Windows 10を利用していると、思いもよらないタイミングで更新プログラムのエラーに遭遇することはありませんか。特にKB5034441アップデートを適用しようとした際にエラー0x80070643が出ると、なかなか先に進めず苦労することが多いです。ここでは実際に困った経験も踏まえて、その対処法とパーティション再構成の手順を分かりやすく紹介していきます。
KB5034441で起こるエラーの背景
KB5034441は「Windows Recovery Environment update for Windows 10, version 21H2 and 22H2: January 9, 2024」としてリリースされる更新プログラムです。Windows Recovery Environment、いわゆるWindows REと呼ばれる回復機能の領域に変更や更新が加わるため、特にシステムリカバリパーティションに関する問題を引き起こしやすいといわれています。
Windows 10のバージョン21H2や22H2を使っている場合に、KB5034441をインストールしようとすると、エラーコード0x80070643が発生して先に進めなくなるケースが報告されています。このエラーの大きな原因として、Windows REのためのリカバリパーティションが不足している、あるいはそもそも存在しないといった問題が考えられます。
こうした背景を知らずにアップデートを実行し、何度も再試行してもエラーが繰り返されることが多いので、あらかじめリカバリパーティションを正しく整備しておくことが重要です。
エラー0x80070643の原因と特徴
エラーコード0x80070643はWindows Updateのインストール時などに表示される汎用的なエラーですが、KB5034441の適用で発生するケースでは、その多くがリカバリパーティション関連の問題によるものと推測されています。Windows Updateでは、回復環境(Windows RE)用のファイルや設定を特定のパーティションに書き込む必要がありますが、その領域が確保されていなかったり設定が不正だったりすると、アップデートが失敗してしまいます。
また、該当するリカバリパーティションが無効化状態であったり、他のパーティションを圧迫していて必要なサイズを確保できない状況になっていることも考えられます。こうした状況を解決するためには、ディスクを再度パーティション分割してWindows REのための容量を設けるのが基本的な対処法になります。
リカバリパーティション不足が引き起こすトラブル
パソコンのストレージ構成は、メーカー出荷時の状態でもまちまちです。ユーザーがご自身でパーティションを作成・削除したり、ディスクを換装したりした場合はなおさら複雑になりやすいです。リカバリパーティションが削除されていたり、容量が足りなくなっていたりすると、Windows Updateの適用だけでなく、システムの復元や初期化の機能に影響が出る場合もあります。
また、Windows REには回復やスタートアップ修復などの重要なツールが含まれているため、いざというときに利用できないのは非常に困ります。パーティションの扱いは慎重に行う必要がありますが、適切に設定しておけば万が一のトラブルからの復旧もスムーズです。
パーティション再構成の準備と注意点
KB5034441適用時のエラー0x80070643を解決するために、以下の手順でリカバリパーティションを再構成してみる方法があります。とはいえ、パーティション操作はハードディスクやSSD上のデータに直接影響を及ぼすため、万が一のデータ損失を防ぐためにも事前の準備と注意が欠かせません。
バックアップと電源管理
パーティション操作中に停電やバッテリー切れが起こると非常に危険です。デスクトップPCであれば無停電電源装置を利用するなど、ノートPCなら十分に充電するなどの対策をしてから作業に臨むほうが安心です。また、操作を始める前には大切なデータのバックアップをしっかり取っておきましょう。
OS種類とディスク構成の確認
Windows 10のバージョン21H2か22H2かの確認に加え、自分のディスクがGPT形式なのかMBR形式なのか、どのパーティションにどれだけの容量が割り当てられているのかを予め把握してください。正しいコマンドを使わないとシステムが起動しなくなるリスクがあります。
KB5034441適用エラーを解消する手順
ここではエラー0x80070643を解消するための一般的なパーティション操作の例を紹介します。実践する際には、必ず重要なデータをバックアップし、落ち着いて進めてみてください。
Windows REの無効化
まずはWindows Recovery Environmentを一時的に無効化します。これをしないとリカバリパーティションの操作がうまくいかない場合があります。
コマンドプロンプトで実行
管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、以下のコマンドを入力してください。
reagentc /info
reagentc /disable
reagentc /infoでWindows REが有効かどうかを確認し、disableコマンドで無効化します。無効化できると次の段階に進めます。
diskpartでディスクの状態を確認
次にdiskpartコマンドを使ってディスク構成を正確に把握します。間違ったディスクやパーティションを操作すると、OSが起動しなくなる恐れがあるので注意してください。
ディスクとパーティションの一覧を表示
再びコマンドプロンプト上で以下を入力します。
diskpart
list disk
sel disk 0
list part
メインディスクが0の場合はsel disk 0で選択します。list partでパーティションの構成が表示されるので、Windowsが入ったパーティションや既存のリカバリパーティションがどれに当たるのかを確認します。
また、list diskを実行した際にGPT欄にアスタリスクがあればGPT形式、なければMBR形式であると判断できます。
OSパーティションの縮小
空き領域を作るため、Windowsがインストールされているパーティションを数百MB程度縮小します。例として250MB程度の空きを作る場合、以下のように操作します。
shrinkコマンドの実行
OSがインストールされているパーティション(例:Partition 3)を選択してから、shrinkコマンドを使います。
sel part 3
shrink desired=250 minimum=250
desiredとminimumを同じ値にすることで確実に250MBの空きを確保しますが、状況に応じて値を変更してください。
