Azure Disk Encryption 暗号化 VM を Azure Site Recovery で別サブスクリプションにレプリケーションする方法

Azure Disk Encryption(ADE)で暗号化した Azure VM を、その状態のまま Azure Site Recovery(ASR)でレプリケーションしたい――本番環境ではよくある要件です。この記事では「そもそもできるのか?」という疑問に対する結論だけでなく、権限設計・Key Vault 設計・クロスサブスクリプション構成まで含めて、運用でつまずきやすいポイントをまとめて解説します。

目次

ADE 暗号化された Azure VM のレプリケーションは可能か?

最初に結論を整理します。

  • Azure Disk Encryption(ADE)有効化済みの Windows VM は、Azure Site Recovery(ASR)でレプリケーション可能です。
  • ASR は ADE あり/なしの Windows VM の DR を公式にサポートしており、暗号化キー/シークレットはレプリケーション有効化時に ユーザーの権限コンテキストでターゲット側 Key Vault にコピーされます。
  • 別サブスクリプションへのレプリケーションもサポートされています。ただし 同一 Microsoft Entra テナント内であることが必須です。
  • テナントをまたぐレプリケーション(クロステナント)はサポート外です。

ざっくり可否だけを整理すると、次のようになります。

観点可否補足
ADE 有効化 Windows VM を ASR で他リージョンへ DR○(サポート)ADE 0.1 / 1.1 ともにサポート(条件あり)。Linux は ADE 1.1 のみ。
同一テナント内・別サブスクリプションへの DR○(サポート)ソース/ターゲットとも同一 Entra テナント配下であれば選択可能。
テナントをまたいだ DR(クロステナント)×(非サポート)ASR の設計上サポート対象外。
Azure Policy を使った「自動 ASR 有効化」かつクロスサブスクリプション×(非サポート)Policy ベースの ASR 有効化はクロスサブスクリプション非対応。

ここからは、どのような前提と設計を満たせば ADE 暗号化 VM のクロスサブスクリプション DR がうまく動くのかを、もう少し実務レベルで掘り下げていきます。

前提整理:Azure Disk Encryption と ASR の基礎

Azure Disk Encryption のバージョンとサポート条件

Azure Disk Encryption は「Microsoft Entra ID(旧 Azure AD)を前提とする従来版」と「Entra ID を不要とする新しい版」の 2 系統があります。公式ドキュメントでは Windows VM 向けに ADE 0.1(Entra 必須) と ADE 1.1(Entra 不要) が明記されています。

項目ADE 0.1(旧版)ADE 1.1(新版)
Entra ID(Azure AD)の利用必須(アプリケーション ID 等の指定が必要)不要(Entra アプリなしで暗号化可能)
ディスク種別マネージド/アンマネージド両方マネージドディスクのみサポート(アンマネージド非対応)
ASR による DR サポート(Windows)サポート(後述の制約あり)サポート(推奨)
Linux VMASR は非サポートADE 1.1(Entra 不要版)のみサポート
ASR 設定変更時の注意ADE 1.1 へ移行する場合、一度レプリケーションを無効化してから再度有効化が必要。キー回転時など、一部操作ではレプリケーションの再構成が必要(後述)。

また、ADE 自体はすでに 2028 年 9 月 15 日にリタイア予定であることがアナウンスされています。新規ワークロードでは Encryption at host の利用が推奨されている点も頭の片隅に置いておきましょう。

ディスク暗号化キーと Key Vault の役割

ADE では、概ね次のような構成でディスクが暗号化されます。

  • VM 上の BitLocker が ディスク暗号化キー(DEK) を用いて OS/データディスクを暗号化
  • DEK をさらに Key Encryption Key(KEK) でラップする構成も選択可能
  • これらのキー情報(シークレット/キー)が Azure Key Vault に格納される
  • Key Vault は基本的に VM と同じリージョン&サブスクリプション 内に存在

ASR で DR を構成する際には、この Key Vault に格納されたディスク暗号化キーを、ターゲットリージョン側の Key Vault にコピーする必要があります。ここが ADE+ASR 構成の最大のポイントです。

