Copilot in Microsoft 365 apps with Anthropic modelsとは?管理者が確認すべき設定と影響範囲

「Copilot in Microsoft 365 apps with Anthropic models」は、EU・EFTA・英国のMicrosoft 365テナント向けに、Word、Excel、PowerPoint内のCopilotでAnthropicモデルを利用できるようにする管理者設定です。結論から言うと、管理者は“AnthropicをMicrosoftのサブプロセッサとして有効にする設定”と、“Microsoft 365アプリ内CopilotでAnthropicモデルを使う設定”の両方を確認する必要があります。

特に注意すべき点は、Anthropicモデルを使う場合、Word、Excel、PowerPointでのデータ処理がMicrosoft EU Data Boundaryの外で行われることです。EU・EFTA・英国に拠点を置く企業、データ保護要件が厳しい組織、生成AIの利用範囲を部門単位で制御している管理者は、展開前に設定状態・対象ユーザー・社内ポリシーを必ず確認しましょう。Microsoft公式ドキュメントは2026年5月7日に更新されています。(Microsoft Learn)

目次

Copilot in Microsoft 365 apps with Anthropic modelsとは

Copilot in Microsoft 365 apps with Anthropic modelsは、Microsoft 365 Copilotの一部機能でAnthropicモデルを利用できるようにする管理者向け設定です。

対象は、主にMicrosoft 365アプリ内のCopilot体験です。Microsoft公式情報では、AnthropicモデルはExcel、PowerPoint、WordのCopilot体験で利用できると説明されています。ただし、WordでのAnthropicモデル対応は2026年夏に追加予定とされています。(Microsoft Learn)

項目内容
対象サービスMicrosoft 365 Copilot
主な対象アプリExcel、PowerPoint、Word
Word対応2026年夏に追加予定
主な対象地域EU、EFTA、英国
管理場所Microsoft 365管理センター
重要な注意点Anthropicモデル利用時の処理はMicrosoft EU Data Boundary外で行われる

この設定の目的は、Microsoft 365 Copilotで利用できるAIモデルの選択肢を広げることです。一方で、単に「新しいAIモデルが使えるようになる」という話ではありません。データ処理場所、サブプロセッサ、ユーザー範囲、既存ポリシーとの整合性を確認する必要があります。

2026年5月7日の公式更新で何が変わったのか

今回のポイントは、EU・EFTA・英国の顧客向けに、Microsoft 365アプリ内CopilotでAnthropicモデルを利用するための管理設定が整理されたことです。

Microsoft公式ドキュメントでは、Microsoft 365 Copilotに、EU・EFTA・英国の顧客がモデル選択の柔軟性を持てるよう、Word、Excel、PowerPointのCopilot体験でAnthropicモデルを利用可能にする管理者設定が含まれると説明されています。(Microsoft Learn)

管理者が押さえるべき変更点は、次の3つです。

確認ポイント内容実務上の影響
Anthropicモデルの利用設定Microsoft 365アプリ内CopilotでAnthropicモデルを使えるようにするExcelやPowerPointのCopilot出力に影響する可能性がある
サブプロセッサ設定AnthropicをMicrosoftのサブプロセッサとして有効にする必要がある無効のままだとAnthropicモデル関連機能を使えない
EU Data BoundaryAnthropicモデル利用時の処理はEU Data Boundary外で行われるデータ所在地、契約、社内規程の確認が必要

重要なのは、アプリ内CopilotのAnthropic設定と、グローバルなAnthropicサブプロセッサ設定は別物という点です。Microsoft公式情報でも、Microsoft 365アプリ内の設定は、他のMicrosoft 365 Copilot機能やサービスにおけるAnthropicモデル利用には影響せず、グローバルなサブプロセッサ設定を変更しないと説明されています。(Microsoft Learn)

影響を受けるアプリと受けない範囲

この設定は、Microsoft 365全体のすべてのCopilot機能を一括で切り替えるものではありません。影響範囲は、対応するMicrosoft 365アプリ内のCopilot体験に限定されます。

影響を受ける範囲

Microsoft公式情報では、管理者が設定をオンにすると、次のアプリのCopilot体験でAnthropicモデルを利用できるとされています。(Microsoft Learn)

アプリ影響
ExcelCopilot体験でAnthropicモデルが利用可能
PowerPointCopilot体験でAnthropicモデルが利用可能
Word2026年夏にAnthropicモデル対応予定

