Microsoft 365 Loop要件の変更点|2026年6月17日版

2026年6月17日に更新されたMicrosoft公式情報では、「Requirements for Loop components and Loop workspaces」の要件が整理され、クラウド環境ごとの利用可否が明確になりました。

商用クラウドを利用している一般的なMicrosoft 365ユーザーについては、今回の更新に伴う強制移行や追加料金、対応期限は示されていません。一方、管理者はライセンスだけでなく、ネットワーク、Exchange Online、管理ポリシー、SharePointストレージの状態まで確認する必要があります。

特にGCCなどの米国政府機関向け環境、ソブリンクラウド、エアギャップ環境では、管理ポリシーを有効にしても利用できないLoop機能があるため注意が必要です。(Microsoft Learn)

目次

2026年6月17日更新で押さえるべき変更点

今回の更新で最も重要なのは、LoopワークスペースやLoopコンポーネントの利用可否が、クラウド環境別の表として明示されたことです。

Microsoftの公開リポジトリにある2026年3月13日版には、このクラウド環境別マトリックスが含まれていません。したがって、今回の更新は新機能の一斉提供というよりも、既存の要件と提供範囲を管理者向けに明確化したドキュメント更新として捉えるのが適切です。(GitHub)

主な確認事項は次のとおりです。

確認項目公式情報で示された要件実務上のポイント
LoopコンポーネントOneDriveまたはSharePointのライセンスが必要TeamsやOutlookのライセンスだけでは、保存先の要件を満たさない場合がある
Loopワークスペース「Loop with workspaces」サービスプランを確認製品名だけで判断せず、ユーザーに割り当てられたサービスプランを確認する
ネットワークMicrosoft 365の必要なURLとIPアドレスへの接続を許可プロキシやSSL検査がリアルタイム編集を妨げていないか確認する
WebSocket*.svc.msと*.office.comへのWebSocket通信を許可編集内容が反映されない、カーソルが表示されない場合の重要な確認箇所
Exchange Onlineメンションやワークスペース共有にはExchange Onlineメールボックスが必要Exchangeオンプレミス利用者は一部機能が制限される
ストレージOneDrive、SharePoint、SharePoint Embeddedに保存Loopのデータは組織のSharePointストレージ使用量に加算される
クラウド環境環境とアプリの組み合わせで利用可否が異なる利用不可の環境では、管理ポリシーを有効にしても機能を提供できない

Loopで新しく作成されるファイルの拡張子は.loopです。以前のリリースで作成されたファイルには.fluidが使われている場合があります。(Microsoft Learn)

クラウド環境によって利用できるLoop機能が異なる

2026年6月17日版では、Loopの各機能がどのクラウド環境で利用できるかが明示されました。

Loopの機能・連携先商用クラウドGCC、GCC High、DoDソブリンクラウドエアギャップ環境
Loopワークスペース利用可能利用不可利用不可利用不可
Teamsのチャット、チャネル、会議ノートなど利用可能利用可能利用不可利用不可
Outlook、Teamsの新しいカレンダー利用可能利用不可利用不可利用不可
OneNote利用可能利用不可利用不可利用不可
Whiteboard利用可能利用不可利用不可利用不可

米国政府機関向け環境では、Teams内のLoopコンポーネントは利用できるものの、LoopワークスペースやOutlook、OneNote、Whiteboardとの連携は利用できません。

また、公式情報で「利用不可」とされている機能は、管理者がCloud Policyなどを変更しても有効化できません。設定ミスを疑う前に、自社テナントのクラウド環境が対応しているかを確認する必要があります。(Microsoft Learn)

影響を受けるユーザーと管理者

商用クラウドの一般ユーザー

通常の商用Microsoft 365テナントでは、今回の更新だけを理由に利用方法を変更する必要はありません。

ただし、次のような症状がある場合は要件を満たしているか確認してください。

  • Loopコンポーネントを作成するボタンが表示されない
  • 他のユーザーをメンションできない
  • Loopワークスペースを共有できない
  • 編集内容の反映が遅い
  • 共同編集者のカーソルやプレゼンスが表示されない

ボタンが表示されない場合はライセンスや管理ポリシー、メンションや共有だけが使えない場合はExchange Online、リアルタイム編集に問題がある場合はWebSocket通信が主な確認候補です。

