Azure REST API documentation updateを解説:mock search 2026-07-01-preの変更点と対応

結論から言うと、2026年5月2日に確認された「Azure REST API documentation update: mock search 2026-07-01-pre」は、Azure AI SearchのデータプレーンREST API仕様に、2026-07-01-preview を追加するための更新案です。すぐに本番環境の api-version を切り替える話ではなく、REST APIを直接呼び出しているアプリ、OpenAPI/TypeSpecからクライアントを生成しているチーム、Azure AI Searchの検索品質・レイテンシ・利用状況を監視している運用担当者が、事前に影響を確認すべき内容です。

特に注意したいのは、このPRが「mock search」という名前でも、単独の新サービス「Mock Search」が出たわけではない点です。実体はAzure AI SearchのSearchデータプレーン仕様更新で、PR上では data-plane、Search、new-api-version、TypeSpec、BreakingChangeReviewRequired などのラベルが付いています。さらに、確認時点ではPRはOpenで、TypeSpec Validationの失敗や破壊的変更レビューが必要な状態も示されています。つまり、正式な公開APIとして使う前に、仕様の確定・Microsoft Learn側の公開・SDK対応状況を必ず確認する段階です。(GitHub)

目次

Azure REST API documentation update: mock search 2026-07-01-preでまず確認すべきこと

今回のAzure REST API documentation updateで最初に見るべきポイントは、次の3つです。

確認項目内容実務上の判断
APIバージョン2026-07-01-preview がTypeSpec上のバージョンとして追加既存の api-version を即置換せず、検証環境で差分確認
対象サービスAzure AI SearchのSearchデータプレーン管理APIではなく、検索・インデックス・ドキュメント操作側を確認
PRの状態Open、破壊的変更レビュー対象、TypeSpec Validation失敗表示あり本番導入判断ではなく、事前調査・移行計画の材料として扱う

Microsoft Learnの現行ドキュメントでは、Azure AI SearchのデータプレーンREST APIは、安定版の最新が 2025-09-01、プレビューの最新が 2025-11-01-preview として掲載されています。プレビュー版は新機能が安定版へ移る前に導入される位置づけであり、正式な移行判断では、Microsoft Learnのバージョン一覧とリリース内容をあわせて確認する必要があります。(Microsoft Learn)

今回の更新はAzure AI SearchのデータプレーンAPI仕様に関するPR

PR #42833では、Azure/azure-rest-api-specs リポジトリの main ブランチへ、mock_search_2026-07-01-pre ブランチから1コミットをマージする形になっています。変更対象には、TypeSpecファイルとOpenAPI JSONが含まれます。ファイル一覧では .json が3件、.tsp が7件示されており、specification/search/data-plane/Search 配下の client.tsp、main.tsp、各種モデル、ルート定義、preview/2026-07-01-preview/search.json などが対象です。(GitHub)

main.tsp では、既存の 2025-11-01-preview、2026-04-01 に加えて、2026-07-01-preview がAPIバージョンとして定義されています。PRタイトルでは pre と省略されていますが、実際のAPIバージョン文字列は 2026-07-01-preview です。(GitHub)

ここで重要なのは、Azure REST APIの仕様更新は「コードを書き換えるべき」という通知ではなく、API仕様・ドキュメント・SDK生成・クライアント実装に影響する可能性がある差分として読むべきだという点です。REST APIを直接呼んでいる場合は api-version の値、SDKを使っている場合は対象SDKがどのREST APIバージョンに対応しているかが判断材料になります。Microsoft Learnでも、REST APIを直接呼ぶコードでは既存バージョンの参照を検索して新バージョンへ置き換え、SDK利用時はパッケージがサポートするREST APIバージョンや変更ログを確認するよう案内されています。(Microsoft Learn)

変更点の中心は検索の診断・メトリクス・分析まわり

PR内容から見ると、2026-07-01-preview では検索APIの基本操作そのものより、検索の可視化、診断、パフォーマンス分析に関係する要素が目立ちます。検索結果が遅い、ベクトル検索やセマンティック検索のどこで時間がかかっているか分からない、インデックス単位で利用状況を把握したい、といった運用課題に関係する領域です。

queryInsightsEnabled と @search.queryInsights の追加

検索リクエスト側には、クエリのパフォーマンス分析を返すための queryInsightsEnabled が定義されています。レスポンス側には @search.queryInsights があり、totalTimeMs、textMatchTimeMs、vectorSearchTimeMs、semanticRankingTimeMs、shardsQueried、relevanceScoreMode、さらに QueryInsightsBreakdown として queryParsingMs、indexLookupMs、scoringMs、fieldRetrievalMs などの詳細項目が含まれます。(GitHub)