既存のリカバリパーティションの削除
既にリカバリパーティションが存在する場合は、そのパーティションが小さくて使えない場合があります。その場合は下記のように削除を行います。
sel part 4
delete partition override
overrideオプションを付けることで保護パーティションも削除できます。削除すると中のデータは戻せないので慎重に行ってください。
新しいリカバリパーティションの作成
リカバリパーティションを作成する手順はGPTとMBRで異なります。自分のディスク形式を確認したうえで適切なコマンドを使いましょう。
GPT形式の場合
create partition primary
format quick fs=ntfs label="Recovery"
assign letter="R"
set id="de94bba4-06d1-4d40-a16a-bfd50179d6ac"
gpt attributes=0x8000000000000001
assign letter=”R”は一時的にドライブレターを割り当てる設定です。作業後は必ず確認し、不要であればドライブレターを削除しても問題ありません。
MBR形式の場合
create partition primary id=27
format quick fs=ntfs label="Recovery"
id=27はMBR形式におけるリカバリパーティション用のIDです。このパーティションは通常のドライブとしては表示されません。
Windows REの再有効化
パーティションが作成できたらdiskpartをexitで終了し、次のコマンドを実行してWindows REを有効化します。
reagentc /enable
reagentc /info
infoコマンドでEnabledとなっていれば設定完了です。これでリカバリパーティションが正しく再構成された状態になり、KB5034441アップデートのエラーが解消される可能性が高いです。
GPT形式とMBR形式の違いを整理
パーティション操作をする上で、最も戸惑いやすいのがGPTとMBRの区別です。下表に主な違いをまとめました。
項目 | GPT | MBR |
---|---|---|
パーティション数の上限 | ほぼ制限なし | 基本4つまで |
ブート方式 | UEFI | レガシーBIOS |
最大ディスク容量 | 非常に大きい | 2TBまで |
主なリカバリパーティションID | de94bba4-06d1-4d40-a16a-bfd50179d6ac | 27 |
新しいPCではGPT方式が採用されることが多いですが、古めの環境やアップグレードを繰り返しているPCだとMBRのままの場合もあります。自分のマシンに合ったパーティションIDを正しく設定する必要があります。
実際に操作してみた体験談とトラブルシュート
筆者自身もKB5034441のアップデートに挑戦し、見事にエラー0x80070643に引っかかりました。最初はコントロールパネルやWindows Updateのトラブルシューティングを試してみたのですが、改善しませんでした。そこでDiskPartを用いてリカバリパーティションを確認したところ、なぜかパーティション自体が存在しない状態でした。
そこで上述の手順を参考に、OSパーティションを少し縮小して新しいリカバリパーティションを作成したところ、すんなりとアップデートが通るようになりました。はじめは操作がややこしそうに感じましたが、落ち着いて手順を踏めばそこまで難しくありませんでした。

私が初めてパーティションをいじったときは、パソコンが起動しなくなるんじゃないかとビクビクしていました。しかし実際は、コマンドを確認しながら進めればそれほど難しくないんですね。ミスを防ぐためにもメモを取りながら進めると安心です。
よくあるトラブルと対処法
実際に作業を行うと、以下のようなトラブルに見舞われる場合があります。
ディスクがロックされて縮小できない
特定のパーティション操作は、OSが起動中であるためにロックがかかっていて実行できないことがあります。その場合は、他のパーティションツールを用いたり、Windowsのインストールメディアから起動してコマンドプロンプトを立ち上げる方法を検討すると良いでしょう。
Windows REの再有効化がうまくいかない
reagentc /enableを実行してもエラーが出る場合は、リカバリパーティションの作成手順に誤りがある可能性が高いです。GPT環境であればset idやgpt attributesの指定、MBR環境であればid=27が正しく設定されているかどうかを再確認してください。
ドライブレターが割り当てられたままになっている
リカバリパーティションにドライブレターを割り当てると、エクスプローラー上に表示されてしまうことがあります。通常は隠しパーティションとして運用するため、割り当てを外したい場合は再びdiskpartで選択し、remove letter=Rなどを実行すると良いです。
操作後のKB5034441アップデート再試行
パーティションの再構成とWindows REの有効化が完了したら、改めてWindows Update画面からKB5034441のインストールを試してみましょう。エラー0x80070643が表示されなくなり、スムーズにアップデートが進むことが期待されます。
再起動を要求された場合は促されるままに再起動し、エラーなくアップデートが適用されたかどうか、更新履歴などで確認してください。成功すると、Windows Updateの履歴にKB5034441が正常にインストールされた形で表示されます。
まとめ
KB5034441アップデートでエラー0x80070643が発生する背景には、Windows REの領域不足やリカバリパーティションの不在などが大きく関係しています。アップデートを成功させるためには、手動でパーティションを再構成し、Windows REを再度有効化する手順が重要です。操作自体は決して簡単とはいえませんが、一連の流れを理解していれば安全に進めることができます。パーティション操作には常にリスクが伴うため、事前にデータのバックアップをしっかり取り、落ち着いて一歩ずつ確認をしながら行ってみてください。
もし操作に自信がない場合は、専門の業者やサポートサービスに相談するのも一つの方法です。データやシステムは一度失われると取り戻すことが難しいため、慌てず慎重に取り組むことが大切だといえます。これらの手順を踏むことで、多くの場合KB5034441のエラーを解消し、最新のWindows 10環境を楽しむことができるでしょう。
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