Microsoft Formsをグループへ移動する方法|退職前の引き継ぎと回答Excelの注意点

Microsoft Formsの担当者が退職する場合、フォームを共同編集で共有するだけでは十分な引き継ぎになりません。元所有者が在籍しているうちに、個人フォームをMicrosoft 365グループへ移動し、移動後の回答画面からExcelを一度開いて初回同期を完了させる必要があります。

移動によって、フォームは個人管理からグループ管理へ切り替わります。ただし、生成された回答用ExcelをSharePoint内の別フォルダーへ移動すると、新しい回答が同期されなくなります。また、移動前から使っている古い回答リンクは、元所有者のアカウント削除後も使い続けられるとは限りません。

この記事では、担当者の退職前にMicrosoft Formsをグループへ引き継ぎ、既存回答と回答用Excelの接続を維持する手順を解説します。

目次

Microsoft Formsの退職前引き継ぎで行うこと

退職前の引き継ぎは、次の順番で進めます。

  1. フォームの所有者と移動先グループのメンバー資格を確認する
  2. 個人フォームをMicrosoft 365グループへ移動する
  3. 移動後のフォームから回答用Excelを一度開く
  4. 既存回答と新規回答がExcelへ反映されることを確認する
  5. 移動後の回答リンクへ案内を更新する
  6. 別のグループメンバーでもフォームとExcelを開けるか確認する

重要なのは、フォームを移動しただけで作業を終えないことです。回答用Excelの初回同期と回答リンクの更新まで実施して、初めて実務上の引き継ぎが完了します。

フォームを移動する前の確認事項

Microsoft Formsの移動を始める前に、作業者とフォームの状態を確認します。

確認項目必要な状態条件を満たさない場合
フォームの所有者作業者自身が所有者である共有されただけのフォームは移動できない
移動先グループ作業者がグループのメンバーである移動先として選択できない
現在の保存区分個人フォームであるグループから別グループへの移動はできない
元所有者のアカウント在籍中で利用できる管理者による別の復旧手順が必要になる

共有されたフォームは移動できない

共同編集者として共有されているだけのフォームは、作業者の所有物ではありません。そのため、フォームが自分の画面に表示されていても、所有者でなければグループへ移動できません。

移動作業は、原則としてフォームを作成した本人、つまり現在の所有者が行います。Microsoftの公式案内でも、移動できるのはフォームの所有者に限られ、共有されたフォームの所有権はこの操作では移せないとされています。([Microsoft サポート][1])

グループの所有者でもメンバー登録が必要

移動先のMicrosoft 365グループについては、作業者がグループのメンバーである必要があります。

ここで注意したいのが、グループの「所有者」と「メンバー」は別の属性として扱われることです。グループの所有者に設定されていても、メンバーとして登録されていなければフォームを移動できない場合があります。移動先が一覧に表示されないときは、Microsoft 365管理者にメンバー登録の状態を確認してもらいます。([Microsoft サポート][1])

グループから別グループへの再移動はできない

個人フォームからグループへの移動には対応していますが、すでにグループが所有しているフォームを別のグループへ移動する操作には対応していません。([Microsoft サポート][1])

たとえば、次のような移動はできません。

  • 個人フォームから総務課グループへ移動:可能
  • 総務課グループから人事課グループへ再移動:非対応
  • 退職者が共有しているフォームを別担当者が移動:非対応

移動先グループを間違えると、通常の操作では移し直せません。グループ名が似ている組織では、選択前にメールアドレスやメンバー構成も確認しておくと安全です。

Microsoft Formsをグループへ移動する手順

フォーム所有者のアカウントでMicrosoft Formsを開き、次の手順で移動します。

Microsoft Formsへサインインする

職場または学校のMicrosoft 365アカウントでMicrosoft Formsへサインインします。

複数のMicrosoftアカウントをブラウザーで使用している場合は、フォームを所有している組織アカウントで開いていることを確認してください。別のアカウントで開くと、対象フォームや移動先グループが表示されないことがあります。

対象の個人フォームを表示する

Microsoft Formsの画面を下までスクロールし、[すべての個人用フォーム]を開きます。

対象フォームがグループフォームではなく、個人フォームとして表示されていることを確認します。

[その他のオプション]から[移動]を選択する

移動するフォームのタイル右上にある[その他のオプション]を開き、[移動]を選択します。

[移動]が表示されない場合は、次の点を確認します。

  • 自分がフォームの所有者か
  • 共同編集で共有されているだけではないか
  • 対象がすでにグループフォームになっていないか
  • フォーム所有者とは別のアカウントでサインインしていないか

