デスクトップ上に保存していた大切な書類や写真をうっかり削除してしまうと、途方に暮れてしまいますよね。しかもごみ箱を空にしてしまったり、クラウド上にも見当たらないと、もう手遅れに思えるものです。この記事では、私自身が大事なデータを失いかけた経験を元に、可能性を最大限に高める復元の手順をわかりやすく解説します。
はじめに知っておきたい「削除」と「復元」のしくみ
削除したはずのファイルでも、実はパソコン内部のストレージ(HDDやSSD)には痕跡が残っている場合があります。これは、オペレーティングシステム(Windowsなど)上でファイル名やディレクトリへの参照が消えただけで、実際のデータ領域自体は上書きされるまでそのまま残っているからです。そのため、タイミングやツールの使い方によっては復元が可能となります。
ごみ箱から消えてもすぐにデータがなくなるわけではない
パソコンのごみ箱にデータが入っている間は復元も容易ですが、そこから空にしてしまった場合でも、Windowsのファイル管理上で「参照できない状態」になっただけで、物理的なデータはまだドライブのどこかに潜んでいる可能性があります。
ただし、通常の操作を続けていると、新しいファイルの作成やソフトのアップデートなどで、削除されたデータの領域がどんどん上書きされていきます。上書きされてしまうと復元が難しくなるため、間違って削除したことに気づいたら、できるだけ早く復旧作業に取りかかるのが鍵です。
SSD特有の注意点:TRIM機能
HDDの場合は上書きされるまでデータが比較的残りやすいのですが、SSDにはTRIMという機能があり、ファイルを削除したタイミングで物理的な領域を空ける動作が自動的に行われることがあります。これにより、SSD上のデータはHDDに比べて復旧が難しくなるケースもあります。しかし、環境やタイミング次第では必ずしも完全に消去されるわけではないため、復元を試みる価値は十分にあります。

私が以前使用していたSSD搭載のノートPCでも、TRIMが効いていない設定になっていたおかげで、削除したファイルを運良く復元できたことがありました。実際に試してみないと分からない部分もありますね。
最初に確認するべきポイント:バックアップやクラウドの存在
復元ソフトを使う前に、念のためクラウドサービスやバックアップ履歴を確認しておきましょう。意外と残っている場合があります。
OneDriveやGoogleドライブ、Dropboxなどのクラウド
Windows 10や11では、OneDriveと同期設定されているケースがよくあります。OneDriveには独自のごみ箱機能も備わっているため、ウェブブラウザや同期アプリから確認してみると、間違えて削除したファイルが残っているかもしれません。
他のクラウドサービスでも同様に、ファイルの履歴をさかのぼって閲覧できる機能があるものが多いため、バックアップや最新版以外の古いバージョンを復元できる可能性があります。
クラウドのバージョン履歴をチェックする
WordやExcelなどOffice系のファイルの場合、OneDriveやDropboxでバージョン履歴が細かく残っていることがあります。アップロードや更新のタイミングで自動保存されていると、削除前の状態に戻せるケースがあります。
一度クラウド上でごみ箱に入っていないか、あるいはバージョン履歴に該当ファイルがないかを入念に確認してみてください。
データ復旧ソフトを活用する:王道の方法とポイント
クラウドやバックアップに見当たらない場合、次に検討するのがデータ復旧ソフトの利用です。これはごみ箱から完全削除してしまったファイルでも、まだストレージ上に残っているデータ領域を探し出してくれます。
代表的な復元ソフトの特徴
データ復旧ソフトは有料・無料を含めて多く存在しますが、初心者向けとされるものから、高機能なものまでさまざまです。
初心者でも扱いやすいソフトウェア
1. Recuva(リカバ)
2. EaseUS Data Recovery Wizard
3. Disk Drill(Windows/Mac対応)
操作に慣れている方向けのソフトウェア
1. PhotoRec(CGSecurity提供。CUIベースで多くのファイル形式に対応)
2. Windows File Recovery(Windows公式のコマンドラインツール)
復元ソフトの利用手順と注意点
