Mac版のMicrosoft Wordでスペルチェックや文法チェックがうまく機能しないと、作業効率がガクッと落ちてしまいますよね。今回は、このよくある悩みを解決するために、macOS特有の設定やWordの言語オプション、その他の隠れた原因を徹底的に洗い出し、具体的な対処法をご紹介します。ぜひ最後までご覧いただき、あなたのWord環境を快適に整えてみてください。
Mac版Wordのスペルチェックが機能しない原因とは?
MacのWordでスペルチェックや文法チェックがきちんと反映されない場合、いくつかの代表的な原因が考えられます。Windows版に比べて言語設定や校正機能に制限があったり、macOS側の設定と噛み合っていなかったり、思わぬアドインが邪魔をしている可能性も。ここでは、主な原因を一つずつ整理してみましょう。
1. 言語設定が不一致になっている
Mac版Wordでは、文書内の特定の部分だけ異なる言語設定が適用されているケースが意外と多いです。たとえば、英語と日本語が混在した文章を扱うとき、英語部分に日本語の校正ツールが割り当てられていたり、逆に日本語部分に英語の校正ツールが割り当てられていたりします。
さらに、Word全体の既定言語設定と文書レベルの言語設定が合っていないと、スペルチェックの機能が完全には働きません。
言語設定の確認方法
以下のような手順で、言語設定をチェックしてみてください。
- Wordを起動し、問題が起きている文書を開く。
- [ツール] → [言語] を選択し、使用中の言語が何になっているか確認する。
- 選択したいテキストをハイライトして、再度言語設定を開く。テキストごとに適切な言語が割り当てられているかどうかをチェックする。
もし、英語の文章に「日本語」が適用されていたり、日本語の文章に「英語」が適用されていたりするなら、正しい言語に変更しましょう。この操作だけでスペルチェックや文法チェックが再度動き出す場合があります。
2. macOS側の言語設定と整合性がない
Wordの設定だけではなく、macOS全体のシステム言語や地域設定が関係しているケースもあります。特に、macOSの地域と言語設定が日本語メインにもかかわらず、Wordが英語版のUIで動いていたりすると、校正ツールが一部未対応のものを使用してしまう場合があります。
システム言語・地域設定の確認方法
- [システム設定] → [言語と地域] を開く。
- 一覧の中で優先して使用する言語の順番を確認し、使いたい言語がトップにあるかどうかをチェック。
- WordのUIが英語なのか日本語なのか、または別の言語なのかを確認し、一致させることを検討する。
Office for MacはWindows版に比べて対応言語数が限られることもあるので、「自分の使いたい言語での校正ツールが本当に入っているか?」をMicrosoft公式のサポートページなどで調べるのがおすすめです。
文書全体ではなく部分的にスペルチェックが動かない場合
一見すると、全体的にスペルチェックが効かないように見えて、実は一部だけ言語設定が違っていたり、校正対象外に設定されていたりします。特に、他人からもらったWordファイルやネット上のテンプレートを流用した場合は要注意。文書内で言語が混在するのはよくある現象です。
テキストごとに言語がバラバラになっている例
以下のような表を見て、自分の文書が同じようになっていないか確認してみましょう。
テキスト内容 | 適用中の言語設定 | スペルチェック動作 |
---|---|---|
Hello, how are you? | 日本語 | 誤判定または未チェック |
こんにちは、元気ですか? | 英語 | 誤判定または未チェック |
This part is set to English. | 英語 | 正しく英語のスペルチェックが機能 |
こちらは日本語として設定 | 日本語 | 正常に日本語のスペル・文法チェック |
こうしたズレがある場合には、文章をドラッグしてハイライトし、[ツール] → [言語] から適切な言語を再設定することが第一歩です。
アドインや設定ファイルが原因の場合
Wordの拡張機能(アドイン)や設定ファイルが壊れていたり、予期せぬ動作をしていると、スペルチェックが正しく動作しない可能性も考えられます。特に、業務で特別なアドインを多数使っている場合は要チェックです。
セーフモードで原因を切り分ける
macOSにはセーフモードという起動オプションがあります。セーフモードでは、起動時に読み込まれる拡張機能やカーネル拡張などが制限されるので、アドインの問題かどうかが切り分けやすくなります。
- Macを再起動し、起動音が聞こえたらShiftキーを押し続ける(Appleシリコンの場合は、電源ボタン長押し→セーフモードを選択)。
- セーフモードでMacを起動したら、Wordを開いてスペルチェックが動作するか確認する。
- スペルチェックがセーフモードで正常動作する場合は、何らかのアドインや常駐ソフトが悪さをしている可能性が高い。
設定ファイルをリセットする
Wordに限らず、Officeアプリの動作がおかしいときは、ユーザーデータフォルダの中にある設定ファイルをリセットすると改善することがあります。
たとえば、以下のフォルダにあるファイルを退避(バックアップ)してWordを再起動すると、初期設定で動作を確認できます。