実務では、Excelでの分析支援、PowerPointでの資料作成、Wordでの文章生成・修正といった場面が影響を受けやすいと考えられます。

たとえば、営業部門がPowerPointで提案資料の下書きを作る場合や、経営企画部門がExcelで表データをもとに説明文を生成する場合、利用されるモデルの選択肢にAnthropicモデルが加わる可能性があります。

影響を受けない範囲

この設定は、Microsoft 365 Copilotのすべての機能に対して一律に適用されるものではありません。

Microsoft公式ドキュメントでは、この設定は対応アプリ内のCopilot体験にのみ適用され、他のMicrosoft 365 Copilot機能やサービスにおけるAnthropicモデル利用には影響しないと説明されています。(Microsoft Learn)

そのため、管理者は次のように切り分けて考える必要があります。

設定対象見るべき観点
Word、Excel、PowerPoint内のCopilotCopilot in Microsoft 365 apps with Anthropic modelsの設定
Copilot StudioやPower Platform追加の管理設定やPower Platform側の制御
組織全体でのAnthropic利用可否AI providers operating as Microsoft subprocessorsの設定
特定ユーザーやグループへの制限ユーザー・Microsoft Entra IDセキュリティグループの割り当て

EU・EFTA・英国テナントで特に重要な理由

この更新は、EU・EFTA・英国のテナントで特に重要です。理由は、Anthropicモデルの利用可否だけでなく、データ処理場所と既定値の扱いが関係するためです。

Microsoft公式情報では、EU・EFTA・英国ではAnthropicモデルが既定で利用可能にならない地域として扱われると説明されています。また、Anthropicモデルは現時点でMicrosoft EU Data Boundaryや、該当する場合の国内処理コミットメントの対象外とされています。(Microsoft Learn)

EU Data Boundary外で処理される点に注意

Microsoft公式ドキュメントでは、Word、Excel、PowerPointのCopilot体験でAnthropicモデルを利用する場合、そのモデルのデータ処理はMicrosoft EU Data Boundaryの外で行われると明記されています。(Microsoft Learn)

これは、次のような組織では特に確認が必要です。

組織の例確認すべきこと
EU域内の企業データ処理場所が社内ポリシーに合うか
英国の企業契約・データ保護要件との整合性
金融・医療・公共性の高い組織機密情報のCopilot利用ルール
グローバル企業の日本法人本社のAI利用ポリシーと地域別設定の差
個人情報を扱う部門入力データの種類と利用制限

日本企業であっても、EU拠点を持つ企業、EU居住者の個人データを扱う企業、欧州テナントを運用している企業では無関係ではありません。Microsoft 365テナントの地域、契約、データ保護方針を確認したうえで判断する必要があります。

管理者が確認すべき設定

管理者が最初に確認すべきなのは、Microsoft 365管理センターの設定です。

Microsoft公式ドキュメントでは、AI Administratorロールを割り当てられた管理者がMicrosoft 365管理センターにサインインし、Copilot → Settings → View All → AI providers operating as Microsoft subprocessorsへ進む手順が示されています。(Microsoft Learn)

確認手順

手順作業確認内容
1Microsoft 365管理センターにサインインAI Administratorなど適切な管理権限があるか
2Copilotの設定画面を開くCopilot関連設定にアクセスできるか
3AI providers operating as Microsoft subprocessorsを開くAnthropicの状態を確認
4組織の要件に合う設定か確認全社利用、限定利用、無効化の判断
5必要に応じて対象ユーザー・グループを調整部門単位で段階展開できるか

ここで注意したいのは、Anthropicをサブプロセッサとして有効化する設定と、Microsoft 365アプリ内CopilotでAnthropicモデルを使う設定の関係です。

Microsoft公式情報では、AnthropicをMicrosoftサブプロセッサとして有効にしていない場合、Anthropicモデルや関連機能へのアクセスは利用できないとされています。さらに、従来のAnthropic independent processor設定は2026年5月1日に廃止されたと説明されています。(Microsoft Learn)

既存テナントと新規テナントで既定値が異なる可能性がある

EU・EFTA・英国のテナントでは、テナント作成日によって既定の状態が異なる可能性があります。

Microsoft公式ドキュメントでは、2026年3月25日より後に作成されたEU・EFTA・英国のテナントでは、この設定が既定でオンになるとされています。一方、2026年3月25日以前に存在していたテナントについては、Message Centerで自社テナントの既定設定を確認するよう案内されています。(Microsoft Learn)

テナントの状態確認すべきこと
2026年3月25日より後に作成既定でオンの可能性があるため、社内方針と照合
2026年3月25日以前に作成Message Centerで自社テナントの既定状態を確認
既にAnthropic関連設定を変更済みサブプロセッサ設定とアプリ内設定の両方を再確認
複数地域のテナントを運用地域ごとの差異を一覧化

