パソコンを長く使っていると、いつの間にかソフトウェアやアプリが増えているものです。新しいPCへの乗り換えを考え始めたときに「今入っているプログラムを全部把握したい」と感じた経験はありませんか。そんな疑問を解決するための手順や活用ポイントをまとめました。
なぜインストール済みプログラムの一覧を取得する必要があるのか
普段からPCを使っていると、自分がどんなアプリやソフトを入れたのかを詳細に覚えていないことがあります。いざ環境を移行しようと思ったときに「必要なアプリだけ一括で再インストールしたい」という要望が出てきたり、あるいは「使っていないアプリが多すぎて容量を圧迫していないか確認したい」と気になったりするものです。また、職場で共有しているPCなどの場合、管理者として「すべてのインストール済みプログラムを記録に残しておきたい」というニーズもあるでしょう。そうした場合、正確かつ包括的なプログラム一覧の取得と、それをテキストなどの形で出力できる方法を知っていると非常に助かります。
新しいPCへの移行準備
いざWindows 10からWindows 11など、新しいOSや新しいマシンに移行するとき、移行前のPCにどのようなソフトウェアやアプリが入っているかを一覧化しておくと、後々「以前はあのソフトを使っていたけど、名前を思い出せない」というトラブルを減らせます。特に、有料で購入したソフトなどは再インストールにあたり、シリアルナンバーが必要になるケースもあるため、事前にその情報を押さえておく意義は大きいといえます。
バックアップの一環としてのプログラム一覧
万一、メインPCが故障したときやシステムが不調になってしまったときのためにも、インストール済みのプログラム一覧を手元に残しておくと便利です。バックアップとしてファイル類をこまめに保管していても、いざ再セットアップするときに「どのアプリをインストールしていたか」を思い出せないと、スムーズな復旧ができないことがあります。プログラム一覧をテキストファイルで残しておけば、物理的に紙に印刷して保管することも簡単なので、大事な作業環境を失わないための保険として役立ってくれます。

私は過去に、PCが急に起動しなくなってしまった経験があります。幸いデータは外付けHDDにバックアップしていたのですが、どんなソフトを使っていたのかをすっかり忘れてしまって大変でした。あらかじめ一覧を作っておけばスムーズだったのに、と後悔したものです。
Windows標準コマンドを活用して一覧を取得する方法
Windows 10には、標準でさまざまなコマンドが用意されています。代表的なものがWMICやPowerShell、そして最近ではWingetコマンドがよく注目されています。ここでは、実際にどのような手順で使うかを簡潔に紹介していきます。
Wingetコマンドでデスクトップアプリを取得
Windows 10とWindows 11で公式にサポートされるようになったWinget(Windows Package Manager)は、アプリを検索・インストール・管理するための便利なコマンドラインツールです。これを使えば、デスクトップアプリを一覧化するのも簡単です。
実行例と出力の見方
Wingetを使う場合、管理者権限でコマンドプロンプトやWindowsターミナルを開き、以下のコマンドを実行します。
winget list > C:\apps.txt
すると、Cドライブ直下にapps.txtというテキストファイルが出力され、その中にインストールされているデスクトップアプリの名前やバージョン情報などが記載されます。ただし、この一覧にはMicrosoft Storeからインストールされたアプリや、一部の特殊なアプリが含まれないことがあります。以下のようなテキストが表示されるイメージです。
Name Id Version Source ------------------------------------------------------------ Visual Studio Code Microsoft.Visual... 1.71.2 winget Google Chrome Google.Chrome 108.0.5359 winget ~以下、省略~
必要に応じてアプリ名やバージョンを確認し、新しいPCで再インストールするときの参考にすることができます。
WMICコマンドで一覧をテキスト化
Windows 10でも昔から利用されてきたのがWMIC(WMI command-line)コマンドです。管理者権限のコマンドプロンプト上で下記のように入力すれば、デスクトッププログラムを一覧としてテキスト出力することができます。
wmic /output:C:\InstallList.txt product get name,version
