VLSC終了後のボリュームライセンス管理|Microsoft 365管理センターで契約・キー・権限を確認する方法

VLSCは2024年4月に終了し、従来のclassic Volume Licensing契約はMicrosoft 365管理センターのBilling > Your products > Volume licensingで管理します。ただし、Microsoft 365のGlobal Administratorであっても自動的に契約を見られるわけではありません。対象のLicense IDに対するVLロールと、正しいMicrosoft Entra IDが必要です。

古い契約が見えないときに、製品キーを再入力したり、ライセンスを手動で『移行』し直したりしないでください。MicrosoftはVLSCの既存顧客をMicrosoft 365管理センターへ移行済みです。まずURL、サインインID、VLロール、License ID、契約とEntra IDのクラウドが一致しているかを順に確認します。

目次

「表示されない」と「ログインできない」を分けて記録する

Volume licensingのタブが見えない場合と、管理センターへのサインイン自体が止まる場合では確認先が異なります。まず使ったサインインID、対象License ID、止まった画面、表示されたエラー文を記録してください。製品キーは確認用の画面記録へ含めません。

MicrosoftのVLサインイン案内では、「An error occurred while setting up your profile」というエラーが繰り返される場合、個人用Microsoftアカウント、組織が管理していないself-service Entra ID、以前のVLサインインとは異なるIDなどを確認対象にしています。同じ会社のメールに見えても、VL権限を割り当てたIDと一致するかを管理者へ確認します。ページ更新を繰り返すだけで、契約の権限が追加されるわけではありません。

最初に契約の種類を分ける

購入・契約の種類主な確認先Volume licensingタブとの関係
旧VLSCで扱ったclassic VLMicrosoft 365管理センターのVolume licensing移行対象
Enterprise、Select、Open ValueなどVolume licensingのContracts権限のあるLicense IDを表示
旧Open License登録済み契約をVolume licensingで確認プログラムは終了済みだが登録済み権利へオンラインアクセス可能
MPSAMicrosoft Business CenterまたはMPSA productsclassic VLのLicense summaryには含まれない
MCA-Eなど別の商取引契約契約に対応する請求・管理画面classic VLページとは別管理
Microsoft 365のクラウドSKUBilling、Licenses、またはMicrosoft Graph永久VL契約・製品キーとは別データ
GCC High、DoD各政府クラウドの管理センター同じクラウドのEntra IDが必要

『VLSC終了後はすべてMicrosoft 365管理センターへ一本化された』という説明は正確ではありません。移ったのは、VLSCで扱っていたclassic VLの機能です。MPSA、MCA-E、政府クラウドなどは、同じ管理センター内の別タブまたは別の専用画面を使います。購入記録にある契約プログラム名とLicense IDを先に確認してください。

VLSC終了後に変わったこと

  • VLSCは終了しており、古いVLSC招待リンクは利用できません。
  • classic VLの契約、注文、製品キー、ダウンロード、ロール管理はMicrosoft 365管理センターの専用領域へ移りました。
  • アクセス権はMicrosoft 365の一般的な管理者ロールではなく、License IDごとのVLロールで管理されます。
  • VLロールはMicrosoft Entra IDへ割り当てられ、作業内容に応じて最小権限を選べます。
  • public、GCC High、DoDなど異なるクラウドを一つのEntra IDで横断する方式は使えず、契約と同じクラウドのIDが必要です。

既存のVLSC権限をMicrosoft Entra IDで利用していたVL Administratorは、移行後のVLページへアクセスできます。しかし、誰が契約管理者か不明な組織や、招待をVLSC終了前に登録しなかった利用者は、既存管理者から新しいVLロールを付けてもらうか、Volume Licensing Supportへ確認する必要があります。

Global AdministratorとVLロールは別

Microsoft 365管理センターへ入れることと、Volume licensing契約へアクセスできることは同じではありません。Global Administratorは、VL Administratorから対象License IDのVLロールを割り当てられない限り、VL機能へ自動アクセスできません。逆に、VLロールだけを持つ利用者はVLページへアクセスできても、管理センターの他領域へ権限が広がるわけではありません。

