Azure Localの変更点(2026年6月)|SAN利用時の料金・AHB・ハードウェア認定を解説

2026年6月17日時点で確認できる「Explaining Azure Local additions to licensing and hardware ecosystem – June 2026」の要点は、Azure Localの料金が構成別に整理され、外部SANを使う構成では料金とAzure Hybrid Benefitの扱いが大きく変わることです。

Azure Tech Communityの閲覧機能やアカウント設定が変更されるわけではありません。影響を受けるのは、Azure Localを導入・運用している管理者、SANの再利用を検討している設計担当者、ハードウェア更新やライセンス費用を管理する担当者です。一般のVM利用者が設定を変更する必要は基本的にありません。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

特に確認すべきなのは、次の3点です。

  • Storage Spaces Directだけを使う構成か、外部SANを使う構成か
  • Azure Hybrid Benefitを適用できる契約・構成か
  • 使用中のハードウェアがカタログとOEMで引き続きサポートされているか
目次

Azure Localの2026年6月変更点

今回の内容は、大きく「ライセンス・料金」と「ハードウェアエコシステム」の2つに分かれます。

確認項目変更・明確化された内容主な影響対象
ホストサービス料金構成に応じてL1・L2・L3に分類全Azure Local管理者
Azure Hybrid Benefit外部ストレージなしのクラウド接続型ハイパーコンバージド構成に限定SA保有企業、EA・CSP契約者
SAN対応S2D+SAN、SANのみの構成がL2として区別既存SANを再利用する企業
切断環境ローカルコントロールプレーンを持つL3として個別料金化閉域・主権要件のある組織
ハードウェア分類カタログ上はPremier SolutionsとIntegrated Systemsを中心とした表示へ整理既存Validated Nodes利用者
更新方式SBEによるOS・ドライバー・ファームウェアの統合更新を重視インフラ運用担当者

注意したいのは、元の投稿がMicrosoft Tech Community上のMicrosoft MVPによるForum Discussionである点です。投稿自身も、ライセンスの最終的な根拠にはMicrosoft Product Termsを使用するよう明記しています。ブログ内の表や説明だけで契約判断をせず、自社の購入プログラムに対応するProduct Termsを確認してください。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

Azure Localの料金が構成別の3段階に整理

Azure Localのホストサービス料金は、VM数や仮想CPU数ではなく、オンプレミスサーバーに搭載された物理プロセッサコア数を基準に計算されます。

2026年6月時点の米ドル参考価格と条件は、次のとおりです。実際の請求額は契約、割引、購入日、通貨換算などによって変わります。(Microsoft Azure)

区分Azure Localの構成ホストサービス料金Azure Hybrid Benefit
L1外部ストレージを使わないハイパーコンバージド構成物理コア当たり月額10米ドル条件を満たせば適用可能
L2S2D+外部SAN、またはSANのみの分離構成物理コア当たり月額20.10米ドルAzure Localホストには適用不可
L3切断運用、ローカルコントロールプレーンMicrosoftまたは担当パートナーへ確認Azure Localホストには適用不可

L1は従来型のS2D構成

L1は、各ノードのローカルディスクをStorage Spaces Directで束ね、外部SANを使用しない構成です。

Windows Server Datacenterの対象ライセンスと有効なSoftware Assuranceなどの条件を満たせば、Azure Hybrid Benefitによって次の料金を免除できる可能性があります。

  • Azure Localのホストサービス料金
  • Windows Serverゲスト用サブスクリプション料金

ただし、Product Termsでは、Azure Local向けAzure Hybrid Benefitを利用できるのは、クラウド接続管理を行うハイパーコンバージド構成で、対象となるEAまたはCSPの顧客に限られるとされています。Microsoft 365 Localには適用できません。(Microsoft)

L2は外部SANを使う構成

L2には、次の2種類が含まれます。

  • S2Dと外部SANを併用するハイブリッド構成
  • S2Dを使用せず、SANだけをストレージとして使う分離構成

既存のFC SANや対応するiSCSI SANを再利用しやすくなる一方、ホスト料金はL1より高くなり、Azure Local向けAzure Hybrid Benefitによる免除も受けられません。外部SANの再利用によるハードウェア費削減だけでなく、Azure Local側の継続料金を含めて判断する必要があります。(Microsoft Learn)

