Azure for StudentsでRequestDisallowedByAzureエラーが出てVMを作成できない時の原因と対処法

Azure for Students の無料クレジットで Windows Server の仮想マシンを作ろうとしたら、「RequestDisallowedByAzure: Resource was disallowed by Azure」というエラーで進めない――そんな学生アカウント特有のリージョン制限の仕組みと具体的な対処方法を整理します。

目次

Azure for Students で RequestDisallowedByAzure が出る根本原因

このエラーは単なる一時的な障害ではなく、Azure Policy による「リージョン制限」が原因で発生します。特に学生向けの Azure for Students サブスクリプションでは、最初から「使えるリージョンが数カ所に絞られた状態」で提供されることが多く、一般に 5 リージョン前後に限定されます。

Microsoft 側では、この制限を 「Allowed resource deployment regions」や「Allowed locations」 といった Azure Policy の割り当てで実現しています。これらのポリシーは、サブスクリプション内でリソースを作成できる場所を一覧で定義し、その範囲外のリージョンに VM を作ろうとすると RequestDisallowedByAzure で拒否します。

つまり、East US / East US 2 / West US などに Windows Server 2022・Standard B2s を作成しようとして失敗する場合、「そのサブスクリプションではそもそもそのリージョンにデプロイする権利がない」と考えるのが出発点になります。

エラーメッセージの読み解き方

代表的なエラーメッセージは次のような形です(実際には英語):

RequestDisallowedByAzure: Resource was disallowed by Azure: 
This policy maintains a set of best available regions where your subscription can deploy resources. 
Should you need additional or different regions, contact support.

ポイントは次の 3 つです。

  • RequestDisallowedByAzure:Azure 側のポリシーがリソース作成を禁止している
  • set of best available regions:サブスクリプションごとに決められた「許可リージョンのセット」がある
  • contact support:ポリシーを変えられるのは原則として管理者(この場合は Microsoft 側)だけ

自分で設定したポリシーに違反したときに出る RequestDisallowedByPolicy と同様、このエラーも 「既存ポリシーに違反するため VM 作成を拒否した」ことを意味します。

自分の Azure for Students で「許可リージョン」を確認する手順(ポータル)

まず最優先でやるべきことは、「自分のサブスクリプションでどのリージョンが許可されているか」を確認することです。これは Azure ポータルの Azure Policy 画面から調べられます。

Azure ポータルでの確認ステップ

Azure ポータルにサインインしたら、次の順番で操作します。

  1. 左側メニューから [ポリシー](Azure Policy)を開く
  2. 左ペインの [作成](Authoring)配下にある [割り当て](Assignments)をクリック
  3. 一覧の中から以下のような名前のポリシー割り当てを探す
    • Allowed resource deployment regions
    • Allowed locations
    • 類似の表示名(「リソースのデプロイを許可されるリージョン」など)
  4. 該当のポリシーをクリックして詳細画面を開く
  5. [パラメーター](Parameters)タブを開き、「Allowed locations」「listOfAllowedLocations」 などの項目を確認

このパラメーター部分に表示されたリージョン一覧こそが、その Azure for Students サブスクリプションで VM や VNet を作成できる「許可リージョン一覧」です。

画面の場所確認するもの
ポリシー > 割り当て「Allowed ○○」系ポリシーが存在するか
ポリシー詳細 > パラメーターAllowed locations / listOfAllowedLocations の値
パラメーターの値表示されているリージョンだけが VM 作成に使える

ここに East US や West US が含まれていない場合、そのサブスクリプションでは そもそもそのリージョンに VM を作ることはできません。その場合は、許可されているリージョンの中から選ぶ必要があります。

エラーメッセージ内の「ヒント」を確認する

場合によっては、エラーメッセージの詳細に 「このサブスクリプションで許可されているリージョン名」 が直接書かれているケースもあります。

Resource 'xxxx' was disallowed by Azure: Allowed regions: westus2, northeurope, japaneast ...

そのようなメッセージが出ているときは、まずその記載リージョンで VM を作成できるか試してみると、検証の手間がぐっと減ります。

Azure CLI で「許可リージョン」や VM サイズを確認する

ポータル操作に加えて、Azure CLI を使うと「どのリージョンでどのサイズ・イメージが使えるか」をスクリプト的に確認できます。CLI を使う利点は、「B2s が本当にそのリージョンで提供されているのか」「Windows Server 2022 の SKU はあるか」を正確に洗い出せることです。

ポリシー割り当てを CLI で確認する

# Azure CLI にログイン
az login

# 学生サブスクリプションを選択
az account set --subscription <サブスクリプションID>

# ポリシー割り当て一覧を表示
az policy assignment list \
  --subscription <サブスクリプションID> \
  -o table

ここの一覧から、displayName に「Allowed locations」や「Allowed resource deployment regions」が含まれる行を探します。