実務では、次のような場面で確認価値があります。

利用シーン見るべき項目判断例
検索レスポンスが遅いtotalTimeMs、breakdownクエリ解析、インデックス参照、スコアリング、フィールド取得のどこが重いか切り分ける
ハイブリッド検索が重いvectorSearchTimeMs、textMatchTimeMsベクトル検索とテキスト検索のどちらがボトルネックか確認する
セマンティック検索の待ち時間が大きいsemanticRankingTimeMsセマンティックランカー利用時のレイテンシ影響を測る
シャード影響を見たいshardsQueried検索対象の広がりやサービス構成の影響を確認する

仕様案ベースでのリクエスト確認イメージは、次のようになります。正式利用前には、必ず公開済みドキュメントと実サービスの挙動を確認してください。

POST https://{service-name}.search.windows.net/indexes('{index-name}')/docs/search?api-version=2026-07-01-preview
Content-Type: application/json
api-key: {admin-or-query-key}

{
  "search": "社内規程 改定",
  "queryType": "semantic",
  "queryInsightsEnabled": true
}

既存のレスポンス処理で「想定外のプロパティがあるとエラーにする」実装をしている場合、@search.queryInsights のような新しいレスポンス項目が問題になる可能性があります。Microsoft Learnでも、API応答で認識できないプロパティが返ると失敗するコードはアップグレード時の注意点として挙げられています。(Microsoft Learn)

/usagemetrics エンドポイントの追加

2026-07-01-preview のOpenAPI仕様には、/usagemetrics のGET操作が定義されています。説明では、検索サービスの利用メトリクスとしてクエリ数やレイテンシを取得するAPIで、startDate、endDate をクエリパラメーターに取り、レスポンスは SearchServiceUsageMetrics です。(GitHub)

SearchServiceUsageMetrics には、totalQueries、throttledQueries、averageLatencyMs、p95LatencyMs、lastUpdated、indexMetrics が含まれます。これにより、単に「検索が遅い」と感じるだけでなく、スロットリングの発生、平均レイテンシ、P95レイテンシ、インデックス別の傾向をAPI経由で確認できる可能性があります。(GitHub)

運用で使う場合の確認観点は明確です。

メトリクス確認したいこと対応例
totalQueries想定より検索回数が増えていないかアプリ側の自動リトライ、UIの連続検索、Botアクセスを確認
throttledQueriesスロットリングが発生していないかレプリカ・パーティション、クエリ頻度、キャッシュ戦略を見直す
averageLatencyMs平均的な遅延が許容範囲か軽量クエリと重いクエリを分けて分析
p95LatencyMs一部ユーザーだけ遅い状況がないかフィルター、ソート、セマンティック検索、ベクトル検索の条件を確認
indexMetrics特定インデックスだけ負荷が高くないかインデックス設計、フィールド取得、検索対象フィールドを調整

確認用の呼び出しイメージは次のとおりです。

GET https://{service-name}.search.windows.net/usagemetrics?api-version=2026-07-01-preview&startDate=2026-07-01T00:00:00Z&endDate=2026-07-02T00:00:00Z
api-key: {admin-key}

ただし、PR段階の仕様に基づくため、実際にサービスで使えるか、必要な権限、リージョンやSKUの制約、メトリクスの保持期間は、正式なMicrosoft Learn公開後に確認するべきです。

インデックス定義に analyticsConfiguration が追加

SearchIndex の定義には、analyticsConfiguration が追加されています。これは IndexAnalyticsConfiguration を参照し、インデックスレベルの分析とクエリパフォーマンス監視に関する設定として説明されています。設定項目には、収集モード、保持期間、ベクトル検索メトリクスの有無、遅いクエリとして保持する件数、遅いクエリとみなすレイテンシしきい値などがあります。(GitHub)

IndexAnalyticsMode は disabled、basic、detailed の3種類です。仕様上、disabled は分析収集なし、basic はクエリ数やレイテンシなどの基本分析、detailed はクエリパターンやパフォーマンス内訳を含む詳細分析と説明されています。(GitHub)

実務では、いきなり全インデックスで詳細分析を有効にするのではなく、次のように段階的に確認するのが安全です。

設定方針向いているケース注意点
disabled本番影響を避けたい、まだ検証前診断情報は得られない
basicまずレイテンシや件数の傾向を見たい詳細な原因分析には不足する可能性
detailed障害調査、性能改善、検索品質改善を進めたい収集量、保持期間、コストや制限を正式情報で確認する