復元ソフトを使うときは、できるだけ削除されたドライブに対して書き込みが発生しないように注意が必要です。上書きされると、復旧できる可能性が下がってしまいます。
外付けドライブや他のPCから実行する
ソフトをダウンロードする際に、削除されたデータと同じストレージに保存してしまうと、かえって上書きを招く恐れがあります。可能であれば、USBメモリなど外部ストレージに復元ソフトをインストールし、そちらから作業を行いましょう。



昔、私がデータ復旧ソフトを使ったとき、操作を焦って復元ソフトを同じドライブにインストールしてしまい、後から復旧結果が思わしくなかった経験がありました。小さな手間ですが、外付けや別PCで作業するほうが無難です。
スキャンオプションとプレビュー機能
多くのソフトには「クイックスキャン」と「ディープスキャン」が用意されています。クイックスキャンは短時間で済む代わりに、見つからないファイルも出てくる可能性があります。一方、ディープスキャンは長時間かかるものの、より多くのファイル断片を見つけ出すことができます。
また、画像ファイルなどはサムネイルプレビューで確認できる場合もあり、目的のファイルを探しやすくなっています。
「システムの復元」はファイルの復旧にはほぼ意味がない
Windowsの「システムの復元」機能は、システムファイルやレジストリなどの状態を以前の状態に戻すだけで、ユーザーの個別ファイルの復元には対応していません。そのため、「システムの復元ポイントを使えば復旧できるのでは?」と思っても、これはほとんど役に立たないので要注意です。
専門業者への依頼という選択肢
どうしても見つからない、またはストレージが物理的に故障している場合には、専門のデータ復旧サービスに依頼することも検討しましょう。
実際に行われる復旧作業の概要
専門業者では、物理的に壊れているハードディスクやSSDから直接データを取り出すために、クリーンルームなどの環境が整備されています。市販のツールでは対応できない基盤の修理やチップのリードなども行います。
ただし、費用は数万円から数十万円に上る場合もあり、緊急での対応を依頼するとさらに高額になることがあります。
主な復旧サービスと目安費用比較
以下は大まかな費用感ですが、あくまで目安として参考にしてください。
業者名 | 対応範囲 | 費用帯 | 緊急対応 |
---|---|---|---|
A社 | HDD、SSD、NAS、RAID | 50,000円~200,000円 | 24時間対応 |
B社 | HDD、USBメモリなど | 30,000円~150,000円 | 営業時間内のみ |
C社 | 幅広い記録メディア | 60,000円~250,000円 | 要相談 |
事前見積もりと比較が大切
業者によって料金システムや成功報酬型の有無が異なるため、複数の業者で見積もりを取って比較することがおすすめです。また、復旧の可否や料金について事前にやりとりをしっかり行っておけば、後から「聞いていない追加料金がかかった」というトラブルを避けられます。
復元がうまくいかないときに考えられる理由
せっかくデータ復旧ソフトを使ったのに思ったような成果が出ない場合、いくつかの要因が考えられます。
上書きによるデータの破損
一度削除されたデータ領域に新たなファイルが書き込まれてしまうと、完全に復元できないことがあります。特に容量の小さいドライブや、普段からファイルの移動や作成が頻繁なドライブでは、上書きが起きるリスクが高くなります。
復元したいファイルが見つからない場合や、見つかっても壊れていて開けない場合には、この上書きが原因の可能性が高いでしょう。
物理的な故障
ハードディスクから異音がする、SSDがまったく認識しないなど、ストレージが物理的に壊れている場合には、一般的な復元ソフトを使っても効果がありません。このような状況では専門業者への依頼が必要になります。
セキュリティソフトやWindowsのアップデート
削除してから復元作業までの間にセキュリティソフトの検査やWindowsのアップデートが実行されると、ディスクの書き込みが行われる場合があります。これもデータ破損や上書きの原因になり得ます。
同じ失敗を防ぐためにやっておきたいこと
大切なファイルを再び失わないための対策も合わせて考えてみましょう。
定期的なバックアップ習慣