~/Library/Containers/com.microsoft.Word/
~/Library/Preferences/com.microsoft.office.plist
また、ターミナルを使って強制的にフォルダを削除・リセットすることも可能ですが、あまり詳しくない方はファインダーからドラッグする形で移動させるほうが安全です。参考として、ターミナルでフォルダの中身を確認するコマンド例を示します。
# Wordコンテナの中身を確認する
ls -l ~/Library/Containers/com.microsoft.Word/
# plistファイルの存在を確認
ls -l ~/Library/Preferences/com.microsoft.office.plist
これらをデスクトップなどに移動した上でWordを再起動すると、自動的に新しい設定ファイルが生成されるため、問題が解消することがあります。ただし、元に戻せなくなることを防ぐためにも、必ずバックアップを取ってから作業しましょう。
カスタム辞書の設定に問題があるケース
Wordでは独自に単語を登録できるカスタム辞書機能があります。カスタム辞書だけが有効化されていて、標準のスペルチェック辞書が無効化されていると、誤字や文法ミスを拾えない状況に陥ることがあります。
カスタム辞書の確認方法
- [Word] → [環境設定] → [スペルと文法] を開く。
- [辞書] や [カスタマイズ] といった項目を選択し、使用中の辞書がどれなのかを確認する。
- カスタム辞書しか入っていない場合は、標準辞書が正しく読み込まれていない可能性があるので、再インストールや修復を試みる。
WordやmacOSのバージョンが古いことによる不具合
OSとOfficeが古いバージョンのままだと、アップデートで修正された不具合や機能が反映されずに、スペルチェックや文法チェックが正しく動作しないことがあります。たとえば、Officeがクラッシュを起こしたり、特定の言語パックがうまくインストールされていなかったりするかもしれません。
OfficeおよびmacOSのアップデート
- Officeのアップデート
- [ヘルプ] → [更新プログラムのチェック](または[Officeの更新])から最新の更新を適用する。
- Microsoft 365を利用している場合は、自動更新が設定されているかどうかを確認する。
- macOSのアップデート
- Appleメニュー → [システム設定](または[システム環境設定]) → [ソフトウェア・アップデート] から最新の更新を適用する。
これらの更新作業で、スペルチェック関連の不具合や、言語パックの不具合が解消されるケースは少なくありません。
それでも解決しない場合の最終手段
上記の対処法をすべて試しても問題が解決しない場合、より根深い原因が潜んでいるかもしれません。たとえば、インストールされているフォントが破損していたり、macOSのユーザープロファイル自体が何らかの理由で正常に動作していないなど、レアケースも考えられます。
新しいmacOSユーザーで試す
- システム設定で新たなユーザーアカウントを作成する。
- 新ユーザーとしてログインし、Wordをインストールまたはサインインして試す。
- それでスペルチェックが機能するなら、元のユーザーアカウント周りで何らかの設定不具合や権限の問題が起きている。
Officeの再インストールや修復
- Microsoft 365ポータルやApp StoreからOfficeを再インストールし直してみる。
- OneDriveなどクラウドストレージを使っている場合は、アンインストール前に必ず同期を完了させ、必要なファイルはバックアップを取る。
- アンインストール後の再起動を挟んでから、クリーンインストールするのが望ましい。
まとめ:言語設定がカギを握る
Mac版Wordのスペルチェックや文法チェックの不具合は、ほとんどの場合「言語設定の不一致」が原因です。Wordというソフトウェアが、単純にシステム全体の言語設定を参照するだけでなく、文書ごと、さらには文字列ごとに校正対象の言語を判別している点がポイントになります。そこにアドインや壊れた設定ファイルなど、複雑な要因が絡むことで分かりづらくなるわけですね。
- 言語設定の確認
- 文書全体と部分的なテキストの言語が合っているか
- macOSのシステム言語設定との整合性
- アドインや設定ファイルの不具合
- セーフモードでチェック
- コンテナフォルダやplistファイルのバックアップ・リセット
- カスタム辞書のトラブル
- 必要な標準辞書が有効かどうか
- バージョンの古さ・アップデート不足
- Wordを最新バージョンへアップデート
- macOSを最新バージョンへアップデート
実際の現場でも、ほとんどが言語設定の見直しとアドインの排除で解決することが多いです。それでも解決しない場合、ユーザーアカウントの新規作成や再インストールといった大掛かりな手順を踏んでみることになります。特にビジネスで頻繁にWordを使う方は、リスクの少ない対処法から順番に試して、作業効率を落とさないよう対策していきましょう。
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