移動先のグループを選択する

一覧から移動先のMicrosoft 365グループを選び、[移動]を実行します。

移動後は、Microsoft Formsの[自分のグループ]から対象グループを開き、フォームが表示されることを確認します。個人フォームをグループへ移動すると、グループ内のユーザーがフォームの共同所有者として、質問の編集、回答の分析、共有などを行えるようになります。([Microsoft サポート][1])

移動後は回答画面からExcelを一度開く

フォームをグループへ移した後は、必ず移動後のフォームを開き、回答画面からExcelブックを一度開きます。

この操作が、グループ用の回答Excelを作成し、既存回答と今後の回答を接続するための初回同期になります。

回答用Excelが保存される場所

グループへ移動したフォームでは、新しい回答用Excelブックが、移動先グループのSharePoint Onlineにある[ドキュメント]フォルダーへ作成されます。

移動後のフォームの回答画面からExcelを開いて初回同期を行うと、移動前に受け付けた既存回答が新しいブックへ取り込まれ、その後に送信された回答も同じブックへ同期されます。([Microsoft サポート][1])

初回同期の手順

次の順番で確認します。

  1. Microsoft Formsの[自分のグループ]を開く
  2. 移動先グループを選択する
  3. 移動したフォームを開く
  4. [回答]画面を開く
  5. 回答画面からExcelブックを開く
  6. 既存回答が表示されていることを確認する

SharePointのドキュメントライブラリから先にExcelを探すのではなく、最初は必ずフォームの回答画面からExcelを開くのがポイントです。

新しい回答も同期されるか確認する

既存回答が表示されたら、可能であれば確認用の回答を1件送信します。

その後、回答画面とExcelを再度確認し、次の3点が一致しているか確認します。

  • Forms上の回答件数
  • Excelに記録されている既存回答
  • 確認後に送信した新しい回答

本番受付中のフォームにテスト回答を送る場合は、集計結果へ影響しないかを事前に確認してください。テスト回答を入れにくい場合は、実際の次回回答が届いた時点で担当者が同期状況を確認できるよう、引き継ぎ記録へ残しておきます。

生成された回答用Excelは別の場所へ移動しない

移動後に作成された回答用Excelは、SharePointの別フォルダーや別サイトへ移動してはいけません。

Microsoftの公式案内では、生成されたExcelブックを別の場所へ移すと、それ以降の新しい回答が同期されなくなると明記されています。([Microsoft サポート][1])

特に、次のような「整理目的」の操作に注意してください。

  • 年度別フォルダーへ移動する
  • 担当課専用の別フォルダーへ移動する
  • 別のSharePointサイトへ移動する
  • 担当者のOneDriveへ移動する
  • 一度ダウンロードして別の場所へ再アップロードする

フォームと接続されたExcelは、通常の業務ファイルではなく、回答同期の接続先を兼ねたファイルとして扱う必要があります。

集計用ファイルを別の場所に置きたい場合

集計や報告書作成の都合で別の場所にExcelが必要な場合でも、同期元のブックは元の場所に残します。

別途コピーを作成する場合は、コピー先のファイルを「自動同期される回答原本」として扱わないようにしてください。運用上は、次のように役割を分けると混乱を防げます。

ファイル用途保存場所
Formsが生成した回答用Excel新しい回答を継続して受け取る原本グループのSharePoint内の生成場所
集計・加工用ファイルグラフ、報告書、庁内集計など任意の業務フォルダー
提出・保管用ファイル確定時点の記録や年度保存組織の文書管理ルールに従う

回答用Excelの場所を変更するのではなく、必要なデータを別の集計ファイルへ取り込む運用にします。

古い回答リンクをそのまま使い続けない

個人フォームをグループへ移動した後も、移動前から配布していた回答リンクは、元所有者のアカウントが組織内に存在する間は引き続き機能します。

ただし、元所有者のアカウントが完全に削除されると、元の個人フォームを指す古いリンクは機能しなくなります。したがって、退職直後にリンクが開けたとしても、将来も使い続けられると判断してはいけません。([Microsoft サポート][1])

移管後の回答リンクへ更新する

フォームをグループへ移動したら、グループフォーム側で回答用リンクを改めて取得し、以後はこちらを正式なリンクとして案内します。

確認・更新する場所の例は次のとおりです。

  • 組織内ポータルやSharePointページ
  • メールの定型文
  • Teamsの投稿や固定メッセージ
  • マニュアルや操作手順書
  • Webサイトやお知らせページ
  • QRコード
  • 印刷物や掲示物
  • PowerPointやPDFに記載したリンク

