Microsoft 365 Educationの課題機能では、1つの課題の中で、学習グループごとに異なる添付ファイル、教材、指示を割り当てる機能が追加される予定です。学生には、自分が所属するグループ向けのコンテンツだけが表示されます。
これまで習熟度別や支援内容別に課題を複製していた授業でも、今後は課題を1つにまとめられる可能性があります。教師は公開前に「どのグループへ、どのコンテンツを配布するか」を確認でき、提出や採点の基本動作は変わりません。
この機能はMicrosoft 365 Roadmap ID 568369として公開されており、2026年8月5日時点では開発中です。一般提供は2026年9月が予定されていますが、具体的な操作画面やボタン名称はまだ公表されていません。
1つの課題で学習グループ別コンテンツを割り当てる機能とは
Roadmap 568369は、Microsoft 365 Educationの課題で「差を付けた教材配布」を行いやすくする機能です。
たとえば、同じ単元を学ぶクラス内に次の3グループがあるとします。
- グループA:基礎事項を確認するためのヒント付き教材
- グループB:標準的な演習教材
- グループC:応用問題を含む発展教材
従来は、各グループ向けに課題を3件作成し、それぞれの対象学生を指定する運用が必要でした。新機能では、1件の課題に3種類のコンテンツを登録し、グループとの対応関係を設定できる計画です。
公式Roadmapで公表されている情報は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Roadmap ID | 568369 |
| 機能 | 1つの課題内でグループごとに異なるコンテンツを割り当て |
| 割り当てられる内容 | 添付ファイル、教材・リソース、指示 |
| 学生側の表示 | 自分のグループに割り当てられた内容のみ |
| 教師側の確認 | 公開前にグループとコンテンツの対応を確認可能 |
| 提出・採点 | 従来の動作から変更なし |
| ステータス | In development |
| 一般提供予定 | 2026年9月 |
| 提供範囲 | Worldwide(Standard Multi-Tenant) |
| 対応プラットフォーム | Android、iOS、デスクトップ、Web |
| リリース段階 | General Availability |
| プレビュー予定 | Roadmap上の記載なし |
| 最終更新日時 | 2026-07-31T21:54:12.9235704Z |
一般提供月は「2026年9月」とだけ示されており、提供開始日は公表されていません。
Roadmap 568369で何が変わるのか
最も大きな変化は、教材の難易度や支援内容を変えるために、課題そのものを複製する必要が減ることです。
| 比較項目 | 従来の運用 | Roadmap 568369導入後 |
|---|---|---|
| 課題の作成数 | グループごとに別の課題を作成 | 1つの課題にまとめる |
| 教材の割り当て | 課題単位で教材を登録 | グループ単位で教材を対応付け |
| 指示文 | 課題ごとに作成 | グループごとに異なる指示を設定 |
| 学生に見える内容 | 自分に割り当てられた課題 | 自分のグループ向けコンテンツのみ |
| 公開前の確認 | 複数の課題を個別に確認 | グループと教材の対応を一覧で確認 |
| 提出・採点 | 課題ごとに実施 | 従来の提出・採点動作を維持 |
公式説明でも、現在は「上級者向け」「支援が必要な学生向け」などに課題を分ける場合、教師が別々の課題を作成しなければならないことが課題として挙げられています。Roadmap 568369は、その運用を1件の課題へ集約するための機能です。
学生には自分のグループ用コンテンツだけが表示される
グループAに基礎教材、グループBに標準教材、グループCに発展教材を設定した場合、学生が閲覧できるのは自分のグループに割り当てられた内容だけです。
他グループの教材が同じ課題内に登録されていても、学生側にすべての教材が並ぶ仕組みではありません。教材の取り違えや、「どのファイルを使えばよいのか分からない」といった混乱を減らせます。
ただし、教材を非表示にできても、グループ名や授業中の説明から学習区分が推測される可能性はあります。「基礎」「下位」「要支援」といった名称は避け、「グループA」「青グループ」「コース1」などの中立的な名前を使うのが安全です。
公開前にグループと内容の対応を確認できる
