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Exchange OnlineのDefault Retention Policy 2026年4月更新ポイントと確認手順

Exchange Onlineの「Default Retention Policy in Exchange Online」は、既定で新規ユーザーに適用される Default MRM Policy の動作を確認するための重要な公式ドキュメントです。2026年4月23日の更新で押さえるべき結論は、Default MRM Policy自体を「万能なメール削除ルール」と誤解せず、アーカイブ移動はMRM、組織横断の保持・削除はMicrosoft Purviewの保持ポリシー/保持ラベルで設計するという整理です。Microsoft Learn英語版は2026年4月23日に更新されていますが、日本語版の更新日は2024年12月24日のため、最新確認では英語版も併せて見るのが安全です。(Microsoft Learn)

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目次

Exchange Onlineの最新動向: Default Retention Policy in Exchange Onlineで何が変わったか

今回の更新は、Default MRM Policyに突然新しい保持タグが追加されたというより、Exchange Onlineの保持管理をどの機能で行うべきかを管理者向けに再確認する意味合いが強い内容です。

Microsoftは、Microsoft 365の情報ガバナンス目的でメールボックスコンテンツを保持または削除する場合、従来のMessaging Records Management、つまりMRMではなく、Microsoft Purviewポータルの保持ポリシーと保持ラベルを使うことを推奨しています。一方で、メールをアーカイブメールボックスへ移動する用途では、引き続きMRMを使う必要があると説明しています。(Microsoft Learn)

つまり、Exchange Online管理者が取るべき対応は「Default MRM Policyをすべて廃止する」ではありません。実務上は、次のように役割を分けるのが現実的です。

管理したい内容優先して使う機能判断のポイント
古いメールをオンラインアーカイブへ移動したいMRM / Default MRM Policy「Move to Archive」はMRMの主要用途。アーカイブメールボックスの有効化も確認する
メールを含むMicrosoft 365全体の保持・削除を統制したいMicrosoft Purviewの保持ポリシーExchange、SharePoint、OneDrive、Teamsなどを横断して管理したい場合に向く
特定のメールや文書単位で保持期間を変えたいMicrosoft Purviewの保持ラベルアイテム単位、業務分類単位で制御したい場合に向く
ユーザーがOutlookで一部メールだけ例外的に保持・削除したいMRMの個人タグユーザー操作を許可する設計。タグ数が多いと混乱しやすい

Default MRM Policyとは何か

Default MRM Policyは、Exchange OnlineおよびオンプレミスExchange組織に作成される既定のアイテム保持ポリシーです。Exchange Onlineでは新しいユーザーに自動的に適用され、オンプレミスExchangeではメールボックスにアーカイブを作成したタイミングで適用されます。ユーザーに適用する保持ポリシーは後から変更できます。(Microsoft Learn)

ここで注意したいのは、Default MRM Policyは「すべてのメールを自動削除するポリシー」ではない点です。既定の構成では、古いメールをアーカイブへ移動するタグや、ユーザーが手動で適用できる削除用の個人タグなどが含まれます。

Default MRM Policyに含まれるタグは変更できます。たとえば、保持期間を変更する、保持アクションを変える、タグを無効化する、タグを追加・削除するといった操作が可能です。変更内容は、Managed Folder Assistantが次にメールボックスを処理したときに反映されます。(Microsoft Learn)

2026年4月更新で管理者が特に見るべきポイント

MRMは「廃止済み」ではなく「用途を絞って使う」機能

Default Retention Policy in Exchange Onlineのページでは、MRMは古い機能ではあるものの、Microsoft 365の保持ポリシーや保持ラベルと並行して動作すると説明されています。今後の保持・削除管理はMicrosoft Purview中心で設計しつつ、アーカイブ移動にはMRMを使う、という住み分けが重要です。(Microsoft Learn)

実務では、次のような切り分けが分かりやすいです。

よくある要望MRMだけでよいか推奨される考え方
2年以上経過したメールをアーカイブに移したいはいDefault MRM PolicyのDPTやアーカイブタグを確認する
7年間は削除されないように保持したいいいえPurviewの保持ポリシー/保持ラベルで設計する
退職者や訴訟対応でメールを保持したいいいえeDiscoveryや保持の要件を含め、Purview側で設計する
迷惑メールを一定期間後に削除したい場合によるDefault MRM PolicyのJunk Emailタグを確認する
削除済みアイテムを30日で自動削除したい既定では不足Deleted Items用の適切な保持タグ追加を検討する

Exchange管理センターだけで完結しない

Microsoftは、Exchangeのセキュリティとコンプライアンス機能について、Microsoft 365 security centerやMicrosoft Purviewポータルを参照するよう案内しています。新しいExchange管理センターでは、これらの機能が利用できないと明記されています。(Microsoft Learn)

そのため、管理者が「Exchange admin centerに設定項目が見当たらない」と感じた場合、設定がなくなったと判断するのは早計です。保持ポリシーや保持タグの確認・変更は、Microsoft PurviewポータルのData lifecycle management配下、またはExchange Online PowerShellで確認する流れを想定しておく必要があります。

