Microsoft Defender documentation update解説:SailPoint IdentityNow Connector 3.0.1の変更点と管理者対応

2026年5月21日公開・更新の「Microsoft Defender documentation update: Updating Solution Metadata」で最初に押さえるべき結論は、これはMicrosoft Defender全体のエンドポイント更新ではなく、Microsoft SentinelのSailPoint IdentityNow Connectorに関するSolution Metadataとパッケージ情報の更新だという点です。影響を受けるのは、SailPoint IdentityNowのログをMicrosoft Sentinel、またはMicrosoft Defenderポータル上の統合セキュリティ運用で利用している組織です。

今回の更新では、SailPoint IdentityNow Connectorのソリューションメタデータが更新され、Public Previewとして公開するための準備が行われました。PR上ではバージョンは3.0.1、テスト完了はYesとされ、Azure/Azure-Sentinelリポジトリのmasterブランチへ2026年5月20日にマージされています。(GitHub)

目次

Microsoft Defenderのセキュリティ更新で管理者がまず確認すべきこと

今回の「Updating Solution Metadata」は、Microsoft Defender Antivirusの定義ファイル更新やMicrosoft Defender for Endpointのセンサー更新とは性質が異なります。実務上は、Microsoft SentinelのContent HubにあるSailPoint IdentityNowソリューションの表示情報、サポート情報、パッケージバージョン、データコネクタ説明が更新されたものとして扱うのが適切です。

特に確認すべき対象は、次のいずれかに該当する環境です。

  • Microsoft SentinelでSailPoint IdentityNow Connectorを利用している
  • Microsoft DefenderポータルにMicrosoft Sentinelワークスペースを接続している
  • SailPoint IdentityNowの監査ログや検索イベントをSIEMに取り込んでいる
  • Azure Functionsベースの旧コネクタからCCFベースのコネクタへの移行を検討している
  • Content Hubのソリューション更新を本番ワークスペースへ展開する運用ルールがある

Microsoft Sentinelのソリューションは、データコネクタ、分析ルール、プレイブック、ワークブックなどをまとめて提供するパッケージです。データコネクタ付きのソリューションを展開すると、関連するセキュリティコンテンツも同じ展開に含まれます。(Microsoft Learn)

今回の変更点

GitHub PR #14297では、SailPoint IdentityNow ConnectorのSolution Metadataが更新され、Public Previewとして公開するためのメタデータ整備が行われています。変更ファイルには、SolutionMetadata.json、Solution_SailpointIdentityNow.json、createUiDefinition.json、mainTemplate.json、3.0.1.zipが含まれます。(GitHub)

確認項目今回の内容管理者への意味
対象ソリューションSailPoint IdentityNow ConnectorSailPoint IdentityNowを利用していない環境への直接影響は限定的
更新理由Public Preview公開に向けたメタデータ更新プレビュー機能としての扱い、検証、社内承認が必要
バージョン3.0.1既存のContent Hubソリューションが旧バージョンの場合は更新確認が必要
テスト状況Testing Completed: Yesただし本番展開前の自社検証は省略しない
変更範囲メタデータ、UI説明、パッケージ、ソリューション定義ログ取り込み方式や運用手順の見直しが必要になる可能性あり

現在のSolutionMetadata.jsonでは、publisherIdがazuresentinel、offerIdがazure-sentinel-solution-sailpointidentitynow、サポート情報はMicrosoft Corporation、サポート階層はMicrosoftとして定義されています。(GitHub)

影響範囲は「SailPoint IdentityNowのログ取り込み」と「Content Hub運用」

今回の更新で最も注意すべき点は、ソリューション説明に2種類のデータコネクタが明示されたことです。SailPoint IdentityNowソリューションには、従来のAzure Functionsベースのコネクタと、Codeless Connector Framework、つまりCCFベースのコネクタが含まれると説明されています。(GitHub)

Azure Functionsベースのコネクタは、Function Appをデプロイし、SailPoint IdentityNow APIからログを取得してMicrosoft Sentinelへ送る構成です。一方、CCFベースのコネクタは、Microsoft Sentinelのコネクタ定義を使って、よりパッケージ化された形でデータ接続を管理する方向の仕組みです。Microsoftのドキュメントでも、CCFコネクタの作成ではデータコネクタの構築、ARMテンプレートの作成、デプロイ、Microsoft Sentinelへの接続という流れが示されています。(Microsoft Learn)

また、Microsoft SentinelではCodeless Connector Platform、略称CCPという名称がCodeless Connector Framework、略称CCFへ変更されています。古い手順書や社内ドキュメントに「CCP」と書かれている場合でも、現在の文脈ではCCFとして読み替える必要があります。(Microsoft Learn)

