Microsoft Authenticator復元後に会社の認証ができない原因と復旧手順

Microsoft Authenticatorのバックアップを新しいスマートフォンへ戻した後、会社のアカウント名は表示されているのに認証できないことがあります。これは、必ずしも復元失敗ではありません。

**職場または学校アカウントは、バックアップからアカウント名だけが復元され、認証に必要な登録はそのまま引き継がれないためです。**新端末では、アカウントごとに再サインインや追加確認を行う必要があります。

また、Authenticatorのバックアップは同じ種類のOS間で利用します。iPhoneで作成したバックアップをAndroidへ復元したり、AndroidのバックアップをiPhoneへ復元したりすることはできません。復旧が完了するまでは、旧端末や利用可能な認証方法を削除しないことが重要です。([マイクロソフト サポート][1])

目次

Authenticatorを機種変更したのに会社のアカウントが使えない理由

Microsoft Authenticatorに会社のメールアドレスやアカウント名が表示されていても、それだけで新端末が会社の認証端末として登録されたとは限りません。

職場または学校アカウントについて、バックアップから復元されるのはアカウント名です。新端末で認証を利用するには、復元後にサインインし、組織が指定する本人確認を完了する必要があります。

つまり、次の状態は矛盾していません。

  • Authenticatorに会社のアカウント名が表示されている
  • 会社のMicrosoft 365やTeamsへサインインできない
  • 認証通知が旧端末に届く
  • 新端末のアカウントに「Action required」などが表示される

アカウントの一覧が復元されたことと、会社の多要素認証が新端末で使えることは別です。

バックアップから復元される内容はアカウントによって異なる

Microsoft Authenticatorでは、すべてのアカウントが同じ方法で復元されるわけではありません。

アカウントの種類復元される主な内容復元後に必要な操作
職場または学校アカウントアカウント名再サインインと追加確認
Microsoft個人アカウントでワンタイムコードのみを使用ワンタイムコード通常は復元後にコードを確認
パスワードレスサインインを使用するMicrosoft個人アカウントアカウント名再サインイン
Amazon、Facebook、Gmailなどの第三者アカウントでワンタイムコードを使用ワンタイムコード復元後にコードを確認

会社のアカウントと、30秒ごとに変わるワンタイムコードだけを利用するアカウントを同一視しないことが大切です。

第三者サービスのコードが復元されたからといって、会社のアカウントも同じように復元済みとは限りません。Microsoft公式サポートでも、職場または学校アカウントはアカウント名のみが復元され、再サインインが必要と案内されています。([マイクロソフト サポート][1])

復旧を始める前に確認すること

作業を始める前に、次の項目を確認します。

確認項目判断のポイント
旧端末はまだ使えるか使える場合は初期化せず、認証できる状態を残す
バックアップ用アカウントへアクセスできるかAndroidではバックアップ時に使用したMicrosoft個人アカウントを確認する
iCloudへアクセスできるかiPhoneではiCloudの設定とバックアップ状況を確認する
新旧端末のOSは同じかiPhoneからiPhone、AndroidからAndroidであることを確認する
別の認証方法が残っているか組織で登録済みの電話、セキュリティキーなどが使えるか確認する
会社のパスワードが分かるか再サインイン時に必要になる可能性がある

特に重要なのは、新端末で会社の認証が成功するまで旧端末を初期化しないことです。

旧端末を先に消去すると、再サインイン時に必要な確認を旧端末で承認できず、管理者による認証方法の再登録が必要になることがあります。

Microsoft Authenticatorの復旧手順

旧端末の認証方法を残す

旧端末が使える場合は、次の操作をまだ行わないでください。

  • 旧端末の初期化
  • Authenticatorアプリの削除
  • 会社アカウントの削除
  • Microsoftアカウントのセキュリティ情報から旧端末を削除
  • 携帯電話番号など、利用可能な別の認証方法の削除

新端末で通常のサインインが成功し、認証通知や確認コードを利用できることを確認してから旧端末を整理します。

Androidではサインイン前にバックアップを復元する

Android版では、Authenticatorを開いたときに表示される「Restore from backup」または「Begin recovery」から復元を開始します。

基本的な流れは次のとおりです。

  1. 新しいAndroid端末へMicrosoft Authenticatorをインストールする
  2. 通常のサインインをする前に「Restore from backup」または「Begin recovery」を選ぶ
  3. バックアップ時に使用したMicrosoft個人アカウントでサインインする
  4. 復元されたアカウントの一覧を確認する
  5. 会社アカウントに表示された追加操作を行う

