Exchange Onlineアイテム保持ポリシーの作成方法と2026年4月確認ポイント

Exchange Onlineのアイテム保持ポリシーで最初に押さえるべき答えは、「保持タグを作る」「タグをポリシーに追加する」「そのポリシーをメールボックスに適用する」という3段階でメールのライフサイクルを管理することです。2026年4月時点で特に重要なのは、Exchange OnlineのMRM保持ポリシーを万能なコンプライアンス機能として使うのではなく、アーカイブメールボックスへの移動やExchangeメールボックス内のフォルダー単位管理に絞って設計することです。Microsoftは、Microsoft 365全体の保持・削除にはMicrosoft Purviewのretention policies and retention labelsを使うことを推奨しつつ、メールをアーカイブメールボックスへ移動する用途ではMRMの利用を継続する位置付けを示しています。(Microsoft Learn)

なお、Microsoft Learnの現行ページ上では、英語版の「Create a retention policy for Exchange Online」は最終更新日が2024-06-25、日本語版は2024-12-24と表示されています。2026-04-23付の更新情報として社内ナレッジや通知を扱う場合は、公式ページの表示内容、Microsoft 365管理センターのメッセージセンター、テナント側の実画面を突き合わせて確認するのが安全です。(Microsoft Learn)

目次

Exchange Onlineの最新動向:Create a Retention Policy in Exchange Onlineで何を確認すべきか

今回のポイントは、単に「保持ポリシーの作り方を覚える」ことではありません。管理者が見直すべきなのは、Exchange OnlineのMRM保持ポリシーをどの用途に使い、どの用途ではMicrosoft PurviewのMicrosoft 365保持ポリシーや保持ラベルを使うべきか、という運用設計です。

Microsoft Learnでは、Exchange OnlineのMRM保持ポリシーをメールのライフサイクル管理に使えると説明しています。具体的には、保持タグを作成し、それを保持ポリシーに追加し、メールボックスユーザーへ適用します。一方で、Microsoft 365全体のデータライフサイクル管理では、MRMではなくMicrosoft Purviewのretention policies and retention labelsが推奨されています。(Microsoft Learn)

確認ポイント管理者が取るべき対応
MRMはExchange Online向けの古い機能として扱われる新規設計では「本当にMRMが必要か」を先に判断する
Microsoft 365全体の保持・削除はPurviewが中心SharePoint、OneDrive、Teams、Copilotなどを含める場合はMicrosoft 365保持ポリシーを検討する
アーカイブメールボックスへの移動はMRMの有効な用途メール容量対策や自動アーカイブではMRM保持タグを使う
設定場所はMicrosoft Purviewポータル内のExchange legacy領域管理手順書では英語UI名「Exchange (legacy)」「MRM Retention tags」を併記する
適用後すぐに反映されるとは限らないテストメールボックスで検証し、必要に応じてManaged Folder Assistantを実行する

Exchange OnlineのRetention Policyとは

Exchange OnlineのRetention Policyは、メールボックス内のアイテムに対して「いつまで残すか」「期限後に削除するか、アーカイブへ移動するか」を決める仕組みです。MRMでは、保持ポリシーそのものに日数や削除動作を直接書き込むのではなく、保持タグにルールを定義し、そのタグをポリシーへ紐付けます。(Microsoft Learn)

実務では、次の3つの部品で考えると分かりやすくなります。

要素英語名役割具体例
保持タグRetention tag何日後に何をするかを定義する3年後にアーカイブへ移動、30日後に迷惑メールを削除
保持ポリシーRetention policy複数の保持タグをまとめる営業部向けメール保持ポリシー、全社標準ポリシー
メールボックス適用Apply to mailboxユーザーのメールボックスにポリシーを割り当てる[email protected]に全社標準ポリシーを適用

Exchange Onlineでは、保持ポリシーを作成しただけではメールは移動・削除されません。タグをポリシーに追加し、そのポリシーを対象メールボックスに適用して初めて意味を持ちます。Microsoft Learnでも、保持タグを作成して保持ポリシーに追加し、メールボックスユーザーへ適用する流れが説明されています。(Microsoft Learn)

MRM保持ポリシーとMicrosoft 365保持ポリシーの使い分け

Exchange Online管理で混乱しやすいのが、「Retention Policy」という名前の機能が複数あることです。MRMの保持ポリシーと、Microsoft PurviewのMicrosoft 365保持ポリシーは、似た名前でも用途が異なります。

