Windows Server 2019のアップデートが止まってしまい、作業が全く進まない……。特に17%など中途半端な進捗のままで画面が固まっていると、不安になりますよね。本記事では、そのようなトラブルを解決するための具体的な手順やポイントを詳しくご紹介します。システムファイルのチェックから手動インストールまで、わかりやすく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
Windows Server 2019のアップデートが進まない問題とは
Windows Server 2019を導入後、Windows Updateを実行した際に更新プログラムの進捗が17%や30%などで長時間停止しているように見えるケースがあります。実際には内部で更新ファイルの展開や再起動に向けた準備が行われている場合もありますが、あまりにも表示が止まったままだと、管理者としては不安になってしまうでしょう。
また、アップデートが途中でエラーを起こしたり、サーバーの状態によって更新が完了せずにループ状態に陥ったりすることも考えられます。以下では、原因の切り分けや、実際に行うべき対策について詳しく解説します。
よくある原因の例
- 古いServicing Stack Update (SSU) がインストールされていない
- Windows Update関連のファイル破損やシステムファイルの不整合
- 必要な更新プログラムの依存関係が解消されていない
- サーバーのパフォーマンス低下やネットワーク帯域の不足
- ウイルス対策ソフトやサードパーティ製ソフトウェアとの競合
なぜ17%や30%で止まってしまうのか
アップデートの進捗バーは、実行されている処理をある程度のステップに区分して表示しています。しかし、特定のステップで大量のファイル適用や再構成が行われている場合、進捗率がしばらく変わらないままになることがあります。特にサーバーのスペックが低い場合や、多数の更新プログラムが一度に適用される場合に、このような「進捗が止まっているように見える」状態が発生しやすいです。
Servicing Stack Update (SSU)の確認と重要性
Windows Updateを適用する上で重要な役割を果たすのが「Servicing Stack Update (SSU)」です。SSUは、Windows Updateそのものを行う“仕組み”を改善し、より安定的に更新プログラムを適用するための更新です。最新のSSUが不足していると、メジャーな更新プログラムの導入で問題が発生する可能性が高くなります。
最新のSSUを確認する方法
- 設定画面からの確認
「設定」→「更新とセキュリティ」→「Windows Update」→「更新履歴の表示」を開き、インストール済みの更新プログラムを確認します。そこに「Servicing Stack Update」あるいは「SSU」と記載された最新バージョンが含まれているかをチェックしてください。 - Microsoft Update カタログの活用
最新のSSUがインストールされていないと判明した場合、Microsoft Update カタログで「Windows Server 2019 SSU」などのキーワードを用いて検索し、該当のKB番号(例えばKB5005112など)をダウンロードして手動で適用できます。
SSU更新の際に注意すべき点
- Windows Serverのエディションに合った更新プログラムを選ぶ
- 32bit/64bitやServer Core/Datacenterなどの違いに注意
- 適用後には再起動が必要となる場合がある
Windows Updateトラブルシューティングツールの利用
Windows Server 2019にもWindows 10同様のトラブルシューティング機能が搭載されており、更新関連の問題を自動で修復してくれる場合があります。
実行方法
- 「設定」→「更新とセキュリティ」→「トラブルシューティング」→「その他のトラブルシューティングツールを表示」
- 一覧の中にある「Windows Update」を選択し、トラブルシューティングを開始する
このツールによって、Windows Updateのコンポーネントの再登録や必要なサービスの自動起動、キャッシュの削除などが行われるため、手動で複雑な作業をせずに問題が解決するケースがあります。
システムファイルのチェックと修復
Windows Server 2019のシステムファイルやストア・コンポーネントに破損があると、更新プログラムが正常にインストールされない可能性があります。そこで役立つのが、sfc /scannow
コマンドと DISM /Online /Cleanup-Image /restoreHealth
コマンドです。
SFCコマンドの実行
以下は管理者権限のコマンドプロンプト、またはPowerShell上で実行します。
sfc /scannow
- システムファイルをスキャンし、破損しているファイルがあれば自動的に修復します。
- 処理が完了するまで時間がかかることがありますが、実行中にサーバーの運用を完全に止める必要はありません。
DISMコマンドの実行
SFCで問題が検出されなかった、または修復しても状況が改善しない場合は、Windowsイメージを修復するために以下のコマンドを実行します。
Dism /Online /Cleanup-Image /restoreHealth
- Windows Updateからクリーンなイメージを取得し、不整合や破損を修正します。
- ネットワーク環境によっては時間がかかる場合もあります。
手動で更新プログラムを適用する方法
Windows UpdateがGUIからどうしても進まない場合、Microsoft Updateカタログから更新プログラムを直接ダウンロードし、コマンドで手動適用する方法があります。これにより、Windows Updateサービスを介さずに更新プログラム(.msuファイルまたは.cabファイル)を適用できます。
基本的な手順
- フォルダーの作成
例としてC:\temp\cab
というフォルダーをあらかじめ作成します。 - 更新プログラムのダウンロード
Microsoft Update カタログから必要な更新プログラムを検索し、.msuファイルをC:\temp
などに保存します。 - .cabファイルへの展開
次のコマンドを実行して、.msuファイルを展開し.cabファイルを抽出します。
expand -F:* C:\temp\{ダウンロードした.msuファイル名} C:\temp\cab
例:
expand -F:* C:\temp\windows10.0-kb5005112.msu C:\temp\cab
すると、複数のファイルが展開され、その中に.cabファイルが含まれます。
- DISMコマンドによる適用
