Azure VMware Solution AV36 Node Retirementの変更点と影響|退役日と確認ポイント

Azure VMware Solution の AV36 ノードを使っている場合、今回まず確認すべきことは「退役日をいつとして運用計画に入れているか」です。Azure Updates では、該当更新は Retirement として扱われ、現在確認できる公式表示では Azure VMware Solution AV36 Node Retirement now on September 30, 2027 とされています。以前に「2028年6月30日退役」と案内されていた内容から、VMware 側のロードマップに合わせて日付が変更されたと説明されています。(Microsoft Azure)

そのため、2028年を前提に移行計画や予約インスタンス、更新予算を組んでいる Azure 利用者は、計画の見直しが必要です。特に AV36 の Azure VMware Solution プライベートクラウド、AV36 Reserved Instance、移行中の VMware ワークロードを持つ組織は、まず利用中の SKU、RI 期限、移行先候補、作業ウィンドウを棚卸ししてください。

目次

Azure VMware Solution AV36 Node Retirement は何が変わった?

今回の変更は、新機能追加ではなく AV36 ノードの退役に関する日付と移行計画の見直し です。Azure Updates 上の分類は Retirement であり、対象は Azure VMware Solution の AV36 ノードです。検索結果や関連する Azure Updates では、Microsoft が以前発表していた AV36 ノードの退役日が 2028年6月30日だったこと、その日付が VMware のロードマップに合わせて変更されたことが示されています。(Microsoft Azure)

確認項目今回のポイント実務での影響
対象サービスAzure VMware SolutionAVS を利用していない Azure 環境には直接影響しない
対象ノードAV36AV36P、AV48、AV52、AV64 への移行検討が必要
更新種別Retirement機能改善ではなく、廃止対応として扱う
注意すべき日付公式表示では 2027年9月30日2028年を前提にした計画は再確認が必要
優先確認事項SKU、RI、移行先、作業時期予算・容量・運用変更の調整が必要

Azure Updates の別更新では、AV36 SDDC は個別の RI 有効期限にかかわらず、2027年9月30日以降に退役対象になる旨も示されています。RI の終了日だけを見て「まだ利用できる」と判断しないことが重要です。(Microsoft Azure)

対象になる Azure 利用者

今回の影響を受ける可能性が高いのは、次のような利用者です。

  • Azure VMware Solution で AV36 ノードを使っている
  • AV36 の Reserved Instance を保有している
  • オンプレミス VMware から AVS へ移行中、または移行計画中
  • HCX、ExpressRoute、NSX、バックアップ、DR 構成を AV36 前提で設計している
  • AV36 を前提に監査・契約・予算計画を作っている

Azure VMware Solution は、Microsoft がプライベートクラウドのインフラとソフトウェアを管理し、利用者はワークロードの開発・運用に集中できるサービスです。AVS のクラスターは専用ベアメタルホストを使うため、一般的な Azure VM のサイズ変更とは異なり、ノード SKU の退役はクラウド基盤そのものの移行計画に関わります。(Microsoft Learn)

すぐ確認したい設定と運用ポイント

利用中の AVS プライベートクラウドと SKU を確認する

最初に、どのサブスクリプション、リージョン、リソースグループで Azure VMware Solution を使っているかを確認します。Azure CLI では az vmware private-cloud list や az vmware private-cloud show でプライベートクラウドを確認できます。az vmware cluster list は、既定の管理クラスターを除くクラスター一覧の確認に使えます。(Microsoft Learn)

az vmware private-cloud list -o table

az vmware private-cloud show \
  --resource-group <resource-group-name> \
  --name <private-cloud-name> \
  -o json

az vmware cluster list \
  --resource-group <resource-group-name> \
  --private-cloud <private-cloud-name> \
  -o table

クラスター内のホストを確認する場合は、az vmware cluster host list を使います。どのクラスターにどのホストが含まれているかを把握し、AV36 が含まれている環境を移行対象として一覧化してください。(Microsoft Learn)

az vmware cluster host list \
  --resource-group <resource-group-name> \
  --private-cloud-name <private-cloud-name> \
  --cluster-name <cluster-name> \
  -o table