L3は完全切断環境向け

L3は、Azureパブリッククラウドに接続せず、ローカルにコントロールプレーンを配置する構成です。データ主権、規制対応、遠隔地や閉域網など、外部接続が難しい環境を想定しています。

料金は物理コア単位の年間契約を基本とし、月次で請求されます。ローカルコントロールプレーンを動かすための物理コアも課金対象です。Azure Localホストに対するAzure Hybrid Benefitは利用できませんが、切断環境上のWindows Server VMについては、条件を満たすライセンスを使った別のAzure Hybrid Benefitが認められる場合があります。(Microsoft Learn)

SAN追加でどれだけ料金が変わるか

2ノード構成で、各ノードに32物理コアを搭載している場合を考えます。合計は64物理コアです。

構成計算例月額参考料金
L164コア × 10米ドル640米ドル
L264コア × 20.10米ドル1,286.40米ドル
差額1,286.40-640646.40米ドル

この例では、外部SANを利用するL2へ変更すると、ホストサービス料金だけで月額646.40米ドル増えます。

さらに、Azure Hybrid BenefitでL1のホスト料金が免除されていた環境では、実質的な差がより大きくなる可能性があります。Windows Serverゲストのライセンス、Azure Monitorなどの追加サービス、SANの保守費用も別に計算してください。

なお、Azure Localの料金はVM数ではなく物理コア数で決まります。VMを20台から10台に減らしても、搭載している物理コア数が同じなら、Azure Localの基本料金は原則として変わりません。(Microsoft Learn)

Azure Hybrid Benefitで確認すべき条件

「Windows Server DatacenterとSoftware Assuranceを持っているから無料になる」とは限りません。Azure Local向けAzure Hybrid Benefitでは、ライセンスだけでなく展開方式も確認する必要があります。

主な確認項目は次のとおりです。

  • Windows Server Datacenterの対象ライセンスを保有している
  • Software Assuranceまたは対象サブスクリプションが有効である
  • 必要な全物理コア分のライセンスを割り当てられる
  • 対象となるEAまたはCSPの契約である
  • クラウド接続管理を使用している
  • 外部SANを使用しないハイパーコンバージド構成である
  • Microsoft 365 Localではない

Azure Hybrid Benefitを有効にする場合は、AzureポータルでAzure Localリソースを開き、設定の構成から状態を確認します。Activatedなら有効、Not activatedなら未有効です。

有効化前には、割り当てるコア数と契約条件をライセンス担当者に確認してください。公式手順には、有効化後の取り消しを前提にしないよう注意事項が記載されています。検証目的で安易に有効化するのは避けるべきです。(Microsoft Learn)

ハードウェア分類は2段階へ移行したのか

Tech Communityの投稿では、従来のハードウェア分類が次の3段階だったと説明されています。

  • Premier Solutions
  • Integrated Systems
  • Validated Nodes

一方、現在のAzure Local Solutionsカタログでは、ソリューションカテゴリの選択肢がPremier SolutionsとIntegrated Systemsを中心とした構成に整理されています。投稿者は、この変化からValidated系ハードウェアが段階的に縮小される可能性を指摘しています。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

ただし、Validated Nodesの正式な廃止や一律のサポート終了が発表されたわけではありません。

2026年4月更新のMicrosoft Learnでは、Azure Local OEMライセンスの対象としてPremier Solutions、Integrated Systems、Validated Nodesの3種類が引き続き記載されています。別の公式ドキュメントでも、選択可能なハードウェアカテゴリとして3種類が案内されています。(Microsoft Learn)

したがって、カタログのカテゴリ表示がなくなったことだけを理由に、既存機器を即時交換する必要はありません。

重要なのは、カテゴリ名ではなく次の情報です。

  • OEMと正確な機種名
  • サーバーの世代とSKU
  • Azure LocalのQualification Generation
  • 現在のサポート状態
  • 対応するAzure Localソリューションバージョン
  • SBEの有無と対応バージョン
  • ファームウェアとドライバーの更新方法

Premier・Integratedが重視される理由

新しいIntegrated SystemsとPremier Solutionsでは、Solution Builder Extension(SBE)が更新管理の中心になります。

SBEには、OEMが提供する次のようなコンポーネントが含まれます。

  • ファームウェア
  • デバイスドライバー
  • ハードウェア監視機能
  • 診断ツール
  • 更新前のヘルスチェック
  • OEM固有の展開・更新処理

