GitHub Pre-Purchase Plansの変更点|料金・設定・期限を解説

2026年6月17日、Azure TechCommunityのFinOps Blogで、法人向けの新しい購入オプション「GitHub Pre-Purchase Plans」が発表されました。これはAzure TechCommunity自体の機能変更ではなく、Azure Reservationsを通じてGitHubの利用費を12か月分前払いできる仕組みです。

対象は、GitHubの料金をAzureサブスクリプション経由で支払う組織です。既存契約から強制移行されるわけではなく、一般の開発者がリポジトリやクライアントを設定し直す必要もありません。一方、管理者やFinOps担当者は、適用範囲、購入額、自動更新、未使用分の失効を購入前に確認する必要があります。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

目次

Azure TechCommunityで発表されたGitHub Pre-Purchase Plansの変更点

今回追加されたのは、対象となるGitHub費用をコミットユニットとして事前購入する「Pre-Purchase Plan(P3)」です。

従来の従量課金やライセンス購入を廃止するものではありません。年間のGitHub利用額をある程度予測できる組織が、予算を先に確定し、購入額に応じた割引を受けるための選択肢です。

確認項目今回の内容
購入場所Azure Reservations(Azure予約)
対象Azure経由でGitHub料金を支払う法人・組織
契約期間12か月
支払いコミットユニットを前払い
割引購入規模に応じて拡大し、最大15%
利用方法対象となるGitHub料金から自動的に残高を消費
残高超過時追加プランを購入するか、利用可能なサービスは従量課金へ移行
期間終了時の残高翌年へ繰り越されず失効
既存契約強制的な置き換えや自動移行はなし

プラン購入後は、対象利用に対してコミットユニットが自動適用されます。リポジトリの再配置やサービスの再デプロイ、ユーザーライセンスの再割り当ては不要です。(Microsoft Learn)

新設された2つのプランの違い

Microsoftが提供するのは、対象範囲が異なる次の2種類です。

プラン対象となる主な費用向いている組織
GitHub Pre-Purchase PlanGitHub Enterprise、GitHub Copilot、GitHub Advanced Security、GitHub Actions、Codespaces、Packages、Large File Storage、GitHub AIの追加利用など複数のGitHub製品をまとめて利用している
GitHub AI Credits Pre-Purchase PlanGitHub AI Creditsの対象利用AI Creditsの追加消費が主な変動要因になっている

GitHub全体の支出をまとめたい場合

GitHub Enterpriseのライセンスに加え、Copilot、Advanced Security、Actions、Codespacesなどを横断して利用している場合は、GitHub Pre-Purchase Planが候補になります。

製品ごとに前払い枠を分けるのではなく、対象となるGitHub費用を共通の残高から消費できる点が特徴です。

AI Creditsの変動だけを抑えたい場合

Copilotやエージェント機能の利用拡大により、GitHub AI Creditsの追加費用が増えている場合は、GitHub AI Credits Pre-Purchase Planが適しています。

AI Credits以外のGitHub費用まで含める必要がないため、AI利用量だけを独立して予算化できます。(Microsoft Learn)

Microsoft全体のAI利用をまとめたい場合

GitHubだけでなく、Microsoft Foundry、Copilot Studio、Microsoft Fabricなども含めてAI関連費用を管理したい場合は、より対象範囲の広い「Microsoft Agent Pre-Purchase Plan」も比較対象になります。

判断基準は次のとおりです。

  • GitHub製品全体を中心に計画する:GitHub Pre-Purchase Plan
  • GitHub AI Creditsだけを計画する:GitHub AI Credits Pre-Purchase Plan
  • Microsoftの複数AIサービスを横断する:Microsoft Agent Pre-Purchase Plan

誰に影響するのか

一般のGitHubユーザーや開発者

通常、個々の開発者に必要な作業はありません。GitHub Desktop、IDE、リポジトリ、Actionsワークフローなどを変更する必要もありません。

ただし、組織内のコスト管理方針によっては、ActionsやCodespaces、AI Creditsの利用予算が見直される可能性があります。

GitHubの組織・Enterprise管理者

次の確認が必要です。

  • GitHub組織に接続されているAzureサブスクリプション
  • CopilotやActionsなどの過去の利用額
  • 今後12か月のライセンス数と従量課金額
  • 複数組織で異なるAzureサブスクリプションを使用していないか
  • 既存の予算上限や支出ポリシーとの整合性