Reserved Instance の期限だけで判断しない

AV36 の RI を保有している場合は、契約期限、更新可否、移行先 SKU の予約購入可否を確認します。Azure VMware Solution の価格ページでは、ノード構成はコア、メモリ、ストレージ要件に基づいて選択でき、1年または3年の予約インスタンス購入オプションにより価格の予測性を高められると説明されています。(Microsoft Azure)

ただし、今回のような退役アナウンスでは、RI の期限とサービス継続可否が一致しない可能性があります。関連する Azure Updates では、AV36P と AV52 VCF BYOL の 3年 RI は 2026年6月30日まで、1年 RI は 2028年6月30日まで提供されるとされています。移行先候補の RI 購入期限も、AV36 退役対応と合わせて確認してください。(Microsoft Azure)

Service Health の通知を受け取れる状態にする

Azure VMware Solution の重要な通知は、Azure portal の Service Health で確認できます。Microsoft Learn では、Service Health に発行されるサービスの問題、計画メンテナンス、正常性アドバイザリ、セキュリティアドバイザリを確認し、アクティビティログアラートを設定できると説明されています。(Microsoft Learn)

最低限、次の担当者に通知が届くようにしておきます。

通知先理由
Azure 管理者AVS リソース、クォータ、サポート依頼を扱うため
VMware 管理者vCenter、HCX、NSX、vSAN、VM 移行を扱うため
ネットワーク担当ExpressRoute、ルーティング、Firewall、L2 延伸を確認するため
セキュリティ担当NSX ルール、監査、ログ、アクセス権を確認するため
財務・調達担当RI、予算、契約変更を確認するため

移行先 SKU を選ぶときの判断基準

AV36 の退役対応では、単に「新しい SKU に変える」だけでは不十分です。CPU、メモリ、ストレージ、vSAN アーキテクチャ、リージョン可用性、移行方式を合わせて判断する必要があります。

Microsoft Learn では、AV36、AV36P、AV48、AV52、AV64 の主な仕様が示されています。AV36 は 36物理コア、576GB RAM、AV36P は 36物理コア、768GB RAM、AV48 は 48物理コア、1,024GB RAM、AV52 は 52物理コア、1,536GB RAM、AV64 は 64物理コア、1,024GB RAM のホストとして説明されています。(Microsoft Learn)

移行先候補向いているケース注意点
AV36PAV36 に近い構成で、メモリやストレージを増やしたいリージョン・クォータ・RI 条件を事前確認する
AV48CPU とメモリを増やし、より新しい構成に寄せたい既存構成との互換性、移行手順、提供リージョンを確認する
AV52メモリ・ストレージ消費が大きいワークロードを集約したいサイジングを誤ると過剰投資になりやすい
AV64将来的な拡張や Gen 2 構成を見据えたいvMotion や EVC、ストレッチクラスター対応に注意する

特に AV64 を移行先に含める場合は、EVC と vMotion の制約を確認してください。Microsoft Learn では、AV64 クラスターと AV36、AV36P、AV52 などのベース SKU クラスター間では EVC モードの違いにより、移行方向や VM の状態によってライブ vMotion に課題が出ることが説明されています。必要に応じて VM レベルの EVC 設定やコールド vMotion を検討します。(Microsoft Learn)

運用上の注意点

クラスター最小構成と容量余裕を確認する

Azure VMware Solution クラスターには少なくとも 3 つのホストが必要です。Microsoft Learn では、3ホスト構成ではメンテナンスや障害時に制約が出るため、少なくとも 4つの ESXi ホストを含む vSAN クラスターのデプロイが推奨されています。(Microsoft Learn)

退役対応の移行では、移行先クラスターに一時的な空き容量が必要です。CPU とメモリだけでなく、vSAN 使用率、FTT ポリシー、バックアップのスナップショット、移行中の二重稼働期間も考慮してください。