判断軸MRM保持ポリシーMicrosoft 365保持ポリシー・保持ラベル
主な対象Exchange OnlineメールボックスExchange、SharePoint、OneDrive、Teams、Microsoft 365 Groups、Copilot関連など
得意な用途メールのアーカイブ移動、既定フォルダー単位の削除Microsoft 365全体の保持、削除、レコード管理
ユーザー操作個人タグをOutlookやOutlook on the webで使える保持ラベルをユーザーまたは管理者が適用できる
推奨される使い方アーカイブ移動などExchange特有の用途コンプライアンス目的の保持・削除の中心
注意点古い機能としてPurviewと併用されるアーカイブメールボックスへの移動はMRMが必要な場合がある

Microsoft Purviewの保持ポリシーは、サイトやメールボックスなどの単位に同じ保持設定を適用する用途に向いています。一方、保持ラベルはメールやドキュメントなどアイテム単位で異なる保持設定を適用したい場合に使います。Microsoftは、保持ポリシーと保持ラベルを単独または組み合わせて使えると説明しています。(Microsoft Learn)

実務上の判断基準はシンプルです。Exchange Onlineのメールを「一定期間後にアーカイブへ移動したい」ならMRMを検討します。メール、SharePoint、OneDrive、Teamsをまたいで「法務・監査・情報ガバナンスのために保持または削除したい」なら、Microsoft Purviewの保持ポリシーや保持ラベルを優先します。

作成前に確認すべき前提条件

Exchange OnlineでMRM保持ポリシーを作成する前に、次の条件を確認してください。ここを飛ばすと、ポリシーを作ったのに何も起きない、想定外の削除が起きる、ユーザーから問い合わせが増える、といった問題につながります。

確認項目確認内容失敗しやすいポイント
権限Messaging records management、Retention policiesに関係する管理権限が必要権限不足でPurview画面やPowerShell操作ができない
対象メールボックスポリシーを適用するメールボックスはMicrosoft 365上に存在する必要があるオンプレミスや移行途中のメールボックスを対象にしてしまう
アーカイブメールボックスMove to Archiveを使う場合はアーカイブメールボックスが必要アーカイブが無効なため、移動処理が行われない
既存ポリシーメールボックスにはMRM保持ポリシーを1つだけ割り当てられる既存のDefault MRM Policyを置き換える影響を見落とす
保留設定訴訟ホールドやMicrosoft 365保持ポリシーの影響を確認する完全削除を設定しても、保留中のアイテムはeDiscoveryに残る可能性がある
テスト範囲まず少数のテストメールボックスで検証する全社一括適用で削除・アーカイブの問い合わせが集中する

Microsoft Learnでは、このタスクの想定所要時間を30分とし、手順には特定のアクセス許可が必要で、MRM保持ポリシーとタグの構成はMicrosoft Purviewポータルにあると説明しています。Messaging records managementに関する機能権限は、Compliance Management、Organization Management、Records Managementなどのロールグループに関連します。(Microsoft Learn)

保持タグの種類を理解する

保持ポリシーの設計で最も大事なのは、保持タグの種類を正しく選ぶことです。タグの種類を間違えると、全メールボックスに適用したい設定が一部のフォルダーにしか効かない、またはユーザーが選択する個人タグが多すぎて混乱する、といった問題が起きます。

Default Policy Tag:メールボックス全体に適用するタグ

Default Policy Tag、略してDPTは、メールボックス全体に既定で適用するタグです。たとえば「すべてのメールを7年後に削除する」「すべてのメールを2年後にアーカイブへ移動する」といった用途で使います。Microsoft Learnでは、DPTを使ってメールボックス内のすべてのアイテムに適用される既定の削除ポリシーやアーカイブポリシーを作成できると説明しています。(Microsoft Learn)

Retention Policy Tag:既定フォルダーに適用するタグ

Retention Policy Tag、略してRPTは、受信トレイ、削除済みアイテム、迷惑メールなどの既定フォルダーに適用するタグです。たとえば「迷惑メールフォルダーは30日後に完全削除」「削除済みアイテムは5年後に削除して回復を許可」といった設定に向いています。

注意点として、RPTでは主に削除系のアクションを使います。Microsoft Learnでは、既定フォルダー向けRPTは「Delete and allow recovery」または「Permanently delete」の保持アクションで作成できると説明されています。(Microsoft Learn)

