Mac版のWordでエムダッシュ(—)が使えなくなると、作業効率が下がってストレスを感じますよね。せっかく文字装飾や文書の表現にこだわっているのに、なぜか「Shift+Option+マイナス」で入力できるはずのエムダッシュが突然反応しなくなってしまうことがあります。ここでは、その原因から具体的な対処法まで、徹底的に解説していきます。
Mac版Wordでエムダッシュが入力できないトラブルの概要
Macであれば「Option + Shift + マイナスキー」を押すことでエムダッシュ(—)が入力できるのが一般的です。しかしWordだけでショートカットがうまく動作せず、代わりに青いハイフンや通常のハイフンが入力されてしまう場合があります。一方、ExcelやPowerPointなど他のOfficeアプリでは問題なく使えるなら、Word固有の設定やバグが疑われるところです。
エムダッシュとハイフンの違い
まず、エムダッシュ(—)とハイフン(-)を混同しないために、簡単な区別を押さえておきましょう。以下のように、形や用途が異なります。
記号 | 文字 | 用途・特徴 |
---|---|---|
ハイフン | – | 単語の区切り、範囲の表現など(Macのキーボード上はマイナスキー) |
エンダッシュ | – | 数値範囲を表すとき(例:10–20)など。MacではOption + マイナスキー |
エムダッシュ | — | 文章内の強調、間などに用いられる長めのダッシュ。MacではOption + Shift + マイナスキー |
Wordでエムダッシュが入力できなくなると、上記の表にあるように区別して使いたい場合に不便ですよね。本来、記号やダッシュを正しく使い分けることで文章全体の可読性や印象が大きく変わってきます。
トラブルの原因となりうる設定や環境
ここからは、Mac版Wordでエムダッシュ入力ショートカットが突然使えなくなる代表的な原因を挙げていきます。原因が分かれば対処もスムーズに進みます。
1. Wordの自動校正やオートフォーマット
Wordには「オートコレクト(自動校正)」や「オートフォーマット」という機能があります。ハイフンやダッシュなど、特定の記号を自動変換するような設定が有効になっていることがあります。一方で、これらの設定が逆に働いてエムダッシュの入力を阻害しているケースも考えられます。
チェックすべき主な項目
- オートコレクトのオプション
[ツール] → [オートコレクトのオプション](もしくは[校正] → [オートコレクト]) - 入力中に自動修正する
変換対象の文字やフレーズに「–」→「—」が登録されているか - オートフォーマット
「文中の英字を全角にする」「文中の記号を変換する」など、不要な変換が入っていないか
もし、オートコレクト側の設定がうまく働かず、意図しない形でハイフンやダッシュが変換されているなら、これを修正すれば解決につながる可能性が高いでしょう。
2. macOS自体のキーボード設定やショートカット
ExcelやPowerPointなど他のアプリではエムダッシュが問題なく入力できるのに、Wordだけうまくいかない場合でも、念のためmacOSのシステム設定を見直しておくことをおすすめします。例えば、何らかのアプリケーションがグローバルのキーボードショートカットを上書きしているかもしれません。
見直すポイント
- キーボードの入力ソース
文字入力の言語切り替えに問題があると、特定の記号が正常に入力できないことがあります。 - ショートカット設定
システム環境設定 → キーボード → ショートカット
ここで「Option + Shift + マイナスキー」の組み合わせが他の操作に割り当てられていないか確認します。
3. 修飾キーの押し方や押す順番の誤り
Macで「Option + Shift + マイナスキー」を入力するとき、キーを押す順番やタイミングを間違うと、正常にエムダッシュを入力できない場合があります。例えば、先にマイナスキーを押してからOptionとShiftを押す、という順番だと別の文字コードが入力されることも。これはWord特有というよりは、キー入力そのものの問題です。
具体的な解決策と対処法
では、実際にWordでエムダッシュを入力可能にするための具体的な手順を見ていきましょう。順番に試していけば、ほとんどの場合解決するはずです。
1. Wordの自動校正とオートフォーマットの確認
最初にチェックしておきたいのは、Wordの自動校正機能です。特に「–」をエムダッシュに変換する設定がオンになっているか、また不要な設定がないかを見直します。
- オートコレクトのオプションを開く
- Wordを起動し、メニューバーの[Word] → [環境設定]へ進む
- [校正] → [オートコレクト]のタブを開く
- 「入力中に自動修正する」や「オートフォーマット」の項目で、ハイフン関連の変換設定を確認
もし、ここで「–」を「—」に変換する設定が無効化されている場合、有効にするとエムダッシュが入力しやすくなります。また、反対に不要な設定が干渉している可能性もあるので、「-」や「–」に関する部分を丁寧にチェックしてください。
2. macOSのキーボード設定を見直す
次に、macOS側でショートカットが上書きされていないか、あるいは誤って入力ソースが切り替わっていないかを確認します。
- ショートカット設定の確認
- [Appleマーク] → [システム設定] → [キーボード]
- [キーボードショートカット]を選択し、「Option + Shift + -」の組み合わせが他の機能に割り当てられていないかを確認
- 入力ソースの確認
- [システム設定] → [キーボード] → [入力ソース]
- 使用中の言語が複数ある場合、全てで同じショートカットが機能するかチェック
