紙媒体や電子書籍向けの文書を作成する際、サイズがきちんと合っていないとレイアウトが崩れたり印刷時に余白がずれたりしてしまいます。特に、6×9インチは書籍の定番サイズの一つ。今回はWordを使って、6×9インチのPDFを正しく出力する方法をわかりやすく解説します。
Wordで6×9インチのPDFを作成するメリット
6×9インチというサイズは、ビジネス向けのドキュメントや小説・実用書など、幅広い用途で用いられる書籍サイズの代表格です。印刷所によっては標準サイズの扱いをしているケースもあるため、オンデマンド出版や商業出版を検討している方にとって、作業をスムーズに進められる大きな利点となります。また、PDFとして保存しておくことで、電子書籍として配布する際もレイアウトを崩さずに保持できる点が魅力です。
ビジネス文書や書籍の規格に最適
ビジネス書や専門書などでは、ページが多くなるほどA4やLetterサイズでは扱いにくくなる場合があります。一方で6×9インチは、手に取ったときの持ちやすさや読みやすさを重視したサイズ設計がなされており、長時間の読書にも適しています。さらに、ビジネスプレゼン用の資料なども同サイズにそろえておくことで、持ち歩きや管理もしやすくなります。
カスタムサイズの魅力
Wordであえて6×9インチというカスタムサイズを設定することで、独自性のあるレイアウトを生み出すことができます。例えば、余白の取り方や文字数、段組設定などを調整しながら、オリジナルの書籍や資料を作成する楽しさも味わえます。既存テンプレートだけでは実現しにくいデザインを追求できる点は、カスタムサイズならではの利点といえるでしょう。
デザイン面での自由度がアップ
一般的なA4やレターサイズに比べて、縦横比がやや縦長な6×9インチは、見栄えや余白の取り方によっては一気に印象を変えることができます。表紙デザインやページレイアウトのバリエーションも豊富に考えられるため、紙面デザインを重視するクリエイターや出版社にとって魅力的な選択肢となるはずです。
Windows環境での設定手順
WordのWindows版では、標準で「ページレイアウト」タブ(最新バージョンでは「レイアウト」タブ)から直接カスタムサイズを指定することができます。慣れてしまえば短時間で6×9インチの指定が行えるので、業務効率化にもつながります。
用紙サイズを6×9インチにする方法
多くのユーザーがつまずきやすいポイントは、ページ設定ダイアログを正しく開いていない、あるいはインチとミリメートルを混同して入力してしまうことです。正確に6×9インチに設定するためには、以下の手順を守りましょう。
ページ設定ダイアログを使った手動入力
- Wordを起動し、「レイアウト」タブをクリックします。
- 「サイズ」ボタンから「その他の用紙サイズ」を選択し、「ページ設定」ダイアログを開きます。
- 「用紙」タブに移動し、幅を「6インチ」、高さを「9インチ」に指定します。
- 必要に応じて余白や印刷の向きも調整します。
- 設定が完了したら「OK」をクリックし、Wordの画面で6×9インチが反映されているか確認してください。
既存のテンプレートを活用
もし何度も6×9インチを使う場合は、新たにテンプレートを作成しておくと便利です。テンプレートとして保存し、以後は「新規作成」からテンプレートを選択するだけで、毎回サイズを設定し直す手間を省けます。既存のドキュメントで同じレイアウトを使いたい場合も、テンプレートを流用すれば時短につながります。
PDF出力のポイント
6×9インチに設定したはずなのに、PDFに変換するとA4やLetterサイズになってしまうトラブルはよく聞かれます。そんなときは、PDF出力時のオプションやプリンタードライバの設定を一度見直すのが効果的です。
PDF/Aの有効化と互換性
PDFを作成する際に「PDF/A」にチェックを入れると、PDFのバージョンや長期保存に適した設定が適用されます。結果的にWordで指定したカスタムサイズが反映されやすくなるケースが多いため、一度試してみる価値があります。
ただし、必ずしもPDF/Aでなければサイズが反映されないわけではありません。もしPDF/Aにしてもうまくいかない場合は、別の方法や他のPDF作成ツールを試してみるとよいでしょう。
Adobe Acrobatなどのツールでの確認
一度PDFを作成したら、Adobe AcrobatなどのPDFビューアで「プロパティ」を確認してみてください。そこに記載されているページサイズが「6.00×9.00インチ」になっていれば、正しく出力されています。プリンタードライバによっては表示がおかしく見える場合もあるので、異なるPDFビューアで複数回チェックすると安心です。
Mac環境での設定手順
Word for Macでは、Windows版と比べて「ページ設定(Page Setup)」の呼び出し場所が若干わかりにくいと感じる方が多いようです。ですが、手順さえ覚えてしまえばWindows版とほぼ同じように操作できます。
レイアウトタブ内からの設定
Mac版でもリボンに「レイアウト」タブがあり、その中に「サイズ」ボタンが存在します。しかし、場合によっては標準のサイズ選択肢しか表示されず、カスタムサイズの入力欄が見当たらないことがあります。そういった場合には、ダイアログを手動で起動する必要があります。
ダイアログ起動ツールの活用
レイアウトタブの右下にある、小さな四角形と対角線の矢印が入ったアイコンをクリックすると「ページ設定」ダイアログが開きます。あるいは、ルーラー部分をダブルクリックして開く方法もあります。このダイアログ内で「用紙」や「サイズ」に関する設定タブを探し、幅6インチ・高さ9インチを入力して「OK」を押せば完了です。
PDF保存時の注意点
MacでPDFを保存する場合は、通常「ファイル」→「保存形式」に「PDF」が選択可能です。このとき、出力オプション(「ベスト」「標準」など)の違いによって、若干サイズが変わるケースがあります。必要に応じて詳細オプション(「品質」「セキュリティ」「カスタムサイズ」など)を確認し、PDF/Aを有効にするかどうかも合わせてチェックしてみてください。
