最近、Windows 11 24H2へのアップデート後にパソコンへログインできなくなるという事例が増えています。再起動後にパスワードやPINを入力しても「オフラインです」と表示されて先へ進めなかったり、ネットワークを切り替えても解決できないなど、困っている方をよく見かけます。この記事では、実際にログインできなくなった経験談や考えられる原因と対処法をまとめてみました。自宅やオフィスで同様の問題に直面している方のお役に立てれば嬉しいです。
発生しやすい症状と背景
「Your device is offline…」というエラー表示
アップデート後に多く見られるのが、パスワードやPINを入力すると「Your device is offline. Please sign in with the last password used on this device.」と表示されるケースです。実際にはインターネットに接続しているはずなのに、オフライン扱いになってしまい、ログインができない状態に陥ります。
背景と原因の可能性
Windows 11の認証システムはオンライン認証やWindows Helloなど、複数の方法を組み合わせています。アップデートに伴って下記のような要因が重なると、デバイスが誤って「オフライン」と判断することがあります。
– TPM(Trusted Platform Module)の認証データ不整合
– アップデート時のネットワーク切断や不安定通信
– Windows Hello関連のデータ・フォルダ(Ngcフォルダなど)の破損
– アップデート残存ファイル($SysResetフォルダなど)の影響
代表的な解決策
最新アップデートを一旦取り消す(ロールバック)
アップデート直後にログイン不能になった場合、まずは以前のバージョンに戻す方法が挙げられます。Windowsの回復環境(WinRE)に入り、「更新プログラムのアンインストール」「以前のビルドに戻す」などのオプションで、アップデート前の状態に戻してみると改善する場合があります。
ロールバックの手順
1. 電源ボタンを長押しして強制的にオフにし、数回起動を繰り返すと自動的にWinREが表示されます。
2. 「トラブルシューティング」→「詳細オプション」の順に選択し、「更新プログラムのアンインストール」か「以前のビルドに戻す」を実行します。
3. 元の環境に戻ったらログイン確認を行い、アップデートの一時停止を設定します。
アップデートの一時停止と不要ファイル($SysReset)の削除
一度ロールバックしてログインに成功したら、再度アップデートが実行されないように設定するのも有効です。Windowsアップデートには「最大5週間」ほど更新を保留できるオプションがありますので、それを活用している事例も多いです。加えてシステムドライブ(C:)に隠しフォルダとして存在する可能性がある「$SysReset」フォルダを削除してから改めてアップデートを実行すると、問題が解消されたという声があります。
手順の目安
1. ロールバックによってログイン可能になったPCを通常起動する。
2. Windowsアップデートの「詳細オプション」で更新プログラムを一時停止(数週間単位で設定可能)。
3. エクスプローラーのオプションで隠しファイルを表示にし、C:直下にある「$SysReset」フォルダがあれば削除。
4. 再度アップデートを実行し、正しく適用されるかを確認。
ネットワーク環境の変更
有線LAN(イーサネット)接続の活用
アップデートによる認証トラブルには、Wi-Fiの不安定さが影響している場合があります。どうしてもパスワードが認証されないとき、有線LANを試してみるとスムーズにログインできるという事例が複数報告されています。Wi-Fiを一旦切り、LANケーブルを挿して、再度パスワードリセットやPIN設定を試すと成功率が高まるようです。
有線での再ログイン方法
1. Wi-Fiスイッチをオフにする、あるいはネットワーク設定で無効化。
2. イーサネットケーブルをPCに接続。
3. ログイン画面が表示されたら、改めてMicrosoftアカウントのパスワードやPINを入力。
4. もし設定済みのPINが使えない場合は「サインイン オプション」から別の認証方法(パスワード、画像パスワードなど)を試す。
Windows HelloやTPMの影響
Windows HelloのリセットやNgcフォルダの削除
Windows Helloは生体認証やPINを通じてログインを高速化する機能ですが、アップデートの影響でデータに不整合が起こるとログイン不能に陥りやすいです。この場合、Ngcフォルダ(Windows Helloのデータを保管)を削除またはリネームすると、システムが再度新規に構成を行う可能性があります。