実行すると、Cドライブ直下に「InstallList.txt」というテキストファイルが作成され、インストール済みのプログラム一覧を確認できます。ただし、WMICで取得できるのは従来型のデスクトップアプリが中心で、新しいUWPアプリやMicrosoft Store専用アプリなどは反映されにくい傾向があります。
一部のアプリが表示されない場合
WMICで一覧を取ったはずが、「あれ?普段使っているアプリが表示されていない…」というケースもあります。これは、アプリの種類によって取得される情報が異なるためです。例えば、ゲーム系の一部アプリやMicrosoft Store経由でインストールしたものは出力されないことがあります。そういったアプリを漏らさず拾いたい場合は、後述のGet-AppxPackageコマンドなど他の方法を併用すると良いです。
Microsoft Store由来のアプリやUWPアプリを含める方法
Windows 10では、Microsoft Storeを通じてインストールしたアプリやUWPアプリが増えてきています。これらを一覧に含めるには、PowerShell上でGet-AppxPackageコマンドを利用する方法が便利です。実行手順は次のようになります。
Get-AppxPackageの活用
管理者権限でPowerShellを起動し、以下のコマンドを入力してください。
Get-AppxPackage > C:\StoreApps.txt
Cドライブ直下にStoreApps.txtが生成され、Microsoft StoreアプリやUWPアプリが含まれた一覧が出力されます。ただし、この出力はアプリのパッケージ名やパブリッシャーの情報が主になるため、デスクトップアプリのようにわかりやすい名称が表示されない場合があります。名前の解読が必要になったり、アプリに対応する実際の名称を調べる手間がかかったりする点は少し注意が必要です。



私の場合、Microsoft Storeで入れたゲームやツールが多かったので、Get-AppxPackageでリストを作ったらパッケージ名とアプリ名が一致しない部分がややこしかったです。とはいえ、慣れれば結構スムーズに探せるようになると思います。
他にもある?プログラム一覧取得の多彩なアプローチ
Winget、WMIC、Get-AppxPackageなどの標準コマンド以外にも、プログラム一覧を取得するための手法はいくつか存在します。操作性や必要な情報の深さなどによって、自分に合った方法を探してみるのも良いでしょう。
サードパーティーソフトを活用する
インストール済みのソフトウェアをリスト化するフリーソフトやユーティリティは多く存在します。たとえば、インストールされているソフトウェアの詳細を解析してリスト化してくれるツール、もしくはセキュリティ診断の一環として導入ソフトをチェックするようなソフトもあります。そういったツールはGUIで確認できるため、コマンドラインの操作が苦手な方にはわかりやすいかもしれません。ただし、ダウンロード元が信頼できるかどうかを見極める必要があります。
PowerShellスクリプトを自作する
もしPowerShellに詳しいのであれば、各コマンドの結果を組み合わせて一つのリストにまとめるスクリプトを書くという方法も考えられます。たとえば、Wingetの結果とGet-AppxPackageの結果を突合して、重複や名前の違いを整理しつつ、わかりやすい形式に整形することも可能です。普段からPowerShellを使いこなしている方や、システム管理を担う方には便利なアプローチでしょう。
スクリプトの例
簡単な例として、Wingetの結果とGet-AppxPackageの結果をそれぞれテキストに出力し、最後にまとめて取り込むような流れを作ることができます。具体的には、以下のような手順をスクリプト化できます。
winget list > C:\WingetList.txt Get-AppxPackage > C:\StoreApps.txt # それぞれのファイルを読み込んで、結合・整形するロジックをPowerShellスクリプトで記述
最終的にCSV形式などにまとめれば、Excelで一覧を見たり、表形式で印刷したりできるようになるので、後で管理しやすくなります。
一覧を印刷して保管するメリットと注意点
プログラム一覧をファイルとして残すだけでなく、紙に印刷しておくと、トラブルが起こったときにすぐ参照できるという利点があります。特に、オフィスや学校などで複数人が同じPC環境を使う場合、誰かが「どのアプリを入れていいか分からない」となったときに参考資料として役立つかもしれません。
紙ベースの保管が便利なシーン
