルスソフトをオフにします。
- Windows Performance Readerを起動し、エラーが再現するかを確認します。
- 改善される場合は例外ルールの追加やセキュリティソフトの設定変更を検討します。
9. レジストリの依存関係を再チェックする
通常はレジストリエディタを操作する必要はありませんが、特殊な環境やカスタマイズされたサーバーでは、レジストリが意図せず変更されている場合があります。WPTや関連DLLが参照するキーが破損していると、アンインストールや再インストールだけでは解決できないこともあります。
- レジストリを確認する際の注意
- レジストリを誤って変更するとシステムに重大なトラブルが発生する恐れがあります。
- レジストリエディタの操作前に必ずバックアップを取得してください。
- 「HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows Kits\Installed Roots」など、ADK/WPT関連のキーを確認します。
現場での運用を踏まえた実践的な対策
大規模な企業環境やサーバー運用の現場では、単にエラーが出た時に個別対応するだけでなく、以下のような対策を予め講じておくことでトラブル発生を抑止しやすくなります。
10. 定期的なバックアップと検証テスト
WPTはシステムの深いレベルで動作するため、テスト環境などで定期的にバージョンアップや更新プログラムの影響を検証し、本番環境に適用する前に問題の有無をチェックすると安心です。
- 新しいADKやWPTへのアップデート前に、バックアップとテストを行う
- DLL依存関係や各種設定ファイルのバックアップを取る
- 社内規定に合わせた検証手順をドキュメント化しておく
11. グループポリシーや権限管理の最適化
大規模環境ではドメインコントローラーによるグループポリシー管理が行われ、ユーザー権限やファイルアクセス権が細かく設定されているケースが多々あります。こうした権限関連の設定がDLL呼び出しを妨げている可能性もあるため、ポリシーやアクセス権を再確認することは重要です。
- WPT関連フォルダ(例:
C:\Program Files (x86)\Windows Kits\10\Windows Performance Toolkit\
)のアクセス権設定 - UAC(User Account Control)の影響を受けていないか
- グループポリシーのイベントログに異常がないか
まとめと今後のポイント
Windows Performance Readerの起動時に発生する「UiaRaiseNotificationEventが見つからない」などのDLLエラーは、システムファイルの破損、依存コンポーネントの不備、バージョンの不整合などさまざまな要因が絡み合って生じます。最初の一歩としては、下記の優先順位で対処するとスムーズに解決できるケースが多いです。
- WindowsのバージョンとADK/WPTのバージョンを確実に揃える
- Windows Performance Toolkitを完全にアンインストール後、再インストールする
- 必要な依存コンポーネント(Microsoft Visual C++再頒布可能パッケージなど)を最新化する
- 管理者権限での実行を試す
- Windows Updateとシステムファイルの整合性チェックを行う
- イベントビューアーやセキュリティソフトとの競合を疑う
これらをひとつずつ実行しながら検証することで、多くの環境でエラーを解消できるはずです。また、WPTやADKはOSのメジャーアップデートに合わせて随時更新されますので、常に最新情報をキャッチアップし、環境の継続的なメンテナンスを行うことが重要です。
もしこれらの方法を試しても問題が解決しない場合は、マイクロソフトの公式フォーラムやコミュニティを活用して情報収集し、より深いレベルで原因を突き止める必要があるかもしれません。特にエンタープライズ環境やサーバー上で同様のエラーが発生する場合は、レジストリやグループポリシー設定などが絡むことも多いため、総合的な切り分けが必要です。
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