VLロール主な用途割り当て方針
VL AdministratorVLユーザーと権限を管理し、ほぼすべてのVL操作を実行契約管理担当だけに限定
License position reader契約、注文、ライセンス概要を参照棚卸し・監査担当
Product download manager契約済みソフトウェアをダウンロード展開担当
Product keys reader契約と製品キー、アクティベーション情報を参照キー管理担当だけ
Benefits readerSoftware Assurance関連の権利を参照特典管理担当
Online services managerオンラインサービスと予約を管理オンラインサービス担当
Invoice Reader対象となるMicrosoft直接契約の請求書を参照経理担当

製品キーを見るだけの担当者へVL Administratorを付ける必要はありません。キー閲覧にはProduct keys reader、ダウンロードにはProduct download managerというように、必要な操作だけを割り当てます。契約終了後もVLロールによるアクセスが残るため、退職、異動、委託終了時にはVL Administratorが不要な割り当てを削除してください。

classic VL契約を確認する手順

  1. Microsoft 365管理センターを開きます。
  2. 対象契約のVLロールを割り当てられたMicrosoft Entra IDでサインインします。個人用Microsoftアカウントや別テナントのIDを使わないでください。
  3. 左側のBillingを開きます。見えない場合はナビゲーションのView allから表示します。
  4. Your productsを開き、Volume licensingタブを選びます。
  5. ContractsのView contractsを開きます。
  6. 購入記録にあるLicense ID、契約種別、開始日、終了日を照合します。
  7. 必要な操作に応じて、View license summary、View orders、View product keys、View contract detailsを選びます。

Contractsページには、自分が権限を持つLicense IDだけが表示されます。契約が存在しないのではなく、自分のロール範囲外である可能性があります。複数の会社、合併前の組織、子会社、過去のメールドメインで契約している場合は、購入部門と契約上のbusiness emailも照合してください。

License summaryで確認できること

License summaryは、選択したLicense IDに基づくclassic VLの権利を、製品ファミリとバージョン別に表示します。Open License、Open Value、Select、Enterpriseなどの購入情報をまとめて確認できます。複数のLicense IDを選び、概要を作成することもできます。

一方、MPSAで購入したライセンスはこのLicense summaryへ含まれません。概要にないから未購入と決めず、MPSA productsまたはMicrosoft Business Centerも確認します。ライセンス権利と実際のインストール数を照合する場合は、別途端末・サーバーの資産台帳が必要です。

注文、製品キー、ダウンロード

  • View ordersでは、販売者注文番号、顧客注文番号、注文日、製品、数量などを確認できます。
  • View product keysでは、対象契約に紐づく製品キー、キー種類、利用可能なアクティベーションなどを確認できます。
  • View downloads and keysでは、権限のある製品のEXEまたはISOなどを取得できます。
  • ダウンロードにはVL AdministratorまたはProduct download manager、キーにはVL AdministratorまたはProduct keys readerが必要です。

製品キー、License ID、注文情報は機密情報です。記事、スクリーンショット、一般共有フォルダー、チャットへ実値を貼らないでください。棚卸しCSVへ製品名や数量を保存する場合も、キー列は分離し、閲覧者と保管期間を制限します。

Volume licensingタブが見えない場合

  1. 開いているURLがMicrosoft 365管理センターであることを確認します。
  2. Billingが折りたたまれている場合はView allからYour productsを開きます。
  3. 右上のアカウント情報で、VLロールを付与されたMicrosoft Entra IDと同じか確認します。
  4. Microsoft 365のGlobal Administratorではなく、対象License IDのVLロールがあるか確認します。
  5. VL Administratorへ、該当License IDと必要な作業を伝え、最小ロールを割り当ててもらいます。
  6. ロール反映には最大2時間、新しく処理された契約変更には最大10時間かかる場合があるため、すぐに再登録操作を繰り返しません。

個人用Microsoftアカウント、組織が管理していないself-service Entra ID、以前とは異なるサインインIDを使うと、プロファイル設定エラーやVL情報の未表示につながります。新しいIDを勝手に増やす前に、契約へ登録されたbusiness emailと既存のVL Administratorを確認してください。