# 「Allowed」を含む割り当てだけをざっくり確認
az policy assignment list \
  --subscription <サブスクリプションID> \
  --query "[?contains(displayName, 'Allowed')].{Name:name, DisplayName:displayName}" \
  -o table

該当するポリシーが見つかったら、詳細を個別に確認し、allowedLocations パラメーターにどのリージョンが並んでいるかをチェックします。

許可リージョンで B2s が提供されているか確認する

許可されているリージョンが分かったら、次に そのリージョンで Standard B2s が提供されているかを確認します。

# リージョンで利用できる VM サイズの一覧
az vm list-sizes --location <許可リージョン> -o table

一覧に Standard_B2s が含まれていなければ、そのリージョンで B2s は使えません。代わりに、B1ms や D2as v5 など、近いスペックのサイズを選ぶ必要があります。

# 特定サイズがそのリージョンで提供されるかピンポイント確認
az vm list-skus \
  --location <許可リージョン> \
  --resource-type virtualMachines \
  --size Standard_B2s \
  -o table

ここで結果が空の場合は、「ポリシー以前に、そのリージョンには B2s という商品自体がない」ということです。

Windows Server 2022 イメージの SKU を確認する

リージョンとサイズが問題なくても、Windows Server 2022 のイメージ SKU がそのリージョンになくて失敗するケースもあります。

# Windows Server 2022 のイメージ一覧をリージョンごとに確認
az vm image list \
  --publisher MicrosoftWindowsServer \
  --offer WindowsServer \
  --sku 2022-datacenter \
  --location <許可リージョン> \
  -o table

結果が空の場合は、同じリージョンで 2022-datacenter-azure-edition など別 SKU がないか試し、それでもダメなら 別の「許可リージョン」で作成する必要があります。

「許可リージョンなのに作れない」場合に確認すべきポイント

Azure Policy 上は許可リージョンになっているのに VM 作成が失敗する場合、原因は次のようなものが多いです。

症状主な原因対処の方向性
検証フェーズで RequestDisallowedByAzureリージョン制限ポリシーに違反Azure Policy の allowedLocations を確認し、その中のリージョンを指定
別サイズなら作れる該当リージョンで B2s が提供されていない利用できるサイズ一覧から近いスペックを選ぶ
特定の OS イメージだけ失敗そのリージョンに該当 SKU がない別 SKU / 別リージョンのイメージを検討
リソース作成数が増えると失敗vCPU クォータ or 残高不足使用量 + クォータ画面と残高を確認し、サイズ/台数を調整
リソース グループは作れるが VM は失敗VM のリージョンが許可外VM 本体・マネージドディスク・NIC の場所を再確認

VM サイズ非対応(Standard B2s が未提供)

Azure の VM サイズは、すべてのリージョンで同じように提供されているわけではありません。B 系列が弱いリージョンもあれば、逆に D 系列や E 系列が充実しているリージョンもあります。

そのため、「ポリシー上は許可されているリージョンなのに B2s だけ作れない」という現象はよく起こります。対策としては、先ほどの az vm list-sizes / az vm list-skus の結果を見て、同じ vCPU 数・近いメモリ量の別サイズをピックアップするとよいでしょう。

イメージ SKU 非対応(Windows Server 2022)

同様に、Windows Server 2022 のイメージも リージョンごとに提供状況が微妙に異なります。特定の SKU(例:2022-datacenter-azure-edition)は一部リージョンでしか提供されていないことがあります。

ポータルで OS イメージを選ぶ際に候補が出てこない場合や、テンプレート/CLI で指定したイメージだけ失敗する場合は、別 SKU を試すか、同じ SKU が提供されている別の「許可リージョン」に切り替えるのが現実的な回避策です。

クォータ不足・学生枠の上限

Azure for Students では、無料枠を守るために vCPU クォータがかなり小さく設定されていることが多く、GPU 付き VM や大きなサイズは作れないようになっています。

さらに、Free Trial や Azure for Students のような「無料/ベネフィット系サブスクリプション」は、クォータ増加のサポート対象外です。制限を超えたリソースを使いたい場合は、従量課金 (Pay-As-You-Go) へのアップグレードが必要になります。

クォータ関連を疑うときは、ポータルの [使用量 + クォータ] から該当リージョンの vCPU 使用状況を確認し、現在稼働中の VM を停止・削除するか、より小さいサイズを選ぶことで解消できるかを検証します。

場所指定ミス(リソース グループと VM の場所の違い)