Azure管理者・FinOps・経理担当者

実際の購入、スコープ設定、更新管理を担当します。購入には、原則としてAzureサブスクリプションの所有者または予約購入者の権限が必要です。

Enterprise Agreementでは予約購入に関するポリシー設定、CSPではパートナー側の購入権限も確認します。(Microsoft Learn)

個人アカウントの利用者

今回の中心対象は法人・組織です。GitHubのAzureサブスクリプション支払いは、個人アカウントでは利用できません。(GitHub Docs)

料金とコミットユニットの考え方

コミットユニットは、ユーザー数やAIリクエスト数を表す単位ではありません。対象サービスの小売価格を相殺するための金額ベースの単位です。

たとえば、対象となるGitHub利用の小売価格が100米ドルなら、100 GitHub Commit Units(GCU)が消費されます。GitHub AI Credits専用プランでは、GitHub AI Credits Commit Units(GHAICCU)が使われます。(Microsoft Learn)

Azureポータルの公式画面例では、両プランに20,000、100,000、500,000コミットユニットの選択肢が表示されています。実際に購入できる階層、単価、通貨、割引率は変更される可能性があるため、発注時のAzureポータルを最終確認してください。

公式ブログでは、年間50万米ドル相当の対象利用を見込む組織が500,000コミットユニットを42万5,000米ドルで購入し、15%の割引を得る例が示されています。ただし、これは2026年6月時点の説明例です。正式な見積額として扱わず、契約時の表示価格を基準にします。(TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)

既存の割引がある場合は実質割引率を再計算する

Pre-Purchase Planの割引は、既存の割引と単純に合算されるとは限りません。

年間契約割引や個別契約が適用されている組織では、「最大15%」だけを見て購入すると、想定ほど削減できない場合があります。現在の実支払額とPre-Purchase Plan購入後の総額を比較してください。(Microsoft Learn)

GitHub Pre-Purchase Planの設定手順

GitHubに接続されているAzureサブスクリプションを確認する

GitHub組織のBilling設定や「Billing and licensing」画面を開き、請求先となっているAzure Subscription IDを確認します。

複数のGitHub組織を運用している場合は、組織ごとに一覧化してください。ここを確認せずに購入すると、プランのスコープ外で従量課金が続き、前払い残高も消費されない状態になり得ます。

Azure Reservationsから購入する

基本的な流れは次のとおりです。

  1. Azureポータルにサインインする
  2. 「Reservations」を開く
  3. 予約の追加または購入画面を開く
  4. 「GitHub Pre-Purchase Plan」または「GitHub AI Credits Pre-Purchase Plan」を選ぶ
  5. 購入費用を請求するAzureサブスクリプションを選ぶ
  6. 適用スコープを指定する
  7. 階層とコミットユニット数を選ぶ
  8. 自動更新の設定と支払額を確認して購入する

プラン購入後、対象となる利用には自動的にコミットユニットが適用されます。(Microsoft Learn)

スコープの選び方

スコープは、どのAzureサブスクリプションに請求されたGitHub利用を前払い残高でカバーするかを決めます。

スコープ選択の目安
Single subscriptionGitHubの請求先が1つのAzureサブスクリプションに集約されている
Shared同一の請求コンテキスト内に複数の対象サブスクリプションがある
Management group管理グループ配下の複数サブスクリプションをまとめたい
Single resource group対象となる請求のリソースグループ対応を明確に確認できる場合

請求先サブスクリプションが分からない場合、Microsoftは対象漏れを防ぐ方法としてSharedスコープを案内しています。ただし、適用範囲が広くなるため、他部門のGitHub利用が残高を先に消費しないかも確認が必要です。(Microsoft Learn)

更新・移行で確認すべきポイント

既存契約からの強制移行はない

Pre-Purchase Planは、現在のGitHub購入方法を置き換えるものではありません。利用しなければ、従来どおりの契約や従量課金を継続できます。

導入する場合も、リポジトリ、ユーザー、権限、ワークフローを移行する必要はありません。変更されるのは主に料金の支払い方法と割引の適用方法です。

自動更新は初期状態で有効

公式ドキュメントでは、自動更新は購入時に既定で有効とされています。年度ごとの稟議が必要な組織は、購入時にオフへ変更するか、更新日を社内の契約台帳へ登録してください。(Microsoft Learn)

