Officeにサインインできない「Something went wrong [657rx]」の直し方|AAD Broker Pluginキャッシュ削除と職場/学校アカウント再登録

PCの設定変更やWindows/Officeの更新、端末構成の切り替え後から、Word・Excel・OutlookなどのOfficeアプリにサインインできず「Something went wrong. [657rx]」が出ることがあります。多くはサインイン用トークンのキャッシュ破損や、職場/学校アカウントのデバイス登録状態のズレが原因です。現場で改善しやすい手順を、失敗しないポイント付きで整理します。

目次

症状:Officeでサインインできず「Something went wrong. [657rx]」が表示される

このトラブルは、主に業務用/学校用アカウント(Microsoft Entra ID / 旧Azure AD)でのサインイン時に起きやすく、次のような状況で発生しがちです。

  • Windows Update/Office更新の直後から急にサインインできなくなった
  • PC名変更、ドメイン参加/離脱、VPN/プロキシ変更、証明書更新など、認証に関わる設定を触った後に起きた
  • ユーザープロファイル移行(新規プロファイル作成、PC入れ替え、バックアップ復元)後に起きた
  • TeamsやOneDriveは入れるのに、Officeアプリだけサインインが失敗する

表示される「657rx」は単体で原因を断定できる種類のものではありませんが、Windowsのサインイン基盤(WAM:Web Account Manager)やAAD Broker Pluginが保持するキャッシュ資格情報(トークン)が壊れたり、PCのデバイス登録と実態が噛み合わなくなったときに出やすい傾向があります。

まず押さえる:よくある原因パターン

同じ「サインインできない」でも、原因が複数混ざると復旧が長引きます。よくあるパターンを先に把握しておくと、作業の狙いが明確になります。

原因の例起きやすいきっかけありがちな症状
AAD Broker Pluginのトークン/キャッシュ破損更新、プロファイル移行、強制終了の繰り返しOfficeだけ「657rx」、再試行しても同じ
「職場または学校にアクセス」の登録状態がズレたPC名変更、参加状態の変更、端末管理設定の変更アカウントが表示されない/古い表示のまま、サインインがループ
複数アカウントが混在(個人用MSAと業務用が混ざる等)個人用Officeと業務用Officeを併用別アカウントでサインインしようとして失敗、切替ができない
条件付きアクセス/端末準拠など管理側の制御Intune準拠が外れた、ポリシー変更特定のユーザー/端末だけ失敗、Webは入れるがアプリが不可
時刻ずれ、ネットワーク制限、プロキシ/SSL検査時計が合っていない、FW/Proxy変更他のサインインも不安定、MFA画面が出ない/完了しない

作業前チェック:最短復旧のために確認すること

次の確認を先に行うと、的外れな手順を減らせます(すべてを完璧にやる必要はありません)。

確認ポイント具体的な見方狙い
アカウント種別Officeのサインイン画面で「職場または学校」かMSA(個人用)と混同しない
WebサインインブラウザーでMicrosoft 365ポータルにサインインできるかアカウント自体が止まっていないか切り分け
PCの日時時刻/タイムゾーンが正しい、時刻同期が有効トークン検証失敗(証明書/署名)の回避
ネットワークVPN/プロキシ有無、社外/社内で再現するかネットワーク要因か端末要因かの切り分け
影響範囲同じPCの別ユーザーでも起きるか端末全体の問題か、ユーザープロファイルの問題か

推奨手順:Officeサインイン「657rx」を直す王道ルート

ここからは、現場で改善しやすい順に並べています。基本は「Office側のサインイン状態を空にする」→「WAM/AAD Broker Pluginのトークンを作り直す」→「デバイス登録のズレを直す」という流れです。

Officeアプリからサインアウトし、完全に終了する

まずはOfficeが掴んでいるサインイン状態を手放させます。サインアウトだけで直るケースもありますが、途中でプロセスが残ると次の作業が効きにくくなるため、「完全終了」までセットで行います。

  1. Word/Excel/Outlookなど、起動しているOfficeアプリを順番に開く
  2. 各アプリでサインアウト(できる範囲でOK)
  3. アプリをすべて閉じる(Outlookは常駐しやすいので要注意)
  4. タスクトレイ(通知領域)に残っているOffice/Teams/OneDrive関連があれば終了する
  5. 心配な場合はタスクマネージャーで、WINWORD.EXE / EXCEL.EXE / OUTLOOK.EXE などが残っていないことを確認
アプリサインアウトの場所(例)補足
Word / Excel / PowerPointファイル → アカウント → サインアウト複数アカウント表示なら全て確認
Outlook(新旧UIで差あり)ファイル → Officeアカウント → サインアウト終了しても常駐することがある
OneNote右上のアカウント → サインアウトノート同期が止まっても慌てない

