Windows 11 バージョン24H2へのアップデート後、Surface Pro 9でeGPUを利用しようとした際に突如ブルースクリーンが発生してしまい、さらにWi-Fiまでオフになる――そんなトラブルにお悩みではありませんか?本記事では、実際に報告されている具体的な不具合事例と、解決に役立つ複数の対処方法を詳しく解説していきます。
Windows 11 バージョン24H2アップデート後に発生するeGPUトラブルの概要
Windows 11 バージョン23H2までは問題なく利用できていたeGPUが、24H2のアップデートを境に突然、接続直後にブルースクリーンになるという事例が複数のユーザーから報告されています。エラーコードとしては「SYSTEM_THREAD_EXCEPTION_NOT_HANDLED」や「iacamera64.sys」が表示され、さらにWi-Fiがオフになる症状もまれに確認されています。
こうした事象はThunderboltケーブルを介してeGPUを接続した際に起こりやすく、特にSurface Pro 9での発生報告が目立ちます。また、GeForce RTX 3070 Tiや3080など最新世代のGPUを搭載するeGPUボックスでも例外なく発生するため、ドライバーやファームウェアの不整合、あるいはOS側の互換性問題が考えられています。ここからは、具体的な原因を探りながら対策を一つひとつ確認していきましょう。
主な不具合の症状
- eGPUを接続直後にブルースクリーン
- エラー表示:「SYSTEM_THREAD_EXCEPTION_NOT_HANDLED」「iacamera64.sys」など
- Wi-Fiがオフになるなど、ネットワーク関連の不安定化
- NVIDIAドライバーの再インストールでも改善なし
- Windows 11 バージョン23H2にロールバックすると症状が消える
考えられる原因
- OSアップデートによるThunderboltドライバーの不整合
Windows 11 バージョン24H2では、ThunderboltやUSB4に関連するドライバー類もアップデート対象となっています。これにより旧バージョンとの微妙な設定や互換性の差が生まれ、接続時に不具合を起こす可能性があります。 - カメラドライバー(iacamera64.sys)との競合
「iacamera64.sys」はIntelカメラ関連のドライバーです。Surface Pro 9には高性能カメラが搭載されており、そのドライバーがeGPU接続時に競合を引き起こしている可能性があります。 - NVIDIAドライバーやeGPUボックスファームウェアのバージョン不一致
eGPU(Razer Core X、SONNET eGFX 750exなど)側に搭載するGPUのドライバーがOSの最新アップデートに対応しきれていないケースが考えられます。また、eGPUボックス側にもファームウェアやThunderboltコントローラーの更新が必要な場合があります。 - Thunderboltケーブルや電力供給の問題
接続に使っているケーブルがThunderbolt非認証品だったり、長さや品質が規格外である場合、データ転送と電力供給に不具合が生じやすくなります。Wi-Fiがオフになるという症状とも絡んでくる可能性があります。
対処法1:カメラドライバーの再インストール
ブルースクリーン時のエラーに「iacamera64.sys」と表示される場合、Surface Pro 9のカメラドライバーに起因する不具合の疑いがあります。まずはカメラドライバーを再インストールしてみましょう。
デバイス マネージャーを使ったアンインストール手順
- 「スタート」ボタンを右クリック → 「デバイス マネージャー」を選択
- 「カメラ」または「イメージングデバイス」カテゴリ を探し、該当するIntel(R) AVStream Cameraなどのドライバーを右クリック
- 「デバイスをアンインストール」を選択し、表示される確認画面で「デバイスのドライバーを削除する」にチェックを入れる
- デバイスのアンインストール完了後、PCを再起動
再起動するとWindowsが自動でカメラドライバーを再インストールするため、システム上で最新バージョンに自動的に差し替わる可能性があります。もし正しく更新されていない場合は、Microsoft公式サイトからSurface用の最新ドライバーを入手しましょう。
ドライバーの更新に役立つコマンド例
ドライバーのバージョンをPowerShellで確認したい場合、以下のようなコマンドを使うと便利です。
Get-WmiObject Win32_PnPSignedDriver | Where-Object { $_.DeviceName -like "*Camera*" } |
Select-Object DeviceName, DriverVersion, Manufacturer
上記コマンドでカメラ関係のドライバー名やバージョン、メーカー情報を一覧表示できます。ドライバーバージョンが古い場合は、Surface用ドライバーの更新を検討しましょう。
対処法2:Surface用ドライバーやファームウェアの再インストール
Surface Pro 9には、Microsoft独自のドライバーやUEFIファームウェアが用意されており、公式サイトから一括でダウンロードできます。特にThunderboltポートを安定して利用するためには、これらを最新の状態に保つことが重要です。
公式サイトからの入手方法
- Microsoft公式サイトの「Download drivers and firmware for Surface」にアクセス
- 対象となるSurface Pro 9を選択
- 最新のSurface向けドライバーとファームウェアのパッケージをダウンロード
- インストーラを起動して画面の指示に従いインストール
- インストール後に必ず再起動
一度に複数のデバイスドライバーやUEFIなどが更新されるため、不具合が複合的に解消されるケースがあります。特にeGPU利用時はThunderbolt関連のドライバーが重要で、古いバージョンだと接続不良やブルースクリーンの原因になりやすいため、常に最新化を心がけましょう。
対処法3:eGPU本体のファームウェアとケーブルの見直し