以下のコマンドを使い、展開した.cabファイルをWindowsに取り込みます。
Dism /online /add-package /packagepath:C:\temp\cab\{抽出された.cabファイル名}
更新プログラムの内容やファイル名によっては、複数の.cabファイルを順番に適用する必要がある場合もあります。
手動適用する際の注意点
- 適用する順序(依存関係)がある場合は、順番を間違えないようにする
- 適用が完了したら必ず再起動して、更新プログラムが反映されているか確認する
- WSUSなどの管理環境を使用している場合、ポリシーの設定によりGUIからのUpdateとの整合性を考慮する必要がある
アップデートの完了と最終確認
アップデートが長時間かかるケースでは、少なくともHDDやSSDのアクセスランプが点滅しているかどうかを確認しながら、焦らずに待機することがポイントです。実際のところ裏側で更新ファイルの適用が進行している場合もあり、途中で強制再起動をしてしまうと状況が悪化することも考えられます。
アップデートが完了したかのチェックリスト
チェック項目 | 方法 | 備考 |
---|---|---|
更新プログラムが正常にインストールされているか | Windows Updateの「更新履歴を表示」で確認 | 失敗した更新や再試行の有無を確認 |
OSビルド番号が更新されているか | 「winver」コマンドまたはシステム情報で確認 | バージョンやビルドが上がっているか |
不要なエラーイベントが出ていないか | イベントビューアの「Windowsログ」→「システム」または「アプリケーション」を確認 | エラーや警告が頻発していないか |
再起動後のサービスが正常に稼働しているか | 各種アプリケーションやサービスのログ、動作状況を確認 | ビジネスアプリへの影響なども確認 |
トラブルが解決しない場合の追加対策
上記の方法を試しても依然としてアップデートが停止したり、失敗エラーが発生したりする場合、さらに詳しい切り分けが必要です。以下の追加対策も検討してみてください。
ログファイルの解析
Windows Updateの問題を詳細に把握するには、ログファイルの確認が欠かせません。主に以下のファイルや場所を確認します。
- Windows Updateログ
「Windowsキー+R」で「ファイル名を指定して実行」を開き、%windir%\Windowsupdate.log
と入力してログを開きます。 - CBSログ
C:\Windows\Logs\CBS\CBS.log
はシステムファイルの修復や更新プログラム適用時の詳細情報を記録します。特定のエラーコードやファイル名が記載されていないかチェックしましょう。
ログ解析はやや専門知識が必要ですが、エラーコードが判明すればMicrosoftのサポート文書やコミュニティフォーラムなどを参照することで、解決策が見つかる場合が多いです。
クリーンブートでの検証
サードパーティ製のソフトウェアが干渉してWindows Updateの進行を妨げている場合、クリーンブート状態で再度アップデートを実行することが有効です。
- タスクマネージャー→スタートアップの無効化
- システム構成 (msconfig) でのサービス設定
- 「全てのMicrosoftサービスを隠す」にチェックを入れ、残りのサービスを一括で無効化
クリーンブート後にWindows Updateを再度試みることで、競合ソフトの影響を排除できます。
セーフモードからの手動インストール
セーフモードでも動作する最低限のシステムコンポーネントで更新プログラムを適用してみる方法です。通常のGUIからアップデートを行うよりは手間がかかりますが、不要なサービスやドライバによるトラブルを避けることができます。
アップデート時間短縮のためのベストプラクティス
大幅な時間短縮は難しい場合もありますが、以下のポイントを押さえることで、アップデートの安定化や効率化を図ることができます。
1. 定期的な更新
長期間更新を放置していると、一度に適用しなければならないプログラム数が膨大になり、時間がかかるうえにエラーも起きやすくなります。定期的にWindows Updateを実施し、こまめに環境を最新状態に保ちましょう。
2. ディスク容量の確保
システムドライブ(通常Cドライブ)の空き容量が不足している場合、アップデートが失敗したり、著しく時間がかかることがあります。不要なファイルや一時ファイルを削除したり、サーバーのストレージ構成を見直して十分な空き領域を確保すると、アップデートプロセスがスムーズになります。
3. ハードウェアの最適化
- メモリを十分に搭載する
- 高速なストレージ(SSD)を採用する
- CPUリソースの余裕を持たせる
これらは普段の運用だけでなく、アップデート時のパフォーマンスにも大きな影響があります。可能であればサーバーのハードウェアを定期的にアップグレードし、余裕を持った構成を維持することが望ましいでしょう。
4. WSUSの活用
多数のWindows Serverを管理する現場では、WSUS (Windows Server Update Services) の導入が非常に効果的です。社内ネットワーク内に更新プログラムを集約することで、Microsoftの配布サーバーとの通信量を削減し、アップデートの速度や安定性を向上させることができます。また、管理者が必要な更新だけを選択的に承認できるため、不要な更新プログラムが適用されるリスクを減らせます。
まとめ: 焦らず丁寧な対処が最善の近道
Windows Server 2019のアップデートが長時間かかり、17%や30%で止まっているように見える場合、まずは裏で作業が進行していないかを冷静に判断し、最低限の時間待機をすることが大切です。そのうえで、以下のステップを順に試していくとスムーズに解決できる可能性が高まります。
- SSUの確認・インストール
- Windows Updateトラブルシューティングの実行
- SFC / DISMコマンドによるファイル修復
- 手動での更新プログラム適用
- 追加の切り分け(ログ解析、クリーンブート、セーフモードなど)
特にサーバー運用の場合は、継続的なメンテナンスと定期的な更新が最も重要です。放置期間が長いほどアップデートに時間がかかるだけでなく、セキュリティリスクも高まります。定期的に更新プログラムを適用し、サーバーの安定稼働を保つことで、ビジネスへの影響を最小限に抑えましょう。
最後に、どうしても自身の環境や作業範囲では対応が難しい場合、サポートベンダーやMicrosoftの公式サポートに問い合わせることも検討してください。専門家の手を借りることで、より短期間にトラブルを解消できる場合もあります。
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