職場やチームで共有メールボックスを閲覧しようとしたとき、表示されるフォルダーが制限されてしまうと大変不便ですよね。特にブラウザ版で作業を完結させたい場合、「Load more folders」が見当たらないという現象は思わぬストレスにつながります。本記事では、2024年7月上旬頃にOutlook 365 Web版や新Outlook版で多発した「Load more folders」リンクが消失する問題の背景や原因、さらに具体的な対処法や暫定的なワークアラウンドをまとめています。同様のトラブルでお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
Outlook 365 Web版・新Outlook版での「Load more folders」問題とは
Outlook 365のWeb版と新Outlook版(プレビュー版とも呼ばれる)で、共有メールボックスや多数のフォルダーを持つアカウントを開いた際に、すべてのフォルダーが表示されなくなるトラブルが2024年7月上旬頃から多発していました。本来であれば左側のフォルダー一覧の最後に「Load more folders」というリンクがあり、そこから追加のフォルダーを読み込める仕様ですが、そのリンク自体が消えてしまい、結果的に一部のフォルダーしか閲覧できなくなるという現象です。
大きな特徴と症状
- 共有メールボックスやフォルダー数が多いアカウントで現象が確認される
- Web版Outlookや新Outlookのプレビューで頻発
- 同じアカウントをOutlookデスクトップ版や「Open other mailbox」(他のメールボックスを開く)で直接開くと問題なく表示される
- 複数のユーザー、PC、ブラウザ環境で共通して発生
一時的に「Load more folders」が復活したケース
2024年7月25日前後に、突如「Load more folders」リンクが再度表示され始めたという報告もあり、Microsoft側で何らかの修正やロールバックが行われた可能性が示唆されています。しかし、正式なアナウンスは確認されていないため、原因は依然としてはっきりしていません。
問題の背景や原因は何だったのか
多くのユーザーが同時期に遭遇したことから、Microsoft側の一時的な不具合、仕様変更、あるいはテスト的な変更が影響したと考えられます。とりわけ新Outlook版は、ユーザーインターフェースや表示仕様が頻繁に更新されるため、こうした不具合が表面化しやすいタイミングだったともいえます。
仕様変更説
新Outlook版ではデザインや機能のレイアウトを大幅に見直すアップデートが定期的に行われます。大量のフォルダーを持つメールボックスでのパフォーマンスを向上させる目的で、フォルダーの段階的読み込みに制限が加わった可能性があります。しかし、仕様変更が不具合に直結したことで、肝心の「Load more folders」リンクまで非表示になってしまったのかもしれません。
バグ説
特定の条件下でフォルダーが正しく読み込まれず、リンクやUI部品が意図せず表示されなかったというバグの可能性も高いでしょう。同期に時間がかかる状況下でUIがエラーを起こし、フォルダー一覧の描画を途中で止めてしまうケースが想定されます。実際、同様の事例として、Outlook Web版で読み込み中のインジケーターが消えないバグが過去にも報告されています。
具体的に試された対処策とその効果
この問題に対して多くのユーザーが試みた対処策と、それぞれの効果や実際の利点・欠点を整理してみましょう。
1. キャッシュやCookieの削除
ブラウザのキャッシュやCookieが原因でUIが更新されず、古い状態が表示されている可能性を考え、キャッシュクリアを実施するのは定番の対処策です。しかし、この問題においては多くの報告で効果が見られず、キャッシュやCookieを削除しても「Load more folders」は復活しないケースが目立ちました。
対処策 | 想定されるメリット | デメリット/効果不十分な点 |
---|---|---|
キャッシュ/Cookie削除 | UIの読み込みエラーをリセット | 多くの場合効果なし |
Outlook設定のリセット | ビューや表示の再構築 | 根本解決には至らない |
フォルダーのアーカイブ | フォルダー数の削減 | 不具合解消につながらない |
2. Outlookの表示設定リセット
Outlook Web版では「Settings」→「View all Outlook settings」から各種設定を変更し、ビューを初期化することが可能です。デスクトップ版の場合もビューリセット機能が存在し、フォルダー表示のトラブルが解消される場合があります。ただし、本問題においては表示設定をリセットしても「Load more folders」が出てこない状態が続き、直接的な効果はあまりなかったようです。
3. フォルダー数の削減やアーカイブ
フォルダー数が多すぎると、Web版や新Outlookが負荷を考慮して一部のフォルダーしか読み込まない場合があります。これを踏まえ、大量のフォルダーをアーカイブしたり整理を行う方法も試されました。しかし、問題発生時期にはフォルダー数を大幅に減らしても症状が改善されないという声が多く、今回の「Load more folders」非表示問題とフォルダー数は直接の因果関係がない可能性が高いといえます。
4. 別のアクセス方法を使用する
Outlookデスクトップ版や「Open other mailbox」を使って直接共有メールボックスを開くと、通常通りすべてのフォルダーが閲覧できます。この方法は不具合を回避する上で有効でしたが、例えば個人メールと共有メールボックス間でドラッグ&ドロップ操作を行いたい場合に不便が生じるという課題があります。ブラウザ版で統一して作業したいユーザーにとっては、暫定策としては有用ですが、根本的な解決には至りません。
活用例: PowerShellで共有メールボックスに接続する
