Azure VMware Solution:AV36 3年RI販売終了とAV36P移行完全ガイド【2025年対応】

Azure VMware Solution(AVS)の「AV36」ノードで発生する“3年リザーブドインスタンス(RI)販売終了”と、併せて求められる「AV36P」への移行・Broadcom VMwareライセンス変更対応。期日と選択肢を正しく理解しておけば、ダウンタイムもコスト増も最小化できます。本記事は実務担当者がすぐ動けるよう、手順、意思決定基準、ネットワーク設計、リスク対策までを一挙に整理します。

目次

AV36 3年RI販売終了の全体像と前提

まず“なにが、いつ変わるのか”を押さえます。AV36ノードに関するリザーブドインスタンスの取り扱いが段階的に切り替わります。重要日程と、運用・コストに与える影響を俯瞰しましょう。

日付出来事影響/やるべきこと
2025-06-30AV36の「3年RI」新規購入・更新の販売終了以降は3年RIの新規購入/延長不可。既存RIの扱いを精査し、必要分は「1年RIへの交換」へ方針転換。
2025-10-15Broadcom VMwareライセンス変更の期限この日までにAV36 RIを1年RIへ交換しておくとライセンス継続がスムーズ。未対応だとPAYG化のみが残り、コスト悪化リスク。
2028-06-25既存RIの「1年RI交換」受付期限保有している3年/1年RIの残期間を「1年RI」に交換して延命可能。期限を過ぎると交換不可。

上記の通り、2025年中に意思決定が集中します。販売終了で“RIが買えず止まる”ことはありませんが、満了後は自動的に従量課金(PAYG)へ移行するため、コスト最適化の観点から計画的な交換・更新・移行が不可欠です。

Q&A:最初に出る疑問と即答

2025-06-30以降、AV36の3年RIは新規/更新できないのか?

はい。不可です。販売終了日以降、3年RIの新規購入・更新はできません。以後は1年RIの交換やPAYG運用、あるいはAV36Pへの移行が主選択肢となります。

既存の3年/1年RIはどう扱えばよい?

  • 交換で延命:保有済みRIの残期間を2028-06-25まで1年RIへ交換できます。
  • 満了放置の影響:RIを更新/交換せず満了すると、ノードは止まらず継続稼働し、課金のみPAYGへ自動切替。コストが上がりやすいため、満了前の対策推奨。
  • 交換の方法:Azure Portalのセルフサービスで実行可能。残期間をまとめて2年等の長期へ伸ばす特例は原則不可で、必要なら営業/サポートへ個別相談。

AV36環境にAV36Pノードを追加して、同一vCenter内で直接VM移動できる?

できません(SKU混在は非サポート)。AV36Pを使う場合は新しいプライベートクラウドを作り、そこへAV36Pノードを配置。ワークロード移行はVMware HCX、vMotion、バックアップ/リストア等を用います。

新しいAV36Pクラウドは同じCIDRを使える?

不可。別CIDRが必須。既存クラウドと重複しないアドレス設計にします。再IPを行うか、HCXのL2延伸で既存IPを維持して段階移行するかのいずれかを選びます。

Broadcom VMwareライセンス変更(期限:2025-10-15)にどう対応?

期限までにAV36 RIを1年RIへ交換しておくとライセンスが継続されます。期限を過ぎるとAV36ノード継続はPAYG化に寄るため、コスト上振れが避けづらくなります。

意思決定の軸:コスト、リスク、運用の3点バランス

以下の視点で判断すると迷いが減ります。

  • コスト:RIの先払い割引をどこまで活用するか。PAYGの柔軟性と比較し、運用期間/成長率/縮退計画を踏まえて最適化。
  • リスク:期限までに手を打てない場合のコスト暴騰、期間中の構成変更やネットワーク競合のリスク、移行作業の人的リスク。
  • 運用:RIの更新・交換・解放、AV36P側のキャパシティ確保、ネットワーク/セキュリティ/監視の一貫性、移行ウィンドウの確保。
選択肢メリットデメリット向いているケース
1年RIへ交換(AV36継続)割引適用でPAYGより低コスト。既存運用が維持しやすい。2028-06-25までの交換スケジュール管理が必要。長期固定は不可。短〜中期でAV36運用を継続しつつ、移行準備の時間を稼ぎたい。
即時PAYG化柔軟・即時。手続き不要。長期的に割高。コスト予見性が下がる。短期で廃止/縮退が決まっており、先払いしたくない。
AV36Pへ新規クラウド構築+移行最新SKUへリフレッシュ。性能/寿命/サポート性を改善。別CIDR設計・移行作業・一時的な二重運用コスト。数年スパンで稼働見込みがあり、性能/標準化を図りたい。