管理者は「以前確認したから問題ない」と考えず、2026年5月以降の状態を再確認したほうが安全です。特に、Message Centerの通知はテナントごとに内容が異なる場合があるため、一般的な記事だけで判断せず、自社管理センター上の情報を確認しましょう。

移行時に注意すべきポイント

今回の更新では、従来のAnthropic関連設定から新しいサブプロセッサ設定への移行も重要です。

Microsoft公式情報では、以前のAnthropicトグル、つまりAnthropicの別個の商用条件とデータ処理契約にオプトインするための従来設定は非推奨となり、新しいAnthropic as a subprocessorの管理者トグルに置き換えられたと説明されています。(Microsoft Learn)

移行で起きやすい失敗

失敗しやすいケース起きる問題対策
旧トグルを有効にしていたので問題ないと思い込む新しい設定では無効のままになっている可能性がある新しいサブプロセッサ設定を確認
アプリ内設定だけを確認するAnthropicがサブプロセッサとして無効だと使えないグローバル設定も確認
全社オンにしてから社内承認を取るデータ処理場所や利用部門で問題になる先に限定ユーザーで検証
EU Data Boundaryの影響を見落とすコンプライアンスレビューで差し戻される法務・セキュリティ部門と事前確認
Copilot StudioやPower Platformと混同する期待した機能制御にならない管理対象ごとに設定を分けて整理

特にEU・EFTA・英国で以前Anthropicモデルにオプトインしていた組織は、再度オプトインが必要になる可能性があります。Microsoft公式情報では、EU・EFTA・英国で以前Anthropicの別条件に基づく利用へオプトインしていた場合、新しい設定で再度オプトインが必要で、トグルは既定でオフになると説明されています。(Microsoft Learn)

ユーザーやグループ単位で制御する考え方

Anthropicモデルの利用を全社一律でオンにする前に、部門や用途ごとに段階的に展開する方法を検討しましょう。

Microsoft公式情報では、サードパーティAIプロバイダーを利用する組織は、特定のユーザーまたはMicrosoft Entra IDセキュリティグループに権限を割り当てることでアクセスを制限できると説明されています。(Microsoft Learn)

対象として指定できるのは、個別ユーザー、Microsoft Entra IDセキュリティグループ、ネストされたセキュリティグループです。また、AIプロバイダーごとに最大999件のユーザー・グループ割り当てがサポートされています。(Microsoft Learn)

段階展開のおすすめ例

フェーズ対象目的
検証情シス、セキュリティ、法務、AI推進担当設定・ログ・社内ルールの確認
小規模展開資料作成が多い部門、データ分析部門Excel、PowerPointでの実用性確認
拡大展開利用ルールを理解した部門業務効果とリスクのバランスを確認
全社展開承認済みの対象ユーザー標準運用へ移行

最初から全社展開するより、まずは「何を入力してよいか」「出力をどう確認するか」「機密情報を扱う場合の判断基準」を整えてから広げるほうが安全です。

開発者・Copilot Studio担当者が見るべきポイント

この更新は、Microsoft 365管理者だけでなく、Copilot StudioやPower Platformを使う開発者・業務アプリ担当者にも関係します。

Microsoft公式情報では、AnthropicモデルをMicrosoft 365管理センターで有効化した後、Copilot StudioやPower PlatformでAnthropicを利用するための追加管理コントロールがPower Platform管理センターにあると説明されています。(Microsoft Learn)

開発者や業務部門の担当者は、次の点を確認しましょう。

確認項目理由
Anthropicがサブプロセッサとして有効かモデルを利用する前提条件になる
対象ユーザーに権限があるか検証担当者だけ動かない、といったトラブルを防ぐ
Copilot Studio側の設定Microsoft 365管理センターだけでは完結しない場合がある
既存エージェントの挙動モデル依存の機能で動作が変わる可能性がある
社内データ利用ルール生成AIに入力できる情報の範囲を明確にする

また、AIプロバイダーの割り当てはモデル単位ではなくプロバイダー単位で適用される点にも注意が必要です。Microsoft公式情報では、割り当てはAIモデル単位ではなくAIプロバイダー単位で適用され、Microsoft 365管理センター、Power Platform管理センター、Copilot Studioにまたがって適用されると説明されています。(Microsoft Learn)

つまり、「Anthropicの特定モデルだけを許可する」といった細かい制御ではなく、AnthropicというAIプロバイダーへのアクセス制御として考える必要があります。