ASR は ADE キーをどう扱うか

レプリケーション有効化時の流れ

ADE 有効化済み VM で ASR レプリケーションを有効化すると、ASR は次のような流れで暗号化キーを扱います。

タイミングASR の主な処理暗号化キー/Key Vault まわり
1. 保護対象 VM の選択Recovery Services コンテナーから「レプリケーションの有効化」を開始ソース VM が ADE で暗号化されているかどうかを検出
2. レプリケーション設定の構成ソース/ターゲットのリージョン、サブスクリプション、リソースグループ、VNet 等を指定「暗号化の設定」で ディスク暗号化 Key Vault/KEK Key Vault をターゲット側に指定
3. 初回レプリケーション設定反映レプリケーションポリシー、キャッシュストレージ、ターゲット VM 情報等を構成必要に応じて ターゲットリージョンに新規 Key Vault を自動作成(名前に asr サフィックス) し、ソース Key Vault からキーをコピー
4. 初期レプリケーション中ディスクデータをターゲットリージョンに複製暗号化キー自体はすでにターゲット Key Vault に存在。ディスクデータは暗号化状態のまま転送される
5. フェールオーバー/テストフェールオーバーターゲットリージョンに新しい VM を作成し起動ターゲット VM はターゲット Key Vault のキー/シークレットを参照して起動する

ポイントは、ASR は「Key Vault 間のキーコピー」と「VM から Key Vault への参照設定」を自動でやってくれるという点です。ただし、それが成立するのはユーザーに必要な権限が付与されている場合のみです。

Key Vault に必要な権限(RBAC/アクセスポリシー)

暗号化された VM のレプリケーションを有効化するために、ユーザーには少なくとも以下の Key Vault 権限が必要です。

  • キー権限(Keys)
    • List
    • Get
    • Create
  • シークレット権限(Secrets)
    • Get
    • List
    • Set
  • キー暗号化キーを利用している場合
    • Cryptographic operations: Encrypt / Decrypt

これらは従来の Key Vault アクセスポリシーでも、Azure RBAC ベースでも付与できます。実務的には、次のような分担が現実的です。

  • セキュリティ管理者:
    • Key Vault に対する「Key Vault Administrator」や「Key Vault Crypto Officer」などのロールを保持
    • ASR/バックアップ用の Managed Identity や DR 管理者に対し、必要最低限の権限のみ付与
    • 必要に応じて Copy-Keys.ps1 を使い、本人権限でキーをコピー
  • DR 管理者(Site Recovery Contributor など):
    • Recovery Services コンテナーで ASR の有効化/監視/フェールオーバーを実行
    • Key Vault 側では List/Get 程度に権限を絞る、または完全に委譲しない

ASR は Recovery Services コンテナーに紐づいた Managed Identity を利用して、ストレージアカウントや Key Vault にアクセスする構成もサポートしています。この場合も、Key Vault 側では Managed Identity に対して上記のような権限を付与する必要があります。

同一テナント内でのクロスサブスクリプション レプリケーション

本題の「別サブスクリプションへのレプリケーション」について整理します。

  • ASR のウィザードでは、ソース側のサブスクリプションを、「Recovery Services コンテナーと同じ Entra テナント内の任意のサブスクリプション」から選択できます。
  • 同様に ターゲットサブスクリプションも選択可能で、既定値はソースと同じサブスクリプションですが、別サブスクリプションを選ぶことでクロスサブスクリプション DR を構成できます。
  • ターゲットサブスクリプションを変更すると、ターゲットリソースグループや VNet、Key Vault などのターゲット設定も自動でそのサブスクリプションに切り替えられます。

サポートされる・されないパターンの整理

構成パターン可否ポイント
同一サブスクリプション内、別リージョンへの DRサポートもっともシンプルな構成。PoC や小規模構成で採用されがち。
異なるサブスクリプション(同一テナント)の別リージョンへの DRサポート「本番サブスクリプション」と「DR 専用サブスクリプション」を分離する代表的な構成。
異なるテナントをまたぐ DR非サポートASR の設計上、テナントをまたぐ構成は不可。クロステナント DR が必要なら別方式を検討。
Azure Policy で自動的に ASR を有効化しつつ、別サブスクリプションへ DR非サポートAzure Policy による ASR 自動有効化シナリオでは Cross-subscription がサポートされていない。

