Windows 10の回復パーティションとKB5034441アップデートエラー0x80070643の対処法

Windows 10を使っていて、「回復パーティションが見当たらない」「なぜかアップデートがエラーになる」といった悩みを抱えることがあるかもしれません。特にKB5034441のエラーコード0x80070643は厄介ですが、原因をつかめば意外とスムーズに解決できるケースもあります。この記事では、回復パーティションの有無を確認する方法やエラーが起きる理由、そして具体的な対処策まで、私自身の経験も交えながら丁寧に解説していきます。

Windows 10の回復パーティションは実際に存在するのか

回復パーティションが“見えない”ときの理由

Windows 10をインストールした環境では、通常はWindows RE(回復環境)が配置された専用パーティションが設定されています。しかし「ディスクの管理」画面を開いても、名前が付いていないパーティションや、容量が不明な領域があるだけで、見慣れた回復用の名称が表示されていないことがあります。

誤ったパーティションIDや表示名のケース

環境によっては、回復パーティションがWindowsのシステムによって適切に認識されていない場合があります。名称が「回復パーティション」とは違うラベルになっていたり、ディスクの先頭や末尾あたりに区切られたまま正しく機能していなかったりすることもあるのです。

私が以前、Windows 10をクリーンインストールしたときは、回復パーティションが「回復」と表示されず、ただの未割り当て領域のように見えていました。結局、reagentcコマンドで調べてみたところ、きちんと回復環境は存在していたんです。

回復パーティションの確認方法

ディスクの管理ツールでの確認

Windows 10上で「ディスクの管理」を使ってパーティション構成を表示すると、通常はシステム予約領域、Cドライブ(システムドライブ)、(場合によっては)EFIシステムパーティションなどが一覧に出てきます。この中に、回復パーティションが含まれていれば認識できます。
ただし、「回復パーティション」と表示されるかどうかは環境によって変わります。状況によっては、単なる「ヘルス(回復)」や「未割り当て」と表示されていることもあるため、名前だけで判断しづらいのが難点です。

diskpartコマンドでの確認

コマンドプロンプトを管理者権限で開き、以下のように入力します。

diskpart
list disk
select disk 0   (Windowsが入っているディスクを選択)
list partition

この「list partition」コマンドの結果で、特定のパーティションに「Recovery」などのラベルが付いていれば、回復パーティションが存在している証拠になります。ただし、ラベルやIDが思いどおりに反映されず、「Primary」や「System」といった表記のままのケースもあるため要注意です。

reagentcコマンドでの確認

Windows RE(回復環境)の状態を確認するには、以下のコマンドが便利です。

reagentc /info

このコマンドで「Windows RE status: Enabled」と表示される場合は、回復環境が有効になっています。もし「Disabled」となっている場合は、回復パーティションの設定が正しく行われていないか、あるいは手動で無効化している可能性があります。また、パス情報としてどのドライブにwinre.wimが置かれているかも確認できるため、パーティション構成の再設定の目安にもなります。

回復パーティションを正しく認識できていれば、トラブル時にシステム修復オプションが素早く使えます。

KB5034441アップデートエラー(0x80070643)の原因と対処

エラーが発生する主な理由

Windows UpdateでKB5034441を適用する際に、0x80070643というエラーコードが表示されてインストールに失敗するケースがあります。考えられる原因としては、以下のようなものが挙げられます。

回復環境が無効化されている

Windows REが無効になっていると、一部の更新プログラムが回復パーティションへアクセスしようとしても失敗し、結果的にアップデートが完了しないことがあります。

回復パーティションが見つからない、または誤って設定されている

Windows RE用の領域が見当たらなかったり、誤ったパーティションに紐づいていたりすると、アップデート時に「必要なファイルを展開できない」などの問題が起きてしまいます。

回復パーティションを削除してしまうと、OSの更新だけでなく、万が一のシステムトラブル時に修復環境を利用できなくなるリスクがあります。

修正するための具体的手順

1. Windows REを一度無効化する

「回復環境がうまく構成されていないかもしれない」と感じたときは、まずコマンドプロンプト(管理者権限)でreagentc /disableを実行し、Windows REを無効化しておきます。これにより、パーティションの再割り当てなどが行いやすくなることがあります。

2. 誤ったパーティションを削除して再構成する

ディスクの管理やdiskpartコマンドで、誤って設定されている回復パーティションや、使われていない小容量のパーティションを確認し、必要なら削除を行います。あらかじめ作業前には重要データをバックアップしておくと安心です。

3. 新たなパーティションを確保する

通常、回復パーティションには700MBから800MB程度の領域が必要とされています。Cドライブを少し縮小し、その分で未割り当て領域を作成し、NTFS形式の新規パーティションを作成します。
一時的にドライブレターを割り当て(例としてP:など)したうえで、C:\Windows\System32\Recovery\winre.wimをコピーします。

