Word for Macを使って文書を作成していると、画像や図形をきれいに配置したい場面は多いですよね。Windows版のWordでは便利な緑色の配置ガイドが自動的に表示されますが、Mac版では見当たらず困っている方も多いのではないでしょうか。本記事では、その理由と代替策をご紹介します。
Word for Macで配置ガイドを使う方法はあるのか?
Wordで画像や図形を配置するとき、Windows版では「Use Alignment Guides(配置ガイド)」と呼ばれる緑色のガイドラインが表示され、オブジェクト同士の端や中央にぴたりと合わせやすくなる機能があります。しかし、Word for Macには、この配置ガイドが標準では存在しません。ここでは、その背景や実情、そして実際にMac版Wordで使える代替機能について解説していきます。
Windows版との機能差
WordはWindows版とMac版で一部機能やUIが異なっています。Word自体は同じMicrosoft製品ですが、長らくMac版はWindows版に比べて機能が後追いになることが多いのが実情です。特に「Use Alignment Guides」は、Windows版で非常に便利に使われている機能の一つですが、現在のところMac版には実装されていないとされています。
Microsoft公式の見解
Microsoftの公式サポートドキュメントを見ると、Word for Macでは「Use Alignment Guides」に相当する緑色のガイドを有効にする項目が見当たりません。Windows版の場合、[レイアウト]タブの[配置]メニューから設定できたり、オプション設定で「配置ガイドを使用する」にチェックを入れるだけで簡単に利用できます。しかしMac版では同様の設定画面はなく、サポートページでも「グリッドへのスナップ機能」についての説明が中心となっています。
配置ガイドの実装予定はあるのか?
現時点で公式には、Word for Macに今後「Use Alignment Guides」が実装されるとの発表は行われていません。Microsoftはユーザーフィードバックをもとに機能改善を行う姿勢を示しているため、今後のアップデートで追加される可能性はゼロではありません。しかし、具体的なリリース計画は公表されていないため、現状ではほかの手段で対応するしかないのが実情です。
代替策:グリッドへのスナップ機能
Word for Macに配置ガイド機能がない以上、代替としてよく活用されるのが「グリッドへのスナップ機能」です。Windows版Wordにも同様の機能があり、特定の間隔で引かれたグリッド(目に見える目盛り)に合わせてオブジェクトを配置できる仕組みです。緑色のガイドラインが表示されるわけではありませんが、オブジェクトがグリッドに沿って移動することで、整然としたレイアウトを実現しやすくなります。
グリッドスナップの設定手順
Word for Macのバージョンにより、メニューやダイアログの名称が多少異なることがありますが、大まかな流れは以下のとおりです。
- 「ワード」メニューから「環境設定」を開く
画面左上のメニューバーにある「ワード」→「環境設定」をクリックします。 - 「配置とオブジェクトのオプション」を探す
「作成と校正」「編集」などの項目が並ぶウィンドウが開きます。その中から「配置とオブジェクトのオプション」や「グリッドとガイド」のような名前の項目を見つけてクリックします。 - グリッドへのスナップを有効にする
「グリッドに合わせる」もしくは「オブジェクトをグリッドにスナップする」などのチェックボックスをオンにします。場合によっては「図形をグリッドに合わせる」などの文言で表記されていることもあります。 - グリッドの間隔を調整
必要に応じて、水平・垂直方向のグリッド間隔を設定します。デフォルトはやや広めに設定されていることが多いので、細かく配置したい場合は間隔を小さくすると操作しやすくなるでしょう。
これでグリッドスナップ機能が有効になり、オブジェクトをドラッグするときにグリッド線に沿って動くようになります。ただし、Windows版のようにガイドラインが画面に表示されるわけではない点は注意が必要です。
グリッド間隔のカスタマイズ