AAD Broker Pluginのキャッシュを削除する

次に、Windows側のサインイン部品が保持している古いトークン/キャッシュを消して、Officeに新しい認証情報を再作成させます。ここが「657rx」改善の決め手になることが多いポイントです。

エクスプローラーまたは「ファイル名を指定して実行(Windowsキー + R)」で、次のパスを開きます。

%localappdata%\Packages\Microsoft.AAD.BrokerPlugin_cw5n1h2txyewy

開けたら、フォルダー配下のファイル/フォルダーを削除します。削除に不安がある場合は、いきなり削除ではなくフォルダー名をリネームして退避する方法も有効です(例:末尾に_oldを付ける)。

操作狙い失敗しやすい点
AAD Broker Plugin配下を削除(または退避)壊れたトークン/キャッシュを強制リセットOfficeが起動中だと削除できない/戻ることがある
隠し項目を表示Packages配下を迷わず開く表示設定で見えず、別パスを触ってしまう

削除後は、Windowsが必要に応じてキャッシュを再生成します。ここで一旦PCを再起動すると、次の工程がスムーズになることがあります。

「職場または学校にアクセス」の登録をいったん解除し、再登録する

AAD Broker Pluginをリセットしても直らない場合、PCの職場/学校アカウント登録(デバイス登録)がズレている可能性が高くなります。Windowsの設定画面から、いったん切断→接続で状態を作り直します。

OS設定の場所画面名
Windows 11設定 → アカウント職場または学校にアクセス
Windows 10設定 → アカウント職場または学校にアクセス

画面での分岐は次の通りです。

  • アカウントが表示されない:「接続」から職場/学校アカウントでサインインして登録する
  • アカウントが表示されている:対象アカウントを選び、「切断」で解除 → その後「接続」で再登録する

実際の流れを、つまずきやすい点込みでまとめます。

  1. 設定 → アカウント → 「職場または学校にアクセス」を開く
  2. 対象のアカウントがある場合は「切断」を実行(会社管理端末の場合、切断が制限されることがあります)
  3. 「接続」を選び、業務用/学校用アカウントでサインインする
  4. 組織のサインイン画面や多要素認証(MFA)が出たら完了まで進める
  5. 接続後、必要なら「情報」から同期(Sync)を実行して反映を待つ

注意:Intune管理端末や厳しい条件付きアクセスがある環境では、切断によって一時的に社内リソースへアクセスできなくなる場合があります。手順の実行が不安な場合は、事前に情シス/管理者へ確認してください。

Officeアプリで再サインインして確認する

最後に、Officeでサインインをやり直します。Officeはサインイン先を選べる場合があるため、「職場または学校」を選び、目的のアカウントで完了させます。

  1. Word(またはExcel)を起動
  2. サインインを促されたら「職場または学校アカウント」を選ぶ
  3. サインイン後、ライセンス表示やユーザー名表示が正しいか確認
  4. ファイル保存(OneDrive/SharePoint)やOutlookの接続が復旧したか確認

追加の改善策:上の手順で直らない場合

「657rx」は複合要因で発生することもあります。上の王道ルートで直らないときは、次の追加策を上から順に試すと改善につながりやすいです。

追加策やること効果が出やすいケース
PC再起動サインアウト/削除/再登録の後に再起動プロセスが残っている、キャッシュ再生成が反映されない
時刻同期の確認設定で時刻を自動設定、必要なら手動で再同期MFAや証明書検証で失敗している
ネットワークの切替社内/社外、VPNあり/なしで比較プロキシやSSL検査で認証が壊れている
Officeの修復アプリと機能 → Microsoft 365/Office → 変更 → クイック修復/オンライン修復Officeコンポーネント破損、更新失敗が疑わしい
資格情報マネージャー整理Windows 資格情報でOffice/ADAL関連が大量に残っていれば整理古い資格情報が優先され、サインインがループする

資格情報マネージャーを整理する際のコツ

資格情報マネージャーは効果がある一方で、消しすぎると別サービスの再サインインが増えることがあります。迷ったら、まずはOfficeやMicrosoft関連に見えるものだけから整理してください。