ネットワークとセキュリティを「移行後の姿」で確認する

AVS は ExpressRoute、VPN、Azure Virtual WAN などと組み合わせて使われます。Microsoft Learn では、プライベートクラウドのデプロイ時に管理、プロビジョニング、vMotion 用のプライベートネットワークが作成され、vCenter Server、NSX Manager、仮想マシンの vMotion やデプロイに使われると説明されています。(Microsoft Learn)

移行先を決める前に、次の点を確認します。

  • ExpressRoute Global Reach の接続構成
  • NSX の分散ファイアウォール、ゲートウェイファイアウォール、NAT
  • L2 延伸を使っている場合の解除計画
  • バックアップ、監視、ログ収集の通信先
  • DNS、NTP、Active Directory、証明書
  • IP アドレスを維持するか、変更するか

IP アドレスを維持できるかどうかは、アプリケーション停止時間に直結します。ネットワーク担当を後から巻き込むと、移行日程が大きく遅れやすい部分です。

移行計画は「退役日の直前」ではなく四半期単位で逆算する

AV36 の退役対応は、OS パッチのように短時間で終わる作業ではありません。少なくとも次の順番で進めると、抜け漏れを減らせます。

フェーズやること判断基準
棚卸しAV36 環境、VM、依存関係、RI を一覧化対象外の環境まで含めていないか
サイジングCPU、メモリ、ストレージ、IOPS、成長率を確認平均値だけでなくピーク値を見る
移行先選定AV36P、AV48、AV52、AV64 を比較リージョン、クォータ、RI、EVC を確認
検証代表 VM で移行、性能、監視、バックアップを確認本番と同じネットワーク経路で試す
本番移行業務単位で移行し、切り戻し手順を用意停止時間と責任者を明確にする
後処理AV36 リソース、予約、監視、台帳を更新古い接続や課金が残っていないか確認

失敗しやすいポイント

2028年のまま計画してしまう

今回もっとも危険なのは、古い情報や社内メモに残った「2028年」という日付をそのまま使うことです。公式の現在表示では 2027年9月30日の退役として確認できるため、スケジュール表、稟議資料、予算計画、移行ロードマップの日付を更新してください。(Microsoft Azure)

RI の期限をサービス継続期限と誤解する

RI は料金コミットメントであり、退役対応そのものを不要にするものではありません。AV36 SDDC が退役対象である以上、RI の残期間があっても、移行計画は別途必要です。(Microsoft Azure)

AV64 を選べば簡単に移れると思い込む

AV64 は有力な選択肢ですが、既存の AV36 系クラスターとの間では EVC や vMotion の考慮が必要です。ライブ vMotion が常に成功する前提で計画すると、切り戻しや停止時間の見積もりを誤ります。(Microsoft Learn)

クォータと提供リージョンの確認が遅れる

移行先 SKU を決めても、対象リージョンで希望する SKU の容量やクォータが確保できなければ移行できません。AVS はベアメタルホストを使うため、通常の仮想マシンよりも調達・承認のリードタイムを見込むべきです。

Azure 利用者が今やるべきこと

まず、AV36 を使っている Azure VMware Solution プライベートクラウドをすべて洗い出してください。次に、退役日、RI 期限、移行先 SKU、必要クォータ、ネットワーク変更、検証環境の有無を 1 枚の台帳にまとめます。

特に重要なのは、次の 5 点です。

  • 公式 Azure Updates の日付を再確認する
  • AV36 の利用有無をサブスクリプション横断で確認する
  • RI の期限と移行期限を分けて管理する
  • AV36P、AV48、AV52、AV64 の移行候補を比較する
  • Service Health とアクティビティログアラートで通知を受け取る

Azure VMware Solution AV36 Node Retirement は、すぐに障害が発生するという話ではありません。しかし、対応を後回しにすると、移行先の容量確保、検証、停止調整、予算承認が間に合わなくなる可能性があります。AV36 を使っている場合は、今日の時点で「対象環境の棚卸し」と「移行先 SKU の一次選定」まで進めておくのが安全です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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