2026年のクロスクラウド要件

2026年1月19日以降、public cloud、GCC High、DoDなど異なるクラウドのVL契約を、一つのMicrosoft Entra IDで横断して管理することはできません。Entra IDのクラウドとVL契約のクラウドが一致しないと、その契約へのアクセスを失います。

  1. Volume licensingのContractsを開きます。
  2. 画面上部にクラウド不一致の警告がある場合は、View my access at riskを選びます。
  3. ACCESS AT RISKの付いたLicense IDを記録します。
  4. 対象契約と同じクラウドのMicrosoft Entra IDを用意し、VL AdministratorへそのIDとLicense IDを伝えます。
  5. 管理者が対象契約へ適切なVLロールを割り当てたあと、確認メールと反映時間を待ちます。
  6. 正しいクラウドの管理センターへサインインし、警告とACCESS AT RISKが消えたことを確認します。

publicまたは通常のGCCはpublic cloudのMicrosoft 365管理センターを使い、GCC HighとDoDにはそれぞれ専用管理センターがあります。異なるクラウド間でIDを使い回そうとせず、組織のID管理者と契約管理者が役割を分けて対応します。

VL Administratorが分からない場合

Microsoftはプライバシー上の理由から、組織のVL Administrator名を第三者へ開示しません。まず購入、経理、IT、法務部門とMicrosoft partnerまたはsellerへ、契約時のPrimary Contact、Notices Contact、Online Services Managerを確認します。

既存管理者がいない、古いVLSC招待を登録していない、サインインできない場合はVolume Licensing Supportへ連絡します。次の情報を事前にそろえると、対象契約の本人確認を進めやすくなります。

  • VL agreementまたはLicense IDの番号。
  • 契約に記載されたbusiness email。
  • Microsoft 365管理センターで使用するMicrosoft Entra ID。
  • 旧サインインIDと、変更した場合は新しいID。
  • 購入元partnerまたはseller、注文番号、契約種別。

管理センターへ入れる場合は、Volume Licensing → Help & Supportから申請します。入れない場合はMicrosoft公式のVLサポート案内にあるEngage Centerのオンライン申請を使い、Microsoft Entra IDでサインインします。2026年8月以降、VLサポートの申請はオンラインで開始する方式となり、従来の申請用電話番号は廃止されています。サポートから電話で連絡されることはありますが、電話番号を探して申請を始める手順とは分けて考えてください。製品キーを通常メールへ貼らず、サポートが指定する方法に従います。

Microsoft GraphでクラウドSKUを確認する

Microsoft 365など、テナントが取得した商用クラウドサブスクリプションはMicrosoft Graph PowerShellで一覧化できます。旧MSOnlineモジュールのConnect-MsolServiceとGet-MsolAccountSkuは終了済みなので、現行の棚卸しでは次のGraphコマンドを使います。

Install-Module Microsoft.Graph -Scope CurrentUser
Connect-MgGraph -Scopes "LicenseAssignment.Read.All"
Get-MgSubscribedSku -All | Select-Object SkuPartNumber, ConsumedUnits, @{Name='EnabledUnits'; Expression={$_.PrepaidUnits.Enabled}}
Disconnect-MgGraph

初回のInstall-Moduleは信頼済みリポジトリの確認を求める場合があります。組織のPowerShell導入方針を確認し、管理者承認が必要な同意を回避しないでください。Connect-MgGraphは対話サインインを行い、LicenseAssignment.Read.Allの委任アクセスを要求します。取得後はDisconnect-MgGraphでセッションを終了します。

このコマンドが返すのはクラウドのsubscribedSkuです。classic VL契約のLicense ID、契約明細、永久ライセンス、MAK/KMSキー、ISOダウンロード権を列挙するコマンドではありません。Volume licensingのLicense summaryとGraphのSKU一覧を同じ表で無条件に合算すると、権利数を二重計上するおそれがあります。