4. reagentc /setreimageで正しいパスを指定する

新しく作成したパーティションをWindows REの格納場所として登録します。例として以下のように実行します。

reagentc /setreimage /path P:\Recovery\WindowsRE /target C:\Windows

この設定により、Windowsは回復環境をどこに置けばよいかを認識できます。

5. パーティションのID変更とドライブレター削除

diskpartを用いて、新規回復パーティションのドライブレターを削除します。さらに、パーティションIDを回復用に指定する(set id=27 overrideなど)のを忘れないようにしてください。

6. Windows REを有効化

最後にreagentc /enableで再度有効化し、reagentc /infoで「Windows RE status: Enabled」を確認します。
これで回復パーティションが正しく機能するようになり、KB5034441などのアップデートエラーの原因が解消される可能性が高まります。

私も同じエラーで悩まされた経験がありますが、思い切って回復パーティションを再作成したところ、アップデートがすんなり通りました。何度も再起動しては失敗を繰り返していたのが嘘のようで、とても助かりました。

回復パーティションがない状態でもアップデートやトラブルシュートは可能か

外付けバックアップやサードパーティツールのみで十分なのか

市販のバックアップツールを利用して、定期的にイメージバックアップを保存している方も多いと思います。外付けHDDやクラウドにバックアップがあるなら、システム修復にはそれを使えばよい、という意見もあります。
しかし、Windowsが用意している更新プログラムや修復機能の一部はWindows REを前提としている場合があるため、回復環境がまったく無い状態だと、そもそもアップデートに失敗するリスクが高くなります。

外付けバックアップと回復パーティションの両方を用意しておけば、アップデートもスムーズに進み、万が一のときも幅広い方法で復旧が可能になります。

Windows REを無効のままでアップデートを強行すると?

回復環境が無効化されている状態でも、全ての更新が失敗するとは限りません。ただし、KB5034441のように回復関連のファイルを更新するケースでは、エラーコード0x80070643などが出やすくなります。結果として、セキュリティパッチや機能更新を十分に適用できない恐れもあります。

Windows REが無効のままだと、万一のブルースクリーンや起動不良の際に簡単な修復手段が使えなくなり、復旧プロセスが大幅に複雑化してしまう危険があります。

簡易的な対策:reagentc /enableだけで解決できる場合も

単純に有効化してみる方法

もしディスク上に必要なファイルが存在し、パーティション構成も問題なく設定されているのにWindows REが無効化されているだけなら、単純にreagentc /enableを行うだけでアップデートが成功することがあります。
OSがアップデート時に回復パーティションへアクセス可能となるため、エラーがあっさり解決するケースもあるのです。

それでも失敗する場合はパーティションの再作成へ

reagentc /enableを実行しても改善しない場合は、前述の手順どおりに回復パーティションを再構成し直す必要があります。特にクローンソフトなどを使ってディスクを移行した際に回復パーティションの位置がずれていると、正しく認識されないことが多いです。

以前、大容量SSDに換装するためにクローンを行ったら、回復パーティションがなぜか削除されてしまったことがありました。ディスクの管理から見えず焦りましたが、結局は再構成して解決しました。最初は面倒に感じましたが、慣れると案外スムーズです。

コマンドやツールの早見表

アップデートエラーを解決するために使われる主なコマンドやツールをまとめました。

コマンド / ツール 概要 使用例
reagentc /info Windows REの状態やwinre.wimの格納パスを確認する reagentc /info
reagentc /enable Windows REを有効化する reagentc /enable
reagentc /disable Windows REを無効化する reagentc /disable
reagentc /setreimage winre.wimの正しい格納先を指定する reagentc /setreimage /path P:\Recovery\WindowsRE /target C:\Windows
diskpart ディスクやパーティションを詳細に管理できるコマンド diskpart
list disk
select disk 0
list partition
ディスクの管理 GUIでパーティション管理が可能 スタートメニューから「ディスクの管理」を検索

まとめ

Windows 10の回復パーティションは、ディスクの管理画面で確認できない場合でも実際には存在していることが多いです。ただし、誤った位置にあったりIDが合っていないとWindows REが無効化され、KB5034441のようなアップデートが失敗する恐れがあります。
アップデートエラーが出る場合は、まずreagentc /infoで状態を確認し、回復環境が無効になっているかどうかをチェックするのが近道です。そのうえで、reagentc /enableで有効化を試し、うまくいかなければ回復パーティションの再作成を検討してみるとよいでしょう。
外付けバックアップやイメージコピーを使っていても、Windows本来の機能である回復環境が正常に働くかどうかでアップデートの成功率やシステム修復の容易さは大きく変わります。一度設定を見直しておくと、今後のメジャーアップデートやセキュリティ更新をより安心して適用できるようになるはずです。

私自身も最初は「USBメディアにさえバックアップがあれば大丈夫でしょう」と考えていましたが、Windowsの更新が失敗してしまう事態が起きてからは回復パーティションの重要性を思い知らされました。設定がうまくいくと心強いですよ。

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