「このドキュメントをバックアップ」を非表示に:OfficeのGPO・Cloud PolicyとKFMの違い

Officeの「このドキュメントをバックアップ」を非表示にしたい場合は、バナー専用ポリシー、フォルダー移動の制御、既定保存先を分けて設定します。

Windowsデスクトップ版のWord・Excel・PowerPointに出るKFMへの案内には、Microsoftが公開している「Restrict KFM from Office」があります。バックアップ停止やOneDrive全体の禁止を先に行う必要はありません。個人用Microsoftアカウントと、組織が管理するMicrosoft 365 Appsでは利用できる管理方法が違います。

目次

何を止めたいかで設定を選ぶ

目的確認する設定変更する範囲
OfficeのKFM案内バーだけ非表示Restrict KFM from Officeを有効化Office内の対象メッセージバー。OneDrive/KFMの他設定は変更しない
Windows既知フォルダーをOneDriveへ移動させないOneDriveのPrevent users from moving their Windows known folders to OneDriveKFM利用そのものとManage backupに影響
新規ファイルの既定保存先をローカルへ変更各Officeアプリの保存設定保存先の初期選択。KFM案内の恒久非表示とは別
実際にフォルダーバックアップを止めたいOneDriveのManage backup同期対象・ファイルの残す場所に影響

同じOneDriveという名前でも、Officeの案内、Windows/OneDrive側の通知、保存ダイアログは別の画面です。この記事で扱うバナー専用ポリシーは、すべての製品に出るOneDrive通知を消す設定ではありません。

Restrict KFM from Officeの適用範囲

Microsoftの専用ポリシー資料は、Windowsデスクトップ版Word・Excel・PowerPointで表示される既知フォルダー移動(Known Folder Move、KFM)への案内を対象にしています。有効化して配布すると対象メッセージバーを表示せず、OneDriveやKFMの他の構成は変更しません。

必要なOffice管理用テンプレートの最低版は5497.1000です。これはOfficeアプリのビルド番号ではなくテンプレートの版です。2026年10月の確認時点では公式ダウンロードに5568.1000が表示されています。テンプレートを更新しただけで対象ユーザーにポリシーが適用されたとは判断できません。

公式資料は、KFM登録済み、OneDriveが未導入・未実行、既知フォルダー移動禁止、Restrict KFM from Office有効などでは対象バーが出ないと説明しています。バナーが出ない結果だけで配布成功を判定せず、既に出ない条件になっていないかも照合してください。

GPOで配布する場合

  1. 公式配布からOfficeのADMX/ADMLを取得・展開し、管理環境のPolicyDefinitionsと対応言語フォルダーへ配置します。既存のCentral Storeを利用している場合はその管理方法に合わせます。
  2. グループポリシー管理で対象ユーザーに配布するGPOを編集し、[ユーザーの構成]→[ポリシー]→[管理用テンプレート]→[すべての設定]を開きます。
  3. Restrict KFM from Officeを探し、[有効]に設定します。既存ドメイン全体へ直ちに適用せず、対象OU・フィルターを確認して少数ユーザーで比較します。
  4. ユーザーへポリシーが反映されたことを確認し、Officeを終了・再起動して同じローカル文書を開きます。案内バーの表示と既存の同期状態を別に確認します。

専用資料は反映に最大24時間かかる場合があると説明しています。編集後すぐに消えない結果だけで、機能不存在やレジストリ破損と断定しないでください。ADMX/ADMLの取得版、対象ユーザー、GPOの適用先を記録します。

Cloud PolicyとIntuneからのOfficeポリシー

ドメイン非参加端末でも、対象ユーザーのMicrosoft 365 Apps for enterpriseへのサインインを利用してCloud Policyを配布できます。Cloud Policyの現行要件では、Office Apps Administratorが推奨管理ロールで、対象はユーザーオブジェクトです。端末グループだけを割り当てても、端末オブジェクトは適用対象になりません。

  1. Microsoft 365 Apps管理センターの[Customization]→[Policy Management]で構成を作成します。
  2. 対象ユーザーグループを選び、設定一覧でRestrict KFM from Officeを検索して有効化します。
  3. 適用先と設定内容を確認して保存します。対象ユーザーがサインインしているアカウントと、設定取得後のOffice再起動を確認します。

Intune管理センターの[Apps]→[Policy]→[Policies for Office apps]からもCloud Policyの入口に進めます。これはOneDriveのデバイス設定カタログでKFM自体を禁止する操作とは違います。画面に目的のポリシーがない場合は、別のOneDrive禁止設定を代わりに選ぶ前に製品・権限・対象プラットフォームを確認してください。

Cloud PolicyはすべてのOffice購入形態へ同じように配布できるわけではありません。公式要件ではOffice LTSCなどのボリュームライセンスClick-to-Run版は対象外、Microsoft 365 Apps for businessはプライバシー関連ポリシーのみ対応という制約があります。個人用Home/Personalのサインインを組織のCloud Policy対象として扱わないでください。

