突然、長年愛用してきたRolandのカッターが動かなくなったら、思わず焦ってしまうものです。実は2024年6月以降のWindows Updateが原因で、一部のカッターでトラブルが頻発しています。本記事では解決策や新ドライバー情報をご紹介します。
Windows Update後に起きるカッタートラブルとは
Windows 10やWindows 11のセキュリティ更新プログラムを適用した直後に、RolandのGX-24やGS-24、GR-540などのカッターが突然動かなくなる現象が2024年6月以降目立って報告されるようになりました。私自身、長年利用しているGS-24で、ちょうど大きな看板データのカット作業中に停止してしまい、再度スタートしても途中で止まるといった困り事を経験しました。原因がはっきりわからないまま焦りだけが募り、途方に暮れた記憶は今でも鮮明です。
とはいえ原因がわかれば対処法も見えてきます。多くの場合、Windowsのセキュリティ更新プログラムを適用したタイミングが発端となっていますので、まずは次に述べる回避策や恒久対策を確認し、順を追って対応していくと良いでしょう。
具体的な症状
Windows Updateを行った後、以下のような症状が見られるケースがあります。
1) カット作業が開始直後に停止する
印刷・カットのソフトウェアから送信し、いざカットを開始したかに見えても、すぐに止まってしまうという報告が多いです。モーター音が一瞬聞こえて動いたものの、その後は一切反応しなくなるケースや、途中で突然停止してしまうパターンがあります。
2) 全く動作しない
ドライバーの問題で、接続自体が失敗することがあります。切り抜きどころか用紙送りすらできない、まったく通信が成立しない、といった状態になるため、カットソフト側からデバイスが認識できないこともあります。
3) 切り抜きが途中で止まる
作業を続行できたとしても、カットの途中で予告なくストップするケースです。結局、カット途中の用紙が台無しになってしまうこともあるため、素材ロスを避けるために早期の対策が必要です。

私の場合は大型のロゴシートを切り抜いている最中に、突然カッターが止まってしまいました。長いロール紙を大量にセットしていたため、途中で止まって台無しになり、どうにか再稼働させようとしても同じ箇所で止まるのが続きました。
一時的な回避策としての更新プログラムのアンインストール
2024年9月頃までは、この問題を回避するためにWindows Updateの該当KBをアンインストールする方法が主流でした。具体的には、設定画面から更新プログラムのアンインストールを選び、再起動をかけるという方法です。
アンインストール作業の手順
1) 更新プログラムのアンインストール画面へ
Windowsの設定から更新履歴を表示して「更新プログラムをアンインストール」画面を開きます。ここでKB番号を探して選択することで、該当の更新プログラムを削除可能です。
2) 対象のKBを見つけて削除
KB5039211やKB5040427、KB5039212など、問題報告が多い更新プログラムを選び、アンインストールを実行します。アンインストール後にはパソコンを再起動しましょう。
3) アップデートを一時停止
一度アンインストールしても、Windowsは自動的に最新状態を保つよう設計されています。そのため、再び同じ更新プログラムがインストールされる可能性が高いです。回避策として、更新の一時停止や延期を設定することが推奨されていました。
アンインストールに関するトラブル
しかしながら、Windowsの仕様変更や複数の更新プログラムが影響している場合、一筋縄ではいかないこともあります。具体的には、アンインストールオプションが表示されない、コマンドプロンプトからの削除にも失敗するなど、状況によっては回避策として成立しにくいケースが出てきました。
Rolandからの恒久対策 新ドライバーの適用がカギ
2024年9月上旬にRolandから公開された新しいドライバーを導入することで、この問題は大きく改善されるようになりました。Ver.1.60以上が該当し、Windows Updateをアンインストールしなくても正常に動作するとのアナウンスが公式にされています。
Rolandカッター新ドライバーが解決の決め手
古いドライバーではWindowsの新たなセキュリティ仕様にうまく対応できないため、動作に支障が出てしまうようです。しかし、新ドライバーでは通信の制御やセキュリティ要件に合わせた修正が加えられていますので、アップデートをアンインストールする必要がなくなるのが大きな利点です。
新ドライバー導入の主な流れ