AV36 RI:販売終了後の振る舞いと実務ポイント

  • 販売終了日(2025‑06‑30)以降:3年RIの新規購入・更新は不可。
  • 既存RIの延命:2028‑06‑25までに残余期間分を1年RIへ交換可能。
  • 満了時:ノードは停止せず継続稼働課金のみRI→PAYGへ自動切替
  • 交換の実務:Azure Portalでセルフサービス可。残存分の合算による長期化(例:2年)特例は原則不可。必要であれば営業/サポートへ相談。

手順:Azure PortalでのRI交換(セルフサービス)

画面名称は環境で多少異なります。以下の流れを事前に“演習”しておくと安全です。

  1. Azure Portalで対象サブスクリプションのリザーブドインスタンス画面を開く。
  2. 対象のAV36 RIを選択し、交換またはスコープ変更/期間変更等のメニューを確認。
  3. 対象ノード数残期間交換先(1年RI)を指定。
  4. 価格・割引条件・適用スコープの確認。コミット前に影響ノード/課金開始日を必ずレビュー
  5. 承認後、交換が適用されていることを課金レポートポータル表示で二重確認。
チェック項目理由
対象ノード数とスコープ誤ったサブスクリプション/PCに適用すると割引効果を取り逃す。
適用開始日/満了日会計月跨ぎのズレや重複課金を防止。
払い戻し/差額精算の規定返金ポリシーや差額処理の有無を事前把握。
タグ/コスト配賦FinOps視点で部門負担やプロジェクト配賦を自動化。

コスト最適化:例示モデルで“腹落ち”させる

実際の単価は契約で異なるため、ここでは考え方の型に注目します。

ケース前提年額支出イメージコメント
A:1年RI交換(AV36継続)稼働24ヶ月(2年)→その都度1年RI交換RI割引×24ヶ月PAYGより低コスト。二度の手続き/タイミング管理が必要。
B:PAYG継続稼働12ヶ月PAYG×12ヶ月短期や縮退予定に合う。長期化するほど不利。
C:AV36Pへ移行+1年RI並行稼働3ヶ月(旧新二重)+安定運用二重コスト3ヶ月+AV36P側のRI割引二重期間を最短化し、移行後は安定の割引を確保。

ポイントは二重運用期間の短縮RI適用の欠落日を作らないこと。満了日・課金開始日の管理こそが最大の節約です。

AV36 → AV36P移行:設計と実装のベストプラクティス

AV36P利用には新しいプライベートクラウド(PC)作成が必須です。SKU混在は非サポートのため、AV36の同一vCenterへAV36Pノードを追加する方法は取れません。以下の王道パターンを採ります。

ネットワーク到達性の確保

  • 旧PC(AV36)-新PC(AV36P)間:ExpressRoute Global ReachまたはVPNで相互接続。
  • インターネット経由ではなく、安定・低遅延の経路を推奨。
  • 必要に応じてFastPathやルート最適化でスループット/レイテンシを改善。

移行方式の比較

方式特徴メリット留意点向き/不向き
HCX vMotion/Replicationオンライン/ニアゼロダウン業務影響が最小HCX構築、帯域と安定性が鍵24/7系、顧客向けSLAが厳格なシステム
バックアップ&リストアツールを流用しやすい単純・検証容易停止時間が長い、復元時間に依存夜間バッチ、停止許容の高い業務
エクスポート/インポート中規模まで適用しやすい段階移行が可能OS/アプリの再調整が必要な場合あり構成ドリフトの整理も兼ねたい場合

IPアドレスの扱い

  • 新PCは別CIDR必須。既存と重複しないアドレス計画を確定。
  • 選択肢は再IPHCXのL2延伸
    • 再IP:ネットワーク整理が進む反面、変更作業・テストが増える。
    • L2延伸:既存IPを維持し段階移行できるが、延伸期間の運用/監視設計が必要。
手法ネットワーク要件運用負荷ロールバック容易性
再IP別CIDR、DNS/Firewall再定義高(設計・試験が多い)中(戻すには再IPが必要)
HCX L2延伸ER/VPNの安定帯域、HCXペア中(L2運用と切替計画)高(切替前は双方向可)

推奨作業フロー(現場テンプレート)