Cloud Policyが効かない場合の確認

取得済みのポリシーは通常Officeアプリの再起動後に適用されます。複数アカウントがサインインしているWindows端末ではプライマリーアカウントのポリシーを使うため、対象ユーザー名を確認します。競合する複数構成では優先度0が最上位です。

現行資料では、構成が割り当てられたユーザーは90分後、未割当なら24時間後の再確認が説明されています。Officeが動いていない場合は次の起動時などに確認されます。「何をしても24時間以内に全員反映」「gpupdateだけでクラウドポリシーが即取得」とは保証しません。

読み取り専用の確認例として、次はCloud Policyの取得情報とOneDriveの既知フォルダー移動設定を表示します。値が存在しない結果だけで、すべての配布元が未設定とは断定できません。コマンドプロンプトで利用できる確認です。

reg query "HKCU\Software\Microsoft\Office\16.0\Common\CloudPolicy"
reg query "HKLM\SOFTWARE\Policies\Microsoft\OneDrive" /v KFMBlockOptIn

レジストリを消して確認を強制する手順や、原因未確認のOfficeサインアウト・ユーザープロファイル再作成を先に行いません。対象ライセンス、グループ、優先度、アプリ再起動、ポリシー取得先への通信を確認します。

KFMBlockOptInはバナー専用ではない

OneDriveの同期ポリシーでは「Prevent users from moving their Windows known folders to OneDrive」のポリシー名はBlockKnownFolderMoveですが、確認するレジストリ値名はKFMBlockOptInです。値名だけで別設定と混同しないでください。

値・設定実際の対象
KFMBlockOptIn=1既知フォルダーのOneDriveへの移動を禁止しManage backupを無効化。既に移動したファイルはOneDriveに残る
KFMBlockOptIn=2禁止を有効にして既知フォルダーを端末へ戻すための設定。バナーだけ消す目的で使わない
Prompt/Silently moveの同時有効化公式資料では移動禁止が効かない条件として説明。既存設定を照合
KFMBlockOptOut端末側へ戻す操作を禁止する別の設定。OptInと区別

KFMの方針を変える場合に管理者が検討する設定です。通知だけを消すためにテナントIDを入れてフォルダーをサイレント移動したり、個人用OneDrive同期を全面禁止したりする必要はありません。既に運用しているバックアップとの整合を確認してから変更します。

個人利用:既定保存先を変える場合

Word・Excel・PowerPointの[ファイル]→[オプション]→[保存]で[既定でコンピューターに保存する]を選び、[既定のローカルファイルの保存場所]を設定できます。設定はアプリごとです。Wordを変えてもPowerPointの保存先は同時には変わりません。Microsoftの保存設定手順で表示名を確認してください。

これで新規ファイルの保存先を選びやすくなりますが、既存ファイルの移動やKFM案内の恒久非表示を保証するものではありません。「クラウドへの自動保存をオフにすれば必ず案内が消える」「PreferCloudSaveLocationsを書けばバナー頻度が下がる」という原文の効果保証は訂正します。

フォルダーバックアップを止める場合の保存先

バックアップを本当に止めたい場合だけ、OneDriveの[設定]→[同期とバックアップ]→[バックアップを管理]を確認します。現行のWindows向け停止手順は、OneDriveだけに残すか、PCだけに残すかを選ぶ操作を説明しています。停止すれば全ファイルが自動的にローカルへ戻る、という原文の説明は正しくありません。

クラウドのみのファイルは先に[このデバイス上で常に保持する]でダウンロードが必要になる場合があります。保存先と同期状態を確認し、残したい場所に必要なファイルがあることを確認してから停止します。バックアップ停止は案内バーを消すための一般的な第一手順ではありません。

同じ文書で適用結果を確認する

  • Officeアプリ・版・更新チャネル、Windowsユーザー、Officeプライマリーアカウントを記録
  • 同じローカル文書で、変更前のKFM案内と変更後の表示を比較
  • GPOまたはCloud Policyの対象・優先度・取得状態を確認
  • Office再起動後の表示と、OneDriveの同期・既知フォルダーの場所を別々に確認
  • 案内が残る場合は、OfficeのKFMバーか別製品の通知かをスクリーンショットで照合

非表示の設定を撤回する場合も、元のGPOやCloud Policy構成で戻し、対象と再起動を確認します。Officeの案内を戻す操作と、KFM移動済みファイルを端末へ戻す操作は別です。


選ぶ設定の要点

組織でOfficeの対象バナーだけを非表示にするなら、対応するRestrict KFM from Officeを適切な配布方法で設定します。保存先変更とフォルダーバックアップ停止は別の目的です。対象外の製品で同じ方法が使えると考えず、表示場所・管理方式・ファイルの所在を確認してから操作を選んでください。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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