HP Proliant DL380p Gen8におけるWindows Server 2022インストールエラーの原因と解決策

HP Proliant DL380p Gen8にWindows Server 2022を導入しようとしたのに、なぜかエラーが続出してスムーズに進まない。そんなとき、どこから問題を解決すればいいのか頭を抱える方も多いのではないでしょうか。本記事では、その原因と対処法を詳しく解説します。ぜひ最後までご覧いただき、スムーズなインストールを実現してください。

HP Proliant DL380p Gen8でWindows Server 2022をインストールできない背景

HP Proliant DL380p Gen8は、企業の業務サーバとして高い評価を得ている製品です。信頼性のあるハードウェアと豊富な管理ツール、そして拡張性の高さが魅力ですが、最新のOSであるWindows Server 2022をインストールする際には、いくつかの問題に直面することがあります。特に、USB経由のインストールディスクを使用していたり、RAIDコントローラまわりの設定に不備があったりすると、思わぬエラーを引き起こす可能性が高まります。

ここでは、代表的なエラーとして挙げられる以下の3つのトラブルについて解説し、適切な解決策や対策方法を紹介します。

  1. 「windows cannot be installed to this disk setup does not support configuration of or installation to disks connected through a usb or ieee 1394 port」
  2. インストール作業がループしてしまい、何度も最初からやり直しになる
  3. RAID 1を組んだのに「We Couldn’t Create Or Locate A Existing One」というエラーが表示され、パーティションが作成できない

これらの症状が現れてしまう背景には、USB接続の扱いやブートモードとパーティション形式の不整合、さらにSmart ArrayなどのRAIDコントローラの設定不備などさまざまな要因が絡み合っています。以下では、それぞれの要因ごとに詳しく原因や対策方法を解説していきましょう。

原因1:USB/IEEE 1394ポート経由ディスクの問題

エラーの具体的な状況

Windowsインストール時に「windows cannot be installed to this disk setup does not support configuration of or installation to disks connected through a usb or ieee 1394 port」というメッセージが表示されるときは、インストール先のディスクがUSBやIEEE 1394といった外部接続と認識されている可能性があります。

通常、Windowsは起動ドライブとしてUSBやIEEE 1394ポート経由のストレージをサポートしていません。インストールメディア自体はUSBメモリでも問題ないのですが、サーバ側の設定やハードウェア構成によっては、内蔵ドライブが正しく認識されずに“外部ディスク扱い”となってしまう場合があります。

物理的な接続状況のチェック

まず確認すべきは、USBインストールメディアの差し込み方です。以下の点をチェックしましょう。

  • ハブや延長ケーブルを使用していないか
    USBハブや延長ケーブルを介していると、うまくデバイスが認識されずにインストールディスクや内蔵ドライブの認識が混在しやすくなります。可能な限り、サーバ本体のUSBポートへ直接差し込みましょう。
  • インストール先のディスクが内蔵ストレージになっているか
    HP Proliant DL380p Gen8の場合、内蔵のSASあるいはSATAディスクが接続されているはずです。RAIDコントローラを介したディスクが正しく認識されているか、電源ケーブルやSASケーブルが正常に接続されているかを再度確認します。

BIOS/UEFI設定の確認

もし物理的に問題がない場合には、BIOSまたはUEFI設定でのストレージ認識に問題があるかもしれません。HP Proliantシリーズでは起動時にF9やF10を押下することで、システム設定画面に入ることができます。ここで以下のような点を確認しましょう。

  • Boot Controller Order(ブートコントローラの順序)の設定
    ブートデバイスにUSBメディアが最優先になっているか、内蔵ディスクは何番目に認識されているかをチェックします。内蔵ディスクが認識されていない場合は、RAIDコントローラの設定でアレイが適切に構築されているかも確認しましょう。
  • USBオプションの設定
    特定のモデルやBIOSバージョンによってはUSBドライブを“内部ディスク扱い”にしてしまうものが存在します。USBのレガシーサポートやUEFIブートサポートの設定がどうなっているかを見直しましょう。

原因2:ブートモード(BIOS/UEFI)とパーティション形式(MBR/GPT)の不一致

インストールループの症状

Windows Serverをインストールしている最中に再起動が発生し、再度セットアップが始まってしまう症状は、意外と多くのユーザが経験するトラブルです。インストールウィザードが完了せず、常に最初のインストール画面に戻ってしまうと、何度も同じ操作を繰り返すことになり大変ストレスを感じるでしょう。