グリッド間隔は、初期値だと0.32cmや0.25cmなど、あまり細かくない設定になっていることがあります。配置したいオブジェクトのサイズや、ページ全体のデザインバランスによっては、もう少し細かな設定が望ましい場合もあるでしょう。グリッド間隔をカスタマイズすることで、より柔軟にオブジェクトを配置できます。
たとえば以下のように表で設定をまとめておくと分かりやすいです。
設定項目 | 推奨値の例 | 備考 |
---|---|---|
水平方向の間隔 | 0.25 cm | 細かく調整したいときは0.1 cmなどに変更 |
垂直方向の間隔 | 0.25 cm | 水平方向と合わせると整然と見えやすい |
グリッドの表示色 | デフォルト | 視認性を高めたい場合はグレー等に変更可能 |
オブジェクトのスナップ | チェック | 「グリッドにスナップ」を有効にする |
このようにあらかじめ自分の文書デザインに合ったグリッド設定を行っておくと、後々のレイアウト作業を効率よく進められます。
スナップ機能を使った配置例
たとえば、プレゼン資料風のレイアウトをWordで作成するとします。大きめの図形を左右中央に配置して、その下に小さな図形を複数並べたい場合、あらかじめ「水平方向0.3cm、垂直方向0.3cm」などのグリッドを設定しておきます。すると、図形をドラッグしながら移動させるたびに、0.3cm刻みでスナップしてくれるため、結果的に縦横できれいに並んだ配置ができるようになります。
Windows版の配置ガイドのように「ほかのオブジェクトとちょうど垂直に揃った」ことを示す線は表示されませんが、それでもグリッドスナップ機能で一定の規則性を持ってオブジェクトを配置できるため、視覚的にも整ったレイアウトが仕上がります。
応用テクニック:PowerPoint for Macや他のアプリとの連携
Word for Macでのレイアウト作業がどうしてもうまくいかない、あるいは配置ガイドのような機能をどうしても活用したい場合、PowerPoint for Macに一度オブジェクトを貼り付けて配置を調整し、それを画像として再度Wordに取り込むという方法も考えられます。
PowerPoint for Macでは、Word for Macよりもレイアウト関係の機能が充実している面があり、配置ガイドらしきガイドラインを表示したり、オブジェクト同士を整列させる機能がやや豊富です。以下のような流れで作業すると比較的スムーズです。
- PowerPointで新規プレゼンテーションを作成
Wordと同じページサイズに近いスライドサイズに変更しておくと、後の調整が楽になることがあります。 - 画像や図形をPowerPoint上で配置
ガイドを活用しながら、ほかの図形やスライドの中央など、細かい位置を微調整します。必要があればグループ化もするとよいでしょう。 - 最終的に画像としてエクスポート
スクリーンショットや図の形式でコピー・ペーストするか、あるいは「画像として保存」を使ってオブジェクトを画像化し、Wordに貼り付けます。 - Wordでレイアウトを最終確認
画像として扱うので、配置は1つのまとまりのオブジェクトとなり、細かい再調整は難しくなるものの、PowerPoint上で調整した正確な整列をそのまま利用できます。
少々手間はかかりますが、Word for Macのレイアウト上での限界を感じたら、PowerPointやPublisherなどの別アプリを経由することで、より細かなデザインを実現できる可能性があります。
より正確なレイアウトのためのヒント
Wordでのドキュメント作成は文章作成が主目的ですが、社内資料や報告書では図解を多用する場面も増えています。Word for Macでも、それなりに工夫すれば見栄えのよいレイアウトを組むことは可能です。ここでは、配置ガイドがなくても、ある程度正確にレイアウトを行うためのヒントをいくつかご紹介します。
ヒント1:図形や画像をテキストボックスでくくる
Wordでは、画像や図形をテキストボックスの中に入れると、テキストボックス同士の配置やサイズ調整がやりやすくなります。特に、複数の図や表を並べて比較したいときに、テキストボックスごとにレイアウトを整えると、配置が見やすくなることが多いです。
ヒント2:図形や画像をグループ化する
複数のオブジェクトをひとつのまとまりとして扱いたいときは、グループ化を行います。グループ化しておくと、移動やサイズ変更が同時に行えますし、より複雑なレイアウトにも対応しやすくなります。