  1. Azure PortalでRIの残期間・数量を棚卸。
  2. 2025‑10‑15までに必要分を1年RIへ交換(ライセンス継続の地ならし)。
  3. 新しいCIDRでAV36Pプライベートクラウドを構築(ガバナンス/タグ/セキュリティ標準を先に適用)。
  4. 旧新クラウドをExpressRoute(必要に応じてFastPath)/ Global Reach / VPNで接続。
  5. HCXでL2延伸→オフピークにvMotion / Storage vMotionで順次移行。
  6. 旧AV36クラウドを段階停止→削除し、不要RIを解放

段階移行の運用計画(例)

主タスク受入条件(Go/No-Go)
Week 1要件定義、CIDR設計、セキュリティ・FWルール草案アドレス計画の承認、FW暫定ルール合意
Week 2AV36P PC構築、ER/VPN接続、HCXアプライアンス配置対向疎通OK、帯域・遅延SLO達成
Week 3L2延伸のPoC、テストVMでvMotion/DRY RUNDNS/監視/バックアップの整合性確認
Week 4-6本番系から順次移行(オフピーク)、段階的切替性能SLA・アプリ疎通OK、ロールバックパス有効
Week 7不要セグメント/旧PCの縮退、RI解放・台帳更新監査ログ保存、FinOps計画へ反映

運用とガバナンス:チェックリスト

  • FinOps:タグ標準(CostCenter/Owner/Env/Project)、課金レポートの可視化、RI適用漏れ検知。
  • セキュリティ:FW/NSXルール差分の棚卸、運用中のL2延伸セグメント監視、RBACの整合化。
  • 監視:ER/VPNの遅延・損失、HCXキュー、vMotion失敗率、ストレージI/Oヘッドルーム。
  • バックアップ:旧新両サイトにフル/増分チェーンを確保。切替直前にオンデマンドスナップショットを取得。
  • 変更管理:フリーズ期間、ロールバック基準、顧客通知(SLA/合意済みメンテナンス窓)。

よくある落とし穴と回避策

落とし穴症状回避策
RI満了日・適用日の見落とし数日〜数週間のPAYG化でコスト急増満了-30/-7/-1日の3段階アラート、二重承認フロー
SKU混在の誤解AV36とAV36Pを同一vCenterに混在させようとして計画破綻移行は新PC必須と周知。設計承認時に明記。
CIDR重複ルーティングループ、L2延伸の異常IPAMで全アドレスを棚卸、重複禁止の仕組み化。
DNS/証明書の切替漏れアプリ疎通不良・セキュリティ警告名前解決の二重登録期間を設定、CNAME切替手順を標準化。
帯域不足移行時間が延伸し、二重コスト増HCX QoS/スロットリング計画、オフピーク移行、増速手配。

ネットワーク設計:別CIDR前提の実践ノウハウ

新PC(AV36P)には別CIDRが必須です。L2延伸を活用するか、再IPで整理するかはワークロードの性質で選びます。

サンプルIP計画(例)

領域AV36(旧)AV36P(新)備考
管理(vCenter/NSX)10.10.0.0/2410.20.0.0/24相互到達性をER/VPNで担保
アプリ(Web)10.10.10.0/2410.20.10.0/24一時的にL2延伸で既存IPを維持可
DB10.10.12.0/2410.20.12.0/24東西トラフィックのFW最適化
バックアップ10.10.30.0/2410.20.30.0/24リストア面の到達性確認を先行

DNS切替、証明書バインド、FW/セキュリティグループは“新旧の両環境で二重管理する暫定期”を見込むことで、安全に段階移行が可能です。

ライセンス/契約の実務:2025-10-15が一つの山場

  • 2025-10-15までにAV36 RIを1年RIへ交換しておくと、Broadcom VMwareのライセンス面で継続運用がスムーズになります。
  • この期日を越えると、AV36継続は実質的にPAYG化が主選択肢となり、コスト増を避けにくくなります。
  • 経理・法務・調達と連動し、稟議/契約更新のリードタイムを逆算しておきましょう。

“RI満了=停止”ではないが、油断は禁物

RIが満了してもノードは停止しません。ただし課金は自動でPAYGに切り替わります。ジャンプ的なコスト上昇を避けるため、満了日から逆算した更新/交換スケジュールを設定し、監査証跡を残しましょう。

対策具体策
アラート満了-30/-7/-1日の通知+週次レビュー
責任分掌技術担当(交換手順)、FinOps(コスト評価)、承認者(ガバナンス)
可視化タグとダッシュボードでRI適用状況を一覧化