特にQRコードは、見た目からリンク先を判断できません。長期間使用する掲示物やチラシは、移管後のリンクでQRコードを作り直します。

リンクは実際の利用条件でテストする

リンクを更新した後は、フォーム所有者の画面で開けることだけでなく、実際の回答者と同じ条件で確認します。

たとえば、組織内限定フォームなら別の職員アカウント、外部回答を許可しているフォームならサインアウト状態のブラウザーなどで確認します。

確認する項目は次のとおりです。

  • 回答者がフォームを開けるか
  • 必要なサインイン条件が表示されるか
  • 回答を送信できるか
  • 送信した回答がForms上に表示されるか
  • 回答用Excelへ反映されるか

移動後に別のグループメンバーでも確認する

引き継ぎ作業を元所有者だけで確認すると、退職後に権限不足が判明することがあります。

移動先グループの別メンバーに依頼し、次の操作ができることを確認します。

  • グループ内のフォームを開く
  • 質問内容を確認する
  • 回答画面を表示する
  • 回答用Excelを開く
  • SharePoint上の保存場所を確認する

できれば、今後の主担当者と副担当者の2名で確認します。グループへ移した目的は、単に保存場所を変えることではなく、特定の個人アカウントに依存しない管理体制へ切り替えることにあります。

よくある失敗と確認ポイント

症状主な原因確認ポイント
[移動]が表示されないフォームの所有者ではない共有されたフォームではなく、自分が所有するフォームか確認する
移動先グループが表示されないグループのメンバーではない所有者設定だけでなくメンバー登録も確認する
別グループへ移し直せないグループ間移動は非対応移動前にグループ名とメンバー構成を確認する
移動後のExcelに既存回答がない初回同期を実行していない移動後のフォームの回答画面からExcelを開く
新しい回答がExcelへ反映されない回答用Excelを移動した可能性があるSharePoint内の生成場所から動かしていないか確認する
古い回答リンクが突然使えなくなった元所有者アカウントが完全削除されたグループフォーム側で取得したリンクへ案内を更新する
元所有者しか運用方法を知らない権限移管だけで手順共有をしていない別メンバーによる操作確認と手順書の更新を行う

回答用Excelを移動した後に同期が止まった場合、元の場所へ戻すだけで必ず復旧するとは限りません。まずはファイルを追加で移動・削除せず、Microsoft 365管理者へ状況を共有してください。

退職前に完了させるチェックリスト

退職者のアカウントを停止・削除する前に、次の項目を確認します。

  • 作業者が対象フォームの所有者である
  • 作業者が移動先グループのメンバーである
  • 移動先グループが正しい
  • 個人フォームからグループへの移動が完了している
  • [自分のグループ]からフォームを開ける
  • 回答画面からExcelを一度開いた
  • Excelに既存回答が表示されている
  • 新しい回答がExcelへ同期されることを確認した
  • 回答用Excelを生成場所から移動していない
  • 移管後の回答リンクを取得した
  • ポータル、メール、QRコードなどの案内を更新した
  • 別のグループメンバーがフォームを管理できる
  • 別のグループメンバーが回答用Excelを開ける
  • フォームの運用手順と保存場所を記録した

元所有者の削除後は別の管理者対応が必要

この記事の手順は、元所有者のアカウントが利用できる間に、本人が個人フォームをグループへ移動するケースを対象としています。

すでに元所有者が退職し、アカウントも削除されている場合は、通常の[移動]操作ではなく、Microsoft 365管理者による退職者フォームの移管手続きが必要です。Microsoftも、退職者のフォームについては管理者向けの移管方法を案内しています。([Microsoft サポート][1])

また、削除した回答の復元や、移動後に壊れたExcel接続の復旧は別の問題です。追加操作で状態を悪化させないためにも、元所有者の削除後に問題が判明した場合は、管理者向けの復旧手順として切り分けて対応します。

退職前にフォーム・Excel・リンクの3点を確認する

Microsoft Formsの引き継ぎでは、個人フォームをグループへ移すだけでは不十分です。

安全に引き継ぐための要点は、次の3点です。

  • 元所有者が在籍している間に、個人フォームをMicrosoft 365グループへ移動する
  • 移動後の回答画面からExcelを一度開き、既存回答と新しい回答の同期を確認する
  • 回答用Excelを移動せず、移管後の回答リンクへ案内を更新する

最後に、元所有者ではないグループメンバーでフォームとExcelを開きます。ここまで確認してからアカウント停止・削除へ進むことで、担当者の退職後も継続してフォームを運用しやすくなります。
[1]: https://support.microsoft.com/ja-jp/forms/move-your-form-to-a-group “フォームをグループに移動する | Microsoft Support”

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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