管理者が確認すべき設定項目

まず、SailPoint IdentityNowソリューションがどのワークスペースに展開されているかを確認してください。Microsoft SentinelをDefenderポータルに接続している場合でも、既存のAzure RBAC権限は引き続きMicrosoft Sentinel機能へのアクセス制御に使われます。ワークスペースやロール変更はAzureポータル側の権限設計にも反映されるため、更新作業者、監査担当者、SOC担当者の権限を事前に確認しておくべきです。(Microsoft Learn)

確認対象見るべきポイント失敗しやすい点
Content HubSailPoint IdentityNowソリューションのバージョンが3.0.1か更新済みだと思い込んで旧パッケージのまま運用する
データコネクタAzure Functionsベース、CCFベースのどちらを使っているか両方を有効化して同一イベントを重複取り込みする
ログテーブルSailPointIDN_Events_CLなどにデータが入っているかソリューション更新後に取り込み確認をしない
分析ルール6件の分析ルールテンプレートが展開・有効化されているかテンプレートはあるがルール作成を忘れる
パーサー既存のクエリやブックが新しい取り込み方式で動くかテーブル名や列名の差異を検証しない
サポート情報サポート先やpublisher表示が社内手順と一致するか障害時に古いベンダー連絡先へエスカレーションする

createUiDefinition.jsonでは、このソリューションにData Connectorsが2件、Parsersが1件、Analytic Rulesが6件、Custom Azure Logic Apps Connectorsが1件含まれることが示されています。更新後は「コネクタだけ更新された」と考えるのではなく、関連する検出ルール、パーサー、プレイブックまで確認してください。(GitHub)

Azure FunctionsベースとCCFベースの使い分け

既存環境でAzure FunctionsベースのSailPoint IdentityNow Connectorを使っている場合、今回の更新をきっかけにCCFベースへの移行を検討する価値があります。ただし、すぐに本番切り替えするのではなく、ログ量、検出ルール、運用コスト、障害時の調査方法を比較してから判断してください。

観点Azure FunctionsベースCCFベース
運用負荷Function App、アプリ設定、シークレット、実行ログの管理が必要コネクタ定義ベースで管理しやすい
移行しやすさ既存運用がある場合は継続しやすい新規導入や標準化に向く
コスト管理Function Appや取り込み量の確認が必要取り込み量に加えてプレビュー仕様の確認が必要
トラブルシュートFunction Appの実行ログを見られるコネクタ定義、接続状態、Sentinel側の状態確認が中心
推奨判断既存運用が安定している場合は段階移行新規導入や再設計時に優先検討

重要なのは、「新しいコネクタがあるから即移行」ではなく、「どちらの方式で、どのイベントを、どのテーブルへ、どの頻度で取り込むか」を決めることです。両方のコネクタを同時に有効化すると、同一イベントの重複取り込み、分析ルールの二重検知、Log Analyticsコスト増につながる可能性があります。

展開前に実施する検証手順

本番ワークスペースへ更新する前に、可能であれば検証用のMicrosoft Sentinelワークスペースで動作確認してください。特にPublic Previewに向けた更新は、UI上の表示やメタデータが整っていても、自社の運用手順、監査要件、障害対応フローにそのまま適合するとは限りません。

手順作業内容合格基準
事前確認既存のSailPoint IdentityNow Connectorの方式とバージョンを確認利用中のコネクタと対象ワークスペースが一覧化されている
検証展開検証ワークスペースで3.0.1を展開エラーなくソリューションが展開される
データ確認SailPoint IdentityNowのイベントが取り込まれるか確認直近データが期待したテーブルに入る
検出確認6件の分析ルールテンプレートを確認必要なルールが作成・有効化できる
重複確認既存コネクタとの同時稼働有無を確認同一イベントの二重取り込みがない
運用確認障害時のサポート先、手順書、担当者を更新社内ドキュメントが最新状態になっている

ログ取り込みの確認には、次のようなKQLを使えます。環境によってテーブル名や列名が異なる場合があるため、実際のワークスペースに合わせて調整してください。

SailPointIDN_Events_CL
| summarize LastSeen=max(TimeGenerated), EventCount=count()

トリガー系のログも利用している場合は、次の確認も行います。

SailPointIDN_Triggers_CL
| summarize LastSeen=max(TimeGenerated), EventCount=count()

直近のデータが入っていない場合は、SailPoint側のAPI資格情報、Function Appのアプリ設定、CCFコネクタの接続状態、Log Analyticsワークスペースの権限を順に確認してください。