教師は課題を公開する前に、グループとコンテンツの対応関係を確認できます。
たとえば、次のような割り当てミスを公開前に見つけやすくなります。
- グループAに発展教材を割り当ててしまった
- グループBの指示文だけ更新されていない
- 一部のグループに添付ファイルが設定されていない
- 古い教材ファイルを割り当てている
複数の課題を別々に作成する方法では、締切、配点、指示文などを課題ごとに確認しなければなりません。1つの課題にまとめることで、共通設定とグループ固有設定を整理しやすくなります。
提出と採点の動作は変わらない
Roadmap 568369は、教材や指示をグループ別に出し分ける機能です。提出や採点の仕組みを新しい方式へ置き換えるものではありません。
公式説明では、差別化されたコンテンツを設定しても、提出と採点の動作は変わらないとされています。
そのため、グループごとに教材が異なっていても、教師はこれまでの課題と同じ流れで提出状況を確認し、フィードバックや点数を登録できると考えられます。
一方で、グループごとに異なる配点やルーブリックを設定できるかどうかは、現時点のRoadmapには記載されていません。評価基準まで大きく変えたい場合は、正式リリース後に仕様を確認する必要があります。
Microsoft 365の1つの課題でグループ別に異なる教材を配布する方法
Roadmap 568369は開発中であり、グループ別コンテンツを設定する実際の画面やボタン名称はまだ公開されていません。
ただし、公式説明では、新しい専用の教材作成画面を使うのではなく、既存の課題リソース作成フローを使用するとされています。正式リリース後は、次のような流れになると考えられます。
課題を1つ作成する
現在のTeams for Educationでは、クラスチームの「課題」を開き、「作成」から新しい課題を作成します。
課題には、タイトル、共通の指示、期限、配点、ルーブリック、カテゴリなどを設定できます。(Microsoft サポート)
グループ間で共通にする項目は、この段階で登録します。
- 課題のタイトル
- 学習目標
- 提出期限
- 基本となる評価基準
- 全員に共通する注意事項
学習グループを選択または作成する
次に、教材を出し分ける学習グループを設定します。
現行のTeams for Educationには、学生を手動またはランダムでグループ分けし、過去のグループ構成を再利用する機能があります。ただし、Roadmap 568369のグループ設定が既存のコラボレーショングループと同じ画面になるかは公表されていません。(Microsoft サポート)
実務では、機能提供前に次のような対応表を作っておくと、設定作業がスムーズです。
| グループ | 対象 | 割り当てる内容 |
|---|---|---|
| グループA | 基礎事項を再確認する学生 | 解説資料、ヒント付き問題、短い指示 |
| グループB | 標準内容に取り組む学生 | 標準問題、通常の提出用ファイル |
| グループC | 発展内容に取り組む学生 | 応用問題、追加資料、発展課題の指示 |
グループごとの添付ファイルや指示を登録する
Roadmap 568369では、次の内容をグループ別に割り当てられる予定です。
- 添付ファイル
- 学習リソース
- 指示文
現在の課題作成画面では、既存ファイルやリンクを添付したり、新しいWord、Excel、PowerPointなどのファイルを作成したりできます。ファイルを閲覧専用にするか、学生ごとに編集用コピーを配布するかも選択できます。(Microsoft サポート)
正式リリース後は、この既存フローにグループとの対応付けが加わると考えると分かりやすいでしょう。
公開前に対応関係を確認する
課題を公開する前に、次の項目を確認します。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| グループ構成 | 対象学生の入れ間違いがないか |
| コンテンツ | 各グループに正しい教材が設定されているか |
| 指示文 | 教材の内容と指示が一致しているか |
| ファイル権限 | 閲覧専用か、学生が編集するコピーか |
| 提出物 | 何を提出するのか明確になっているか |
| 評価基準 | グループ間で不公平にならないか |
| バージョン | 古い教材や誤ったファイルが含まれていないか |
Roadmapでは、教師が公開前にグループとコンテンツのマッピングを明確に確認できると説明されています。
課題を公開して提出・採点する