Personal Tag:ユーザーが選べるタグ

Personal Tagは、OutlookやOutlook on the webでユーザーがメールやフォルダーに適用できるタグです。たとえば「1年後にアーカイブ」「削除しない」など、ユーザー自身が例外的な扱いをしたい場合に使います。

ただし、個人タグを増やしすぎるとユーザーは選べなくなります。Microsoft Learnでは、保持ポリシーに任意数の個人タグを追加できる一方、異なる保持設定の個人タグが多いとユーザーを混乱させるため、10個以下にすることが推奨されています。(Microsoft Learn)

Microsoft Purviewポータルで保持ポリシーを作成する流れ

GUIで作業する場合は、Microsoft Purviewポータルから進めます。画面名はテナントやロール、言語設定によって多少変わる可能性がありますが、Microsoft Learnでは次のパスが示されています。

Microsoft Purview portal > Solutions > Data lifecycle management > Exchange (legacy) > MRM Retention tags

保持ポリシーの作成は、次の順序で進めるとミスを減らせます。

手順作業実務での確認ポイント
1保持タグを作成するDPT、RPT、Personalのどれにするかを先に決める
2保持期間を設定する日数指定か、削除・移動しない設定かを確認する
3保持アクションを選ぶDelete and allow recovery、Permanently delete、Move item to archiveを使い分ける
4タグ名と説明を入力する個人タグ名はユーザーにも分かる名前にする
5MRM Retention policiesで新しいポリシーを作成する空のポリシーを作らないよう、必要なタグを追加する
6メールボックスに適用する対象ユーザー、部門、テスト範囲を確認する
7動作確認するOutlook、Outlook on the web、PowerShellで確認する

保持期間の計算にも注意が必要です。Microsoft Learnでは、予定表とタスクを除くサポート対象アイテムの保持期間は、アイテムの受信日または作成日から計算されると説明されています。予定表とタスクでは終了日を基準に計算されます。(Microsoft Learn)

PowerShellで作成する場合の基本例

多数のテナントや複数部門へ標準化して展開する場合は、Exchange Online PowerShellを使うと設定内容を再現しやすくなります。以下は、実務でよくある「3年後にアーカイブへ移動」「削除済みアイテムを5年後に削除して回復を許可」という構成例です。

New-RetentionPolicyTag -Name "DPT-Archive-3Years" `
  -Type All `
  -RetentionEnabled $true `
  -AgeLimitForRetention 1095 `
  -RetentionAction MoveToArchive

New-RetentionPolicyTag -Name "RPT-DeletedItems-5Years" `
  -Type DeletedItems `
  -RetentionEnabled $true `
  -AgeLimitForRetention 1825 `
  -RetentionAction DeleteAndAllowRecovery

New-RetentionPolicy -Name "Company-MRM-Archive-Delete" `
  -RetentionPolicyTagLinks "DPT-Archive-3Years","RPT-DeletedItems-5Years"

New-RetentionPolicyTagは保持タグの作成に使うコマンドレットで、-Type AllはDPT、-Type DeletedItemsは削除済みアイテムなどの既定フォルダー向けタグを表します。RetentionActionでは、回復可能な削除、完全削除、アーカイブ移動などを指定できます。(Microsoft Learn)

作成した保持ポリシーを特定メールボックスへ適用する場合は、Set-Mailboxの-RetentionPolicyパラメーターを使います。Microsoft Learnでは、このパラメーターで対象メールボックスに適用する保持ポリシーを指定でき、ポリシー内のタグがメールボックスフォルダーやメールアイテムに適用されると説明されています。(Microsoft Learn)

Set-Mailbox -Identity [email protected] `
  -RetentionPolicy "Company-MRM-Archive-Delete"

適用後にすぐ処理を始めたい場合は、対象メールボックスに対してManaged Folder Assistantを実行します。

Start-ManagedFolderAssistant -Identity [email protected]

Start-ManagedFolderAssistantは、指定したメールボックスに対してMRM処理を直ちに開始するためのコマンドレットです。通常の処理を待たずに検証したい場合や、テストメールボックスで動作確認したい場合に役立ちます。(Microsoft Learn)

保持ポリシーに追加できるタグの制限

保持ポリシーには複数のタグを追加できますが、何でも自由に組み合わせられるわけではありません。Microsoft Learnでは、保持ポリシーに含められるタグとして、アーカイブ移動用DPT、削除用DPT、ボイスメール用DPT、既定フォルダーごとのRPT、任意数の個人タグが示されています。(Microsoft Learn)