この原因として最も考えられるのは、サーバのブートモードがレガシーBIOSなのにディスクをGPTで初期化してしまった、あるいはUEFIモードなのにディスクがMBRのままになっているなど、パーティション形式とブートモードが合っていないケースです。

MBRとGPTの違いを整理

Windows Serverをインストールする際、パーティション形式として大きくMBR(Master Boot Record)とGPT(GUID Partition Table)の2種類があります。一般的にUEFIブートの場合はGPTを利用し、レガシーBIOSブートの場合はMBRを利用します。違いをまとめた簡単な表を示します。

規格対応ブートモード最大容量パーティション数上限
MBRレガシーBIOS2TBまで4つ(拡張パーティションを除く)
GPTUEFI2TB以上にも対応可128個(Windows環境下)

HP Proliant DL380p Gen8は比較的古めのサーバですが、UEFIモードもサポートしています。ただし、設定によってはレガシーBIOSとして動作させているケースもあるため、いずれを使うのか明確に決めて、インストーラUSBやディスクの初期化設定を合わせる必要があります。

ブート用USBインストーラの作成手順

RufusやWindows USB/DVD Download Toolなどを使ってインストーラ用USBを作る際には、以下の点を意識するとよいでしょう。

  1. 使用するブートモードの選択
  • レガシーBIOSでインストールするなら「MBRパーティションスキーム」を選ぶ。
  • UEFIでインストールするなら「GPTパーティションスキーム」を選ぶ。
  1. ファイルシステムの選択
  • UEFI用にGPTを使う場合は、FAT32でフォーマットするのが基本。
  • レガシーBIOS用はNTFSでも問題ないが、サイズ上の制限や互換性を考えるとFAT32が望ましい場合もある。
  1. ISOイメージの指定
  • Windows Server 2022のISOを指定し、正しくブートイメージが書き込まれるようにする。

DiskPartによるディスクの初期化

もしディスクのパーティション形式が原因でインストールに失敗している場合、インストール画面からShift + F10を押してコマンドプロンプトを開き、DiskPartでディスクを初期化してみましょう。例として以下の手順を示します。

diskpart
list disk
select disk 0   // インストール先のディスクを選択
clean           // ディスクを初期化(パーティションをすべて削除)
convert gpt     // UEFIブートの場合はGPTに変換
// convert mbr  // レガシーBIOSの場合はこちらを使う
create partition primary
format quick fs=ntfs
assign letter=C
exit

その後、インストーラに戻り「更新」をクリックするとパーティション一覧がリフレッシュされ、エラーなくインストールを続行できるようになることが多いです。

原因3:RAID設定と「We Couldn’t Create Or Locate A Existing One」エラー

RAID 1構成のトラブル概要

HP ProliantサーバにはSmart Arrayコントローラ(例:P420iなど)が搭載されており、ハードウェアレベルでRAIDを構築できます。RAID 1を新規に組んだ後、Windows Serverをインストールしようとすると「We Couldn’t Create Or Locate A Existing One」というエラーに遭遇してパーティションの作成が進まないことがあります。

これは、RAIDアレイが正常に構築されていない、あるいはコントローラのドライバが適切に読み込まれていない可能性があります。また、サーバによってはUEFI画面とレガシー画面で見るRAIDユーティリティが異なり、誤った設定をしてしまうケースもみられます。

RAIDコントローラの構成確認

まずはサーバ起動時に表示されるSmart Arrayコントローラのメッセージを確認し、RAIDアレイが“Logical Drive 1”などとして正しく構成されているかをチェックしましょう。もし未構成やエラー表示になっている場合は、以下の手順で再構成を行います。

  1. RAIDユーティリティに入る
    HPの場合、起動時にF8やF10、あるいは特定のキーコンビネーションでSmart Array設定ユーティリティに入れます。画面の指示に従いアレイを作成しましょう。
  2. RAIDレベルの選択とドライブの割り当て
    RAID 1の場合は2台の物理ドライブを選択し、ミラーリングを設定します。3台以上のドライブを接続している場合、どの組み合わせでRAID 1を組むのか確認しておきます。
  3. 初期化プロセスの確認
    RAID構築後すぐにインストールを開始すると、まだアレイの初期化が完了していないことがあります。フル初期化を待つか、背景での初期化を行いながらでも正常に認識されるかをコントローラのドキュメントで確認しましょう。

オフラインツールの活用

一部のHP Proliantサーバでは、BIOSレベルのRAID構成ツールがうまく動作しないケースも報告されています。そのような場合、HP(現HPE)が提供しているオフライン用のSmart Storage Administrator(SSA)やSystem Storage Toolsを使うと、より高度なRAID構成が行いやすくなります。サーバに適合したバージョンのツールをダウンロードし、USBやISOとしてブートし、GUIベースで操作できるので初心者にも分かりやすいでしょう。