対応関係を確認したら、課題を公開します。
学生には自分のグループ向けコンテンツだけが表示されます。提出後は、これまでと同じ課題の採点画面から、提出物、状態、フィードバック、点数などを確認する運用になる予定です。
既存のコラボレーショングループ課題との違い
Roadmap 568369は、既存の「コラボレーショングループ課題」と混同しやすいため、目的の違いを理解しておく必要があります。
現在のコラボレーショングループ課題は、少人数の学生が1つの提出物を共同で作成し、グループ単位またはメンバー単位で採点するための機能です。(Microsoft サポート)
一方、Roadmap 568369の中心は、グループごとに異なる教材や指示を表示することです。
| 比較項目 | コラボレーショングループ課題 | Roadmap 568369 |
|---|---|---|
| 主な目的 | グループで共同作業する | グループ別に教材を出し分ける |
| コンテンツ | グループで共通の課題に取り組む | グループごとに添付や指示を変更 |
| 提出 | グループで1つの提出物を扱える | 従来の提出動作を変更しない |
| 採点 | グループまたは個人で採点可能 | 従来の採点動作を維持 |
| 向いている授業 | 共同制作、班別研究 | 習熟度別学習、個別支援、発展学習 |
「グループを作る機能」という点は共通していますが、共同提出と教材の出し分けは別の目的です。正式リリース後は、どの種類のグループをRoadmap 568369で利用できるのか確認しましょう。
グループ別コンテンツが役立つ授業例
算数・数学の習熟度別演習
全員が同じ単元を学びながら、必要な支援だけを変えられます。
| グループ | 教材例 |
|---|---|
| グループA | 公式の説明、途中式の例、ヒント付き問題 |
| グループB | 標準問題、通常の解答用紙 |
| グループC | 複数の解法を考える発展問題 |
この場合、学習目標は「分数の計算方法を理解する」など共通にし、問題数やヒントの量を変えると評価しやすくなります。
国語や外国語の読解課題
読解力や語彙力に応じて、補助資料を変える使い方です。
基礎支援が必要な学生には語句説明や段落ごとの問いを付け、標準グループには通常の設問を配布します。発展グループには筆者の主張を批評する問題や、追加資料との比較課題を設定できます。
日本語学習者への支援
日本語を学習中の学生には、語彙表、図解、やさしい表現の指示などを追加できます。他の学生には通常の教材を表示しながら、課題そのものは1つにまとめられます。
ただし、学生の言語能力や支援状況が周囲に伝わらないよう、グループ名やファイル名には配慮が必要です。
合理的配慮に応じた教材配布
同じ学習目標に対して、文字サイズを大きくした資料、入力しやすいテンプレート、手順を細分化した説明などを割り当てる使い方が考えられます。
グループ別コンテンツは、単に難易度を上下させるだけでなく、学生が課題へ取り組むための障壁を減らす手段としても活用できます。
プロジェクト学習で役割別資料を配る
同じプロジェクト内で、調査担当、分析担当、発表担当などに異なる資料や指示を配布する運用です。
ただし、最終提出物や評価方法が役割ごとに大きく異なる場合は、1つの課題にまとめるより、別の課題として管理した方が分かりやすいこともあります。
1つの課題にまとめるべきか判断する基準
グループ別コンテンツを使えるからといって、すべての課題を1つにまとめる必要はありません。
次の条件を満たす場合は、Roadmap 568369との相性がよいと考えられます。
- 学習目標が共通している
- 提出期限が同じ
- 提出物の形式がほぼ同じ
- 評価基準を共通化できる
- 違いが教材、ヒント、指示、問題の難易度に収まる
一方、次のような場合は別々の課題にした方が管理しやすいでしょう。
- グループごとに学習目標が異なる
- 提出期限が大きく異なる
- レポートとプレゼンテーションなど提出形式が異なる
- 配点やルーブリックを完全に分けたい
- 一方のグループだけ複数回提出させたい
判断の軸は、「同じ課題に対する学び方の違い」なのか、「そもそも別の課題」なのかです。
導入前に学校や教師が準備しておくこと
複製している課題を洗い出す
現在、クラス内の一部学生だけに別教材を配るため、同じタイトルの課題を複数作成している場合は候補になります。
特に、次のような課題を整理しておきましょう。
- 基礎編と発展編に分けている課題
- 日本語支援版を別に作成している課題
- ヒントあり・なしで分けている課題