Deleted Itemsの自動削除は既定で入っていない

見落としやすいのが、削除済みアイテムフォルダーです。Default MRM Policyには、Deleted Itemsフォルダーの内容を自動削除する既定タグは含まれていません。30日間の保持や独自の保持期間を適用したい場合は、削除済みアイテムフォルダー向けの保持タグをDefault MRM Policyに追加する必要があります。(Microsoft Learn)

これは、ユーザーや管理者の期待とズレやすいポイントです。たとえば「削除済みアイテムは30日で勝手に消えるはず」と思っている組織でも、実際にはDefault MRM Policyだけでは意図した自動削除になっていない可能性があります。

Default MRM Policyに含まれる主な保持タグ

公式ドキュメントに掲載されているDefault MRM Policyの既定タグは、アーカイブ移動用、個人削除用、迷惑メール用などに分かれます。管理者は、まずこの一覧と自社テナントの実設定が一致しているかを確認してください。(Microsoft Learn)

タグ名種類保持期間アクション
Default 2 years move to archiveDPT730日アーカイブへ移動
Recoverable Items 14 days move to archiveRecoverable Itemsフォルダー14日アーカイブへ移動
Personal 1 year move to archive個人タグ365日アーカイブへ移動
Personal 5 year move to archive個人タグ1,825日アーカイブへ移動
Personal never move to archive個人タグ該当なしアーカイブへ移動しない
1 Week Delete個人タグ7日削除して回復を許可
1 Month Delete個人タグ30日削除して回復を許可
6 Months Delete個人タグ180日削除して回復を許可
1 Year Delete個人タグ365日削除して回復を許可
5 Years Delete個人タグ1,825日削除して回復を許可
Never Delete個人タグ該当なし削除しない
Junk EmailRPT30日削除して回復を許可

特に「Default 2 years move to archive」は、メールを削除する設定ではなく、2年経過したアイテムをアーカイブへ移動する設定です。アーカイブメールボックスが有効でない場合、Move to Archiveの保持アクションは期待通りに働かない可能性があります。Microsoftの保持アクション説明でも、アーカイブメールボックスがない場合はMove to Archiveでアクションが実行されないと説明されています。(Microsoft Learn)

すぐ確認すべき管理者向けチェックリスト

Exchange Online管理者やMicrosoft 365 adminsは、今回の更新をきっかけに次の順番で確認すると、運用上の見落としを減らせます。

確認項目確認する理由見落とした場合のリスク
新規ユーザーにDefault MRM Policyが適用されているかExchange Onlineでは既定で新規ユーザーに適用されるため想定外のアーカイブ移動や、逆にアーカイブされない状態に気づきにくい
アーカイブメールボックスが有効かMove to Archiveの実効性に関わるため2年アーカイブ設定があっても移動されない可能性がある
Deleted Items用のタグが必要か既定では自動削除タグが含まれないため削除済みアイテムが想定より残り続ける
Purview保持ポリシーと競合していないかMRMとPurviewは並行して動作するため削除されるはずのメールが保持される、または設計意図が説明できない
個人タグをユーザーに説明しているかユーザーがOutlookで適用できるため「削除しない」「1週間で削除」などの誤用が起きる
PowerShellやPurviewで実設定を確認しているか公式ページの既定値と自社設定が異なる場合があるため過去の変更や例外設定を見逃す

PowerShellで確認する基本コマンド

Default MRM Policyにリンクされている保持タグは、Exchange Online PowerShellで確認できます。Microsoftの手順でも、Get-RetentionPolicyを使ってDefault MRM PolicyのRetentionPolicyTagLinksを確認する例が示されています。(Microsoft Learn)

(Get-RetentionPolicy "Default MRM Policy").RetentionPolicyTagLinks | Format-Table Name

特定ユーザーに適用されている保持ポリシーを確認する場合は、次のようにメールボックスの設定を確認します。

Get-Mailbox -Identity [email protected] | Format-List DisplayName,RetentionPolicy,ArchiveStatus

アーカイブ移動が期待通りに進まない場合は、保持ポリシーだけでなく、アーカイブメールボックスの有効化状況も必ず確認してください。Default MRM Policyのタグが存在していても、アーカイブが無効であれば「2年でアーカイブへ移動」という期待と実動作がずれる可能性があります。

Default MRM Policyを変更するときの実務手順

Default MRM Policyを変更する場合は、いきなり全社適用の設定を変えるのではなく、影響範囲を絞って検証するのが安全です。

手順作業内容実務上のポイント
現状確認Default MRM Policyのタグ一覧、対象ユーザー、アーカイブ有効化状況を確認する既定値と自社テナントの実態が違う可能性を前提にする
要件整理アーカイブ移動、削除、保持、訴訟対応を分けて整理するすべてをMRMで解決しようとしない
機能選定アーカイブはMRM、保持・削除統制はPurviewを基本にする部門単位・国単位の要件がある場合はPurview側の設計を優先する
テスト適用少数の検証ユーザーに適用するManaged Folder Assistantの処理タイミングを考慮する
ユーザー通知Outlookに表示される個人タグの意味を説明する「Never Delete」などの名称は誤解を招きやすい
本番反映変更内容、対象、反映日、ロールバック方法を記録する監査や問い合わせ対応のために変更履歴を残す

