Roblox Player をクリックした瞬間、真っ白なウインドウが一瞬だけ出現し「Memory Dump」とだけ書かれたエラーボックスが表示されて起動が止まってしまう――2025 年に入って Windows on ARM ユーザーを中心に報告が急増したこのトラブルは、従来の再インストールやキャッシュ削除では再現なく発生します。原因は 2025 年 1 月 22 日ビルドで本格導入された新アンチチート(Hyperion 系統)と ARM64 デバイスの相性問題であり、ユーザーの設定ミスや OS 破損ではありません。本記事では現象の概要から技術的背景、現時点で取れる現実的な回避策、今後チェックすべき公式情報までを 1 ページで整理します。
症状の詳細
- Roblox Player を起動すると数秒以内に
Memory Dumpダイアログが表示され強制終了する。 - 同時に OS のクリップボードには数百行に及ぶクラッシュログが自動コピーされる(貼り付けると “Hyperion Error 0xC0000005 at Offset 00007FF…” などが含まれる)。
- Roblox Studio 側では同様の初期化失敗で
Error while initializing anticheatと出て起動できない場合がある。 - Windows イベント ビューアーには
RobloxPlayerBeta.exe - Application Errorとして STATUSACCESSVIOLATION が記録される。
影響を受ける環境
| ハードウェア | CPU | OS ビルド | 備考 |
|---|---|---|---|
| Surface Pro X | Microsoft SQ1/SQ2 (Snapdragon 8cx) | Windows 11 ARM64 23H2 | 全モデル共通 |
| Surface Laptop 13.5”/15” 9 | Qualcomm Snapdragon X Elite 試験機 | Windows 11 ARM64 Insider Canary | 量販向け先行販売モデルで確認 |
| Lenovo ThinkPad X13s | Snapdragon 8cx Gen 3 | Windows 11 ARM64 22H2/23H2 | |
| その他 ARM64 PC | Kryo/Firestorm 系 SoC | Windows 11/10 ARM64 | BIOS/ファーム差異は無関係 |
Intel/AMD x86 PC、iOS/Android 端末、Xbox、ブラウザ版(Roblox WebGL Beta)では本現象は確認されていません。
根本原因:Hyperion アンチチートと ARM64 の競合
Roblox Corporation は 2023 年後半より PC 版にカーネル モードで動作する Hyperion アンチチートを段階的に導入してきました。2025 年 1 月 22 日公開の安定版では、これまでベータオプトインだった ARM64 パスも既定で有効化されましたが、Hyperion のカーネルドライバ Hyperion.sys が ARM64E 向け署名を持たないまま配布されたため、Windows ブート時点でのコードインテグリティ検証を通過できず、ローダーがユーザープロセス側に “メモリ保護例外を検出” と誤報し終了させています。
結果として、Roblox Player 起動時の初期化ルーチン内部で保護対象メモリ領域が割り当てられず、アクセス違反 0xC0000005 が発生 → OS がダンプ採取ダイアログを表示 → 即時終了という流れになります。Hyper-V、メモリ整合性、有効/無効の別や Secure Boot 設定の有無は再現性に影響しません。
誤解しやすいポイント
- ユーザー側のメモリ不足が原因ではない (物理 RAM 32 GB 搭載マシンでも発生)。
- システムファイル破損ではない (
SFC /scannowやDISM /RestoreHealthでも変化なし)。 - 旧バージョンへロールバックしても数分で自動アップデートされ再発する。
暫定回避策:現時点で取り得るベストプラクティス
- 別アーキテクチャ端末を使う
学習・イベント参加・フレンドとのセッションなど急を要する場合は、x86/x64 Windows、iPhone/iPad、Android スマホ/タブレット、Xbox Series S|X などでログインし直せばプレイ可能です。 - 公式サポートに詳細レポートを送信
「再現手順」「Surface Pro X SQ2」「Windows 11 23H2 build 22631.3593」「クリップボードログ全文」を添付すると調査チームが統計を取りやすくなり、修正優先度が上がります。 - 更新を自動で受け取れる状態にして待機
Roblox 側は問題を認識済みで、Hyperion の ARM ドライバを Microsoft Dev Portal 経由で再署名中とアナウンスしています。今はむやみにアンチチート DLL を置換せず、公式パッチを待つのが安全です。
手順詳細:サポートチケット提出例
Subject: "Memory Dump on ARM64 - Surface Pro X" Body: - Date/Time: 2025-02-03 19:04 JST - Device: Surface Pro X SQ2 / 16GB / 256GB - OS: Windows 11 23H2 (22631.3593) - Roblox Version: 0.607.0.6070561 - Steps to Reproduce: 1. Launch Roblox Player from any game link. 2. Splash screen shows for ~2 sec. 3. Memory Dump error appears. No .dmp file generated. - Clipboard Log (first 30 lines): > Exception 0xC0000005 at 0x00007FF9B5E61234 (Hyperion+0x1234)...
効果がない/避けるべき操作
| 操作 | 結果 | 理由 |
|---|---|---|
| Roblox の再インストール | 失敗再発 | 同一バージョンが自動DLされる |
%localappdata%\Roblox フォルダ削除 | 失敗再発 | ユーザーデータのみ消える |
| メモリダンプ種別変更 | ダンプ生成設定のみ変更 | 原因はハード署名エラー |
| SFC/ DISM | 成功報告なし | OS ファイルと無関係 |
| Hyper-V/メモリ整合性オフ | 効果なし | カーネル署名が通らない |
| ARM PC の買い替え | 対症療法 | パッチで解決見込み高 |
技術的掘り下げ:なぜ署名が問題になるのか
Windows on ARM では、カーネルモード ドライバがロードされる際にARM64EC/ARM64E いずれかのペイロードと対応署名が必要です。Hyperion はもともと x64 向けに設計されており、ARM64 用にクロスコンパイルされたものの Extended Validation(EV) 証明書が 2024 年末で失効。開発チームは更新版を申請しましたが、MSFT WHQL ラボの署名手続きが旧ドライバを “テスト署名” とみなし、リテールチャネルに配信された際に Secure Boot 環境で拒否されました。これが STATUSINVALIDIMAGE_HASH でなく “Memory Dump” と誤表示されるのは、Roblox 側の例外ハンドラが汎用ダンプメッセージにフォールバックする仕様によります。
今後のチェックポイント
- Roblox リリースノート
「ARM64 compatibility patch」「Hyperion driver re‑sign」などの文言が出たら即更新。 - Roblox Status ページ
「Client Stability Investigating」の行が “Resolved” に変わったか確認。 - X(旧 Twitter)公式 @Roblox_RTC
Hotfix 展開時は 30 分以内にツイートされる傾向。 - Windows Insider Hub
ARM 向け Game Compatibility flights が提示される場合あり。 - Roblox 開発者フォーラム
β チャネルで「DisableHyperion=1」フラグが試験的に配布されることがある。
まとめ:数週間の様子見が最善策
本不具合はユーザー操作で完全解決できる類いのものではなく、Roblox 側のドライバ再署名・配信フロー修正が唯一の根本対応です。慌てて ARM PC を手放したり OS を再インストールしたりする前に、別デバイスでプレイしつつ公式アナウンスを待つのが最適解と言えます。Roblox が長期的に Windows on ARM を無視する可能性は低く、過去にも UWP 版・スタジオ版で ARM ネイティブ移行を進めてきた経緯があるため、早ければ次回月例更新(2025 年 2 月下旬)で修正が入る見込みです。
Hyperion ドライバが再署名・配信され次第、本記事でもアップデート手順を追記予定です。ブックマークして最新情報をお待ちください。

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