グループ化の手順は以下です。
- CtrlキーやCommandキーを押しながら、まとめたいオブジェクトをすべて選択
- 右クリック(または[描画ツール]メニューなど)で「グループ化」を選択
ヒント3:表(テーブル)を活用する
実は、Wordでオブジェクトをきれいに並べる際、表(テーブル)を利用する方法も有効です。セルの中に画像や図形を挿入すれば、セルの境界線をガイドにして配置ができるからです。たとえば、均等幅の列を3列作成し、その中に画像を挿入していくと、横並びの画像が自然ときれいに整列されます。テーブルの罫線は最終的に「罫線なし」にすれば、見た目としては表で区切られているように見えなくなります。
ヒント4:余白やマージンを計算して配置する
文書全体のレイアウトを考える際、ページの余白や段組みを調整すると、図形の配置がしやすくなるケースもあります。ページレイアウトで左右の余白を広めに設定しておき、図形や画像は中央寄せで配置するなど、あらかじめ設計してからオブジェクトを配置すると「なんとなく配置する」よりもずっと見栄えのよい文書になります。
機能追加の要望方法
Word for Macに配置ガイド機能がないのは不便ですが、将来的にアップデートで追加される可能性がまったくないわけではありません。Microsoftはユーザーの声を製品改善に取り入れる方針を明確にしており、実際にOffice製品全体でユーザーの要望が取り入れられた例も数多くあります。
もし「配置ガイド」機能の追加を強く望む場合は、次の方法でMicrosoftにフィードバックを送ってみてください。
- Mac版Wordのメニューバーから「ヘルプ」を選択
- 「機能の要望を送信(I Have a Suggestion)」をクリック
- 要望内容を具体的に書き込む
「Windows版Wordにある配置ガイド機能(緑色のガイドライン)をMac版にも搭載してほしい」「レイアウト作業で画像や図形の端同士を自動的に揃えられる機能があると助かる」といった具体例を記入すると効果的です。
ユーザーが多く要望を出すほど開発優先度が高まる可能性があります。
もちろん、すぐに反映される保証はありませんが、Office Insider版などで先行して機能がテスト実装されることもありますので、気長に情報収集をしておくとよいでしょう。
Mac版Wordでレイアウトを効率化するためのポイントまとめ
ここまでご紹介した内容を踏まえて、改めてポイントをまとめてみましょう。
- 配置ガイド(Use Alignment Guides)は現状Mac版には未実装
Windows版との大きな違いとして押さえておきましょう。 - グリッドへのスナップ機能を活用する
自動でガイドが出なくても、グリッドスナップで一定間隔に揃えれば、見た目の整ったレイアウトが可能です。 - PowerPointなどほかのソフトを併用する
Wordのレイアウト機能に限界を感じたら、一度PowerPointでレイアウトしてから画像として取り込むテクニックがあります。 - 表やテキストボックス、グループ化などの機能を駆使する
Wordならではの機能を賢く使うことで、配置ガイドがなくても整った仕上がりを目指せます。 - フィードバックを送る
機能追加を望むなら、Microsoftに要望を送っておきましょう。ユーザーフィードバックが将来の製品改善につながる可能性があります。
まとめ
Word for Macで配置ガイド機能が見つからずお困りの方は多いですが、現時点では公式に未実装であり、Windows版のような緑色のガイドラインを表示してオブジェクトを揃える機能は利用できません。しかし、グリッドスナップ機能を上手に使ったり、PowerPointや表機能を活用するなどの工夫をすることで、ある程度はきれいにレイアウトすることが可能です。
もしどうしても配置ガイドが必要な場面が多いのであれば、WordではなくPowerPointやPublisher、あるいはDTPソフトなどを利用する方法も検討してみてください。さらに、Microsoftへのフィードバックを活用して、より便利なMac版Wordになるよう要望を上げていくことも大切です。あなたの文書作成が、よりスムーズでクリエイティブなものになりますように。
コメント