1) Roland公式サイトからのダウンロード
まずはRoland公式サイトにアクセスし、ドライバーダウンロードページから該当機種の最新版(例としてGX-24やGS-24の場合はWindows 10/11 64bit用のVer.1.60など)を取得します。ファイル名はRDP-014_Roland_CAMM-1_Driver_Windows10_x64_V160などの形式になっている場合が多いです。
2) ZIPファイルの解凍
ダウンロードしたZIPファイルを右クリックし、すべて展開(解凍)を行ってください。解凍せずに直接セットアップを起動すると、必要ファイルが見つからないエラーが発生しやすいです。
3) カッターのUSBケーブルを抜くか電源を切る
ドライバーインストール時にはカッターが接続されたままだと、Windows側で古いドライバー情報が使われ続けてうまく上書きされないことがあります。一度切り離しておくことがポイントです。
4) SETUP64.EXEを実行
解凍したフォルダ内にあるSETUP64.EXEをダブルクリックし、インストーラーを起動します。画面の指示に従ってインストールを進めてください。モデル(GX-24、GS-24など)やポート(USBなど)の設定箇所があり、そこを正しく選択することが大切です。
5) インストール後の再起動と接続
インストールが完了したらパソコンを再起動し、カッターのUSBケーブルまたは電源を再度接続します。その上でCutStudioなどのカットソフトを起動し、問題なく認識されているかを確認します。



私は最初、カッターのUSBを挿したまま何度もインストールを繰り返して失敗しました。根本的なところで接続を外していなかったのが原因で、インストール完了と表示されてもドライバーが正しく置き換わっていなかったようです。
実際に導入してみる際のチェックポイント
新ドライバーを導入することでWindows Updateが理由の不具合は解消されると言われていますが、環境によってはうまくいかない場合もあります。スムーズに作業を進めるための具体的なチェックポイントをまとめました。
ZIPの解凍を忘れない
圧縮ファイルの状態でSETUP64.EXEを実行すると、ファイルが正常に読み込めず、インストールエラーになることが多いです。必ず解凍したフォルダの中から実行する習慣をつけましょう。
カッターを接続したままインストールしない
一部の環境ではカッターが接続されていても正常にインストールできるケースがありますが、トラブル防止のために一度はUSBケーブルを外しておいたほうが賢明です。
再起動を挟む
インストールが完了したら、面倒でも一度パソコンを再起動すると設定が正しく反映されます。再起動の手順を省略することで、インストールが完了したと表示されていてもドライバーが旧バージョンのままという状況が起こりやすいです。
ポート設定の確認
インストーラー画面でポートを間違えて設定してしまうと、Windows側で別のデバイスとして認識してしまうことがあります。USBを選択したつもりがFileポートになっていることもあるため、一度Fileなど別の項目に切り替え、再度USBに戻して設定を更新し、インストールを進めてみてください。
カットソフト側の出力デバイス設定
カッターのドライバーを更新すると、CutStudioなどのソフトウェアで設定している出力デバイスが変更されてしまう場合があります。カットソフトのメニューからデバイスの接続先を再確認し、正しいドライバー名が選択されているかをチェックしましょう。
古いドライバーをアンインストールするべきか
人によっては先に古いドライバーを削除するべきか迷うかもしれません。一般的にはカッター本体のドライバーのみ先に削除し、新しいドライバーを入れ直すだけで問題ないことが多いです。CutStudioやIllustrator用プラグインなどのカッティングソフト本体はそのままでも動作します。ですが、既存環境によっては一度まるごとアンインストールし、新規インストールを行うとトラブルが解決するケースもあるため、どうしてもうまくいかない場合には思い切ってソフト類を一旦全部削除して再インストールする方法も検討してください。
新旧ドライバーとWindowsアップデートとの関係を表で整理
インストールが正しく行われると、Windows Updateをアンインストールしなくてもカッターが使えるようになります。わかりやすいように新旧ドライバーとWindows Updateの状態をまとめた簡単な表を下記に示します。
ドライバー バージョン | Windows Update 状況 | カッター動作 |
---|---|---|
