Microsoft 365 の値上げ通知メールが突然届くと、「本当にマイクロソフトからなのか」「このまま更新して大丈夫なのか」と不安になります。特に Copilot などの AI 機能に興味がないのに 3 割以上の値上げとなればなおさらです。本記事では、t2.infomails.microsoft.com から届く価格改定メールの真偽の見分け方と、安全に値上げを回避する具体策を整理します。
Microsoft 365 価格改定メールでよくある相談内容
ここ数カ月、Microsoft 365 の個人向けサブスクリプション利用者の間で、次のような相談が増えています。
- 「9 月に、翌年 2 月から値上げと書かれたメールが届いた。なぜこんなに早く? しかも日付の書き方がおかしくて怪しい」
- 「メール内のリンクを確認したら t2.infomails.microsoft.com で始まっていた。フィッシングでは?」
- 「Copilot なんて使うつもりはないのに、約 31% も値上げされるのは納得できない」
実際、2025 年に入ってから Microsoft 365 Personal / Family の料金は世界各地で引き上げられており、米国では月額 3 ドルの値上げ、年額にすると 30% 前後の増額になったケースも報告されています。 日本でも、年間料金が 14,900 円から 21,300 円に上がるなど、4 割前後の値上げ通知を受け取ったという声があります。
一方で、フィッシングメールが巧妙化しているため、「本物っぽいが信じていいのか」がわかりにくくなっているのも事実です。ここからは、実際にマイクロソフトのコミュニティに寄せられた事例をもとに、メールの真偽判定と安全な対処法を整理していきます。
その値上げメールは本物?判断のポイント
送信日と本文の日付が違う理由
値上げメールには、多くの場合「右上の送信日」と「本文の中に書かれている日付」の 2 種類が登場します。
- 右上やヘッダー部分の日付 … 実際にそのメールが配信された日
- 本文の先頭(左側など)にある日付 … 「価格改定を発表した日」や「値上げが有効になる日」
Microsoft の公式 Q&A でも、「右上の日付は送信日、本文左側の日付は価格改定の告知日を示している」と説明されており、「数カ月前の日付が本文に書かれている」だけで偽物と決めつける必要はないと案内されています。
特に、「2 月から値上げ」と本文に書かれているのに、そのメール自体は 9 月や 10 月に届いたようなケースでは、次回請求日が近づいたタイミングでまとめて通知しているだけの可能性が高いと考えられます。
t2.infomails.microsoft.com ドメインの扱い
相談のきっかけになっているのが、メール中のリンク先が https://t2.infomails.microsoft.com/… で始まっている点です。
Microsoft の Q&A では、価格改定メールに含まれているリンクがすべて t2.infomails.microsoft.com から始まっていた事例が紹介されており、そのメールについては「値上げ内容や日付の整合性から見て正規の可能性が高い」と回答されています。
t2.infomails.microsoft.com の末尾は microsoft.com であり、サブドメインとしてマイクロソフトの管理下にあることは DNS 的にも自然です。そのため、ドメイン名だけで即座に「偽物」と断定する理由にはなりません。
「infomail」と「infomails」論争と公式見解
一方で、Microsoft のサポート文書には「個人向け OneDrive 関連メールの代表的な送信元ドメイン」として、次の 3 つが例示されています。
- @mail.onedrive.com
- @notificationmail.microsoft.com
- @infomail.microsoft.com(単数形)
このリストには @infomails.microsoft.com(複数形) が含まれていないため、「s の付いた infomails.microsoft.com は怪しい、フィッシングだ」とする回答も一時期は支持されていました。
しかし 2025 年には、@infomails.microsoft.com からの値上げ案内メールをめぐって、Microsoft Q&A のモデレーターが『このメールは正規』と明言したケースもあります。誤った回答として「フィッシングだ」と断じた投稿に対し、「その情報は間違いで、このメールは正当なものだ」と訂正が入っているのです。
つまり、@infomails.microsoft.com が完全に偽物とも、100%安全とも言い切れないのが現状です。実際にマイクロソフトが使っている事例は存在する一方で、公式の「代表的な送信元リスト」には載っていないため、ドメイン名だけを根拠に判断しないことが重要になります。
見た目や日本語だけで判断しない
最近のフィッシングメールは、ロゴやレイアウト、フォントサイズ、さらにはブランドカラーまで本物そっくりにコピーしてきます。また、自動翻訳の性能向上により、日本語の文面もかなり自然になっています。