eGPUを安定稼働させるためには、本体のコントローラーファームウェアや接続に使うThunderboltケーブルも、正しい規格かつ最新バージョンである必要があります。
eGPUボックス本体のファームウェア更新
- Razer Core XやSONNET eGFX 750exなど、メーカーによっては独自ツールやサイトでファームウェアアップデートを配布しています。
- 公式サイトからダウンロードできるツールを用いて最新のファームウェアにアップデートし、再起動を実施してください。
Thunderboltケーブルの品質チェック
Thunderbolt 3/USB4ケーブルは、外見上は同じように見えても、内部設計や品質に大きな差があります。以下のポイントを確認しましょう。
- Thunderbolt 3/4の認証マーク があるか
- データ転送速度(40Gbpsなど)や ケーブル長 が仕様通りか
- 破損・折れ曲がりや断線などの物理的トラブルがないか
項目 | 推奨スペック | 理由 |
---|---|---|
データ転送速度 | 40Gbps | GPUとの高速通信に必要 |
ケーブル長 | 0.8m以下(アクティブケーブルなら2m以上でも可) | 長すぎると速度低下やエラーの原因 |
認証 | Thunderboltロゴ付き(Thunderbolt 3/4認証) | 品質保証があり安定動作が期待できる |
このように、ケーブル選びが接続の安定度を左右します。もし不具合が続く場合は、別の高品質ケーブルに交換して再テストすると改善されることがあります。
対処法4:Windows 11 バージョン23H2へのロールバック
上記の対策をすべて試しても症状が改善しない場合は、Windows 11 バージョン24H2そのものに特有の不具合が含まれている可能性があります。どうしても作業に支障をきたす場合は、安定して使えていた23H2に一時的に戻すことも検討しましょう。
ロールバック時の注意点
- アップデートから10日以上経過すると、標準機能でのロールバックができない可能性があります。その場合はクリーンインストールやシステムバックアップからの復元が必要となるケースがあります。
- アプリの再インストールや設定の再構築が必要となる場合があるため、ロールバックを行う前にバックアップをしっかりと取りましょう。
- 24H2の修正プログラムが配布されたら、再度アップデートを試してみる価値があります。
対処法5:今後のアップデートに期待する
Windows 11 バージョン24H2はまだリリースされたばかりで、特定の環境や特殊なハードウェア(eGPUなど)において問題が露呈することは珍しくありません。Microsoftは定期的に累積アップデートを配信しており、その中でeGPUやSurfaceシリーズ特有のバグ修正が盛り込まれる可能性があります。
Microsoft公式ドキュメントの活用
- 「Windows 11, version 24H2 の既知の問題と通知」 を定期的に確認し、類似する問題が公表されていないかチェックする。
- Surfaceシリーズに特化した公式フォーラムやコミュニティでも、ユーザー間で情報が共有されています。リアルタイムで問題や対処法が更新されているので参考にすると良いでしょう。
情報収集のコツ
- Microsoft公式サイトやサポートページ
Windows Updateに関する最新情報や既知の問題、修正プログラムの配信状況などが随時公開されます。 - ユーザーフォーラムやSNS
RedditやTwitterなど、海外コミュニティも含めるとより多くの事例が見つかります。英語で検索してみると、早期に類似ケースの発見ができることがあります。
その他の参考情報や対策
ここではさらに踏み込んだ対処や、試す価値のあるテクニックをいくつか紹介します。ただし、セキュリティ設定の変更やシステムのレジストリ操作を伴う場合もあるので、慎重に行いましょう。
1. Windowsのコア分離(Core Isolation)の設定確認
Windows 11にはセキュリティ機能としてコア分離が搭載されています。悪意あるコードからシステムを守るための機能ですが、まれに外部デバイスとの互換性に影響を与えることがあります。
- コア分離を無効にして症状が改善するケースもありますが、セキュリティリスクが高まる可能性があるため、自己責任での対応が必要です。
2. BIOS/UEFI設定の見直し
Surface Pro 9のUEFIには、デバイスやセキュリティに関する細かな設定が含まれています。稀に、ThunderboltポートがUEFIレベルで無効になっているか、制限がかかっている場合があります。
- UEFI画面でThunderbolt機能が有効になっていることを確認
- セキュリティモードが厳しすぎる設定の場合、一時的に緩和してみる
3. 別のPCでeGPUをテスト
故障原因がeGPU本体やThunderboltケーブルにある場合、当然ながらどのPCに接続しても同様のトラブルが発生します。一方、他のPCでは問題なく動作するがSurface Pro 9だけトラブルを起こすなら、Surface固有のドライバーやOS設定に起因する可能性が高いです。
まとめ:安定動作のために試すべきポイント
以上のように、Windows 11 バージョン24H2で発生しているeGPU接続時のブルースクリーン問題は、複数の要因が絡み合う可能性が高いです。特にSurface Pro 9では、カメラドライバー(iacamera64.sys)やThunderboltのドライバー、eGPUボックスのファームウェアなどを最新状態に保つことが重要なカギとなります。
- カメラドライバーやSurface用ドライバーの再インストール
- ThunderboltケーブルとeGPUのファームウェア確認
- Windows 11 バージョン23H2への一時的なロールバック
- 今後の累積アップデートによる修正に期待
これらを段階的に試していくことで、eGPU接続時のブルースクリーン問題が改善する可能性が高まります。ただし、どうしても解決しない場合や業務に支障が出る場合は、安定して動作していた23H2に戻しつつ、24H2の更新プログラムの配信を待つのも得策です。ぜひ本記事を参考に、快適なeGPU環境を取り戻してください。
コメント