Azureの「ホーム > 無料サービス > 仮想マシンの作成」からLinux VMを作ろうとして、最後の「作成」を押しても完了せず、VMが一切作成されない…。従量課金制(12か月の無料サービス付き)でも起きるこの症状は、操作ミスではなく、ポータル側の“無料VMオファー”が原因のことがあります。回避策と、見積もりに出てくる料金(特にパブリックIP)を安全に扱うポイントをまとめます。
Azure無料サービスからVMを作成できない症状
今回のケースで特徴的なのは、次のような「何も起きない」挙動です。
- Azureポータルの「無料サービス」タイルから「仮想マシンの作成」を進める
- SSH/パスワードなど認証方式を変えても状況は変わらない
- 最後の「作成」ボタンを押しても処理が完了せず、VMもリソースグループも(ほぼ)増えない
通常であれば、デプロイの途中で何らかのエラー通知が出たり、リソースグループ内に途中生成物が残ったりします。しかし「無料サービス経由の作成」では、裏側で失敗しても気づきにくいことがあります。
原因:無料VMマーケットプレースオファー側の不具合
結論から言うと、Azureポータルの「無料サービス」から作成されるMarketplaceの「無料VM」オファー(テンプレート)に不具合があり、そこで作られるネットワーク設定の組み合わせが破綻していることがあります。
問題のポイントは「Standard パブリックIP × Dynamic割り当て」
不具合のあるオファーでは、パブリックIPが次のように設定されてしまうケースがあります。
- パブリックIP:Standard SKU(ここは意図としては正しい)
- 割り当て:Dynamic(ここが不正な設定)
この組み合わせが原因で、デプロイが正常完了できず、結果として「作成を押してもVMが一切できない」という状態になります。ユーザー側でSSH/パスワードを切り替えても改善しないのは、VMのもっと手前(IPの作成・関連付け)で失敗しているためです。
「本当に失敗しているのか?」を確認する方法
ポータル上で確認するときは、以下が実務的に役に立ちます。
| 見る場所 | 確認ポイント | 見つかりやすいサイン |
|---|---|---|
| 通知(ベルアイコン) | デプロイ失敗の通知が出ていないか | 失敗が出ない/出ても詳細が薄い場合がある |
| アクティビティログ | 作成操作の直後の失敗イベント | Network / Public IP関連で失敗 |
| デプロイ(Deployment) | テンプレートの展開結果 | Public IPのSKUとAllocationTypeの不整合 |
| リソースグループ | 途中生成物が残っていないか | NICやNSGが作られかけて止まる/何も残らない |
「無料サービス経由」だけが失敗し、通常のVM作成フローなら通る場合は、このオファー不具合に該当している可能性が高いです。
回避策:通常のVM作成フローから無料枠条件を満たして手動作成する
一番確実な回避策は、「無料サービス」タイル経由を避け、通常の「仮想マシン作成」から、無料枠の条件に沿う構成を自分で選んで作る方法です。テンプレートの“変な組み合わせ”を踏まないように、こちらでコントロールします。
手順1:通常のVM作成画面を開く
- Azureポータル上部の「+ リソースの作成」
- 「仮想マシン」を選択
- サブスクリプションが「従量課金制(12か月無料サービス付き)」であることを確認
ここでサブスクリプションを誤ると、無料枠の判定がズレます。必ず対象サブスクリプションを選びます。
手順2:Linux VMの推奨設定(無料枠を狙うための定番構成)
以下は、質問で示されている内容に沿った、無料枠を狙うための“堅い”構成例です。リージョンや時期で条件が変わることがあるため、作成画面の各項目に出る「無料サービスの対象」などのラベルも併せて確認してください。
| 項目 | 推奨値(例) | 狙い・理由 | やりがちなNG |
|---|---|---|---|
| サイズ | Standard_B1s | 無料枠対象として扱われやすい定番サイズ | サイズを上げて無料枠外になり課金 |
| イメージ | Ubuntu Server 22.04 LTS – x64 Gen2 | サポートが長く、情報も多い | 不明なカスタムイメージでコスト・互換性が不透明 |
| OSディスクサイズ | 64 GiB(P6) | 無料サービス条件に合う構成として案内されやすい | ディスクを大きくして無料枠外/I/O目的で過剰に高性能化 |
| OSディスク種類 | Premium SSD(LRS) | 条件に合えば無料枠内で扱われる想定 | ZRS等にしてコスト増、または条件外 |
| 監視 | ブート診断:無効 | 診断用ストレージ等の追加課金を避ける | 有効化したまま放置してストレージ課金 |
| バックアップ | 原則オフ | バックアップは別料金になりやすい | デフォルトで有効のまま=毎月コストが乗る |
手順3:ネットワークで“落とし穴”を踏まない
今回の不具合の核心はパブリックIP設定です。通常作成フローでは、次を意識してください。
- パブリックIPを使う場合、SKUと割り当て方法の整合性を崩さない
- 「無料サービス経由のテンプレートに任せる」のではなく、自分で値を確認して進める