サブスクリプション分割設計の例

実務でよくあるのは、次のような構成です。

パターン構成イメージメリットデメリット/注意点
パターン A:同一サブスクリプション DRProd-RG(東日本)→ DR-RG(西日本)権限・課金がシンプル。PoC や小規模向け。DR によるコストが本番と混在し、部門別課金がしづらい。
パターン B:Prod サブスクリプション → DR サブスクリプションProd-Sub(東日本)→ DR-Sub(西日本)DR コストを別サブスクリプションで管理でき、権限分離もしやすい。権限設計がやや複雑。Key Vault/ネットワーク等の構成を DR 側で再現する工数が発生。
パターン C:部門別サブスクリプション → 共通 DR サブスクリプションDept-A-Sub / Dept-B-Sub → Shared-DR-Sub複数部門の DR を 1 つの DR サブスクリプションに集約。DR 運用チームを共通化しやすい。Shared-DR-Sub のスケーラビリティ・サブスクリプション制限(保護ディスク数上限など)に注意。

実装ステップ詳細:ADE 暗号化 VM を ASR で保護する

ここからは、実際に ADE 暗号化 Windows VM を ASR で保護し、同一テナント内の別サブスクリプションへレプリケーションする際の流れを、少し踏み込んで整理します。

ステップ 1:事前チェック(VM/ディスク/Key Vault)

まずはソース環境の棚卸しと要件チェックです。

確認項目チェック内容補足
OS 種別対象 VM が Windows かどうかを確認本記事の前提は Windows VM。Linux の場合は ADE 1.1 のみサポートなど条件が異なる。
ADE バージョンADE 0.1(Entra 必須)か 1.1(Entra 不要)かを確認1.1 の場合、マネージドディスク必須。0.1 から 1.1 に切り替える場合は後述の手順に注意。
ディスク種別すべてのディスクがマネージドディスクかどうかADE 1.1 はマネージドディスクのみサポート。
Key Vault の配置暗号化キーを格納している Key Vault のリージョン/サブスクリプション通常は VM と同じリージョン・サブスクリプションだが、例外構成がないか確認。
ASR 対象リージョンターゲットリージョン(例:東日本 → 西日本)ペアリージョンを選ぶのが一般的。DR 戦略・規制要件に応じて設計。
ターゲットサブスクリプション同一テナント配下で、ターゲットとして利用するサブスクリプションを決定権限モデル(誰がどこまで操作できるか)も合わせて設計する。

ステップ 2:Recovery Services コンテナー(Vault)の準備

次に ASR の中核となる Recovery Services コンテナーを準備します。

  • DR をまとめて管理したいサブスクリプションに、Recovery Services コンテナーを作成
    • たとえば「Shared-DR-Sub」の「rg-dr-vault-eastasia」など、専用 RG に集約
  • コンテナーのリージョンは、基本的に ターゲットリージョンと同じにするのが推奨
    • ソース東日本 → ターゲット西日本の場合、Vault は西日本
  • 必要に応じて、Vault の Managed Identity を有効化し、Key Vault やストレージアカウントへのアクセスを MI 経由で行う設計も可能

ステップ 3:ターゲット Key Vault 設計とキーコピー

ASR では、暗号化キーをターゲットリージョン/サブスクリプションの Key Vault にコピーする必要があります。公式ドキュメントでは、次のような運用パターンが想定されています。

  • ポータルからの自動コピー:
    • レプリケーション有効化時に、ターゲット側に「<元 Vault 名>-asr」のような Key Vault を自動作成し、そこにキー/シークレットをコピー
  • PowerShell スクリプト(Copy-Keys.ps1)によるコピー:
    • セキュリティ管理者が自身の権限でキーをコピーし、その後 ASR から既存のターゲット Key Vault を選択
    • Azure が提供している Copy-Keys スクリプト を利用すると、対象 VM /ソース Key Vault /ターゲットリージョンを選ぶだけで必要な鍵をコピー可能

セキュリティ分掌の観点からは、「DR 管理者は Key Vault の権限をほとんど持たず、セキュリティ管理者が Copy-Keys.ps1 でキーを複製する」パターンがよく採用されます。

ステップ 4:レプリケーションの有効化(クロスサブスクリプション指定)