ファームウェアとドライバの最新化

古いファームウェアやドライバが原因でディスクを正しく認識できない場合も少なくありません。特にSmart Arrayコントローラは、ファームウェアバージョンが古いと大容量ディスクや新しいOSへのサポートが不完全なことがあります。HP公式サイトのサポートページから最新のファームウェアやドライバをダウンロードし、適用してからWindows Serverをインストールするのが望ましいです。

実際に適用すべきアップデート例として、以下のようなものがあります。

  • System ROM(BIOS)アップデート
    最新のSystem ROMにアップデートすることで、UEFIブートや大容量ディスク、Windows Server 2022への互換性が向上する可能性があります。
  • Smart Arrayコントローラのファームウェア
    RAID設定の安定性や新しいドライブへのサポート改善を目的としたアップデートが含まれます。
  • ILO(Integrated Lights-Out)のアップデート
    リモート管理機能と直接は関わらなくとも、ILOが古すぎると正常動作に影響するケースがあります。

ファームウェアアップデートの手順例

  1. HP公式サイトよりサーバ型番にあった最新のファームウェア(SPP: Service Pack for ProLiant等)をダウンロードする。
  2. ISOイメージをUSBメモリに書き込み、HPサーバをそのメディアから起動する。
  3. 画面の指示に従ってファームウェアをアップデートし、再起動させる。
  4. アップデート後に再度BIOS/UEFI設定を確認し、RAIDアレイを設定し直す。
  5. Windows Server 2022インストールを試す。

スムーズにインストールするための総合的なポイント

ここまで紹介した原因と対策を踏まえ、実際にインストールを進める際に意識すべきポイントを改めて整理します。

ポイント1:ブートモードとパーティション形式を一貫させる

  • サーバの起動設定がUEFIなのかレガシーBIOSなのか、明確に把握する。
  • それに合わせてUSBインストーラを作成する(GPT/UEFI、MBR/レガシーBIOS)。
  • ディスクを初期化してからインストールする場合、DiskPartで適切な形式に変換する。

ポイント2:RAID構成を安定化させてからOSインストール

  • RAIDアレイの初期化が完了したか確認する。
  • 「We Couldn’t Create Or Locate A Existing One」エラーが出たら、コントローラ設定やドライバを見直す。
  • 必要に応じてオフラインツール(SSAなど)でアレイを再構成し、最新のファームウェアを適用する。

ポイント3:物理接続とドライバのバージョンも疑う

  • USBメモリはサーバ本体ポートに直接挿し、ハブや延長は極力使わない。
  • ケーブルの配線不良やドライブ故障がないか、RAID BIOSで一度ステータスをチェックする。
  • HP公式サイトから最新ドライバやファームウェアをダウンロードし、事前に更新しておく。

ポイント4:エラーメッセージを見落とさない

  • Windowsインストーラに表示されるメッセージやサーバのログが重要な手がかりになる。
  • どのディスクにインストールしようとしているかを明確に把握し、間違ったディスクにクリーンやパーティション操作をしないよう注意する。
  • OSインストール時にShift + F10でコマンドプロンプトを呼び出し、DiskPartやbcdeditなどを活用するとトラブルシューティングが効率的に行える。

まとめ

HP Proliant DL380p Gen8でWindows Server 2022のインストールに失敗する原因の多くは、USB接続の問題やブートモードとパーティション形式の不整合、そしてRAIDコントローラの設定不備などが絡み合っているケースがほとんどです。特に以下の点を押さえれば、トラブルを回避できる可能性が大きく高まります。

  • USBメモリの接続方法とサーバのBIOS/UEFI設定を最適化し、外部ディスク扱いされないようにする
  • ブートモード(レガシーBIOSかUEFIか)とディスクのパーティション形式(MBRかGPTか)を一致させる
  • Smart ArrayコントローラのRAIDアレイが正しく組まれているかを確認し、必要に応じてオフラインツールで再構築する
  • ファームウェアやドライバを最新化し、大容量ディスクやWindows Server 2022との互換性を確保する

これらのポイントを丁寧にチェックしていけば、インストール時のエラーをかなりの確率で解消できるでしょう。HP Proliant DL380p Gen8のような堅牢なサーバであれば、一度OSインストールが成功すれば長期間安定運用が期待できます。ぜひ本記事の内容を参考に、Windows Server 2022の導入をスムーズに乗り越えてください。

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