意外と見落としがちなのが、リソース グループの場所と VM の場所は別であるという点です。リソース グループを East US に作っていても、VM 作成ウィザードで West Europe を選んでいれば、リージョン制限ポリシーの対象は「VM の場所」です。

また、VM に付随する次のリソースも、基本的に VM 本体と同じリージョンにする必要があります。

  • マネージド ディスク
  • ネットワーク インターフェイス(NIC)
  • パブリック IP アドレス
  • ネットワーク セキュリティ グループ(NSG)

ウィザードで既存リソースを使い回していると、古い許可リージョンで作った NIC やディスクを誤って選択してしまい、結果としてポリシー違反になるケースもあります。新規作成する場合は「場所」が自動的に揃うことが多いですが、既存リソースを指定する場合は特に注意しましょう。

リージョン制限は緩和・解除できるのか?

結論から言うと、Azure for Students のリージョン制限ポリシーは利用者側では変更できません。ポリシーの割り当て自体が Microsoft 管理下にあり、Effect(Deny/Allow や Append など)やパラメーターを編集する権限は通常付与されていません。

また、前述の通り、学生や無料トライアル向けのサブスクリプションは、クォータ増加や制限緩和のサポート対象外となっているため、「もっと多くのリージョンを使えるようにしてほしい」という要望は基本的に受け付けられません。

サポート依頼を検討すべきケース

例外的にサポート相談を検討した方がよいのは、次のようなケースです。

  • Allowed resource deployment regions のパラメーターにリージョンが 1 つも表示されない
  • 以前は使えていたリージョンが、急にポリシー上から完全に消えた(不自然な変更が疑われる)
  • エラーメッセージに書かれている「許可リージョン」と、ポリシー画面の allowedLocations が明らかに矛盾している

このような場合は、Azure ポータルの [ヘルプ + サポート] から新しいサポート リクエストを作成し、「学生サブスクリプションで Allowed resource deployment regions の allowedLocations が空になっている」「VM を作成できるリージョンが 1 つも無い」など、具体的な状況を説明するとよいでしょう。実際に、そのようなケースで Microsoft 側が設定を是正した事例も報告されています。

ただし、「もっと多くのリージョンを使いたい」という純粋な希望だけではなく、明らかに設定がおかしい場合に限って相談する、というスタンスが現実的です。

実際のトラブルシュート例:Windows Server 2022 + B2s を作りたい

ここでは、質問のシナリオに近いケースを例に、どのように切り分けていくかを整理してみます。

前提シナリオ

  • サブスクリプション:Azure for Students
  • 作りたい VM:Windows Server 2022 Datacenter
  • サイズ:Standard B2s
  • 候補リージョン:East US / East US 2 / West US
  • 検証時エラー:RequestDisallowedByAzure: Resource was disallowed by Azure

ステップ 1:Azure Policy で許可リージョンを特定

まず、前述の手順で Allowed resource deployment regions のパラメーターを確認します。ここに例えば次のようなリージョンが並んでいたとします。

  • westus2
  • northeurope
  • japaneast
  • eastasia
  • australiaeast

この場合、East US / East US 2 / West US は許可されていないので、そもそも候補から外す必要があります。まずは westus2 など、ポリシーに書かれているリージョンだけをターゲットにします。

ステップ 2:許可リージョン内で B2s が提供されているか確認

次に、例として westus2 で B2s が提供されているか CLI で確認します。

az vm list-skus \
  --location westus2 \
  --resource-type virtualMachines \
  --size Standard_B2s \
  -o table

ここで結果が返ってくれば B2s は利用可能です。結果が空なら、そのリージョンで B2s は使えないので、Standard_B1ms や Standard_D2as_v5 などに切り替える検討が必要です。

ステップ 3:Windows Server 2022 イメージの SKU を確認

さらに、同じ westus2 リージョンで Windows Server 2022 のイメージが提供されているかを確認します。

az vm image list \
  --publisher MicrosoftWindowsServer \
  --offer WindowsServer \
  --sku 2022-datacenter \
  --location westus2 \
  -o table

結果が空の場合は、ポータルの OS 選択画面で 「2022 Datacenter – Azure Edition」など別 SKU が選べないかを探し、CLI なら SKU を変更して再度試します。

ステップ 4:クォータと残高を確認

ここまででリージョン・サイズ・イメージに問題がなさそうなのに失敗する場合は、vCPU クォータと残高を確認します。

  • ポータルの [サブスクリプション] > [使用量 + クォータ] から VM vCPU の上限と使用量をチェック
  • Azure for Students のクレジット残高が十分に残っているか確認

もし vCPU が上限に近い場合は、不要な VM を削除する・サイズを小さくすることで、B2s ではなく B1ms などより小さいサイズを選ぶという現実的な落としどころになります。