Microsoft 365管理者

管理者は、単に「Loopを有効にしたか」だけでなく、次の条件を組み合わせて確認する必要があります。

  • 対象ユーザーに必要なサービスプランが割り当てられているか
  • テナントがLoop機能に対応するクラウド環境か
  • Cloud Policyでワークスペースやコンポーネントの作成を許可しているか
  • Teams向けのSharePointテナント設定が有効か
  • 必要なWebSocket通信がファイアウォールやプロキシで遮断されていないか
  • SharePointストレージ容量に余裕があるか
  • 対象ユーザーがExchange Onlineメールボックスを使用しているか

Loopを組織全体で制御するには、Cloud PolicyとSharePoint PowerShellの両方を確認する必要があります。Cloud Policyだけでは、Teams内のLoop機能を完全には制御できません。(Microsoft Learn)

Exchangeオンプレミスを利用している組織

Exchangeオンプレミスのメールボックスを使用するユーザーは、Loopそのものをまったく利用できないとは限りません。ただし、メンションやワークスペース共有など、Exchange Onlineに依存する機能が制限されます。

ハイブリッド構成では、同じテナント内でもユーザーごとに操作結果が異なる可能性があります。検証時は、Exchange Online利用者とオンプレミス利用者を分けてテストするのが安全です。(Microsoft Learn)

管理者が実施すべき確認手順

テナントのクラウド環境を確認する

最初に、商用クラウド、GCC、GCC High、DoD、ソブリンクラウドなど、どの環境を利用しているかを確認します。

利用不可の環境でポリシーやネットワーク設定を変更しても、対象機能は有効になりません。

ユーザーのライセンスとサービスプランを確認する

Loopコンポーネントには、OneDriveまたはSharePointのライセンスが必要です。Loopワークスペースについては、公式要件表に記載された「Loop with workspaces」サービスプランも確認します。(Microsoft Learn)

一方、Microsoftのサポート情報では、2026年2月以降、Loopアプリにアクセスでき、ストレージ要件を満たすユーザーは、ワークスペースの作成やメンバー管理を行えると説明されています。

そのため、契約しているMicrosoft 365製品の名称だけで判断せず、実際に割り当てられているサービスプラン、ストレージ要件、管理ポリシーをセットで確認してください。(マイクロソフト サポート)

Loopワークスペースの作成設定を確認する

組織全体のLoopワークスペース作成を簡単に確認する場合は、Microsoft 365管理センターで次の場所を開きます。

ホーム > 組織設定 > サービス > Loop

より細かなユーザー単位の制御には、Microsoft 365 Apps管理センターのCloud Policyを使用します。代表的な設定は次のとおりです。

設定名制御する機能
Create Loop workspaces in LoopLoopアプリやTeamsチャネルでのワークスペース作成
Create and view Loop files in Microsoft apps that support LoopOutlook、OneNote、Whiteboard、Teamsの新しいカレンダーなど
Create and view Loop files in OutlookOutlookとTeamsの新しいカレンダーでのLoop連携

「未構成」は、これらの設定では基本的に作成可能として扱われます。無効化したい場合は、未構成のままにせず明示的に「Disabled」を設定する必要があります。(Microsoft Learn)

TeamsのLoop設定をPowerShellで確認する

Teams内のLoopコンポーネントは、SharePoint Onlineのテナント設定で制御されます。

現在の設定は、SharePoint Online Management Shellで次のコマンドを実行して確認できます。

Get-SPOTenant

出力されたIsLoopEnabledがTrueであれば、Teams内のLoopコンポーネント作成が有効です。

有効化または無効化する場合は、次のコマンドを使用します。

Set-SPOTenant -IsLoopEnabled $true
Set-SPOTenant -IsLoopEnabled $false

共同会議ノートについては、IsCollabMeetingNotesFluidEnabledも確認します。マルチジオ構成では、設定結果を統一するために各リージョンでの確認が必要です。(Microsoft Learn)