また、コスト観点では「VMを停止してもパブリックIPの課金は止まらない」ことが多いため、後述の運用が重要です。
手順4:作成後にUbuntu側でディスク/パーティションを拡張して64GiBを使い切る
VM作成直後、OS側ではディスク全体(64GiB)を使っておらず、ルート領域が小さめのままのことがあります。無料枠のディスクサイズを最大限使うなら、パーティションとファイルシステムを拡張して、OSから見える容量を一致させます。
手順は環境(パーティション番号、ext4/xfsなど)で変わるため、まず現状を確認します。
df -h
lsblk
sudo parted -l
典型的には、次のような流れになります(例:cloud-guest-utilsを使うケース)。
sudo apt update
sudo apt install -y cloud-guest-utils
# 例:/dev/sda の 1番パーティションを拡張したい場合
sudo growpart /dev/sda 1
# ext4 の場合
sudo resize2fs /dev/sda1
# xfs の場合(マウントポイントを指定)
# sudo xfs_growfs /
ポイントは、「どのディスク/どのパーティションがルートか」を必ずlsblk等で確かめてから実行することです。誤ると起動不能の原因になりかねません。公式の「Linux VM のディスク拡張」の案内に沿って進めるのが安全です。
Windows VMの場合(補足)
Windowsでも無料枠に寄せたい場合は、いわゆる「smalldisk」系のWindows Serverイメージと、条件に合うディスク構成が推奨として挙がることがあります。ただしWindowsはLinuxより無料枠条件が厳しめになりやすいので、作成画面の「無料サービス対象」表示と、サブスクリプション側の無料サービス一覧を優先して判断してください。
「推定月額コスト」が出るのは正常。無料枠は“請求時に差し引かれる”
質問のケースでは、UK Southリージョンで作成フローを進めたところ、推定コストとして次が表示されました。
- VM:約 $8.61 / 月
- ディスク:約 $12.35 / 月
- パブリックIP:約 $3.65 / 月
- 合計:約 $24.61 / 月
この表示は「定価ベースの見積もり」としては妥当と考えられます。重要なのは、ここに出る推定金額が、そのまま即座に請求されるわけではない点です。
推定コストと実請求がズレる理由
Azureポータルの推定コストは、基本的に「その構成を定価で使ったらこのくらい」という目安です。一方、無料サービス(12か月無料)に該当する分は、実際の請求や利用状況の集計の段階で無料として扱われる(またはクレジット等で相殺される)ことがあります。さらに、反映にタイムラグがあるため、作成直後の画面表示だけで判断するのは危険です。
| 項目 | ポータルの推定表示 | 実際の課金で起きがちなこと | 確認のコツ |
|---|---|---|---|
| VM(B1s) | 定価で表示される | 無料枠条件を満たす利用分は無料扱いになる可能性 | 「無料サービス」利用状況とコスト管理で二重に確認 |
| OSディスク(P6 64GiB) | 定価で表示される | 条件内なら無料扱い、それ以外はストレージ課金 | ディスク種類・冗長オプションのズレに注意 |
| パブリックIP(Standard) | 定価で表示される | 無料枠対象外として課金される可能性が高い | 停止では止まらないので削除運用を検討 |
StandardパブリックIPは無料枠に含まれない:ここが最大の落とし穴
今回の回答の要点として、Standard パブリックIPアドレスは無料サービスに含まれない、という点が明示されています。つまり、VMやディスクが無料枠の範囲に収まっていても、パブリックIP(Standard SKU)だけは、一定の料金が発生する可能性があります。
「VMを停止したのに請求が減らない」理由
コストでつまずく典型パターンがこれです。
- VMを停止(Stop)したが、パブリックIPリソースが残っている
- 結果として、停止中でもパブリックIP分の課金が続く
さらに、ディスクも「VMを停止」しただけでは残るため、無料枠対象外のディスク構成にしているとストレージ課金が継続します。無料枠を狙うなら、“停止”と“削除”の違いを意識するのが重要です。
パブリックIPのコストを抑える現実的な運用
パブリックIPが無料枠外である以上、コストを最小化するには「使わない時間の課金を発生させない」運用が効果的です。おすすめは次の方法です。
使わないときは、NICから切り離してパブリックIPを削除する
- 対象VMの「ネットワーク」設定を開く
- NIC(ネットワークインターフェース)に紐づくパブリックIPを確認
- パブリックIPをNICからデタッチ(解除)
- パブリックIPリソース自体を削除する
この方法なら、IPを保持している時間が短くなり、料金を抑えやすくなります。
再度アクセスしたいときは、パブリックIPを作り直して再アタッチ
- 新しいパブリックIPを作成する
- VMのNICに再アタッチする
- SSH接続先のIPが変わるので、接続情報(known_hostsやSSH設定)を更新する