保持タグを追加・削除する操作はMicrosoft Purviewポータルから行えます。公式手順では、Data lifecycle managementのExchange legacy領域からMRM Retention policiesを開き、対象ポリシーを編集してタグを追加または削除する流れが案内されています。(Microsoft Learn)

「別のポリシーを既定にできるのか」は慎重に判断する

Default Retention Policy in Exchange Onlineのページでは、「新しいユーザーに自動適用される既定の保持ポリシーとして、別のポリシーを設定する」操作は不可と整理されています。(Microsoft Learn)

一方、Exchange Online PowerShellのSet-RetentionPolicyには-IsDefaultパラメーターがあり、既定の保持ポリシーを指定する機能が説明されています。ただし、メールボックスプランのRetentionPolicy値によって新規・既存メールボックスへの影響が変わる可能性があり、大量のメールボックスに影響する変更ではネットワーク負荷にも注意が必要とされています。(Microsoft Learn)

このため、実務では「既定ポリシーを変えればすべて解決」と考えないほうが安全です。大規模テナントでは、次のように扱うのが現実的です。

状況推奨対応
少数ユーザーだけ保持動作を変えたい対象ユーザーに別ポリシーを明示的に割り当てる
全社のアーカイブ移動年数を変えたいDefault MRM Policy内のアーカイブタグ変更を検討し、検証後に展開する
全社の保持・削除ルールを統制したいPurviewの保持ポリシー/保持ラベルを設計する
既定ポリシーそのものを変更したいPowerShell仕様、MailboxPlan、既存ユーザー影響を検証環境で確認する

業務ユーザーに説明すべきポイント

Default MRM Policyは管理者だけの設定に見えますが、個人タグが含まれるため、OutlookやOutlook on the webを使う業務ユーザーにも影響します。Microsoftの説明では、個人タグはユーザーがメールやフォルダーに手動で適用でき、既定のタグやフォルダーのタグとは異なる保持動作を指定できます。(Microsoft Learn)

ユーザー向けには、専門用語よりも次のように説明すると混乱を減らせます。

ユーザーに伝える内容具体的な説明例
アーカイブは削除ではない古いメールが見えなくなった場合でも、オンラインアーカイブに移動している可能性があります
個人タグは慎重に使う「1 Week Delete」を付けたメールは短期間で削除対象になります
削除しないタグにも限界がある組織の保持ポリシーや法的保持が優先される場合があります
重要メールの保存先を自己判断しない契約、監査、法務関連メールは部門ルールに従ってください

特にグローバル企業では、国や地域ごとに保持要件が異なる場合があります。ユーザーに「古いメールは自動で安全に保管される」とだけ伝えると誤解を招きます。アーカイブ、削除、法的保持、監査対応は別の概念として説明することが大切です。

失敗しやすい設定ミス

Default MRM Policyの運用でよくある失敗は、設定そのものよりも「期待していた動作」と「実際の動作」のズレです。

失敗例原因回避策
2年経過したメールが削除されると思っていた既定DPTは削除ではなくアーカイブ移動タグのRetention actionを確認する
削除済みアイテムが自動削除されないDeleted Items用の既定タグがない必要に応じてRPTを追加する
保持ポリシーを変えたのにすぐ反映されないManaged Folder Assistantの処理待ち反映に時間差がある前提で検証する
ユーザーが個人タグを誤用するタグ名の意味を説明していないOutlookに表示されるタグの説明を社内向けに用意する
PurviewとMRMの役割が混在するアーカイブと保持・削除を同じものとして扱っているアーカイブ移動はMRM、情報ガバナンスはPurviewで分ける

管理者が次に取るべき行動

まず、自社テナントのDefault MRM Policyを確認し、既定タグと実際のタグ構成を棚卸ししてください。特に、2年アーカイブ、Recoverable Items、Junk Email、個人削除タグ、Deleted Items向けタグの有無を確認することが重要です。

次に、要件を「アーカイブ移動」「自動削除」「法的保持」「ユーザー操作」の4つに分けます。アーカイブ移動はMRMでよい一方、組織として保持・削除を統制する要件はMicrosoft Purviewの保持ポリシーや保持ラベルで設計するのが基本です。

最後に、ユーザーへ影響する個人タグやアーカイブ動作を説明します。Default Retention Policy in Exchange Onlineの更新は、単なるドキュメント更新として流すのではなく、Exchange Onlineの保持管理を棚卸しするよいタイミングです。設定を変える前に、まずは「現在どのポリシーが、どのユーザーに、どの目的で効いているのか」を可視化することから始めましょう。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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