そのため「日本語が自然だから安心」「レイアウトがきれいだから本物」といった感覚的な判断は危険です。見た目よりも、送信元・リンク先・メールヘッダー・自分の契約状況という“中身”で確認することが重要です。
フィッシング対策としての安全確認ステップ
1. 開封してもリンクはクリックしない
まず大前提として、メールを開封して本文を読むだけなら、一般的に即座に危険というわけではありません。ただし、本文内のリンクをクリックしたり、添付ファイルを開いたりするのは厳禁です。
本当にマイクロソフトからの通知であれば、メールのリンクを使わなくても、ブラウザーから直接 Microsoft アカウントにアクセスして同じ操作ができます。メールはあくまで「お知らせ」であり、「入り口」には使わないのが鉄則です。
2. リンクにマウスを載せて URL を確認する
次に、リンクをクリックせずにマウスカーソルだけを載せ、ブラウザーやメールソフトのステータスバーに表示される URL を確認します。
今回のケースでは、すべてのリンクが https://t2.infomails.microsoft.com/… で始まっていると報告されています。この時点でチェックしたいポイントをまとめると、次のようになります。
| 確認項目 | 見るべきポイント | 危険シグナルの例 |
|---|---|---|
| プロトコル | https:// で始まっているか | http:// や不明なスキーム |
| ドメイン | 末尾が microsoft.com か | 例: microsoft.com.example.com など偽装ドメイン |
| パス | 長すぎる追跡パラメータはあっても不自然ではない | 意味不明な別サイトへリダイレクトしていないか |
| 表示テキスト | 「Microsoft アカウント」などと書かれているか | 「今すぐ返金」「支払いを取り消す」など煽る文言 |
この段階で、明らかに別のドメイン(例: microsoft.com.payments.example.net など)に飛ぼうとしているなら、ほぼフィッシングと考えて良いでしょう。
3. メールヘッダーで「Return-Path」「SPF」「DKIM」を確認する
より確実に判定したい場合は、メールのヘッダー情報を表示し、次の 3 点をチェックします。
- Return-Path: 実際の返信先・送信元アドレス
- SPF(Sender Policy Framework): 送信元 IP がそのドメインからの送信を許可されているか
- DKIM-Signature: ドメイン所有者による電子署名が検証できているか
| ヘッダー項目 | 理想的な状態 | 注意が必要な状態 |
|---|---|---|
| Return-Path | ***@infomails.microsoft.com など microsoft.com 配下 | 全く別のドメインやフリーメール |
| SPF | spf=pass | spf=fail / softfail |
| DKIM | dkim=pass かつ d=microsoft.com 系 | 署名なし、または dkim=fail |
SPF や DKIM が失敗している場合は、正規メールである可能性はかなり低いと考えられます。
ただし、最近は 正規の Microsoft 365 インフラを悪用した高度なフィッシング攻撃も確認されており、microsoft.com ドメインから送られ、SPF・DKIM・DMARC すべてが「pass」になっているのに中身は詐欺、というケースも存在します。
つまり、ヘッダーの検証は「怪しいメールを落とすためのフィルタ」にはなりますが、「通ったから 100%安全」という保証にはならない点に注意しましょう。
4. メールではなくブラウザーのブックマークから操作する
最も安全なのは、メール中のリンクは一切使わず、自分でブラウザーを開いて操作する方法です。
- ブラウザーを起動し、アドレスバーに
account.microsoft.comと入力してアクセスする(または事前に登録したブックマークから開く)。 - Microsoft アカウントにサインインし、「サービスとサブスクリプション」ページを開く。
- Microsoft 365 の契約欄で、「次回請求日」と「請求予定金額」を確認する。
ここで表示されている金額と、値上げメールの金額が一致していれば、そのメールは少なくとも請求内容としては正しいと判断できます。逆に、アカウント側では値上げが反映されていないのに、メールだけが「緊急」や「今すぐ支払え」と煽っている場合は、フィッシングの可能性が高くなります。
5. 迷ったら Microsoft 公式サポートにヘッダーごと相談する
どうしても判断に自信が持てない場合は、メールヘッダーを含めて Microsoft 公式サポートに確認してもらうのが安心です。サポートに連絡する際も、検索結果に出てきた怪しい番号ではなく、必ず Microsoft の公式サイト側から辿れる問い合わせ窓口を利用しましょう。
値上げの背景:Copilot(AI 機能)標準バンドル
Copilot と価格改定の関係