特にベクトル検索を多用するRAGアプリでは、includeVectorMetrics を使った分析が有効になる可能性があります。一方で、分析データは運用上の情報を含むため、保存期間、アクセス権限、ログ管理ポリシーの確認も必要です。

セマンティック検索の bestEffort も確認対象

2026-07-01-preview では、SemanticErrorMode に bestEffort が含まれています。説明上は、セマンティックランキングが利用できない場合にBM25ランキングへフォールバックするベストエフォートのセマンティック処理結果を提供するものです。既存の 2026-04-01 や 2025-11-01-preview の仕様では bestEffort は確認できません。(GitHub)

これは便利な一方で、検索結果の品質評価では注意が必要です。bestEffort を使うと、障害時や過負荷時に完全失敗を避けられる可能性がありますが、ユーザーが見ている結果がセマンティックランキング済みなのか、フォールバック済みなのかを判定する設計が必要になります。検索品質のA/Bテストや監査ログを取っている場合は、エラーモードと結果品質を分けて記録しましょう。

誰が対応すべきか

今回のAzure REST API documentation updateは、すべてのAzure利用者がすぐ作業するものではありません。対応優先度は、Azure AI Searchとの関わり方で変わります。

対象者対応優先度理由
Azure AI Search REST APIを直接呼んでいる開発者高api-version、レスポンス項目、検索オプションの差分がコードに影響しやすい
OpenAPI/TypeSpecから社内SDKを生成しているチーム高新しいモデル、enum、エンドポイントが型定義や自動生成コードに入る可能性がある
Azure SDKだけを通常利用している開発者中SDKが対応するREST APIバージョンを待つ必要がある
検索レイテンシやRAG品質を運用監視している担当者中Query InsightsやUsage Metricsが監視設計に関係する可能性がある
Azure AI Searchをポータル操作だけで利用している担当者低ただし、将来のポータル対応やプレビュー機能利用時には確認が必要
Azure AI Searchを使っていないAzure利用者低今回の対象はSearchデータプレーン仕様のため直接影響は小さい

移行前に確認すべき設定とコード

正式公開後に 2026-07-01-preview を検証する場合、最初に確認すべきなのは新機能の使い方ではなく、既存コードが壊れないかです。

api-version を固定している場所を洗い出す

REST APIを直接呼び出している場合、コード、環境変数、設定ファイル、API Gateway、社内共通ライブラリに api-version が埋め込まれていることがあります。検索APIはアプリ本体だけでなく、バッチ、インデクサー制御、監視スクリプト、検証ツールからも呼ばれがちです。

確認すべき場所の例です。

場所よくある記述
アプリケーション設定AZURE_SEARCH_API_VERSION=2025-11-01-preview
HTTPクライアント共通処理?api-version=2025-09-01 を自動付与
Terraform/Bicep以外の運用スクリプトcurlやPowerShellでSearch REST APIを直呼び
社内SDKOpenAPIから生成した型やenumを固定
テストコードレスポンスJSONの完全一致テスト

api-version の置換は一括で行うと影響範囲が読みにくくなります。まず検証環境で1つのSearchサービス、1つのインデックス、代表的なクエリに限定して比較しましょう。

レスポンスの未知プロパティを許容する

検索レスポンスに @search.queryInsights のような項目が追加される可能性があるため、JSONパーサーや型定義が未知プロパティを拒否しないか確認します。特に、TypeScriptやC#で厳格なDTOを使い、追加フィールドがあるとバリデーションエラーになる実装は要注意です。

安全な設計は、次のような考え方です。

実装パターンリスク推奨対応
レスポンスJSONを完全一致で検証新プロパティ追加でテスト失敗必須項目だけを検証する
enumを網羅switchで処理bestEffort など新値で例外default分岐を用意する
生成SDKの型だけを信頼プレビュー差分を取り込むと型が変わるSDK更新前後で型差分をレビュー
検索結果のメタデータをDB保存新項目でスキーマ不整合保存対象を明示的に選別する

SDK対応を待つか、REST直呼びで検証するかを分ける

Azure SDKを使っている場合、すぐに 2026-07-01-preview の機能が使えるとは限りません。Microsoft Learnでも、各SDKパッケージは特定のREST APIバージョンを対象にしているため、対応バージョンは変更ログで確認する必要があると説明されています。(Microsoft Learn)