リネーム例
1. Windows回復環境(WinRE)のコマンドプロンプトを起動。
2. Ngcフォルダの場所(一般的にはC:\Windows\ServiceProfiles\LocalService\AppData\Local\Microsoft\Ngc)へ移動。
3. ren Ngc Ngc.old などのコマンドで、フォルダ名を変更してバックアップ。
4. 再起動後、PINの再設定を要求される場合は正しく操作し、ログイン可能かを確認。
TPMのクリア
TPM(Trusted Platform Module)が認証に利用されるとき、アップデートの混乱でTPMデータが壊れるとログイン障害を引き起こす場合があります。BIOS(UEFI)画面でTPMをクリア(初期化)するという手段がありますが、BitLockerを有効にしている環境では復旧キーの管理が必要なため、扱いに注意が必要です。
実際にはハードウェアやセキュリティ設定により操作が異なるため、メーカー公式マニュアルを参照のうえ慎重に行うのが望ましいです。
具体的な対処の流れをまとめた表
対処手順 | 詳細 | 必要な知識・注意点 |
---|---|---|
1. ロールバック | WinREから最新のアップデートを取り消す | 復元ポイントやビルドのアンインストールに関する基本知識 |
2. アップデート一時停止 | 数週間単位で更新を保留にし、安定を図る | Windows Updateの詳細オプション操作 |
3. $SysReset削除 | 隠しフォルダ$SysResetを削除後に再アップデート | 隠しファイルの表示・フォルダ操作 |
4. ネットワーク変更 | Wi-Fiをオフにし、イーサネットで再接続 | 物理的にLANケーブルを挿せる環境 |
5. Windows Helloリセット | Ngcフォルダをリネームし、新規構成を促す | コマンドプロンプトやフォルダ権限の操作 |
6. TPMクリア | BIOS(UEFI)でTPMを初期化 | BitLockerの復旧キーなど事前準備 |
メリットとデメリット
再度アップデートを実行するときの注意点
ネット環境の安定確保
アップデート中に接続が途切れると、認証データの更新が中断されるリスクがあります。Wi-Fiが不安定な場合は、可能な限り有線接続を優先するとトラブルを減らせます。
大きなサイズの更新を実行する際のコツ
1. 時間に余裕があるときに実施する。
2. 他の端末で大容量通信を行わない。
3. 電源が途切れないようにノートPCならACアダプタを使用。
PINの再設定
Windows HelloのPINが引き継がれない場合、設定アプリから再登録するとスムーズになることがあります。パスワードでログイン可能なら、設定画面から「アカウント」→「サインイン オプション」→「PIN (Windows Hello)」と進み、一度削除して再設定を試してください。
トラブルに詳しい人へ任せるタイミング
復旧キーが分からない場合
BitLockerを設定している環境で、TPMの操作を誤るとドライブにアクセスできなくなるケースがあります。復旧キーが見つからない状態での作業はリスクが高いので、PCメーカーのサポートや専門業者の協力を仰ぐのが安心です。
BIOS(UEFI)操作に慣れていない場合
BIOS画面に入るだけでも機種によって方法が違い、設定変更を誤ると起動不能などの深刻なトラブルにつながります。専門知識がないときは、やはり信頼できるサポート元に依頼すると安全です。

私の知人もアップデート後にオフライン扱いのままログインができず苦戦していましたが、イーサネットに切り替えたらすんなり入れたそうです。そこから$SysResetを削除してアップデートをかけ直したところ、再起動後は普通に使えているようです。
まとめ
Windows 11 24H2のアップデートでログインができないという悩みは、ネットワーク環境の変更やアップデートのロールバック、Windows HelloやTPMのリセットなど、複数のアプローチで対処できます。とくにイーサネット接続とアップデートの一時停止を組み合わせる方法は試しやすく、成功事例も多いです。また、システムのファイル(例えば隠しフォルダの$SysResetなど)が残っていると不具合が長引く場合がありますので、定期的に確認しておくと安心です。もしも対処が難しい場合は、無理をせず専門家や公式サポートに相談してみてください。
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