ネットワークとWebSocket通信を確認する

ファイアウォールやプロキシでは、Microsoft 365が指定するURLとIPアドレス範囲への接続を許可します。

加えて、リアルタイム共同編集には次の宛先へのWebSocket通信が必要です。

*.svc.ms
*.office.com

通常のHTTPS通信が許可されていても、プロキシがWebSocketのアップグレードを拒否していると、Loop画面は開けても共同編集だけが正常に動作しないことがあります。(Microsoft Learn)

設定変更後は反映時間を考慮する

Cloud Policyの反映には時間がかかる場合があります。

  • 既存のポリシーを変更した場合:最大90分
  • 初めてポリシーを作成した場合:最大24時間

設定直後に利用できないからといって、すぐにポリシーを作り直すと、原因の切り分けが難しくなります。対象ユーザー、ポリシーの優先順位、経過時間を記録してから再確認してください。(Microsoft Learn)

Copilot PagesとLoopの設定は別々に確認する

Loopの「マイワークスペース」、Copilot Pages、Copilot Notebooksは、ユーザーごとに同じSharePoint Embeddedコンテナーを共有します。

管理ポリシーは別々ですが、次のどちらかが作成を許可していると、共有コンテナーが作成される可能性があります。

  • Create Loop workspaces in Loop
  • Create and view Copilot Pages and Copilot Notebooks

コンテナー自体を作成させたくない場合は、同じユーザーに対して両方のポリシーを無効にする必要があります。

「Loopワークスペースを無効にしたのにSharePoint Embeddedコンテナーが作られた」という場合は、Copilot Pages側のポリシーを確認してください。(Microsoft Learn)

更新・移行・料金・期限はどうなるか

項目2026年6月17日版での扱い
クライアント更新特定バージョンへの強制更新は記載されていない
データ移行既存ワークスペースやコンポーネントの強制移行は記載されていない
ファイル形式新しいファイルは.loop。過去のファイルには.fluidが存在する場合がある
料金改定今回の要件ページでは新料金や価格改定は発表されていない
ストレージ費用Loopデータは組織のSharePointストレージ使用量に加算される
対応期限強制対応日や移行期限は示されていない

既存の.fluidファイルを手動で.loopへ改名する必要はありません。公式情報に移行手順が示されていない状態で、拡張子の変更や保存場所の移動を行うと、共有リンクやアプリ連携に影響する可能性があります。

また、Loopの基本機能とLoop内のCopilot機能は分けて考える必要があります。Loop内でCopilot機能を利用するには、Microsoft 365 Copilotの対象プランが必要です。基本的なLoop利用のためだけに、Microsoft 365 Copilotが必須とされているわけではありません。(マイクロソフト サポート)

Loopを無効にしても既存データは消えない

Loopの管理ポリシーで制御できるのは、主に新しいコンテンツやワークスペースの作成です。

作成ポリシーを無効にしても、既存のLoopファイルやワークスペースへのアクセスが自動的に禁止されるわけではありません。既存コンテンツへのアクセスも制限したい場合は、条件付きアクセスなど、別の制御方法を検討する必要があります。(Microsoft Learn)

そのため、Loopの利用停止を計画する際は、次の2つを分けて設計してください。

  • 新しいLoopコンテンツを作成させない
  • 既存のLoopコンテンツにもアクセスさせない

作成ポリシーを無効にしただけで完全に利用停止できたと判断しないことが重要です。

まず実施すべき確認事項

2026年6月17日版の「Requirements for Loop components and Loop workspaces」は、全ユーザーに緊急作業を求める更新ではありません。管理者が優先すべきなのは、次の順番で現状を確認することです。

  1. 自社テナントのクラウド環境を確認する
  2. 対象ユーザーのOneDrive、SharePoint、Loop関連サービスプランを確認する
  3. Microsoft 365管理センターとCloud Policyの設定を確認する
  4. TeamsについてはGet-SPOTenantで設定を確認する
  5. *.svc.msと*.office.comへのWebSocket通信を確認する
  6. Exchange Onlineメールボックスの有無を確認する
  7. SharePointストレージ使用量を確認する
  8. Copilot Pagesを利用している場合は、共有コンテナーの作成ポリシーも確認する

商用クラウドでは、この確認によって多くの利用トラブルを切り分けられます。政府機関向けクラウドや分離されたクラウド環境では、設定作業を始める前に公式の可用性マトリックスと照合してください。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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