ポータルから ADE 暗号化 VM を選び、レプリケーションを有効化します。流れは概ね次の通りです。

  1. Recovery Services コンテナーを開き、「Site Recovery > Azure 仮想マシン > レプリケーションの有効化」をクリック
  2. ソース欄で次を指定
    • リージョン:ソース VM のリージョン
    • サブスクリプション:ソース VM が属するサブスクリプション(同一テナント内なら複数選択可)
    • リソースグループ:対象 VM の RG
  3. レプリケーション対象 VM を選択
  4. レプリケーション設定で、ターゲット側を構成
    • ターゲットリージョン:DR 用リージョン(例:西日本)
    • ターゲットサブスクリプション:DR 用サブスクリプションに変更
    • ターゲットリソースグループ:DR 用 RG(新規作成または既存)
    • VNet/サブネット:DR 用ネットワーク(事前に設計/作成)
  5. 暗号化の設定を開き、ターゲット Key Vault を指定
    • 自動作成された <Vault 名>-asr をそのまま使うか、事前にセキュリティ管理者が準備した Key Vault を選択
    • Disk Encryption Key Vault と Key Encryption Key Vault をそれぞれ指定
  6. レプリケーションポリシー(保持期間・アプリ整合性スナップショット頻度など)を選択し、レプリケーションを有効化

このとき、Key Vault に必要な権限が不足していると、レプリケーション有効化処理は Key Vault 関連のエラーコードで失敗します。貴重な時間を失わないためにも、事前の権限チェックは必ず行いましょう。

ステップ 5:テストフェールオーバーでの検証

本番運用に入る前に、必ず テストフェールオーバーを実施しておきます。

  • Recovery Services コンテナーから対象 VM を選択し、「テスト フェールオーバー」を実行
  • テスト用 VNet(分離されたサブネット)にフェールオーバー VM を起動
  • 次の観点を確認
    • VM が正常に起動するか(BitLocker のロックなどで止まらないか)
    • ドメイン参加/アプリケーションが正常に動作するか
    • ネットワーク的に他システムと疎通できるか(特に Private DNS/NSG/Firewall)

テストフェールオーバーの検証結果は台帳化しておき、障害発生時に「どこまで保証できる構成なのか」を関係者が即座に把握できるようにしておくのがおすすめです。

ステップ 6:運用開始とヘルス監視

運用開始後は、次のような観点で継続的に監視・メンテナンスを行います。

  • ASR ジョブ/レプリケーションヘルス
    • レプリケーション遅延、失敗ジョブの有無
    • 高いデータ変更率(High Churn)が発生していないか
  • Recovery Services コンテナー・Key Vault 側の変更
    • Managed Identity や Key Vault 権限の変更が、DR に影響を与えていないか
    • Key Vault のキー有効期限が近づいていないか
  • コスト監視
    • 保護ディスク数/保持期間/ネットワークトラフィック量に応じて Site Recovery のコストが増減するため、タグやコストアラートを活用

運用と変更管理のベスト プラクティス

DR が一度構成できても、その後の変更や運用の中で破綻するケースは珍しくありません。代表的な変更イベントと、それに対して ASR 側で必要となる作業を整理します。

変更イベントASR 側で必要な対応補足
VM にデータディスクを追加レプリケーション対象ディスクの再評価(通常は自動検出)ディスク追加後のテストフェールオーバーでアプリ整合性を再確認。
ASR 有効化後に ADE を有効化ターゲット側 Key Vault へのキーコピーと、ASR メタデータの「暗号化設定」の更新ドキュメントにある「ターゲット VM の暗号化設定更新」手順を実施する。
ディスク暗号化キー/KEK の回転(ローテーション)基本的には レプリケーションを一度無効化し、再度有効化 する必要ありASR は保護中の暗号化 VM のキー回転をサポートしておらず、回転後は再構成が必要。
ADE 0.1 → ADE 1.1 への移行移行前にレプリケーションを無効化し、移行後に再度 ASR を構成0.1 ベースで保護している状態から 1.1 に切り替える場合の必須ステップ。
VM サイズ変更や可用性ゾーン設定変更場合によってはレプリケーション無効化・再有効化可用性セット/ゾーンはレプリケーション有効化後に変更できないため、事前設計が重要。

