Surface Go4・Surface Pro9をキオスクモード運用!Windows標準機能と第三者ツールの徹底解説

多くの企業や教育機関で使用されるSurface Go4やSurface Pro9などのWindowsデバイスを、より安全かつ限定的に運用したいと思う方は多いのではないでしょうか。本記事では、第三者製ソフトやWindows標準機能を活用したキオスクモードの使い方やセキュリティ対策について、わかりやすく解説します。

Surfaceでキオスクモードを利用するメリット

Surface Go4やSurface Pro9などのデバイスをキオスクモードで運用するメリットは多岐にわたります。特に、店舗のデジタルサイネージや受付端末、教育機関での共用端末など、アプリを最小限に絞り込んで安全に運用したい場面で非常に有用です。

誤操作を防ぐ

キオスクモードでは、特定のアプリやブラウザ、機能のみを起動可能に設定できるため、利用者の誤操作でシステム設定が変更されたり、不要なプログラムがインストールされたりするリスクが大幅に低減します。たとえば公衆の場に置く端末や、社員以外も操作する端末などに適用することで、不要なトラブルを防げます。

セキュリティを強化する

多くの人が触れる端末は、情報漏えいやマルウェア感染のリスクを伴います。キオスクモードを導入し、ユーザー権限を制限したり特定のアプリしか動作できないようにしておくと、外部からの不正アクセスやウイルス感染のリスクを抑えることができます。

Windows Defenderとの併用

Windows 11では、Windows Defenderが標準搭載されておりリアルタイム保護を提供しています。キオスクモードと組み合わせることで、デバイスの利用範囲を限定しつつマルウェア感染を防止する二重の対策を実現できます。

第三者製のキオスクモード系ソフトは使える?

Surface Go4やSurface Pro9など、Windows 11を搭載したデバイスで「Sure Lock」や「Windows Kiosk Software」などの第三者製ソフトを利用できるのか、気になる方もいるでしょう。結論としては、これらのソフトは基本的にWindows環境であれば動作するよう設計されていますが、利用可否やサポート範囲については提供元に確認するのが確実です。

Sure LockやWindows Kiosk Softwareの特長

Sure LockやWindows Kiosk Softwareは、端末の利用制限に特化したソリューションです。主な機能としては、以下が挙げられます。

  • 端末上で起動可能なアプリのホワイトリスト化
  • 不要なブラウザ機能やOS設定画面へのアクセスブロック
  • 無人端末運用のための定期的なリブートやセッション管理
  • リモート管理機能(ソフトによっては別途ライセンスや管理ツールが必要)

これらを組み合わせることで、自由度の高いカスタマイズが可能となり、企業や学校などさまざまな現場で導入実績があります。

メリットとデメリット

メリットデメリット
・柔軟な設定が可能
・リモート管理ツールを備える製品がある
・サポート体制が充実している場合も
・ライセンス費用がかかる
・設定・運用が複雑になる可能性
・日本語サポートの充実度はソフトによる

Microsoft公式のキオスクモード系ソフトはある?

Microsoftが公式に提供している、第三者製ツールと同等のソフトは現時点で存在しません。ただし、Windows 10/11には「割り当てアクセス(Assigned Access)」や「キオスクモード(Windows Kiosk)」と呼ばれる機能が標準で搭載されています。これらの機能を使うと、特定のユーザーアカウントに対して一つのアプリのみを実行させる簡易的なキオスク設定が可能です。

Windows標準機能の活用ポイント

割り当てアクセス(Assigned Access)やマルチアプリキオスクなど、Windows 10/11の標準機能を使う場合は、特定のユーザープロファイルを作成し、許可するアプリを限定します。以下のようなステップで構成可能です。

  1. Windowsの設定から「アカウント > 家族とその他のユーザー」を開く
  2. 新たにキオスク用アカウントを作成する(ローカルアカウントを推奨)
  3. 割り当てアクセスの設定で、使用したいアプリを選択する
  4. Windowsを再起動またはサインアウトし、キオスクアカウントでサインイン

この方法だと、選択したアプリのみ起動可能な状態になり、他のアプリやエクスプローラー、設定画面にはアクセスできなくなります。加えて、Surfaceのタッチ操作やペン入力など、ハードウェア特有の機能も基本的には利用可能です。

