仮想メモリの設定を変更したいのに、なぜか再起動やリセットをするとCドライブに戻ってしまう……。そんなお悩みをお持ちの方も意外と多いのではないでしょうか。今回は実際に私が試行錯誤した体験談も交えながら、仮想メモリをDドライブに割り当てる手順や注意点をご紹介します。
仮想メモリの役割とDドライブへの変更が注目される理由
仮想メモリは、パソコンの物理メモリ(RAM)を補うために使われる仕組みです。RAMが不足すると、Windowsはストレージに「ページファイル」という一時的な領域を確保し、そこにデータを退避させます。通常はCドライブに設定されていることが多いですが、空き容量の少ないCドライブに仮想メモリを置くと、すぐに容量不足になることもしばしばあります。そこで、空き容量が十分なDドライブを活用できれば、Cドライブの負担を減らし、システム全体の安定性を高める狙いがあります。
仮想メモリをDドライブへ移すことで得られる利点
実際に設定してもCドライブに戻ってしまう理由
Dドライブにカスタムサイズを指定しても、再起動後に再びCドライブが使われてしまうケースがあります。これはWindowsの仕様や特定機能の制約によるものが大きいです。クラッシュダンプ(システムエラー時の情報収集)や一部のシステム機能では、OSがインストールされたドライブにどうしてもページファイルを用意しようとするため、最小限の容量がCドライブに戻ってくる場合があります。まったくCドライブを使わない設定は環境によって難しいことがあります。

私は以前、大型ソフトをインストールし続けたせいでCドライブの空きがほとんどなくなりました。そのため、仮想メモリもDドライブに完全移行しようと試したのですが、何度か再起動するたびにCドライブに少しだけページファイルが自動復活していました。原因を調べるうちに、どうやらWindowsのクラッシュダンプ作成にはCドライブの一部が必要なことに気づきました。これはとてもやっかいではありましたが、最小限なら仕方ないかな、と割り切って使っています。
仮想メモリをDドライブに変更する基本手順
実際にどのような手順で仮想メモリを移行するのか、改めて確認してみましょう。ここではWindows 10やWindows 11を想定した基本的な流れを解説しますが、バージョンによって表現が若干異なる場合もあります。
設定画面へのアクセス
Windowsの場合、以下のようにシステムの詳細設定を開きます。
ステップ1
「スタート」ボタンを右クリックし、「設定」から「システム」を選びます。あるいは「コントロールパネル」から「システムとセキュリティ」→「システム」の順で進んでも同様の画面が表示されます。
ステップ2
システムの情報画面が表示されたら、「詳細情報」や「システムの詳細設定」を探してクリックします。Windows 11では「設定」→「システム」→「バージョン情報」→「関連設定」内に「システムの詳細設定」があることが多いです。
パフォーマンスオプションで仮想メモリを変更
設定画面に入ったら、次の手順でページファイルを調整します。
ステップ1
「詳細設定」タブにある「パフォーマンス」の項目で「設定」をクリックし、さらに「詳細設定」タブへ移動します。
ステップ2
「仮想メモリ」欄にある「変更…」をクリックし、「すべてのドライブのページング ファイルのサイズを自動的に管理する」のチェックを外します。
ステップ3
Cドライブを選択し、「ページング ファイルなし」か「システム管理サイズ」を選びます。Cドライブを全く使いたくない場合は「ページング ファイルなし」を選び、「設定」ボタンをクリックします。
ステップ4
Dドライブを選択し、「カスタムサイズ」を指定します。初期サイズと最大サイズを入力し、「設定」ボタンをクリックしてからOKを押します。最後にWindowsを再起動すれば基本的な設定変更は完了です。



私の場合、最初は推奨値より少し大きめの数値を入れました。するとWindowsのシステムダンプもなんとかDドライブに作られ、Cドライブの空き容量が少しだけ増えてホッとしました。ただ、トラブルシューティングなどでCドライブに必要最低限のページファイルが残ることもあったので、何度か設定を見直しています。
なぜ設定が反映されないのか考えられる原因
Cドライブを「ページング ファイルなし」に設定しても、なぜか再起動後に少量だけ復活していることがあります。ここではその主な原因をいくつか挙げてみます。
クラッシュダンプ作成のために最低限のページファイルを残すWindowsの仕様
クラッシュダンプ(ブルースクリーンなどのエラー情報)を正常に保存するために、Windowsは最低でも少しのページファイルをシステムドライブに確保しようとします。全くゼロにしようとしても自動的にCドライブに復活してしまうことがあるのです。
Dドライブの暗号化やアクセス権限に問題がある
BitLockerなどの暗号化機能を有効にしている場合、ページファイルの作成がうまくいかず、WindowsがCドライブに戻してしまう可能性があります。暗号化を一時的に解除するか、アクセス権限を見直してみると解決する場合があります。
初期化やアップデートによるリセット
OSの大規模アップデートや、Windowsの初期化機能を使った場合、カスタム設定していた仮想メモリが自動管理に戻ることがあります。再設定の手間がかかるため、アップデート後は必ず確認するようにしましょう。
最適なカスタムサイズの考え方
仮想メモリの「カスタムサイズ」をどのくらいに設定すべきか迷う方も多いのではないでしょうか。目安としては以下のような点を考慮するとよいでしょう。
実装メモリ(RAM)とのバランス
仮にRAMが8GBの場合、初期サイズを8GB程度に、最大サイズを16GB〜32GB程度に指定しておくと安心です。以下のような目安表を参考にして、環境に合った値を検討してください。
RAM容量 | 推奨初期サイズ | 推奨最大サイズ |
---|---|---|
4GB | 4GB | 8GB~12GB |
8GB | 8GB | 16GB~32GB |
16GB | 16GB | 32GB~48GB |
32GB | 32GB | 64GB~ |
空き容量と用途に応じて調整
Dドライブの空き容量が少ないと、ページファイルの最大サイズを大きく設定しすぎると容量不足に陥ることがあります。使用しているアプリケーションの重さや、動画編集・3Dゲームなどの負荷のかかる作業を行うかどうかも考慮して、カスタムサイズは適宜見直してください。