ある程度管理者権限を持つ場合、PowerShellを使って共有メールボックスの状態を確認したり設定を変更できる場合があります。以下はExchange Online PowerShellモジュールをインストールし、共有メールボックス一覧を取得する例です。
# Exchange Online PowerShellモジュールのインストール
Install-Module ExchangeOnlineManagement
# 接続
Connect-ExchangeOnline -UserPrincipalName admin@yourdomain.com
# 共有メールボックス一覧の取得
Get-Mailbox -RecipientTypeDetails SharedMailbox
# 切断
Disconnect-ExchangeOnline
上記は直接「Load more folders」問題の解決にはつながりませんが、共有メールボックスの存在確認やフォルダー数の管理には役立つ方法です。管理者視点で問題を把握しやすくなるメリットがあります。
5. 旧Outlookに戻す
新Outlook版はUIや機能面で進化している反面、バグや未完成の部分が残っていることも事実です。不具合が顕在化している場合、旧Outlookに戻す選択肢も有効な回避策と言えます。旧Outlookで同じアカウントを開くと従来通り「Load more folders」リンクが表示されることが確認され、緊急時の対処として利用した企業や組織も多いようです。
2024年7月25日前後に自然復旧か
問題発生後、具体的な解決策がないまま時が過ぎる中、2024年7月25日前後から「Load more folders」が再表示されるようになったという報告が相次ぎました。ユーザーの多くはMicrosoft側の修正やロールバックが行われたと推測しています。公式のサービス正常性ダッシュボードなどには明確な不具合情報やメンテナンス情報が掲載されていないため、裏でパッチ的なアップデートがあった可能性があります。
正式アナウンスがない現状
Microsoftから正式なアナウンスやリリースノートが確認できないため、今後同様の不具合が再発する可能性もゼロとは言い切れません。新Outlook版では機能やUIが次々とアップデートされるため、機能追加や改善と同時に不具合が出てくることは決して珍しくないからです。
今後の対策と再発時のおすすめアクション
これから新Outlook版を積極的に使っていきたい場合、万一「Load more folders」が表示されなくなった際に取るべきアクションをまとめておきます。
1. ブラウザのキャッシュやCookieを再度クリア
基本的な対策ではありますが、ブラウザ側で古い情報を保持しているだけの場合もあるので、まずはキャッシュやCookieを削除して再ログインしてみましょう。特にバージョンアップ直後やレイアウト変更直後には試してみる価値があります。
2. 旧Outlookへ切り替え(もしくはデスクトップ版へ移行)
再発時も実務に支障が出る場合は、安定した旧Outlookに戻したり、デスクトップ版Outlookへ移行することでトラブル回避できます。新Outlookの不具合が修正されるまでの間は、作業効率を優先するなら旧版やデスクトップ版を活用するのが賢明でしょう。
3. 共有メールボックスを直接開く
Web版Outlookで「Open other mailbox」を利用し、直接共有メールボックスを開けば、フォルダー一覧が正しく読み込まれる可能性が高まります。アカウントを切り替える手間はありますが、フォルダーが全く見えない状況よりは作業を進めやすくなります。
4. Microsoft 365管理センターを確認・不具合報告
問題が組織全体で発生している場合、Microsoft 365管理センターの「サービス正常性」セクションをチェックし、関連する障害が通知されていないか確認してみましょう。もし報告が上がっていない場合でも、サポートチケットを通じてMicrosoftにフィードバックを送ることで、早期の修正対応を促すことが可能です。
5. フォルダー階層や命名規則を見直す
今回の不具合とは直接関係しない可能性もありますが、フォルダー数が異常に多いと読み込みの負荷が大きくなる事実には変わりありません。組織全体でフォルダー階層や命名規則を見直し、不要なフォルダーのアーカイブ化などを行うのも一つの手段です。将来的なトラブルのリスクを下げるためにも、定期的な整理を検討してみましょう。
実際の運用で役立つヒント
- 定期的なフォルダー棚卸し:半年に一度など、定期的にメールボックスのフォルダー構成を見直すことで、不要フォルダーを圧縮・削除し運用負荷を低減できます。
- アーカイブ機能の積極活用:特に古いメールを分離して保管できるアーカイブ機能を用いれば、メインのメールボックスのフォルダーは必要最低限に保てます。
- メール検索機能との併用:Outlookの検索機能はかなり強力です。細かくフォルダーを分けなくても、検索キーワードや条件を適切に設定することで目的のメールに素早くたどり着ける場合があります。
まとめ:再発時には迅速に代替策をとりつつ、Microsoftの対応を待つ
Outlook 365 Web版や新Outlook版で「Load more folders」リンクが表示されない問題は、2024年7月下旬頃には多くのユーザー環境で自然復旧しました。原因はおそらくMicrosoft側の不具合やUI修正ですが、正式アナウンスがない以上、再び同様のトラブルが起こる可能性も否定できません。万が一再発した場合、ブラウザのキャッシュクリアや旧Outlookへの切り替え、デスクトップ版への移行などを行いつつ、管理者経由でMicrosoft 365管理センターを確認し、必要に応じてサポートへ問い合わせるのが最善策と言えるでしょう。
新しいOutlookのデザインや機能は魅力的ですが、不具合が残っている段階で業務に大きく影響が出るようなケースでは、安定した旧Outlookやデスクトップ版の利用も視野に入れることをおすすめします。
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