Azure Local 2311.2以降にカタログへ追加される新しいIntegrated SystemsまたはPremier Solutionsは、ドライバーとファームウェアを更新できるSBEの実装が必要です。一方、Validated Nodeや古いカタログ登録機種では、SBEが提供されていない場合があります。(Microsoft Learn)

SBE非対応だから直ちにAzure Localが動作しなくなるわけではありません。ただし、OS、ドライバー、ファームウェアをまとめて検証・更新する仕組みを利用できず、OEMツールやWindows Admin Centerによる個別更新が必要になる可能性があります。

新規購入では、初期価格だけでなく、SBE対応、更新の自動化範囲、OEMのサポート期間まで比較することが重要です。

管理者が実施すべき確認手順

展開方式を分類する

構成台帳や設計書を確認し、Azure Localインスタンスを次のいずれかに分類します。

  • S2Dのみ
  • S2D+外部SAN
  • SANのみ
  • 切断運用
  • Microsoft 365 Local

特に注意したいのは、S2Dを残したまま一部のワークロードでSANを使う場合です。S2Dが存在していても、外部ストレージを接続する構成はL2に該当します。

物理コア数と請求状態を確認する

AzureポータルでAzure Localリソースを開き、概要画面のBilling statusを確認します。

OEMライセンスを利用している場合は、次のように表示されます。

  • OEM LicenseかつActivated:OEMライセンスが有効
  • Billed monthlyかつNot activated:月次課金

クラスタ内でOEMライセンスの有無が混在すると、意図しない月次請求が発生する可能性があります。概要のノードから、各ノードのOEMライセンス列も確認してください。(Microsoft Learn)

Azure Hybrid Benefitの状態を確認する

Azureポータルでは、次の順に開きます。

  1. Azure Localリソース
  2. 設定
  3. 構成
  4. Azure Hybrid Benefit

さらに、コスト分析のリソース別コストでAzure Localリソースを展開し、請求メーターも確認します。契約を更新した直後や新しいAzureサブスクリプションでは、Software Assurance情報がすぐに反映されない場合があります。(Microsoft Learn)

ハードウェアとSBEの状態を確認する

PowerShellを使用できる管理者は、次のコマンドでハードウェアモデルとSBEの状態を確認できます。

Get-SolutionUpdateEnvironment |
    Format-Table SbeFamily, HardwareModel, CurrentSbeVersion, State

Get-SolutionUpdate |
    Format-Table DisplayName, PackageType, Version, SbeVersion, State

UpdateAvailable、NeedsAttention、UpdateFailedなどが表示された場合は、更新作業の前にOEMのリリースノートとAzure Localの既知の問題を確認します。Microsoftは、特別な理由がない限り、SBE単体ではなくAzure LocalとSBEをまとめたSolution更新の適用を推奨しています。(Microsoft Learn)

OEMへ機種単位で問い合わせる

Validated Nodesや古いIntegrated Systemsを使用している場合は、次の内容をOEMまたは導入パートナーに確認します。

  • 現在のAzure Localバージョンをサポートしているか
  • 12.x系への更新に対応しているか
  • SBEが提供されているか
  • Premier Solutionsなどへ分類が変更されているか
  • 更新に再展開が必要か
  • ファームウェアのサポート終了日はいつか

「同じシリーズだから対応しているだろう」と判断せず、SKUや世代まで一致させることが重要です。

更新・移行・期限で確認すべきこと

今回のTech Community投稿には、すべてのValidated Nodesを特定日までに移行しなければならないという期限は示されていません。

ただし、Azure Local自体には継続的な更新期限があります。

  • 最新リリースから6か月以内の状態を維持する
  • Azure Arc Resource Bridgeは1年以内にソリューション更新を適用する
  • 23H2系OSは2026年4月にサポート終了
  • 更新の提供時期はOEMによる検証完了後になる場合がある

2026年6月リリースは、ソリューションバージョン12.2606.1003.205、OSビルド26100.32995です。Integrated SystemsやPremier Solutionsでは、対応するOSイメージとドライバーについてOEMへの確認が必要です。(Microsoft Learn)

Azure Localのソリューション更新には、AzureポータルのAzure Update ManagerまたはPowerShellを使用します。SConfig、手動のCluster-Aware Updating、マシン単位のAzure Update Managerなどで個別に更新すると、検証済みの組み合わせから外れる可能性があります。(Microsoft Learn)