外付けHDDやNAS、クラウドサービスなど、複数の場所にバックアップを取っておくことが理想です。Windowsのファイル履歴機能や、MacのTime Machineなどを活用して自動バックアップの設定を行っておけば、うっかり削除時も復旧しやすくなります。
バックアップ先を分散するメリット
バックアップ先が一つだけだと、その媒体が故障した際に戻せなくなるリスクがあります。複数の異なる場所、異なるサービスを利用することで、万が一の時にも安心です。



私の場合、昔は外付けHDDにしかバックアップを取っていませんでした。でも、そのHDD自体が突然認識されなくなってショックを受けたことがあります。今はクラウドと外付けHDDの両方にバックアップをとるようにして、安心度が大幅にアップしました。
重要ファイルをクラウド同期する
すべてのファイルをクラウドに保存する必要はありませんが、作りかけの資料や貴重な写真など、絶対に失いたくないファイルはこまめにクラウドにアップロードしておくと楽です。クラウド上のバックアップ履歴やバージョン管理をしてくれるサービスも増えています。
トラブル事例から学ぶ:実際の失敗談と成功談
人間は誰でもミスをするものです。ここでは、削除ミスがどうして起きたのか、どのように復旧したのかという事例をいくつか紹介します。
ケース1:誤ってShiftキーを押しながらDeleteして即削除
WindowsでShiftキーを押しながらDeleteを選択すると、ごみ箱を経由せずにファイルが削除されます。
焦ってそのままPCを使い続けていた結果、復元ソフトを試す頃には一部データが上書きされ、完全復元ができなかった…という話もよく聞きます。
対策としては、削除に気づいた時点でできるだけPCの使用を停止し、別の端末から復元ソフトを準備するのがベストです。
ケース2:重要書類をうっかり削除後、ごみ箱を空にしてしまう
どこかにバックアップがないか探し回っても見つからず、焦りながらフリーの復元ソフトでスキャンしてみたら、意外とあっさり見つかったという成功例もあります。
一方で、PDFファイルやOffice文書の一部が破損して開けない状態で見つかる場合もあります。その場合は複数の復元ソフトを試す、あるいは拡張子に合わせたリカバリー機能のあるソフトを使ってみる価値があります。
ケース3:ハードディスクから異音がしていて物理損傷を疑う
こういったケースでは自力でソフトを使ってもまったく認識できないことが多いです。分解や基板の交換を要する場合もあるので、自分でなんとかしようとするとさらなる損傷を引き起こすことがあります。早めに専門業者へ相談したほうが良いでしょう。
より高い復元率を目指すためのアドバイス
削除に気づいたらなるべく早く行動を起こすのが肝心です。
PCの電源を落としておく勇気
特にWindows Updateやセキュリティソフトのスキャンなど、定期的に動作するものがあるときは一時的にPCを完全にシャットダウンし、別の環境から起動して復元作業を行うのも手です。
復元ソフトを起動するためのブータブルUSBメディアを用意しておけば、対象のストレージに一切書き込まずに作業ができるため、復元の可能性を高められます。
複数の復元ソフトで試行する
復元ソフトはそれぞれ得意とするファイル形式やスキャン手法がわずかに異なります。あるソフトで見つからなかったファイルが、別のソフトで復元できる場合もあるため、時間があるなら複数のツールを試してみるのがおすすめです。
まとめ:大切なのは焦らず、最適な手順を踏むこと
ごみ箱からも削除してしまったファイルを復元するには、適切な方法を早めに実行することが何より重要です。まずはクラウドや既存のバックアップをチェックし、それでも見つからなければ信頼性のあるデータ復旧ソフトを使ってみましょう。物理故障が疑われる場合やソフトでどうしても見つからない場合は専門業者への依頼も視野に入れるとよいでしょう。
データを守るためには、定期的なバックアップと、クラウドの活用が何よりも有効です。もし万が一同じようなトラブルに遭ったとしても、適切な手順と心構えがあれば慌てることなく対処できるはずです。



大切な写真や書類を誤って消してしまったときは、本当に目の前が真っ暗になりますよね。でも、まずは落ち着いて行動し、絶対に上書きしないように注意しましょう。過去の私のように諦めずに復元を試す価値はあります。
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