会社のPC資産管理では、導入済みソフトの一覧を紙にまとめて部門担当者に配ることがあります。クラウドに情報を集約しているケースも多いですが、セキュリティ上の理由や監査上のルールで「物理的な形でも一覧を保持する必要がある」という組織も珍しくありません。そういうときに、管理者権限で一覧を作成し、最終的にプリントアウトしてファイリングしておくと安心できます。
印刷時のレイアウトや見やすさへの配慮
実際に印刷する際には、プログラム名とバージョン、インストール日などをまとめて列形式で整えられるように調整するのがおすすめです。単純にテキストファイルを印刷するだけでも目的は果たせますが、行が折り返されていたり、プログラム名が長いと見にくくなってしまうことがあります。少し手間でも表計算ソフトなどに取り込んで、列を整頓しながら印刷するだけでもだいぶわかりやすくなるでしょう。
表計算ソフトを活用した一覧印刷の例
以下のような表を作っておくと、後から見返すときに一目で必要な情報がわかります。
プログラム名 | バージョン | インストール日 | 備考 |
Google Chrome | 108.0.5359 | 2024/10/01 | ブラウザ |
Visual Studio Code | 1.71.2 | 2024/08/12 | 開発ツール |
Microsoft Office | 2019 | 2024/05/20 | ドキュメント作成 |
このように整理しておけば、新しいPCの準備をするときに「これはもう不要かも」「これは絶対入れないと仕事にならない」といった判断をスムーズに進められます。
トラブルシューティングや移行時のポイント
一覧を取得する方法はいくつかあるものの、それだけで完結しない場合があります。実際に新しいPCへ移行するときや、一覧化したプログラムをもとに再セットアップするときに知っておきたいポイントをいくつか紹介します。
移行先でのシリアルナンバーやライセンスに注意
企業向けのソフトウェアや、一部のゲーム・クリエイティブソフトなどでは、ライセンス認証が厳密に管理されていることがあります。ただインストーラを実行すればOKというわけでなく、事前に旧PCでのライセンス解除をしておかないと、新PCでライセンスを有効にできないケースもあるため注意が必要です。特にAdobe製品やMicrosoft Officeなどはユーザーアカウント管理がしっかりしているので、アカウントIDやパスワードも含めて準備しておきましょう。
ライセンス管理用の追加情報を備忘録として残す
プログラム一覧を印刷・保存するときに、一緒にライセンスキーやアカウント情報のメモを残しておくと、大きな安心感につながります。ただし、セキュリティ面には配慮し、他人に見られないよう厳重に保管することが大切です。
一部のアプリは手動再インストールが必要になる場合も
プログラムによっては、単にファイルをコピーするだけでは移行できず、インストールプロセスを正式に踏まないと動作しないものも多く存在します。例えばドライバ類やOSと密接に連動するアプリケーションは、クリーンインストールが推奨されることもあります。プログラム一覧を作成するときから、「これはどのように再インストールするのか」というメモを一緒に書いておくと後で慌てずに済みます。
まとめと全体の流れ
ここまで紹介してきたように、Windows 10でインストールされたプログラムを一覧化しておくと、新しいPCへの移行や日頃のソフトウェア管理がとても楽になります。特に管理者権限のコマンドプロンプトやPowerShellを使った方法なら、追加のツールを入れずにすぐ実行できるので便利です。
全体の流れ
1. 基本のコマンドで一覧を取得
まずはwinget listやwmicコマンドを使って、デスクトップアプリ中心の一覧を作成します。Cドライブ直下など、わかりやすい場所にテキストファイルを生成しておきましょう。
2. Microsoft StoreやUWPアプリもフォロー
Microsoft Store経由やUWPアプリが必要な場合は、Get-AppxPackageを併用します。出力される情報がわかりづらい場合もあるので、名前を調べながら整理していくと良いでしょう。
3. 追加ツールやスクリプトで補完
さらに詳細情報が必要なら、サードパーティーソフトを活用したり、PowerShellスクリプトでまとめたりといったアプローチも検討します。用途や目的に合った方法を選んでください。
4. 印刷やバックアップで安心感をアップ
最終的にテキストファイルやCSVファイルにまとめたものを、紙に印刷して保管したり、クラウドストレージに保管したりすると、万が一のトラブルにも落ち着いて対応できます。ライセンス情報やインストール手順などを併記しておくとより便利です。