今回の値上げの最大の要因は、Microsoft 365 に Copilot(AI アシスタント)機能を標準バンドルしたことにあります。これまで Office アプリ内の Copilot 機能を使うには、Microsoft 365 に加えて Copilot Pro などの追加サブスクリプションが必要でしたが、2025 年に入ってからは個人向け Microsoft 365(Personal / Family)に AI 機能が組み込まれ、代わりに本体のサブスクリプション料金が引き上げられました。
米国では、Microsoft 365 Personal / Family の価格が月額 3 ドル上がり、年額ベースで見ると 30~45% 前後の値上げになったとの報道もあります。オーストラリアなど一部地域では、同様の値上げが消費者庁から問題視され、訴訟に発展している状況です。
日本でも Reddit 等のコミュニティで、「年間 14,900 円から 21,300 円への値上げ」「約 40% アップ」といった報告があり、実感としては「AI のために 3~4 割も値上げされた」と感じているユーザーが多いようです。
Copilot のメリットと「いらない人」にとっての問題
Copilot 自体は、Word での文章作成・要約、Excel でのデータ分析、Outlook でのメール要約や返信案作成など、便利な機能を多数提供します。
しかし、多くの家庭ユーザーにとっては次のような不満もあります。
- 「普段は文書作成もメールも自分で十分にこなしているので、AI はほとんど使わない」
- 「AI をオンにすると情報流出や誤回答が不安なので、むしろオフにしておきたい」
- 「使わない機能のために 3~4 割も値上げされるのは納得できない」
こうした声に対し、Microsoft は既存ユーザー向けの救済策として 「Microsoft 365 Classic」プランを用意しました。
値上げを回避する「Microsoft 365 Classic」プランとは
Classic プランの概要
Classic プランは、既存の Microsoft 365 Personal / Family 契約者向けに提供される、Copilot 非搭載・旧価格維持のサブスクリプションです。主な特徴は次のとおりです。
- 名称の例: Microsoft 365 Personal Classic / Family Classic
- Copilot(AI アシスタント)は含まれない
- セキュリティ更新や小規模な機能改善は継続して提供
- 将来の大きな新機能・AI 機能は Classic には入らない可能性が高い
- 既存ユーザーのみ選択可能(新規契約では選べない)
実際の料金は地域や通貨によって異なりますが、「値上げ前の金額」で継続できるよう設計されています。
Copilot 付きプランとの比較
| 項目 | Microsoft 365(Copilot 付き) | Microsoft 365 Classic |
|---|---|---|
| AI 機能(Copilot) | 標準で利用可能(クレジット制など) | 利用不可 |
| 月額 / 年額料金 | 値上げ後の新価格(例: 3 割前後アップ) | 値上げ前の旧価格 |
| 今後の大型新機能 | 順次追加される予定 | 基本的に対象外の可能性 |
| セキュリティ更新 | あり | あり |
| 対象ユーザー | 新規・既存すべて | 現在契約中の既存ユーザーのみ |
日常的に AI 機能を使わない、あるいは使いたくないユーザーにとっては、Classic プランの方がコストパフォーマンスは高いと言えます。
Classic プランへ切り替える一般的な手順
Classic への切り替えは、普通のプラン一覧には表示されず「解約手続きの途中で初めて出てくる」隠しオプションになっていることが多い点に注意が必要です。
代表的な流れは次のとおりです(画面構成や文言は地域・時期によって異なる可能性があります)。
- ブラウザーで
account.microsoft.comにアクセスし、Microsoft アカウントでサインインする。 - メニューから「サービスとサブスクリプション」を開き、対象の Microsoft 365 契約の「管理」ボタンをクリックする。
- 「解約」または「定期請求をキャンセル」といった項目を選択する。
- 解約理由の選択画面や注意書きが表示されるので、最後までスクロールする。
- ページの下部に「Microsoft 365 Personal Classic を継続」「Microsoft 365 Family Classic を継続」といった選択肢が現れる場合があるので、それを選択する。
- 最終確認画面で、「次回請求額」が値上げ前の金額になっていることを確認し、手続きを完了する。
もし上記の Classic オプションが表示されない場合は、まだ対象地域ではない・既存ユーザーではない・一時的な不具合などの可能性が考えられます。その場合は、サポートに問い合わせるか、しばらく時間を置いてから再度確認すると良いでしょう。
Classic を選ぶデメリットも理解しておく
Classic プランは「値上げ回避」として非常に魅力的ですが、次のようなポイントは認識しておきましょう。