よくあるトラブルと対処アイデア

ADE 暗号化 VM の ASR 構成で実際によく発生するトラブルを、症状ベースで整理しておきます。

症状典型的な原因対処例
レプリケーション有効化時に「Key Vault permission error」で失敗ソース Key Vault の GET 権限/ターゲット Key Vault の Set 権限不足Key Vault のアクセス制御で、対象ユーザー(または Managed Identity)に Keys/Secrets に対する List/Get/Create/Set を付与。
テストフェールオーバー VM が BitLocker 復旧画面で停止ターゲット VM が参照している Key Vault/キーが誤っている、またはアクセス不可ターゲット側の「暗号化設定」で Key Vault/キーを再指定し、必要なら Copy-Keys.ps1 でキーを再コピー。
Key Vault のキーを回転したらレプリケーションが失敗し始めたASR メタデータが古いキー情報を保持したままレプリケーションを一度停止し、新しいキーを利用する構成で再度 ASR を有効化。必要に応じて Copy-Keys.ps1 で新しいキーを DR 側へコピー。
Azure Policy で ASR を自動有効化したが、一部 VM だけ保護されないPolicy ベースの ASR 有効化がクロスサブスクリプション未対応/VM 構成がサポート外該当 VM はポータルやスクリプトから個別に ASR を有効化するか、同一サブスクリプション内での DR に切り替える。
DR 用サブスクリプションだけで保護ディスク数上限に近づいている複数部門の DR を 1 サブスクリプションに集約しているサブスクリプションごとの「保護ディスク数上限(3,000 台)」に注意し、必要に応じて DR サブスクリプションを分割する。

将来を見据えた検討:ADE から Encryption at host へ

現在の公式アナウンスでは、Azure Disk Encryption は 2028 年 9 月 15 日にリタイア予定であり、新規ワークロードには Encryption at host の利用が推奨されています。

  • これから新しく DR 構成を組む場合:
    • 可能であれば ADE ではなく、サーバーサイド暗号化(SSE)+ Encryption at host を前提に DR を設計
    • ASR 側では「CMK 付きディスク」のサポートも整備されているため、Key Vault 利用という意味では大きく変わらない。
  • すでに ADE 暗号化済みの VM を多数抱えている場合:
    • 短期的には本記事のように ADE+ASR の DR を安定稼働させる
    • 中長期的には、ADE から Encryption at host への移行計画(メンテナンスウィンドウ/再起動/テストフェールオーバーなどを含む)を立てる

DR 設計の観点では、「暗号化方式(ADE or Encryption at host)」よりも、「キー管理の責任分界(誰が Key Vault を管理し、DR 時にキーをどこまで自動的に利用できるか)」の設計の方が重要です。その意味でも、ASR と Key Vault の連携部分をしっかり作り込んでおくと、将来の暗号化方式変更にも耐えられる構成になります。

まとめ:ADE 有効化 Windows VM の ASR/クロスサブ DR を成功させるポイント

  • ADE 有効化 Windows VM は ASR でレプリケーション可能であり、同一 Microsoft Entra テナント内であれば 別サブスクリプションへのレプリケーションもサポートされています。
  • 成功のカギは Key Vault/権限設計にあります。ソース/ターゲット双方の Key Vault に対して、ユーザーまたは Managed Identity に適切な権限(List/Get/Create/Set など)を付与することが必須です。
  • ADE のバージョン(0.1 / 1.1)やディスク種別(マネージド/アンマネージド)は ASR のサポート可否に直結します。特に ADE 1.1 では マネージドディスク必須である点を忘れないようにしましょう。
  • キー回転や ADE バージョン変更といった構成変更では、レプリケーションの再構成が必要になるケースがあります。運用設計の段階で、どの変更時に何をするかを決めておくと安心です。
  • ADE 自体は将来的に Encryption at host へ移行していく方向性が示されていますが、当面は既存環境のために ADE+ASR+クロスサブ DR をしっかり安定稼働させることが重要です。

以上のポイントを押さえておけば、ADE 有効化 Windows VM の ASR レプリケーションおよび 同一テナント内の別サブスクリプションへのディザスターリカバリーを、安全かつ実運用に耐えるレベルで構築・運用できるはずです。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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