管理者向けチェックリスト

展開前に、次のチェックリストを使って確認すると抜け漏れを防ぎやすくなります。

チェック項目確認状況
Microsoft 365管理センターでAnthropicサブプロセッサ設定を確認した□
Copilot in Microsoft 365 apps with Anthropic modelsの設定を確認した□
EU・EFTA・英国テナントの既定値をMessage Centerで確認した□
EU Data Boundary外で処理される点を法務・セキュリティ部門と確認した□
対象アプリがExcel、PowerPoint、Wordであることを確認した□
Word対応が2026年夏予定であることを利用者に説明した□
対象ユーザー・グループをMicrosoft Entra IDで整理した□
Copilot StudioやPower Platform側の影響を確認した□
旧Anthropicトグルからの移行状態を確認した□
利用者向けの入力ルールと出力確認ルールを用意した□

このチェックリストで特に重要なのは、設定のオン・オフだけで判断しないことです。生成AIの導入では、技術的に使える状態と、組織として使ってよい状態は別です。データ保護、契約、利用ルール、ユーザー教育まで含めて確認しましょう。

利用者に伝えるべきポイント

管理者が設定を変更した後は、利用者にも分かりやすく説明する必要があります。専門用語のまま伝えると、現場では「何が変わったのか」が伝わりにくくなります。

利用者向けには、次のように説明すると実務に落とし込みやすくなります。

利用者に伝える内容伝え方の例
対象アプリExcelやPowerPointのCopilotで利用モデルが変わる可能性があります
入力ルール顧客情報、契約情報、未公開情報は社内ルールに従って入力してください
出力確認Copilotの回答は必ず人が確認してから利用してください
利用できない場合権限や対象グループの設定により、一部ユーザーは使えない場合があります
問い合わせ先利用可否や不具合は情報システム部門へ連絡してください

特に、Copilotの出力はそのまま正解として扱わないことが重要です。資料作成や文章修正の効率化には役立ちますが、数値、契約条件、法務表現、社外公開資料などは必ず人が確認する運用にしましょう。

導入判断の基準

Anthropicモデルを有効にするかどうかは、「便利そうだからオン」ではなく、業務価値とリスクの両方で判断すべきです。

有効化を検討しやすいケース

次のような組織では、限定的な検証から始める価値があります。

ケース理由
PowerPoint資料作成が多い構成案や文章の調整で効果を確認しやすい
Excelを使った分析・説明資料が多いデータの要約や説明文生成の活用余地がある
AIモデル選択の柔軟性を重視する業務ごとに最適なモデルを使い分けやすくなる
Copilot Studioを活用しているエージェント開発との関連確認が必要

慎重に進めるべきケース

一方で、次のような組織では、すぐに全社展開するよりも事前確認を優先すべきです。

ケース理由
EU Data Boundary内処理を厳格に求めるAnthropicモデル利用時の処理場所と合わない可能性がある
機密情報の取り扱いが多い入力ルールと監査体制が必要
生成AI利用ポリシーが未整備現場判断に任せるとリスクが高い
旧設定からの移行状況が不明想定外に利用不可、または利用可能になる可能性がある
部門ごとの権限管理が複雑グループ設計を先に整理する必要がある

判断に迷う場合は、全社オンではなく、検証用のMicrosoft Entra IDセキュリティグループを作り、対象ユーザーを限定して試すのが現実的です。

まとめ:まずは設定状態とデータ処理条件を確認する

Copilot in Microsoft 365 apps with Anthropic modelsは、Microsoft 365 Copilotのモデル選択を広げる一方で、管理者が確認すべき項目も増える更新です。

特に重要なのは、次の4点です。

  • Anthropicモデルを使うには、AnthropicをMicrosoftのサブプロセッサとして有効にする必要がある
  • Microsoft 365アプリ内CopilotのAnthropic設定は、グローバルなサブプロセッサ設定とは別に確認する
  • Word、Excel、PowerPointでの利用が対象だが、Word対応は2026年夏予定
  • Anthropicモデル利用時の処理はMicrosoft EU Data Boundary外で行われる

管理者はまず、Microsoft 365管理センターで現在の設定状態を確認しましょう。そのうえで、Message Centerの通知、対象ユーザー、Microsoft Entra IDグループ、Copilot StudioやPower Platform側の設定、社内のデータ保護ポリシーを順番に確認することが大切です。

利用開始を急ぐ場合でも、最初は小規模な検証グループで動作と運用ルールを確認し、問題がなければ段階的に展開する流れが安全です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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