トラブルシューティング
正しいサイズを設定したはずなのに、PDFにした途端にサイズがおかしくなっている場合、いくつかの原因が考えられます。以下の対策を試すことで、問題を解決できる可能性が高まります。
実際のPDFサイズが反映されない場合
PDFビューアで確認すると、なぜか8.5×11インチやA4表記になっていることがあります。これはプリンタードライバやPDF変換設定が原因になっているかもしれません。
プリンタードライバの影響
Windowsの場合、Wordから「印刷」ダイアログを経由してPDFを作成する際に、仮想プリンタードライバがサイズを上書きしてしまうケースがあります。例えば「Microsoft Print to PDF」や古いバージョンの「Adobe PDF」プリンタでは、設定が初期化されてしまうことも。この場合は、「ページ設定」ダイアログで6×9インチを選んでから印刷に進み、「プロパティ」や「詳細設定」でサイズが正しく指定されているか確認しましょう。
設定のリセットと再適用
Wordファイルが複数のページ設定を持っている場合や、テンプレートが破損している場合は、一度6×9インチの設定を解除してから再設定すると上手くいくことがあります。新規ドキュメントを立ち上げたうえで、改めてページ設定を行い、そこにテキストや画像を貼り付けていく手段も有効です。
カスタムサイズが見当たらない場合
MacやWindowsの一部バージョンでは、システムのプリンタ設定やOSの言語設定によってカスタムサイズのメニューが非表示になっていることがあります。そんなときは、OSの「プリンターとスキャナー」もしくは「デバイスとプリンター」から、プロパティを開いてみてください。別途カスタム用紙サイズを登録するオプションがある場合もあります。
綺麗なレイアウトを保つためのコツ
6×9インチでPDFを作成するだけでなく、より見やすく、印刷しても美しいドキュメントに仕上げるためのポイントを押さえておきましょう。特に余白(マージン)やフォント埋め込みなどは、読みやすさやデザイン性に大きく関わります。
余白・マージン設定
ページサイズを6×9インチにしても、余白がきちんと設定されていないと文章が詰まって見えたり、逆にスカスカに感じたりします。本文量と目的に合わせて適切な余白を取ることが大切です。
おすすめの余白寸法
一般的な書籍であれば上下左右にそれぞれ0.5~0.8インチ程度のマージンを取ることが多いです。ただ、ページ数が増える場合は、綴じ代として内側の余白を少し多めに取るときれいに仕上がります。以下のような設定例があります。
余白項目 | 推奨寸法 |
---|---|
上余白 | 0.5~0.7インチ |
下余白 | 0.5~0.7インチ |
外側余白 | 0.5インチ |
内側(綴じ代) | 0.7~1.0インチ |
ハードカバーの本を想定する場合は、さらに内側の余白を厚めに設定すると、開きやすく読みやすいレイアウトに仕上がります。
ページ番号の配置
ページ番号は、読み手がどの位置にいるかを把握するために重要です。書籍スタイルであれば、ページ下部の中央や外側に配置することが多いですが、PDFとして配布する資料などでは、上部に配置するとパラパラめくりやすくなります。デザインの方向性に合わせて配置場所を検討してみてください。
フォント埋め込みと表示安定性
PDFは閲覧環境に左右されにくいフォーマットですが、使用しているフォントが端末にインストールされていない場合、文字化けやレイアウト崩れが起こる場合があります。そのため、Wordのオプションで「PDFへのフォント埋め込み」を有効にしておくと、表示互換性が高まります。特に商用フォントを使用している場合は、ライセンス上問題がないかもチェックしておくと安心です。
表でまとめる6×9インチ作成手順
次の表は、6×9インチのPDFを作成するためにWindowsとMacで必要となる操作を簡易的にまとめたものです。印刷のたびに迷いがちな方は、この一覧を参考に確認するとスムーズです。
OS | 手順 | 備考 |
---|---|---|
Windows | 1.「レイアウト」タブ → 「サイズ」 → 「その他の用紙サイズ」 2. 幅6インチ・高さ9インチに設定 3. 「ファイル」 → 「名前を付けて保存」→ PDFを選択 4. オプションでPDF/Aを有効化して保存 | テンプレートを作成しておくと時短になる |
Mac | 1.「レイアウト」タブ右下のダイアログ起動ツールをクリック 2. 「ページ設定」からカスタムサイズを入力 3. 「ファイル」 → 「PDFとして保存」 4. 必要に応じてPDF/Aや詳細設定を確認 | 表示されるメニュー名がWindowsと若干異なる場合あり |
この表の通りに進めていけば、余計な設定のし忘れを減らすことができ、確実に6×9インチのPDFを手に入れることができます。用途に合わせてマージンやフォント設定を微調整しながら、印刷時や電子書籍化の際にスムーズに運用できるようにしましょう。
まとめ
Wordで6×9インチのPDFを作成するためには、まずは正しいページサイズの指定が欠かせません。WindowsでもMacでも、「レイアウト」タブや「ページ設定」ダイアログを利用すればカスタムサイズが指定できるので、ぜひ手順をしっかり確認してみてください。PDF作成時には、PDF/Aを活用したり、フォント埋め込みを行ったりすることで、より安定したレイアウトを得られます。
また、余白(マージン)設定やフォント選びなど、細かな部分にこだわることで、仕上がりをより洗練させることが可能です。ビジネスドキュメントでも書籍出版でも、6×9インチというレイアウトを巧みに活用すれば、読み手にとって快適な資料や書籍を提供できます。ぜひこの機会に、カスタムサイズによるPDF作成の手順をマスターしてみてください。
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