新機能を早く検証したい場合は、SDKを無理に拡張するより、検証用にREST API直呼びの小さなスクリプトを作る方が安全です。SDK本体の更新、型定義の追加、サンプル公開を待ってから本番コードへ組み込むと、将来の仕様変更にも追従しやすくなります。

失敗しやすいポイント

PRがOpenのまま本番対応を始めてしまう

PR #42833は、確認時点でマージ前のOpen状態です。さらに「mainブランチへのマージ後はAzure顧客へ出荷されたAPIとみなされる」ことへのラベル確認、API stewardship board review、新APIバージョン、破壊的変更レビュー、TypeSpec Validation失敗がNext Stepsとして表示されています。(GitHub)

この状態で本番コードへ反映するのは早すぎます。やるべきことは「移行」ではなく、「差分の把握」「検証計画」「既存コードの耐性確認」です。

mock search を新機能名として扱ってしまう

PRタイトルの mock search 2026-07-01-pre は、ブランチ名やPR名として読むのが自然です。記事や社内ドキュメントで「Mock Search機能が追加された」と書くと誤解を招きます。正しくは、Azure AI SearchのSearch Service REST APIに 2026-07-01-preview 仕様が追加される更新案と表現しましょう。

メトリクスAPIを既存のAzure Monitorと混同する

/usagemetrics はSearchデータプレーンのREST API仕様に追加されたエンドポイントです。一方、Azure Monitorのメトリクスや診断設定とは別の文脈です。運用設計では、どちらを一次情報にするのか、どの粒度で保存するのか、障害時にどの指標をアラートに使うのかを分けて考える必要があります。

プレビューAPIを安定版と同じ扱いにする

プレビューAPIは新機能を先行して扱える一方で、仕様や挙動が変わる可能性があります。Microsoft Learnでも、Azure AI Searchの新機能は安定版に移る前にプレビューAPIで導入されると説明されています。(Microsoft Learn)

本番導入する場合は、次のように線引きしましょう。

用途推奨
機能検証、性能分析、PoCプレビューAPIを検証してよい
本番の検索結果制御安定版APIを優先
障害調査の補助プレビューの診断機能を限定利用する余地あり
SDK生成や社内基盤への組み込みPRマージ、公式ドキュメント、SDK変更ログを確認してから

実務での確認手順

正式な公開後、またはPR差分を先行確認したい場合は、次の順序で進めると失敗しにくくなります。

手順作業完了条件
1Microsoft LearnのAPIバージョン一覧を確認2026-07-01-preview が公式に掲載されているか確認
2GitHub PRのマージ状態を確認Openではなくマージ済み、または該当仕様がmainに存在する
3既存の api-version を棚卸しアプリ、バッチ、監視、テストで使うバージョンを一覧化
4代表クエリでレスポンス比較件数、スコア、並び順、メタデータ、エラーを比較
5Query Insightsを検証レイテンシ内訳が期待どおり取れるか確認
6Usage Metricsを検証権限、取得範囲、値の粒度、監視設計への組み込み可否を確認
7SDK対応を確認SDK変更ログ、生成コード差分、型変更をレビュー
8本番適用判断プレビュー利用のリスク、ロールバック方法、監視項目を決める

検証時は、検索結果の「速さ」だけでなく「同じ検索語で同じ期待結果が返るか」を確認してください。特にセマンティック検索、ベクトル検索、スコアリングプロファイル、フィルター、ソートを組み合わせている場合、レスポンス項目が増えるだけでなく、アプリ側の解釈やログ保存処理に影響することがあります。

次に取るべき行動

今回のAzure REST API documentation update: mock search 2026-07-01-preは、Azure AI Searchを使うチームにとって、将来の検索診断・利用メトリクス・インデックス分析を見直すきっかけになります。ただし、確認時点ではPR段階の更新であり、正式な本番移行を意味するものではありません。

まずは、社内のAzure AI Search利用箇所を洗い出し、REST API直呼びかSDK利用かを分類してください。そのうえで、api-version の固定箇所、未知プロパティへの耐性、enum追加時の処理、検索レスポンスの保存形式を確認します。正式公開後は、2026-07-01-preview を検証環境で試し、Query Insights、Usage Metrics、analyticsConfiguration が運用改善に使えるかを判断しましょう。

最も重要なのは、新しいAPIバージョンへ急いで切り替えることではなく、今の検索アプリがAPI変更に強い設計になっているかを確認することです。プレビューAPIは、移行先ではなく検証対象として扱う。この線引きができていれば、正式リリース後の対応も安全に進められます。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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