タグ構成追加可否の考え方
Move item to archiveのDPT1つ
Delete and allow recoveryまたはPermanently deleteのDPT1つ
ボイスメール用の削除DPT1つ
受信トレイや迷惑メールなど既定フォルダーのRPT既定フォルダーごとに1つ
Personal Tag任意数。ただし実務上は10個以下が推奨

特に注意したいのは、タグを追加していない保持ポリシーです。Microsoft Learnでは、保持タグを追加せずに保持ポリシーを作成できるものの、そのポリシーが適用されたメールボックスではアイテムが移動または削除されないと説明されています。(Microsoft Learn)

つまり、「ポリシーを作ったのに動かない」という問い合わせの原因は、タグ未追加、対象メールボックス未適用、Managed Folder Assistant未処理のいずれかであることが多いです。

適用時に必ずテストすべき理由

保持ポリシーは、メールを削除したりアーカイブへ移動したりする管理機能です。設定ミスがあっても、ユーザー画面では「メールが勝手に消えた」「フォルダーからメールがなくなった」と見えます。

Microsoft Learnでは、保持ポリシーを1つ以上のメールボックスへ適用する前に、ポリシーをテストし、関連付けられた各保持タグを確認することが推奨されています。また、メッセージは保持ポリシーに紐付く保持タグの設定に基づいて期限切れ処理されるため、タグの内容確認が重要です。(Microsoft Learn)

テストでは、次の観点を確認してください。

テスト項目確認方法
ポリシーが割り当てられているかExchange管理センターまたはPowerShellで対象メールボックスのRetention Policyを確認
アーカイブメールボックスが有効かMoveToArchiveを使うユーザーでアーカイブが有効か確認
対象フォルダーに効いているか迷惑メール、削除済みアイテム、受信トレイなどの対象フォルダーを確認
削除と回復の挙動OutlookまたはOutlook on the webの削除済みアイテム回復を確認
反映タイミングManaged Folder Assistantの実行後に検証
ユーザーへの見え方個人タグ名や説明が業務利用者に伝わる表現か確認

よくある失敗と回避策

MRMをMicrosoft 365全体の保持機能として設計してしまう

Exchange OnlineのMRMは、メールボックス内のメール管理には有効ですが、Microsoft 365全体のデータ保持を一元管理する目的ではMicrosoft Purviewの保持ポリシーや保持ラベルを検討すべきです。Microsoft Purviewの保持機能は、Exchange、SharePoint、OneDrive、Microsoft 365 Groups、Teams、Copilot関連など複数の場所に適用できます。(Microsoft Learn)

回避策は、要件定義の段階で「Exchangeメールだけの話か」「Microsoft 365全体の情報ガバナンスか」を分けることです。後者なら、MRMではなくPurviewのデータライフサイクル管理を主軸にします。

アーカイブメールボックスを有効化していない

MoveToArchiveのタグを設定しても、対象ユーザーのアーカイブメールボックスが有効でなければ期待した移動はできません。Microsoftの例でも、アーカイブへ移動する保持タグを使うには、ユーザーのアーカイブメールボックスが有効である必要があると説明されています。(Microsoft Learn)

回避策は、ポリシー適用前に対象ユーザーのアーカイブ状態を棚卸しすることです。部門ごとに適用する場合は、先にアーカイブ有効化の対象リストを確定しておきます。

個人タグを増やしすぎる

Personal Tagは便利ですが、選択肢が多すぎるとユーザーは使い分けられません。「1年保存」「2年保存」「3年保存」「5年保存」「7年保存」「削除しない」のように細かく増やすと、問い合わせや誤適用が増えます。

回避策は、個人タグを業務判断で使える最小限に絞ることです。たとえば、一般ユーザー向けには「1年後にアーカイブ」「削除しない」のように2〜3個へ抑え、詳細な保持要件は管理側のポリシーで処理します。

反映が遅いことを障害と判断してしまう

保持ポリシーは、保存した瞬間に全メールへ即時反映されるとは限りません。Microsoftの例では、Exchange Onlineで新しい保持設定がメールボックスに適用されるまで最大7日かかる場合があり、Managed Folder Assistantを実行すれば処理を強制できると説明されています。(Microsoft Learn)

回避策は、検証手順書に「反映待ち」と「手動実行」の両方を明記することです。運用担当者が同じ判断をできるよう、Start-ManagedFolderAssistantを使う場面も整理しておきます。