Azure Reservationsでは、1年契約の更新価格を期限の30日前から確認でき、更新通知も30日前と期限当日に送信されます。実務上は、遅くとも期限の30日前には利用率と翌年の購入量を見直し、設定変更を期限直前まで残さない運用が安全です。(Microsoft Learn)

更新しなくてもGitHubは停止しない

プランを更新しなかった場合も、GitHubサービス自体が停止するわけではありません。期限後の対象利用は、利用可能な支払い方法に基づいて従量課金へ戻ります。

ただし、期限切れ後に前の予約を延長することはできません。再び割引を適用するには、新しいプランを購入します。(Microsoft Learn)

購入後に変更できる項目は限られる

購入後の操作対応状況
適用スコープの変更可能
閲覧者・管理者の変更可能
自動更新の変更可能
プランの分割・結合不可
キャンセル不可
別プランへの交換不可
未使用残高の翌年繰り越し不可

GitHub Pre-Purchase PlanとGitHub AI Credits Pre-Purchase Planは、キャンセルや交換に対応しておらず、購入は確定扱いです。購入後に「全体向けからAI Credits専用へ変更する」といった運用はできない前提で選定してください。(Microsoft Learn)

複数のPre-Purchase Planを併用する場合の適用順序

同じ利用が複数プランの対象になる場合、Microsoftは次の順序で残高を適用します。

  1. GitHub AI Credits Pre-Purchase Plan
  2. GitHub Pre-Purchase Plan
  3. Microsoft Agent Pre-Purchase Plan

たとえばGitHub AI Creditsの利用は、3種類すべての対象になり得ます。この場合、用途が最も限定されたAI Credits専用プランが先に消費され、その後にGitHub全体向け、最後にMicrosoft全体向けのプランが適用されます。(Microsoft Learn)

購入前に避けたい失敗

失敗しやすいポイント起こり得る問題対策
Azureサブスクリプションを確認しない前払いプランがGitHub利用に適用されないGitHub側のAzure Subscription IDとスコープを照合する
ピーク月を基準に購入する年末に大量の未使用残高が残る通常月の基礎利用を基準にする
CUをライセンス数と考える必要量を大きく見誤る対象となる小売価格ベースで試算する
既存割引を無視する表示上の割引率ほど節約できない現在の実支払額と比較する
自動更新を放置する翌年に想定外の前払い購入が発生する期限の60日前と30日前に確認予定を入れる
まず最大階層を購入する未使用分が失効する成長見込みではなく保守的な利用予測で始める
キャンセルできると思って購入する誤ったプランや金額を修正できない購入前に経理・GitHub管理者・Azure管理者で相互確認する

特に重要なのは、割引率ではなく12か月以内に確実に使い切れる金額を基準にすることです。利用量の変動が大きい組織では、想定年間費用の全額を前払いせず、安定して発生する基礎部分だけをコミットする方がリスクを抑えられます。

導入判断に使える確認チェックリスト

購入を検討する管理者は、次の順番で確認すると判断しやすくなります。

  • GitHub組織とAzureサブスクリプションの対応表を作る
  • 過去6〜12か月のGitHub利用額を製品別に集計する
  • 一時的なプロジェクト費用と継続的な基礎利用を分ける
  • GitHub AI Creditsが全体費用に占める割合を確認する
  • 今後の利用者数、Actions実行量、Codespaces利用量を予測する
  • 既存契約の割引を含めた実効コストを比較する
  • スコープと購入権限を確認する
  • 12か月以内に消費できる保守的な階層を選ぶ
  • 自動更新と契約見直し日を管理台帳へ登録する

GitHub製品全体の年間利用が安定しているならGitHub Pre-Purchase Plan、変動の中心がAI CreditsならGitHub AI Credits Pre-Purchase Planが第一候補です。利用実績が少ない、新規導入直後で予測が難しい、組織再編を予定しているといった場合は、従量課金を続けて実績を蓄積してから判断する方が安全です。

最初に行うべきことは、GitHub組織に接続されているAzureサブスクリプションと、直近12か月の対象支出を確認することです。その上で、確実に消費できる金額、適切なスコープ、自動更新の扱いを決めてから購入してください。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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