- 将来的な新機能・新しい AI 機能が利用できない可能性が高い
- Classic プランの提供自体がいつまで続くかは明言されていない
- ビジネス用途で Copilot を積極的に活用したい場合は不向き
家庭での利用が中心で、「Word / Excel / PowerPoint が今のまま使えれば十分」「AI はむしろオフにしたい」といった場合には Classic が向いていますが、仕事で高度な資料作成やデータ分析に AI を活用したいユーザーは、Copilot 付きプランのままにしておいた方が生産性メリットを享受しやすいでしょう。
日本のユーザーが押さえておきたいポイント
日本円での値上げ幅とタイミング
日本では、Microsoft 365 の価格は円安など為替の影響も受けるため、海外記事に書かれている「3 ドル値上げ」といった情報がそのまま当てはまるとは限りません。ただし、実際に「14,900 円 → 21,300 円」といった 40% 前後の値上げ通知を受け取ったユーザーの報告があることから、体感として 3~4 割の値上げになっているケースが多いと考えられます。
また、メール上では「2 月 14 日から値上げ」と記載されているのに、実際に通知が届くのは数カ月後というパターンも多く見られます。これは、「値上げ自体は 2 月に実施されたが、あなたの契約更新タイミングが近づくまで個別のメールは送らない」という運用になっているためです。
家族プラン・年額プランの見直し
値上げを機に、契約形態そのものを見直すのも有効です。
- 1 人で Personal を使っているが、家族も Office を使う → Family にして 5 人で割れば 1 人あたりの負担は軽くなる
- 月額払い → 年額払いに切り替えることで、実質の月あたり単価を下げられる可能性がある
- ほぼ 1 台でしか使っていない → 場合によっては買い切り版(単体 Office)や他社オフィスソフトへの乗り換えも検討余地
もちろん、会社支給のアカウントがある場合は、家庭用契約を解約してもよいかどうかを総合的に判断する必要があります。
「正規メールの可能性が高い」と「安全に行動してよい」は別問題
ここまで見てきたように、t2.infomails.microsoft.com からの Microsoft 365 値上げ通知メールは、実際に正規のケースが多数存在します。 一方で、infomails.microsoft.com ドメインを使ったフィッシングの可能性を指摘する専門家もおり、さらに Microsoft 365 の仕組みを悪用して「完全に正当な認証を通過するフィッシングメール」を送り込む高度な攻撃も確認されています。
そのため重要なのは、
- 「ドメインや見た目だけで本物と決めつけない」
- 「メールのリンクではなく、自分でブラウザーから Microsoft アカウントにアクセスして確認する」
- 「値上げが嫌なら Classic プランなど、ユーザーに有利な選択肢を自分で探しに行く」
という 3 点です。
特に Classic プランは、メールにも公式サイトトップにも大きくは表示されず、「解約フローの最後にだけひっそり出てくる」設計になっていることが問題視されています。 値上げメールを受け取ったら、内容の真偽を慎重に確認しつつ、自分にとって最適なプランを主体的に選ぶことが、これからのサブスクリプション時代には欠かせません。
まとめ:落ち着いて確認し、必要なら Classic へ
最後に、本記事の要点を整理します。
- t2.infomails.microsoft.com からの Microsoft 365 価格改定メールは、実際に正規の通知として使われている事例がある。
- ただし @infomails.microsoft.com ドメイン自体は公式ドキュメントの代表的送信元リストに含まれておらず、フィッシングと誤認されることもあるため、ドメイン名だけで判断しない。
- リンクはクリックせず、マウスオーバーで URL を確認し、さらにメールヘッダーの Return-Path / SPF / DKIM をチェックすることで、明らかに怪しいメールは除外できる。
- 最も安全なのは、ブラウザーのブックマークや手入力で Microsoft アカウントにアクセスし、「サービスとサブスクリプション」ページで実際の請求金額・更新日を確認すること。
- Copilot による値上げが納得できない場合、既存ユーザーなら「Microsoft 365 Classic」プランに切り替えることで、AI なし・旧価格のまま使い続けられる可能性が高い。
- Classic プランは通常のプラン一覧には出てこず、解約手続きを進めた先の画面にだけ表示されることが多いので、ページを最後までよく読むことが重要。
値上げメールが届くとつい感情的になってしまいますが、「メールの真偽を技術的に確認」「アカウント画面で実際の請求内容を照合」「不要な AI なら Classic でコストを抑える」という 3 ステップで冷静に対処すれば、余計なトラブルや無駄な出費を避けることができます。

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