安全なライセンス棚卸しと注意点

  1. 契約プログラム、License ID、契約名、開始日、終了日、partnerを記録します。
  2. classic VL、MPSA、MCA-E、クラウドサブスクリプションを別の区分にします。
  3. License summary、orders、Graph SKU、端末資産台帳の出所を列ごとに記録します。
  4. 製品キーは通常の棚卸し表へ直接入れず、アクセス制御された保管先への参照だけを残します。
  5. 各License IDのVL Administratorと代替担当を確認し、単独担当者へ依存しないようにします。
  6. 退職者、外部委託先、古いメールアドレスのVLロールを定期的に削除します。
  7. 更新やstep-upが必要な契約は、管理センター上の表示だけで判断せずpartnerまたはsellerへ確認します。

棚卸しの目的は、ポータルにある数字を一つへ集めることではなく、どの契約からどの権利が生じ、誰が確認でき、どの端末やサーバーで使っているかを追跡できる状態にすることです。データの出所と取得日を残すと、契約更新や監査時に差分を説明できます。

表示されないときの分岐表

症状主な原因対応
Volume licensingタブ自体がないVLロールなし、別ID、ナビゲーション正しいEntra IDと対象License IDのVLロールを確認
一部の契約だけないLicense IDごとの権限、別プログラムVL Administrator、MPSA、別契約画面を確認
Global Administratorなのに見えないVLロールは別管理必要最小限のVLロールを割り当ててもらう
ロール付与直後に見えない反映待ち最大2時間、契約変更は最大10時間を見込む
ACCESS AT RISKがあるEntra IDと契約クラウドの不一致同じクラウドのIDを契約へ割り当て
Get-MsolAccountSkuが失敗MSOnline終了Microsoft Graph PowerShellへ移行
Graphに永久ライセンスが出ないGet-MgSubscribedSkuの対象外Volume licensingのContractsとLicense summaryを確認

よくある質問

VLSCの古いURLへサインインできますか?

VLSCは終了済みです。classic VLはMicrosoft 365管理センターのBilling、Your products、Volume licensingを使います。VLSC終了前の未登録招待も現在は無効です。

Global AdministratorならVL Administratorを追加できますか?

Global AdministratorだけではVL契約へ自動アクセスできず、VLロールも自由に付与できません。対象License IDのVL Administratorが追加します。管理者不明の場合はpartner、社内購入部門、Volume Licensing Supportへ確認します。

古い永久ライセンスは期限切れで消えますか?

サブスクリプションの期限と、取得済みの永久ライセンス権利は同じではありません。表示されないときは契約種別、License ID、VLロールを確認し、支払方法の問題と決めつけないでください。使用権は契約条件に従います。

製品キーをもう一度入力すれば契約が表示されますか?

表示権限の復旧にはなりません。製品キーは製品のアクティベーションに使う情報で、管理センターのVLロールや契約アクセスを作るものではありません。キーを繰り返し入力せず、契約とIDを確認します。

Get-MgSubscribedSkuで全ライセンスを棚卸しできますか?

できません。テナントの商用クラウドサブスクリプションを確認するコマンドです。classic VL、永久ライセンス、製品キー、MPSAは、それぞれ対応する契約画面と台帳で確認します。

契約更新は管理センターからできますか?

契約種別によっては、管理センターに更新日や注文情報が表示されても、更新やstep-upの操作をポータルだけで完結できません。Microsoft partnerまたはsellerへ確認してください。

外部委託先へどのロールを付ければよいですか?

必要な作業だけに限定します。ダウンロードならProduct download manager、キー参照ならProduct keys readerなどを検討し、VL Administratorを既定にしません。委託終了日と削除担当も同時に記録します。

Microsoft公式資料

まとめ

VLSC終了後のclassic Volume Licensingは、Microsoft 365管理センターのBilling、Your products、Volume licensingで確認します。表示されない場合は、再登録やキー入力ではなく、正しいEntra ID、License IDごとのVLロール、契約種別、クラウド一致を確認してください。Graph PowerShellはクラウドSKUの棚卸しに使い、永久VL契約とは分けます。製品キーを守り、最小権限と複数担当者で契約アクセスを維持することが、長期的なライセンス管理の基本です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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