- 学年をまたいだクラスで難易度を変えている課題
共通部分とグループ固有部分を分ける
課題を作成する前に、内容を次の2種類に分けます。
共通部分
- 学習目標
- 期限
- 提出方法
- 基本の評価基準
- 共通の注意事項
グループ固有部分
- 添付教材
- ヒント
- 問題数
- 補助資料
- 発展問題
- グループ別の指示
この整理をしておくと、グループごとの差が必要以上に大きくなるのを防げます。
ファイル名を統一する
ファイル名だけで対象グループを判断すると、割り当てミスが起きやすくなります。
たとえば、次のような命名規則を決めておきます。
単元名_用途_グループ_版数
具体例は次のとおりです。
分数の計算_演習_A_v2.docx
分数の計算_演習_B_v2.docx
分数の計算_発展_C_v2.docx
公開前にファイルを開かなくても、単元、用途、対象、版数を確認できます。
評価の公平性を確認する
提出・採点動作が変わらなくても、教材の難易度が異なれば、評価の公平性が問題になることがあります。
同じ配点で運用する場合は、次のいずれかにそろえるのが現実的です。
- 到達目標は共通にし、ヒントの量だけを変える
- 必須問題を共通にし、追加問題を発展扱いにする
- 成果物は共通にし、取り組み方を支援教材で調整する
グループごとに到達目標そのものが異なる場合は、課題を分ける選択肢も検討しましょう。
Roadmap 568369の注意点
2026年9月に必ず全環境へ同時提供されるとは限らない
Microsoft 365 Roadmapに記載される提供時期は予定であり、変更、延期、取り消しが行われることがあります。また、展開はテナントやアプリの更新状況によって段階的に進む可能性があります。(Microsoft)
「2026年9月」は特定の提供日を示すものではありません。9月になった時点で、実際の課題作成画面に機能が表示されているか確認してください。
自動で習熟度を判定する機能ではない
現時点のRoadmapには、AIが学生の成績を分析して自動的にグループ分けする機能や、自動的に教材を選ぶ機能は記載されていません。
公表されているのは、教師がグループとコンテンツを対応付ける機能です。自動適応型学習ではなく、教師が設計した差別化学習を管理しやすくする機能と考えるのが適切です。
グループ別の配点やルーブリックは未確認
グループごとに異なる添付、教材、指示を設定できることは公表されていますが、次の項目はRoadmapに記載されていません。
- グループ別の配点
- グループ別のルーブリック
- グループ別の提出期限
- 公開後のグループ変更条件
- 既存課題への後付け設定
- 管理者による有効化・無効化
- 追加ライセンスの要否
- 既存のStudent Viewでの確認方法
これらは、正式提供時のサポート文書や実際の画面で確認する必要があります。
複数端末で動作確認する
対応予定プラットフォームには、Android、iOS、デスクトップ、Webが含まれています。
学校で複数種類の端末を使用している場合は、提供開始後に少人数で試行し、次の点を確認しましょう。
- 各端末で正しい教材が表示されるか
- 添付ファイルを開けるか
- 編集用コピーを作成できるか
- 指示文のレイアウトが崩れないか
- 提出と再提出が正常に動作するか
- 教師側でグループ別の提出状況を確認できるか
まとめ
Roadmap 568369によって、Microsoft 365 Educationの課題では、1つの課題内で学習グループごとに異なる添付ファイル、教材、指示を割り当てられる予定です。学生には自分のグループ向けコンテンツだけが表示され、教師は公開前に対応関係を確認できます。提出と採点の基本動作は変わりません。
この機能が特に役立つのは、学習目標や提出方法は共通しているものの、ヒント、補助資料、問題の難易度などを学生に合わせて変えたい授業です。
正式提供前の段階では、次の準備を進めておくとよいでしょう。
- 現在グループ別に複製している課題を洗い出す
- 共通部分とグループ固有部分を整理する
- 教材ファイルの命名規則を決める
- 共通の評価基準を作る
- 中立的なグループ名を決める
- 2026年9月以降にRoadmapと実際の課題画面を確認する
機能が表示されたら、最初から全クラスへ展開するのではなく、1つの単元と少人数のクラスで試行し、教材の表示、提出、採点までを確認してから本格運用へ移行するのが安全です。

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