1.50 以前 | 2024年6月以降の更新 (KB5039211, KB5040427など) 適用 | 動作不良, 途中停止など |
1.50 以前 | 問題のKBをアンインストール | 一時的に正常動作 (再インストールのリスクあり) |
1.60 以上 | 2024年6月以降の更新が適用されていてもOK | ほぼ正常動作 |
この表の通り、新しいドライバーを使えば、基本的にはWindows Updateと共存できます。古いバージョンでは、アンインストールをしても根本的な対処にならず、いつまた問題が再発するか分からないという不安を抱え続けることになりがちです。



私も最初はアンインストールでしのいでいましたが、月に一度の更新時期が来るたびにヒヤヒヤしていました。新ドライバーを入れてからはその心配が一切なくなり、作業に集中できるようになりました。
まとめと今後の展望
Windows Updateのたびに仕事道具が使えなくなるのはストレスです。幸いRolandから恒久対策のドライバーがリリースされたことで、多くのトラブルは解消される流れになっています。ただし、ドライバーの適用方法や、カットソフト側の設定、古いドライバーの残骸が原因でまれに問題が残るケースもあるようです。そんなときは一度、アンインストールや再インストールを試し、それでも改善しない場合はRoland公式のサポートやFAQ、コミュニティ情報などをチェックしてみると良いでしょう。
最終的には、WindowsとRolandカッターの相性を整えるために、常に最新のドライバーを導入しておくことが大切です。個人的な体験としては、作業現場で突然カッターが動かずに困るよりも、余裕のあるタイミングで最新ドライバーを導入しておく方が、ビジネス上のリスクを抑えられると感じています。今後もWindowsはセキュリティ更新を継続していきますので、トラブルを未然に防ぐための準備として、最新情報にアンテナを張っておくことをおすすめします。



気づいたときにはもう更新されていた、ということもありますので、定期的にRolandの公式サイトやサポート情報を確認しておくのが安心ですね。私もこまめにドライバー更新が無いかチェックするようになりました。
最終チェックポイント一覧
ここまでの内容を簡単におさらいすると、以下の点に気をつけながら作業を行うとトラブルを回避しやすくなります。
カッター固有の新ドライバーを入手する
GX-24やGS-24、GR-540など、機種ごとに対応ドライバーが違う場合があります。自分の機種に合ったものを正しくダウンロードしましょう。
USBケーブルを外してからドライバーをインストールする
接続されているままだとうまくドライバーが書き換わらない場合があるため、トラブル予防のためにも一度接続を切るのがおすすめです。
セットアップは解凍済みフォルダから起動する
ZIPをそのまま開いて実行すると不足ファイルでエラーが起こりがちです。正しく解凍された状態のSETUP64.EXEを実行してください。
再起動をしっかり行う
インストール後すぐにカッターを接続すると旧ドライバーが残っている可能性があります。パソコンの再起動を挟むことで、新ドライバーが完全に反映されることが多いです。
ソフトウェア側の出力先設定を見直す
CutStudioやIllustratorのプラグインなどで、カッターのデバイス設定が古いままになっていないかを確認してください。設定を最新のドライバーに合うものに切り替える必要があるかもしれません。
今後も情報収集を続けよう
Rolandカッターの問題は、メーカーの迅速な対応によって改善されてきています。しかし、Windows自体もアップデートで仕様変更が加わる可能性は常に存在します。最新ドライバーを入れても、また別の要因で動作が不安定になる可能性を完全には否定できません。定期的にRolandの公式サイトやサポート情報をチェックし、必要に応じてドライバーをアップデートしていくことが、長期的に見て最も安定した運用への近道といえます。
最後までお読みいただきありがとうございます。自分で対策を行う場合は、作業の手順を一つひとつ丁寧に確認しながら進めることでトラブルを最小限に抑えられます。もし万が一うまくいかない場合でも、焦らずにアンインストールや再インストール、Rolandのサポート情報を頼ってみてください。カッターは作業現場で重要な役割を担う存在ですから、安定して動作してくれる安心感はとても大きいものです。ぜひ、最新ドライバーで快適なカッティング作業を取り戻してください。
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