複数アプリを許可したい場合

Windows 11 Enterpriseなどのエディションでは、「マルチアプリキオスク」と呼ばれる機能に対応しています。グループポリシーやMDM(Microsoft Intuneなど)を使って、ホワイトリスト方式で複数のアプリを指定することも可能です。これにより、例えばブラウザとビデオ会議アプリ、デジタルサイネージ用アプリなどを同時に許可する設定ができます。

Windows搭載のセキュリティ機能も使おう

Surfaceシリーズは、デバイスのセキュリティ面でも優れた設計となっていますが、さらに次のようなWindows標準の機能を組み合わせることで、より万全な体制を整えられます。

Windows Defender

Windows 11の標準ウイルス対策ソフトであるWindows Defenderは、企業向けの高度な脅威対策機能(Windows Defender ATP)にも対応しています。キオスクモード運用中でもファイルスキャンは自動的に行われ、不審な活動が検知された際には速やかに隔離や削除が実行されます。

BitLocker

BitLockerはストレージ全体を暗号化する機能です。キオスクモードで利用しているSurfaceが盗難に遭ったり紛失したりしても、BitLockerを有効にしていればデータの不正取得を防ぐことが可能です。特に企業情報や顧客データを扱う端末では有効化が推奨されます。

Windows Helloによる本人認証

キオスクモード運用の場合、ユーザーの切り替えを最小限にすることが多いですが、管理者アカウントでのログイン時にはWindows Hello(生体認証やPINコード)を活用すると安全です。万が一、第三者が管理者アカウントへアクセスを試みても、生体認証を突破することは困難です。

第三者ソフトとWindows標準機能を併用するコツ

Sure LockやWindows Kiosk Softwareなどの第三者製ソフトと、Windows標準のセキュリティ機能を組み合わせると、より強力なキオスクモード環境が構築できます。ここでは主な運用のポイントを紹介します。

運用設計で大切なステップ

  1. 要件整理: どのアプリを使い、どの設定を制限し、どこまで利用者に許可するかを明確にします。
  2. 導入テスト: スモールスタートで対象デバイス数を限定し、エラーや動作不具合の有無をチェックします。
  3. リモート管理の設定: 大規模導入の場合は、Intuneや専用管理ツールを活用し、離れた場所から設定を変更できる仕組みを整備します。
  4. エンドユーザーへの周知: 操作方法や制限内容をわかりやすく文書化し、利用者に案内します。

第三者ソフト活用例

例えばSure Lockを導入するケースでは、以下のような項目を詳細に設定できます。

  • ホーム画面(ランチャー画面)のレイアウト
  • Wi-Fi設定や画面ロック設定へのアクセス制限
  • ブラウザの機能制限(アドレスバー非表示、特定サイトへのアクセスブロックなど)
  • スケジュール再起動(夜間に自動的に再起動し、朝にはクリーンな状態で運用開始)

これらはWindows標準機能だけでは細かく制御しきれない部分をカバーできます。特に、端末を大勢の人が触る予定がある場合や、店舗内の複数台を同一設定に統一したい場合は、第三者製ソフトが便利です。

実際の設定例:Assigned Accessの基本構成

ここでは、Windows 11 Pro/Enterpriseを搭載したSurfaceを想定し、Windows標準機能のAssigned Accessを使ったキオスク設定の流れを簡単に紹介します。なお、実際の画面表記や手順はWindowsのバージョンにより多少異なる場合があります。

手順:
1. Windows 設定 > アカウント > 家族とその他のユーザー
2. 「その他のユーザーを追加する」からローカルアカウントを作成
3. アカウント名例: KioskUser (パスワードは任意設定)
4. 「割り当てアクセスの設定」で KioskUser を選択
5. 実行するアプリとして Microsoft Edge や特定アプリを選択
6. 設定を保存し、再起動またはサインアウト
7. KioskUser でサインインして、設定が反映されているか確認

このように、基本的には数分程度でシンプルなキオスクモードが作れます。必要に応じてグループポリシーやレジストリを編集して、さらに細かい制限を加えていくことも可能です。

マルチアプリキオスクの活用

より複雑な要件に対応したい場合は、マルチアプリキオスクを検討しましょう。Windows 11 Enterpriseなどでは「Windows キオスクモード(マルチアプリ)」を構成でき、複数のアプリをリストアップして利用を許可します。MDMサービス(Microsoft Intuneなど)を利用した場合は、以下のようなXMLプロファイルを展開することで設定が行われます。