英字配列や日本語配列など、キーボードの物理配置と入力ソースの言語設定が合わないまま使っていると、記号系の文字が別のキーに割り振られることもあります。
3. 押し方を慎重に試してみる
シンプルですが、キーの押し方・順番の問題でエムダッシュが入力できない場合もあります。以下の点を意識してみてください。
- Optionキー → Shiftキーの順に押す
- 両キーを押しっぱなしにしたまま、最後にマイナスキー
- キーをゆっくり押してみる(一時的にタイムラグを設ける)
特にWordは独自のキーバインドがあり、スペルチェックや校正関連の処理で入力が変換されることがあります。キーのタイミングのずれで、ショートカットが正常に認識されないこともあるのです。
4. 別の入力方法を試してみる
どうしてもショートカットが使えない、あるいは急いで対処したい場合は、別の方法でエムダッシュを入力することが可能です。
- 「記号と特殊文字」から挿入
Wordのメニュー「挿入」 → 「記号と特殊文字」を開き、一覧から「—(エムダッシュ)」を直接選ぶ。 - コマンド+コントロール+スペース
これはmacOSの「絵文字と記号ビューア」を呼び出すショートカットです。ここからエムダッシュを探してクリックすれば入力できます。 - 二重ハイフン(–)を入力し自動変換
オートフォーマットが有効な状態で「–」と入力すると、エムダッシュに変換されるように設定できる場合があります。
一時的にでもダッシュを入力できれば、文書作成の流れを止めずに済むでしょう。ショートカットだけが原因で作業が滞るようであれば、代替手段を活用して作業を続行すると効率的です。
5. WordやmacOSのアップデートを確認
最後に、Word(Microsoft 365)のバージョンやmacOSが最新かどうかも重要なポイントです。Office側のバグやmacOSとの互換性の問題でショートカットに不具合が生じているケースも、これまでに報告されています。
- Wordの更新
Wordの[ヘルプ] → [アップデートの確認] で最新版かどうかを確認 - macOSの更新
システム設定 → [一般] → [ソフトウェア・アップデート] で最新のバージョンを入手
アップデートを適用することで、ショートカット関連の不具合が解消される例も少なくありません。最新バージョンを使うことはセキュリティの面でも望ましいため、早めに実施しておきましょう。
トラブルシューティングがうまくいかないときの対処
ここまでの方法を試しても解決しない場合は、Wordのリセットや再インストールなど、さらに踏み込んだトラブルシューティングが必要になることがあります。
Wordの初期設定ファイルをリセット
Wordの環境設定ファイルが壊れていると、特定のショートカットがうまく動かないことがあります。以下の操作でリセットしてみる手があります。
- Wordを終了する
- Finderで ~/Library/Preferences を開く
- 「com.microsoft.Word.plist」など、Microsoft Word関連の設定ファイルをデスクトップなど別の場所に移動
- Wordを再起動し、新しい初期設定ファイルが生成されるか確認
この方法を試すと、キー設定などのカスタマイズが再びデフォルトに戻るため、設定をやり直す手間はありますが、不具合の切り分けには有効です。
Officeアプリの修復や再インストール
Microsoft 365を利用中であれば、アプリの修復機能や再インストールを行うことで問題が解決するケースがあります。特にOfficeアプリ全体で不具合が感じられる場合は、修復や再インストールがベストな選択肢となるでしょう。
- Officeアプリの修復
アプリケーションフォルダの「Microsoft Word」を右クリックして「情報を見る」などを確認し、修復オプションがあれば試す(バージョンによる) - 再インストール
Microsoft 365ポータルなどからWordを再度インストールし、最新版を導入する
エムダッシュを活用して文書を魅力的にするために
エムダッシュはちょっとした文章の言い回しを格上げしてくれる便利な記号です。特に読者に間を与えたいときや、文章中の一部を強調したいときに使うことで、読み手にとってより分かりやすく、スタイリッシュな印象を与えられます。Mac版Wordでのショートカットが使えなくなったときの対処法を知っておけば、スムーズに作業を続行できますし、文章表現の幅も広がります。
なお、HTMLなどWeb上でエムダッシュを表記したい場合は、下記のような実体参照(エンティティ)コードを利用することもあります。Wordとは直接関係ありませんが、Web制作やブログ記事を書く人にも役立つテクニックです。
<!-- HTMLでエムダッシュを使いたい場合 -->
<p>ここで文章を—強調します。</p>
<!-- 実体参照(エンティティ)を使うなら -->
<p>ここで文章を—強調します。</p>
こうした知識を押さえておくと、Wordの文書だけでなく、Web記事やメールでも統一感のある表記が可能になります。
まとめ
Mac版のWordでエムダッシュが突然入力できなくなる現象は、WordのオートコレクトやmacOSのショートカット設定など、いくつかの要因が考えられます。基本的な対策としては、Wordの自動校正を見直す、macOSのキーボード設定を確認する、キーの押し方を改めてチェックする――といったステップを踏むだけでも多くのケースで解決するでしょう。それでも直らない場合は、Wordの初期設定をリセットしたり、Officeアプリ全体を再インストールしてみると改善する可能性があります。
エムダッシュは文章にリズムやニュアンスを加えるとても便利な記号です。スムーズに入力できるように設定を最適化し、文章作成のクオリティと効率を高めていきましょう。
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