この記事では、データ分析において非常に重要な要素である「差分」や「変化率」を計算するためのSQLの高度なテクニックについて解説します。実際の業務でよく遭遇する問題に対する解決策を紹介するとともに、それぞれのテクニックの使用例と、それを実装するための具体的なSQLコードを示します。
目次
なぜ差分や変化率の計算が重要か
差分や変化率は、時間経過に伴うデータの変動を評価するための基本的な指標です。たとえば、売上データの月次推移や、Webサイトの訪問者数の週次変動などを知ることで、ビジネス戦略の調整や最適化が可能になります。
基本的な差分の計算方法
SQLで差分を計算する最もシンプルな方法は、前の行の値と現在の行の値を比較することです。
使用する関数:LAG()
SELECT date,
sales,
LAG(sales) OVER (ORDER BY date) AS prev_sales,
sales - LAG(sales) OVER (ORDER BY date) AS diff_sales
FROM sales_table
ORDER BY date;
日付 | 売上 | 前の売上 | 売上の差分 |
---|---|---|---|
2021-01-01 | 100 | NULL | NULL |
2021-01-02 | 110 | 100 | 10 |
変化率の計算方法
変化率は、差分を元の数値で割ったものであり、その値を百分率に変換することが一般的です。
使用する関数:LAG()とROUND()
SELECT date,
sales,
LAG(sales) OVER (ORDER BY date) AS prev_sales,
ROUND(((sales - LAG(sales) OVER (ORDER BY date)) / LAG(sales) OVER (ORDER BY date)) * 100, 2) AS rate
FROM sales_table
ORDER BY date;
日付 | 売上 | 前の売上 | 売上の変化率(%) |
---|---|---|---|
2021-01-01 | 100 | NULL | NULL |
2021-01-02 | 110 | 100 | 10.00 |
高度なテクニック:ウィンドウ関数と集計関数を組み合わせる
ウィンドウ関数と集計関数を組み合わせることで、より複雑な分析も可能になります。例として、月次の平均売上とその差分を計算するSQLを見てみましょう。
使用する関数:AVG()とLEAD()
SELECT date_trunc('month', date) AS month,
AVG(sales) AS avg_sales,
LEAD(AVG(sales)) OVER (ORDER BY date_trunc('month', date)) AS next_avg_sales,
LEAD(AVG(sales)) OVER (ORDER BY date_trunc('month', date)) - AVG(sales) AS diff_avg_sales
FROM sales_table
GROUP BY date_trunc('month', date)
ORDER BY month;
月 | 平均売上 | 次の月の平均売上 | 平均売上の差分 |
---|---|---|---|
2021-01 | 105 | 110 | 5 |
2021-02 | 110 | 120 | 10 |
まとめ
この記事では、SQLでの差分や変化率の計算方法について詳しく解説しました。基本的なLAG関数から、高度なウィンドウ関数と集計関数を組み合わせた分析まで、多くのテクニックがあります。これらのテクニックを活用して、データ分析の幅を広げましょう。
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