移行を急ぐべきケースと待てるケース

早めに対応すべきケース

次のいずれかに該当する場合は、更新または移行計画を早めに作成してください。

  • 23H2系を使用している
  • 最新リリースから6か月以上遅れている
  • OEMのハードウェアサポートが終了している
  • 現行バージョンに対応するドライバーが提供されていない
  • SBEやファームウェア更新が失敗している
  • 外部SAN追加を予定しているが、L2料金を見積もっていない
  • Azure Hybrid Benefitを前提に予算を組んでいる

直ちに移行する必要がないケース

次の条件を満たしている場合、カタログ表示の変更だけを理由に緊急移行する必要はありません。

  • OEMが現在の機種を引き続きサポートしている
  • Azure Localの対応バージョンが明示されている
  • 必要なドライバーとファームウェアを入手できる
  • サポート対象のソリューションバージョンを使用している
  • 更新手順と保守窓口が確立されている

見落としやすい注意点

SAN再利用だけでコスト削減と判断しない

既存SANを再利用できれば、新規ストレージ購入費を抑えられる可能性があります。一方、L2のホストサービス料金とAzure Hybrid Benefitの非適用によって、数年間の総費用が高くなることもあります。

最低でも3年分について、次の費用を比較してください。

  • Azure Localホストサービス料金
  • Windows Serverゲストライセンス
  • SAN保守費
  • FCスイッチやHBAの保守費
  • S2D用ローカルディスク費
  • 運用ツールと作業工数
  • 移行・再展開費

論理プロセッサ数で見積もらない

課金対象は物理コアです。Hyper-Threadingによる論理プロセッサや、VMに割り当てたvCPUの合計ではありません。

カタログから消えたことをサポート終了と解釈しない

カテゴリの表示変更、検索結果への非表示、OEMサポート終了、Microsoftの製品サポート終了は、それぞれ別の情報です。機種、世代、Qualification Generation、OEMサポート表を組み合わせて判断してください。

停止しただけでは課金が止まらない場合がある

ソリューションバージョン12.2504.1001.20以降では、課金情報がAzure上のAzure Localリソースを基準に処理されます。クラスタを停止・廃止してもAzureリソースを削除しなければ、切断状態が31日を超えるまで請求が続く可能性があります。

廃止時は、物理クラスタの停止だけでなく、Azure Localリソースの削除まで作業手順に含めてください。(Microsoft Learn)

よくある疑問

Azure Tech Community側で設定変更は必要ですか

必要ありません。今回の投稿はAzure Localのライセンス、料金、ハードウェア認定に関する解説です。Tech Communityの通知設定やユーザーアカウントに変更はありません。

Validated Nodesはすぐ使えなくなりますか

一律に使えなくなるという公式発表は確認されていません。OEMライセンスなどの公式ドキュメントにもValidated Nodesの記載が残っています。ただし、新しいIntegrated SystemsやPremier Solutionsと比べてSBEや最新バージョンへの対応範囲が限られる場合があります。

SANを追加すると自動的にL2になりますか

外部SANを使用するS2D+SAN構成、またはSANのみの分離構成はL2として案内されています。既存環境へSANを追加する前に、課金区分、Azure Hybrid Benefit、ゲストOSライセンスへの影響をMicrosoftまたはライセンスパートナーへ確認してください。

今すぐ移行する必要はありますか

今回の投稿による一律の移行期限はありません。ただし、23H2系や最新リリースから6か月以上遅れた環境は、カタログ変更とは別に更新対応が必要です。

まず実施すること

Azure Local管理者は、最初に自社環境をL1・L2・L3のどれに該当するか分類してください。次に、全ノードの物理コア数、Azure Hybrid Benefitの状態、契約プログラム、ハードウェアモデル、SBE対応状況を確認します。

特に外部SANの追加、新しいハードウェアの購入、Validated Nodesからの更新を予定している場合は、構成を変更する前にMicrosoft Product Terms、Azureの見積もり、OEMのサポート情報を突き合わせることが重要です。

今回の変更は単なる料金表の更新ではありません。ストレージ構成の選択が、Azure Localの料金、ライセンス特典、更新方式、将来の保守性まで左右するようになったと捉えると、必要な確認作業を整理しやすくなります。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

コメント

コメントする

目次