「最短で原因を切り分ける」ためのチェックリスト

ここまでの内容を、「最短で動かしたい人向け」にチェックリストとして整理します。

  • 1. Azure Policy の許可リージョンを確認したか?
    ポータルの ポリシー > 割り当て から Allowed locations / Allowed resource deployment regions を開き、パラメーターのリージョン一覧をメモする。
  • 2. VM のリージョンはその一覧の中にあるか?
    リソース グループの場所ではなく、VM 本体の場所が許可リージョン内にあるかを確認する。
  • 3. 許可リージョンで B2s が本当に提供されているか?
    az vm list-skus で B2s の存在を確認し、なければ 近い別サイズを採用する。
  • 4. Windows Server 2022 イメージがそのリージョンにあるか?
    az vm image list で SKU を確認し、必要に応じて 別 SKU や別リージョンを選択する。
  • 5. vCPU クォータと残高は足りているか?
    「使用量 + クォータ」と クレジット残高を確認し、上限に近ければ VM の台数やサイズを減らす。
  • 6. それでも全リージョンで作れないときは?
    Allowed resource deployment regions の allowedLocations が空だったり、明らかにおかしい場合のみ、サポートに相談する。

よくある質問(FAQ)

Q. Azure for Students で「使えるリージョン」はどこですか?

A. 一律に決まっているわけではなく、サブスクリプションごとに異なる 5 前後のリージョンが許可される構成になっています。ある学生は westus2 と northeurope が使え、別の学生は japaneast と eastasia が使える、といった具合です。

そのため、「このブログ通りに East US で作ればOK」というような 固定の正解リージョンは存在しません。必ず自分のアカウントで Azure Policy の内容を確認してください。

Q. Allowed locations ポリシーが見つかりません。

A. 表示名がローカライズされていたり、「Allowed resource deployment regions」など似た名前のポリシーになっていることがあります。また、Microsoft 側の管理ポリシーとして割り当てられている場合、管理グループ レベルに紐付いていて、サブスクリプション単位の画面だけ見ると分かりにくいこともあります。

Azure Policy 一覧で「Allowed」や「リージョン」などのキーワードで絞り込みながら探すと見つけやすくなります。それでも見つからない場合は、別のポリシー(例:コンプライアンス関連)が間接的にリージョンを制御している可能性もあるので、エラーメッセージ内の詳細をよく確認しましょう。

Q. このリージョン制限は、従量課金にアップグレードしたら消えますか?

A. Azure for Students を従量課金(Pay-As-You-Go)にアップグレードすると、学生向け特有の制限(vCPU クォータや一部ソフトウェアの地域制限など)が緩和されるケースがあります。

ただし、アップグレード後も企業や組織が独自に Azure Policy を設定しているテナントでは、そのポリシーに従う必要があります。個人利用であれば、一般的には Azure for Students時代のリージョン制限よりは自由度が高くなると考えてよいでしょう。

Q. 学生アカウントでもサポート チケットは作れますか?

A. クォータ増加の申請は対象外ですが、技術的な問題や設定の不整合と思われるケースについては、サポートチャネルが用意されている場合があります。ポータルの [ヘルプ + サポート] から実際にどのカテゴリが選べるか確認してみてください。

ただし、前述の通り「もっと多くのリージョンを使いたい」といった要望レベルは対応範囲外と考え、Allowed locations が空になっている・全リージョンで VM が 1 台も作れないといった「明らかにおかしい」症状があるときだけ相談するのが現実的です。

まとめ:Azure for Students では「使えるリージョンの中で工夫する」のが基本

Azure for Students で RequestDisallowedByAzure: Resource was disallowed by Azure が出る場合、「East US に作りたいのに作れない」ではなく、「そもそも East US はこのアカウントでは使えない」という前提で考える必要があります。

そのうえで、

  • Azure Policy の Allowed locations / Allowed resource deployment regions で「許可リージョン」を特定する
  • そのリージョン内で、B2s が提供されているか・Windows Server 2022 イメージがあるかを CLI で確認する
  • クォータと残高を見ながら、サイズや台数・OS SKU を柔軟に調整する

という順番で切り分けていくと、無駄な試行錯誤を大きく減らせます。

リージョン制限そのものを解除することはほぼ不可能ですが、許可されたリージョンの中で最適な構成に落とし込むことは十分に可能です。Azure for Students の枠内であっても、Windows Server 2022 の検証環境や小規模な演習用 VM を構築するには十分な柔軟性があります。まずは自分のサブスクリプションでの「許可リージョン」を正しく把握し、その制約条件のもとでうまく設計していきましょう。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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