完全削除を設定すれば必ず消えると思い込む

Permanently deleteを設定しても、訴訟ホールドやMicrosoft 365保持ポリシー、保持ラベルなどの保留対象であれば、アイテムは完全削除されず、eDiscovery検索に残る場合があります。Microsoft Learnでも、保留対象のメールボックスやアイテムは完全に削除されず、eDiscovery検索に引き続き返されると説明されています。(Microsoft Learn)

回避策は、削除ポリシーを作る前に、法務・監査・セキュリティ部門と保留ポリシーの有無を確認することです。「削除したい」と「証拠保全のため保持したい」は衝突しやすいため、管理者だけで判断しないほうが安全です。

管理者向けの実務テンプレート

Exchange OnlineでMRM保持ポリシーを作るときは、次のような設計メモを残しておくと、後から変更や監査対応がしやすくなります。

項目記入例
ポリシー名Company-MRM-Archive-Delete
目的メールボックス容量対策として3年経過メールをアーカイブへ移動し、削除済みアイテムを5年後に削除する
対象全社員。ただし役員、法務部門、訴訟ホールド対象者は別途確認
DPTDPT-Archive-3Years、1095日後にMoveToArchive
RPTRPT-DeletedItems-5Years、1825日後にDeleteAndAllowRecovery
Personal Tag必要に応じて「Never Delete」または「1年後にアーカイブ」を提供
適用方法テストユーザー10名で検証後、部門単位で段階適用
確認方法Set-Mailbox適用確認、Start-ManagedFolderAssistant実行、Outlookで移動・削除を確認
ユーザー周知アーカイブに移動するタイミング、削除済みアイテムの扱い、問い合わせ先を案内

このテンプレートの目的は、単に設定値を記録することではありません。なぜその保持期間にしたのか、誰に適用するのか、どのリスクを許容するのかを残すことです。保持ポリシーはIT部門だけの設定ではなく、情報管理・法務・現場業務に影響する運用ルールです。

ビジネスユーザーに説明するときのポイント

管理者が正しく設定しても、利用者が挙動を理解していないと問い合わせが増えます。特にアーカイブ移動は「メールが消えた」と誤解されやすいため、展開前に短い説明を用意しておくと効果的です。

利用者向けには、次のように説明すると伝わりやすくなります。

利用者の疑問説明例
メールが勝手に消えたのか一定期間を過ぎたメールは、削除ではなくアーカイブへ移動される場合があります
どこで探せばよいかOutlookまたはOutlook on the webのアーカイブメールボックスを確認してください
削除済みアイテムはいつまで残るか会社の保持ルールに基づき、一定期間後に削除処理されます
重要メールを残したい場合利用可能な個人タグがある場合は、指定されたタグを適用してください
例外対応はできるか業務上の理由がある場合は、IT部門または情報管理担当へ相談してください

ユーザー周知では、細かいPowerShellコマンドを説明する必要はありません。重要なのは「いつ何が起きるか」「どこを見ればよいか」「困ったら誰に聞くか」です。

2026年4月時点で取るべき次のアクション

Exchange Onlineのアイテム保持ポリシーを見直すなら、まず既存のDefault MRM PolicyやカスタムMRMポリシーを棚卸ししてください。次に、各ポリシーが「アーカイブ移動のために必要なのか」「Microsoft 365全体の保持・削除を担ってしまっていないか」を分けて確認します。

実務での次の一手は、次の順番がおすすめです。

優先度アクション
高既存MRMポリシー、保持タグ、適用メールボックスを一覧化する
高アーカイブ移動が目的のポリシーと、削除・保持が目的のポリシーを分ける
高Microsoft Purviewの保持ポリシー・保持ラベルへ移すべき要件を洗い出す
中個人タグが多すぎないか確認する
中テストメールボックスで反映タイミングとユーザー画面を確認する
中利用者向け説明文と問い合わせフローを用意する
低PowerShell化して、設定内容を再現できるようにする

Exchange OnlineのRetention Policyは、作成手順だけを見るとシンプルです。しかし実際の運用では、Microsoft Purviewとの使い分け、アーカイブメールボックスの有無、保留設定、ユーザーへの説明まで含めて設計しないと、意図しない削除や問い合わせ増加につながります。2026年4月時点の見直しでは、MRMを「メールのアーカイブ移動やExchange固有のフォルダー管理に使う機能」と位置付け、Microsoft 365全体の保持・削除はPurview側へ寄せる方針で整理するのが現実的です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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