XMLによるマルチアプリキオスク設定例

<AssignedAccessConfiguration xmlns="http://schemas.microsoft.com/AssignedAccess/2017/config">
  <Profiles>
    <Profile Id="MultiAppKioskProfile">
      <Applications>
        <Application>
          <AppUserModelId>Microsoft.WindowsCalculator_8wekyb3d8bbwe!App</AppUserModelId>
        </Application>
        <Application>
          <AppUserModelId>Microsoft.MicrosoftEdge_8wekyb3d8bbwe!MicrosoftEdge</AppUserModelId>
        </Application>
      </Applications>
      <StartLayout>C:\Kiosk\StartLayout.xml</StartLayout>
    </Profile>
  </Profiles>
  <Configs>
    <Config ServiceAccount="MultiAppKioskUser" DefaultProfile="MultiAppKioskProfile"/>
  </Configs>
</AssignedAccessConfiguration>

このサンプルでは、電卓アプリとMicrosoft Edgeの2つだけを許可し、スタートレイアウトファイルを読み込むことでスタート画面の配置を最適化しています。設定ファイルを配布することで、複数のSurfaceデバイスを一括で同じキオスク環境にすることが可能です。

導入時に気をつけたいトラブルシューティング

キオスクモードを導入すると、通常のユーザーアカウントとは異なる挙動を示すため、いくつか注意すべきポイントがあります。

アプリの互換性

特定のアプリがキオスクモードでうまく起動しない、あるいはバックグラウンドで動作が停止してしまうケースがあります。こうした場合はアプリの開発元に問い合わせるか、別のアプリに置き換えられないか検討が必要です。

ネットワーク設定

無線LANだけで運用する場合、キオスクユーザーがネットワーク設定画面にアクセスできないようにすると、トラブルシュート時に管理者が困ることがあります。管理者専用アカウントに切り替えれば問題ありませんが、ネットワークが遮断されてしまうとリモート管理ができなくなる場合もあるので、VPNや有線LANの検討をするなど、事前に運用方法を定めておきましょう。

アプリの自動更新

Windowsや許可しているアプリを自動更新する場合、更新後にキオスク設定が外れてしまうことがあります。定期的に設定を見直すか、Intuneなどで構成変更がないようにポリシーを管理するなどの対策が必要です。

サポート体制

第三者製ソフトを導入する場合、ソフト提供元のサポートはもちろん、Microsoft側で解決できる範囲が限定される可能性があります。双方のサポート窓口がカバーする範囲をあらかじめ把握し、連絡先を明確にしておくことが重要です。

実運用のヒントとまとめ

Surface Go4やSurface Pro9などのWindows 11デバイスでキオスクモードを構築する場合、以下を押さえておくとスムーズです。

  • 要件に合った方式を選択: 簡易的に済ませたいならWindows標準のAssigned Accessや単一アプリキオスク。高度な制限やリモート管理が必要なら第三者製ツールの導入を検討。
  • 複数台管理を想定: 大規模展開するなら、XMLやMDMによる一括管理を視野に入れておく。
  • データ保護を徹底: BitLockerでストレージ暗号化を行い、不測の事態でも情報漏えいを防ぐ。
  • セキュリティアップデートを忘れない: Windows Updateとウイルス定義ファイルは常に最新の状態に保つ。
  • トラブルシュートの手段を用意: キオスクモードで機能が制限される分、管理者アカウントや緊急対応フローを明確に。

こうしたポイントを踏まえれば、キオスクモードを導入したSurfaceデバイスの運用は、安全性と利便性を両立できます。Microsoft公式としては、確かに第三者ソフトと同等のフル機能キオスクツールは提供していませんが、Windowsに標準搭載されている機能を組み合わせることで、相当レベルの制限を実現できます。

とはいえ、高度な制御を要する場合には「Sure Lock」や「Windows Kiosk Software」をはじめとする第三者製ツールの導入が有力な選択肢です。運用要件を整理したうえで、必要に応じてMicrosoftコミュニティフォーラムや各ベンダーのサポートに相談すると、最適な構成が見つかるでしょう。

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