プロジェクト計画の型:WBSと責任範囲

WBS概要責任部門完了基準
1. 現状分析RI/ノード/ネットワーク/依存関係の棚卸インフラ/アプリ/FinOps棚卸表承認、差分課題の洗い出し完了
2. 設計CIDR、ER/VPN、HCX、セキュリティ標準ネットワーク/セキュリティ設計レビュー通過、実施計画承認
3. 構築AV36P PC、接続、監視/バックアップ連携インフラ疎通/監視/バックアップ試験合格
4. 移行L2延伸→vMotion/Storage vMotion、テスト、切替インフラ/アプリSLA達成、ユーザー受け入れ完了
5. 終息旧PC縮退・削除、RI解放、ドキュメント更新インフラ/FinOps/ガバナンス監査証跡保存、台帳更新、運用引継ぎ完了

テスト観点:失敗しないための最小セット

  • ネットワーク:双方向疎通、MTU、遅延/パケットロス、DNS/名前解決、FWログ。
  • 移行:HCXパス、vMotionリトライ、ストレージI/O、アプリ健全性チェック。
  • セキュリティ:RBAC/ポリシー整合、証明書、監査ログ。
  • バックアップ:整合性バックアップ/整合性復元、RPO/RTOの検証。

現場の意思決定フロー(文章版)

「AV36の3年RIを更新できない」→「残期間を2028-06-25までに1年RIへ交換できるか?」→「はい:費用対効果OKなら交換、同時にAV36P新PCを設計」→「いいえ:短期で廃止/縮退ならPAYGでつなぐ」→「AV36Pへの移行が決まり次第、ER/VPN/HCXを構築」→「L2延伸/再IPの方式を選択」→「移行を段階実施、旧PCを縮退」→「不要RI解放、コスト台帳更新」。

まとめ:期限に追われない“先手の一手”を

  • 2025‑06‑30以降、AV36の3年RIは新規/更新不可
  • 保有RIは2028‑06‑25まで1年RIへ交換して延命可能。
  • RIを更新・交換せず満了するとノードは継続稼働課金はPAYGに自動切替(停止はしない)。
  • AV36→AV36Pは新PC作成が必須。HCX/vMotion/バックアップ等で段階移行。
  • 新PCは別CIDR。再IPかL2延伸を選び、ExpressRoute Global ReachやVPNで接続。
  • 2025‑10‑15までに1年RIへ交換しておくとライセンス面の継続がスムーズ。期限を過ぎるとPAYG化が主選択肢となり、コストが上がりやすい。
  • アラート・台帳・FinOpsを整備し、二重運用の短縮RI適用の連続性でコストを最小化。

付録:即実行できるチェックリスト(コピー用)

  • [ ] RI台帳を更新(数量/満了日/適用スコープ/担当者)
  • [ ] 満了アラート(-30/-7/-1日)を設定
  • [ ] 2025‑10‑15までの1年RI交換計画を承認取得
  • [ ] AV36P新PCのCIDR設計レビュー完了
  • [ ] ER/VPN・FastPathの設計/帯域見積
  • [ ] HCX導入計画(アプライアンス、ネットワーク要件、サイジング)
  • [ ] L2延伸 or 再IPの方針決定(影響アプリ一覧付き)
  • [ ] DRY RUN(テストVMのvMotion/復元/疎通)
  • [ ] 本番移行ウィンドウとロールバック基準の合意
  • [ ] 旧PC縮退計画(依存関係の洗い出し、ドキュメント更新、RI解放)

参考:要点早見表

テーマ結論/推奨実務上の注意
3年RI販売終了2025-06-30以降は新規/更新不可1年RIへ交換へ戦略転換。期限管理を厳密に。
既存RIの扱い2028-06-25まで1年RIへ交換可セルフサービス可、長期化特例は原則不可(個別相談)。
満了時の挙動停止せずPAYGに自動切替コスト上振れを避けるため、更新/交換を前倒し。
AV36→AV36P新PC必須、SKU混在不可HCX/vMotion/Backupを組合せ、段階移行でダウンタイム最小化。
ネットワーク別CIDR必須再IP or L2延伸。ER Global Reach/ VPNで接続。
ライセンス期限2025-10-15までに1年RI交換会計/調達のリードタイムを逆算、合意形成を早める。

以上をロードマップ化すれば、販売終了・ライセンス変更・SKU移行の三重課題を安全に乗り切れます。現行の安定稼働を維持しつつ、AV36Pへの刷新で将来の性能・サポート・標準化も一挙に前進させましょう。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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