開発者・パートナーが見るべきメタデータ上の注意点

SailPoint IdentityNowに限らず、Microsoft Sentinel向けソリューションやデータコネクタを開発・保守している場合、今回の更新はメタデータ品質の重要性を示す例として参考になります。

特に注意すべきなのは、SolutionMetadata.json、mainTemplate.json、createUiDefinition.json、パッケージZIPの整合性です。バージョン番号だけを上げても、UI説明、サポート情報、publisher情報、Content Hub表示、データコネクタ定義が一致していなければ、ユーザーは「どのコネクタを使うべきか」「誰に問い合わせるべきか」を判断できません。

PR上でも、ソリューション説明が更新され、Azure FunctionsベースのコネクタとCCFベースのコネクタの両方に触れる形になっています。これにより、利用者は旧方式と新方式の存在をContent Hub上で把握しやすくなります。(GitHub)

開発側で避けたい失敗は、次のようなものです。

  • SolutionMetadata.jsonではMicrosoftサポートなのに、UI上の説明では別のサポート先に見える
  • パッケージのバージョンは3.0.1なのに、コネクタ定義やZIPファイルが旧内容のまま
  • Public Previewの説明がなく、利用者がGA機能と誤解する
  • 旧コネクタと新コネクタの役割が曖昧で、重複展開を誘発する
  • createUiDefinition.jsonの説明が古く、実際の依存技術とずれている

メタデータ更新は見た目の修正に見えますが、Content Hubでの検索性、管理者の判断、サポート導線、展開ミスの防止に直結します。特にセキュリティ運用では、表示名やサポート階層の揺れがインシデント対応時の遅れにつながるため、軽視すべきではありません。

Public Previewとして扱う場合の運用判断

今回の変更理由は、SailPoint IdentityNowソリューションをPublic Previewとして公開するためのメタデータ更新です。Public Previewは、本番利用を完全に禁止するものではありませんが、正式提供版と同じ前提で無条件に展開するのは避けるべきです。

次の条件を満たす場合は、早めに検証する価値があります。

状況推奨対応
SailPoint IdentityNowを新規にSentinel連携する予定があるCCFベースを優先候補として検証
既存のFunction App運用が複雑化しているCCFベースへの段階移行を検討
SOCでSailPointの失敗イベントを監視している分析ルールとパーサーの動作確認を実施
本番ワークスペースで安定稼働中すぐ切り替えず、検証環境で比較
監査・規制要件が厳しいPublic Preview利用の社内承認を取得

一方で、SailPoint IdentityNowを使っていない組織、またはMicrosoft Sentinelに同ソリューションを入れていない組織では、緊急対応は不要です。ただし、DefenderポータルでSentinel機能を統合管理している場合は、Content Hubの更新管理フローにこの種のソリューション更新を含めておくと、将来の変更に対応しやすくなります。

更新後のチェックリスト

今回のMicrosoft Defender documentation updateを受けて、管理者は次の順番で確認すると効率的です。

優先度チェック項目目的
高SailPoint IdentityNowソリューションの利用有無を確認影響対象か切り分ける
高Content Hub上のバージョンを確認3.0.1への更新要否を判断する
高どちらのデータコネクタを使うか決める重複取り込みを防ぐ
中分析ルール、パーサー、プレイブックを確認検出・自動化の抜けを防ぐ
中KQLで直近ログを確認更新後の取り込み停止を早期発見する
中社内手順書のサポート先を更新障害時のエスカレーションミスを防ぐ
低将来のCCF移行計画を作るAzure Functions依存を整理する

特に本番環境では、Content Hubの更新を適用しただけで作業完了にしないことが重要です。ログが入る、パーサーが動く、分析ルールが期待どおり発火する、SOCの運用手順が更新されている、という4点まで確認して初めて実運用上の対応完了といえます。

まとめ:まずは利用有無とバージョン確認から始める

今回の「Microsoft Defender documentation update: Updating Solution Metadata」は、SailPoint IdentityNow ConnectorのSolution Metadata更新であり、Microsoft SentinelのContent Hub運用に関わる変更です。対象バージョンは3.0.1で、Public Preview公開に向けてソリューション説明、パッケージ、メタデータが整備されています。(GitHub)

管理者が最初に取るべき行動は、自社のMicrosoft SentinelまたはDefenderポータル統合環境でSailPoint IdentityNowソリューションを使っているかを確認することです。利用している場合は、コネクタ方式、バージョン、ログ取り込み、分析ルール、サポート手順を順に確認してください。利用していない場合でも、Content Hub更新を本番へ展開する前に検証する運用ルールを整えておくと、今後のMicrosoft Defender関連更新に対応しやすくなります。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

コメント

コメントする

目次