| 運用 | メリット | デメリット | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| IPを常時保持 | 固定の接続先で運用できる | 使っていない期間も課金が出やすい | 常時公開が必要なサービス |
| 使うときだけIPを作る | コストを最小化しやすい | 接続IPが変わる/作業手順が増える | 検証VM、学習用途、時々触るサーバー |
| 最初からパブリックIP無し | IP料金がそもそも発生しにくい | 外部から直接SSHできない | 社内VPNや踏み台がある環境 |
無料枠・課金の確認ポイント:毎日見るべき画面
無料枠は“作った瞬間に完全に見える”わけではなく、請求・利用状況の反映に時間差があります。VMを作成した直後から、次の画面を習慣的に確認するのが安全です。
サブスクリプションの「無料サービス」一覧(利用状況グリッド)
Azureポータルでサブスクリプションを開くと、無料対象サービス一覧と使用状況が見られることがあります。ここで、VMやディスクの無料枠が消費されているか、無料枠が残っているかをチェックします。
Cost Management + Billing(コスト管理)
- 日別のコスト推移(まだゼロか、何かが出ていないか)
- リソース別の内訳(Public IPが計上されていないか)
- 想定外のサービス(バックアップ、診断、ログなど)が増えていないか
おすすめ:小さな予算(Budget)アラートを作っておく
「無料で試したかったのに、気づいたら課金が…」を防ぐには、最初に小さめの予算アラートを設定するのが効果的です。たとえば月数ドルでも通知が来るようにしておけば、パブリックIPや診断系の課金を早期に発見できます。
それでも作れない場合のトラブルシューティング(切り分けチェック)
「無料サービス経由がダメなので通常作成でやってみたが、それでもうまくいかない」場合は、原因が別にある可能性があります。以下のチェックで切り分けができます。
| チェック項目 | ありがちな症状 | 対処の方向性 |
|---|---|---|
| リージョンの在庫・制限 | B1sが選べない/デプロイが通らない | 別リージョンで試す、サイズを条件内で変更 |
| クォータ(vCPU上限) | Quota exceeded系のエラー | クォータ申請、不要VMの削除 |
| プロバイダー登録(Resource Provider) | Microsoft.Compute等の操作が失敗 | サブスクリプション側で登録状態を確認 |
| 有料オプションがON | 作れるが課金が発生 | ブート診断・バックアップ・監視を見直す |
| ネットワーク構成の不整合 | NICやIPで失敗 | Public IPのSKU/割り当て、NSGを再確認 |
特に今回のテーマに近いのは「ネットワーク構成の不整合」です。デプロイ失敗の詳細に、IPのSKUや割り当て方法に関する文言が出ている場合は、無料サービスのオファー不具合と同質の問題を踏んでいる可能性が高いです。
よくある質問
ポータルの見積もりで月額が出ています。無料枠なのにおかしくないですか?
おかしくありません。推定月額コストは基本的に定価ベースで表示されます。無料サービスに該当する分は、実際の請求や利用状況の集計で無料扱いになることがあります。反映に時間がかかるため、作成後しばらくはコスト管理画面と無料サービス一覧を日々チェックしてください。
パブリックIPは無料枠に入らないのですか?
回答では、StandardパブリックIPは無料サービスに含まれないとされています。VMやディスクが無料枠内に収まっても、パブリックIPだけは課金が発生する前提で設計・運用するのが安全です。
VMを停止すればパブリックIPの課金も止まりますか?
止まらないケースがあるため要注意です。コストを止めたい場合は「停止」ではなく、NICから切り離してパブリックIPリソースを削除する運用が効果的です。
無料枠だけで完全にゼロ円にしたい場合、どうするのが現実的ですか?
最も現実的なのは「パブリックIPを極力持たない(または必要なときだけ作って消す)」運用です。加えて、ブート診断やバックアップなどの有料オプションを無効にし、無料枠対象として表示される構成(サイズ、ディスク、冗長オプション)を崩さないことが重要です。
まとめ:無料サービス経由で作れないときは、通常作成+無料枠構成で回避する
- 「無料サービス」からの自動テンプレート(無料VMオファー)に不具合があり、StandardパブリックIPとDynamic割り当ての不正組み合わせでデプロイが失敗することがある
- 回避策は、通常のVM作成画面からStandard_B1sなど無料枠対象の条件を満たす構成で手動作成すること
- Ubuntuなら作成後にパーティション/ファイルシステムを拡張して64GiBを使い切る(公式手順に沿って安全に)
- ポータルの推定月額は定価表示。無料枠は請求・集計時に反映されるので、作成後はコスト管理と無料サービス一覧を日々確認する
- StandardパブリックIPは無料枠外になりやすいので、不要時はNICから外して削除し、必要なときだけ作り直すとコストを抑えられる

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