  • コントロールパネル → ユーザーアカウント → 資格情報マネージャー
  • 「Windows 資格情報」「Web 資格情報」の両方を確認
  • Office/ADAL/MicrosoftOffice/OneDrive/Teams など、明らかに関連するものを優先

複数アカウント混在を解消する

個人用Microsoftアカウント(MSA)と職場/学校アカウントを同じPCで併用していると、サインインの選択が混線し、結果として「657rx」に見える失敗を起こすことがあります。次の点を確認するとスムーズです。

  • Officeアプリの「アカウント」画面に、不要なアカウントが残っていないか
  • Windowsの「メールとアカウント」「職場または学校にアクセス」に、目的外のアカウントが紐づいていないか
  • ブラウザーのプロファイル(Edge/Chrome)で別アカウントにサインインしていないか

管理者・情シス向け:切り分けが早くなる確認ポイント

端末管理(Intune)や条件付きアクセスがある環境では、端末側の対処をしても改善しないケースがあります。ユーザー側の作業で直らない場合、管理者側で次を確認すると原因特定が早くなります。

確認項目見る場所(例)確認内容
デバイス登録状態Microsoft Entra ID(旧Azure AD)のデバイス一覧対象端末が想定の状態(登録/参加)か、重複や古いオブジェクトがないか
Intune準拠Intune 管理センター準拠ステータス、構成プロファイル適用、コンプライアンスポリシー違反
条件付きアクセスEntra ID 条件付きアクセス対象アプリ(Office/Microsoft 365)への条件、準拠必須/承認済みアプリ必須など
サインインログEntra ID サインインログエラーコード、失敗理由、クライアントアプリ種別(ブラウザー/モバイル/デスクトップ)
ライセンスMicrosoft 365 管理センターユーザーにアプリ利用権が付与されているか、割り当てが外れていないか

ユーザーから状況を聞く際は「いつから」「何を変更した後か」「Webは入れるか」「同じアカウントが別PCでは動くか」を押さえると、端末要因かポリシー要因かの判断がつきやすくなります。

再発防止:同じトラブルを繰り返さないためのポイント

  • PC入れ替えやプロファイル移行の前に、Office/OneDrive/Teamsのサインアウトを済ませておく
  • PC名変更、ドメイン参加/離脱、端末管理の切り替えは手順を統一し、途中で電源断しない
  • 社内プロキシやSSL検査がある場合、Microsoft 365関連の通信要件を満たす(管理者側の整備)
  • 時刻同期を有効にし、スリープ復帰後に時計がズレる端末は早めに対策する

よくある質問

AAD Broker Pluginのフォルダーを削除しても大丈夫?

このフォルダーは、Windowsのサインイン機能がトークンや一時データを保持する場所です。削除してもWindowsが必要に応じて再作成します。削除後はOfficeやTeamsなどで再サインインが必要になることがありますが、データ(文書ファイル自体)が消えるわけではありません。

「職場または学校にアクセス」を切断すると何が起きる?

環境によりますが、切断によって一時的に次の影響が出る場合があります。

  • 会社ポータル(Company Portal)や社内アプリの利用条件が外れる
  • 端末管理ポリシー(Wi-Fi/VPN/証明書/構成プロファイル)の適用が一時的に外れる
  • OneDrive/Teams/Outlookの再サインインが必要になる

管理端末では切断が制限されていることもあるため、実行できない場合は管理者へ依頼してください。

この手順はWindows 10/11で共通?Macでも同じ?

本記事の手順はWindows 10/11向けです。Mac版Officeは認証の仕組みやキャッシュ場所が異なるため、同じ場所(AAD Broker Plugin)を触っても解決しません。Macで同様の症状が出る場合は、Officeの資格情報(Keychain)やアカウント設定の見直しが中心になります。

どうしても直らないとき、サポートに伝えると良い情報は?

問い合わせ時に次の情報があると、切り分けが早くなります。

情報例用途
発生開始日と直前の変更Windows更新後、PC名変更後など原因の当たりを付ける
対象アプリWord/Excelのみ、Outlookのみ等Office全体か一部かの確認
アカウント種別職場/学校、個人用MSA認証方式の切り分け
他端末での再現別PCではOK/NG端末要因かアカウント要因か
管理環境Intune管理、条件付きアクセスあり等管理ポリシー影響の有無

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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