私自身、マシンを乗り換えることが多い環境で仕事をしているので、この一覧化のステップをしっかり行うだけで「前のマシンでは使えていたのに、インストールを忘れた」なんてことが激減しました。慌てて調べ直す手間が省けるので、とても助かっています。
総合的に見たコマンド一覧と特徴
最後に、今回紹介した代表的なコマンドや手法のポイントを簡単にまとめます。状況に応じて選択してみてください。
手段 | 対象 | 長所 | 短所 |
Winget (winget list) | デスクトップアプリ | 標準搭載されつつあり、使いやすい | Microsoft Storeアプリなどは対象外 |
WMIC (/output:…) | 従来のデスクトップアプリ | 古くから使われており、慣れた人が多い | 一部アプリが一覧に含まれない |
Get-AppxPackage | Microsoft Storeアプリ、UWPアプリ | Storeから導入したアプリを取得可能 | パッケージ名がやや分かりにくい |
サードパーティーツール | 多岐にわたるソフト全般 | GUIがわかりやすいものが多い | 信頼性やセキュリティに注意 |
この記事のまとめ
Windows 10にインストールされているプログラムをまとめてリスト化する方法は複数あります。それぞれの方法には得意分野と不得意分野があるため、Winget・WMIC・Get-AppxPackageを組み合わせて使うのがおすすめです。アプリによっては表示されないケースもあるため、複数のコマンドを同時に試し、最終的にひとつのCSVファイルやテキストファイルにまとめると良いでしょう。さらに、印刷したり、クラウドでバックアップしておいたりすることで、いざというときの移行や再インストール作業を円滑に進めることができます。
これから新しいPCに移行する人へのアドバイス
パソコンを買い替えるタイミングはワクワクしますが、同時に準備も重要です。下調べをしっかり行い、自分の環境で必要なアプリやライセンス情報を確実に押さえておけば、余計なトラブルを最小限に抑えられます。特に有料ソフトや特殊ソフトを使っている場合は、ライセンス切り替えの手順を事前に調べておくと安心です。いざというときに「ライセンス再取得に費用がかかる」といった悲劇を防ぐためにも、プログラム一覧を眺めながら必要な手順を書き出すことをおすすめします。



一度でも一覧作成の手間をかけてみると、その便利さが分かるはずです。新しいPCに移行した後も「もうあのソフトは要らないな」という不要アプリを同時に整理できるので、部屋の断捨離ならぬソフトの断捨離にもつながりますよ。
今後のアップデートと展望
Windows 10からWindows 11にシフトしていく中で、MicrosoftはさらにWingetの機能を拡充させていくと考えられます。今後はストアアプリの一覧取得にもより対応が進み、より包括的に「インストール済みプログラムが一度にリスト化できる」ようになる可能性があります。また、将来的にはGUIツールとの連携が強化され、コマンドに慣れていないユーザーでも簡単に利用できるシステムが整っていくかもしれません。そういった時代の流れをキャッチアップしつつ、現状では複数のコマンドを使い分けることで最適な結果を得られるという点を押さえておくのが得策といえるでしょう。
Windows 11ユーザー向けのヒント
今回の解説はWindows 10向けが中心ですが、Windows 11でもほぼ同様の手順でプログラム一覧を取得できます。特にWingetはWindows 11で標準搭載に近い形でサポートされているため、より快適に使えるはずです。もしすでにWindows 11を使っている方は、興味があれば同じコマンドを試してみてください。



私自身は最近Windows 11マシンを導入したのですが、Wingetの使いやすさに感動しています。コマンド一つでサクッと一覧が取れると、「もうあのアプリは使わないかな」とか「これも必要だな」と瞬時に判断できるんですよね。
最後に
パソコンのプログラム一覧を取るのは、一見地味な作業かもしれません。しかし、一度やっておくとPCの引っ越しやトラブル時に慌てずに済むという大きなメリットがあります。時間があるときに、コマンド操作にチャレンジしてみると良いでしょう。特にWinget、WMIC、Get-AppxPackageはすぐに使えるうえに補完関係にあるので、3つを押さえておくと幅広いアプリを網羅できます。自分の環境に最適な方法を選んで、スムーズな移行と快適なPCライフを手に入れてください。



皆さんのPC作業が、より快適でストレスフリーなものになることを願っています。意外と「こんなアプリをいつのまに入れていたんだろう?」なんて発見もあって、整理していくと楽しいですよ。
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