私は動画編集を頻繁に行っていた頃は、16GBのRAMに対してDドライブの仮想メモリを初期32GB、最大64GBに設定していました。ちょっと大げさかなと思いつつも、オーバーフロー対策としては安心感がありましたね。結局、後からそこまでの大きさは要らないと判明して、もう少し小さめに再設定しました。
Dドライブへの変更時に知っておきたい注意点
仮想メモリをDドライブへ移行すること自体は難しくありませんが、いくつか押さえておきたい注意点があります。
OSドライブにも最低限の容量が必要なケースがある
既に述べたように、クラッシュダンプやシステムのトラブルシューティングのために、Windowsはシステムドライブにページファイルを作成してしまう場合があります。どうしても0にできないこともあるため、ある程度は「仕方がない」と割り切りましょう。
自動管理機能に戻されるタイミング
OSのアップデートで設定が初期化されることがあります。アップデート後にまた仮想メモリのサイズが自動管理になっていたという事態を避けるには、Windowsアップデートを手動でコントロールし、その後に設定を見直す習慣をつけると安心です。
暗号化ドライブやNAS上への仮想メモリ配置に関するリスク
ネットワークドライブやNAS上にページファイルを置こうとすると、そもそも動作が保証されないケースが多くあります。また、暗号化されたドライブでパフォーマンスが落ちる可能性も否定できません。特に高頻度でデータを書き換えるページファイルはSSDや高速HDDへの配置が望ましいでしょう。
メリットとデメリットの総まとめ
ここまでの内容を踏まえ、Dドライブに仮想メモリを設定するとどのような長所と短所があるのかを改めて整理してみます。
実践的なトラブルシューティング
ここでは、実際に仮想メモリの設定を変更する際にありがちなトラブルとその対処法を挙げてみます。
エラーが出て設定が完了できない
アクセス権や暗号化設定が原因でエラーになることがあります。まずはDドライブのプロパティでエラーがないかをチェックし、暗号化やアクセス制限の設定を見直してみましょう。
設定したはずなのに反映されていない
再起動の工程を忘れている場合や、OKボタンの押し忘れ、画面を閉じるタイミングなど、単純なうっかりが原因になることもあります。また、システムの情報画面やタスクマネージャで実際の仮想メモリサイズを確認してみると確実です。
パフォーマンスが予想と違う
仮想メモリをDドライブに移動しても劇的な速度向上は望みにくい場合があります。特にSSDを使っている場合は、ドライブ間の速度差がそれほど大きくないことが多いです。あくまでCドライブの容量確保やクラッシュを防ぐための設定と割り切り、パフォーマンス向上はメモリ増設やSSDの利用などで検討する方が効果的です。
仮想メモリ設定後のおすすめチェックポイント
仮想メモリをDドライブへ移したら、以下の点を確認すると安心です。
タスクマネージャやシステム情報でページファイルの容量をチェック
正しく設定されていれば、Dドライブのページファイルに指定した容量が反映されているはずです。Cドライブには「ページング ファイルなし」にしてあれば一切ないか、システムにより必要な最小限だけ残っている状態になります。
クラッシュダンプの作成状況をテスト
システムがブルースクリーンになった場合にクラッシュダンプがちゃんと保存されるか、あらかじめテストしてみるとより安心です。テスト用にフリーソフトなどを使って意図的にダンプを作成する方法もありますが、リスクがともなう場合があるので注意してください。
Windowsアップデート後の再調整
Windowsの大型アップデートが入ったタイミングで、仮想メモリ設定が自動管理に戻ることがあります。アップデート後には一度ページファイルの設定状態を確認し、必要に応じて再度カスタム設定を適用してください。



私はアップデート後すぐに大きなソフトを起動して「やけに重いな?」と思ったら、仮想メモリがCドライブに戻っていたことが何度かありました。面倒ではありますが、ちょっとしたルーティンとしてアップデート後には確実に設定確認をするようにしています。
まとめ
Cドライブの容量が心もとない場合、仮想メモリをDドライブに設定することで快適なシステム環境を維持しやすくなります。手順自体はそれほど難しくはなく、Windowsの「パフォーマンス オプション」で「すべてのドライブのページング ファイルのサイズを自動的に管理する」のチェックを外し、Dドライブにカスタムサイズを適切に割り当てるだけです。ただし、クラッシュダンプ作成のためにCドライブにどうしても最小限のページファイルが復活することがありますし、OS初期化やアップデートで設定がリセットされる可能性もあるため、再起動後やアップデート後には必ず設定が正しく反映されているかの確認をおすすめします。



私の経験では、Dドライブへ仮想メモリを移したことでCドライブはだいぶ余裕が生まれました。動画編集や画像加工アプリを動かしていても、メモリ不足の警告が出にくくなったのは助かりました。一方で、アップデートの度に設定が戻っていないか注意する必要があるので、これからもこまめにチェックするつもりです。
最後に
仮想メモリをDドライブに変更する目的は、Cドライブの空き容量不足を解消し、システムを安定稼働させることです。OSの仕様上どうしてもCドライブに少量残ることはありますが、多少割り切りが必要なケースも含めて、カスタム設定しておく価値は高いと言えます。これを機に、仮想メモリだけでなく、不要ファイルの削除やディスククリーンアップなども併用して、パソコンのメンテナンスをぜひ見直してみてください。
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