ここで使用するのは、通常、会社の職場アカウントではなく、Authenticatorのバックアップに使用したMicrosoft個人アカウントです。

先に別のアカウントへサインインすると、復元用の項目が表示されないことがあります。Microsoft公式サポートでは、「Restore from backup」または「Begin recovery」をサインイン前に選ぶよう案内しています。

すでにサインインして復元項目が表示されない場合、公式案内ではアカウントからサインアウトまたは削除して復元をやり直す方法が示されています。ただし、新端末へ追加済みのアカウントがある場合は、削除後に再設定できることを確認してから行ってください。([マイクロソフト サポート][1])

iPhoneではiCloudの設定を確認する

iOS版では、Androidと同じ手順だと決めつけず、iCloud側の設定も確認します。

Microsoft公式サポートでは、iOS端末について次の項目を有効にするよう案内しています。

  • iCloud Drive
  • iCloudキーチェーン
  • iCloudバックアップ

そのうえで新しいiPhoneへAuthenticatorをインストールし、復元された各アカウントへサインインして復元を完了します。([マイクロソフト サポート][1])

iCloudへサインインできない場合や、バックアップへアクセスできない場合は、先にAppleアカウントやiCloudの問題を解決する必要があります。

iPhoneとAndroidの間ではバックアップを移行できない

Authenticatorのバックアップ復元は、同じ種類の端末間が対象です。

機種変更の組み合わせバックアップ復元
iPhoneからiPhone対応
AndroidからAndroid対応
iPhoneからAndroid非対応
AndroidからiPhone非対応

異なるOSへ機種変更した場合は、バックアップをそのまま移すのではなく、新端末で各アカウントを追加し直します。

会社のアカウントについては、組織のセキュリティ情報ページや管理者が指定する方法で、Authenticatorを再登録する必要があります。([マイクロソフト サポート][1])

「Sign in to restore your account」が表示された場合

復元したアカウントの横に「Sign in to restore your account」と表示されている場合、そのアカウントはまだ利用可能な状態まで復旧していません。

Authenticatorのアカウント画面から対象アカウントの「Sign in」を選び、表示された手順に従ってサインインします。

Microsoft公式サポートでは、パスワードを入力した後、メールアドレスや電話番号による追加確認を求められる場合があると案内しています。利用できる確認方法は、アカウントや組織の設定によって異なります。([マイクロソフト サポート][1])

追加確認を完了できない場合は、次の点を確認してください。

  • 入力している会社アカウントが正しいか
  • 会社のパスワードが有効か
  • 別の認証方法を選択できないか
  • 旧端末で認証を承認できないか
  • 会社のネットワークやVPN利用が必要ではないか
  • 組織側で端末登録に追加条件を設定していないか

「Action required」が表示された場合

「Action required」は、そのアカウントに追加操作が必要であることを示します。

基本的には次の順で操作します。

  1. Authenticatorで対象の会社アカウントを開く
  2. アカウントを復旧するためのサインイン項目を選ぶ
  3. 会社アカウントのパスワードを入力する
  4. 表示された追加確認を完了する
  5. 会社のサービスへ通常どおりサインインして動作を確認する

画面の表記は、OS、アプリのバージョン、表示言語によって異なる場合があります。「Action required」と完全に同じ文字が見つからない場合でも、対象アカウント内のサインインや復旧に関する項目を確認してください。([マイクロソフト サポート][1])

新端末で認証できるか確認する

Authenticator内の表示だけで復旧完了と判断せず、実際のサインインで確認します。

例えば、会社で利用している次のようなサービスへサインインします。

  • Microsoft 365
  • Outlook
  • Teams
  • SharePoint
  • OneDrive
  • 社内ポータル
  • Microsoft Entra IDと連携している業務システム

新端末側で認証を完了できることを確認してください。

確認が完了するまでは、旧端末を初期化したり、旧端末の認証方法を削除したりしないようにします。

管理者へ依頼する必要があるケース

次のいずれかに当てはまる場合は、利用者だけで復旧できない可能性があります。

  • 旧端末を紛失または初期化した
  • 旧端末のAuthenticatorを削除した
  • 利用可能な別の認証方法がない
  • 新端末で再サインインするための認証を完了できない
  • 会社アカウントの「Action required」が解消しない
  • バックアップからアカウント名は戻ったが、会社のサービスへ入れない
  • 会社のセキュリティ情報ページへサインインできない
  • 組織のポリシーにより、利用者自身で認証方法を変更できない

この場合は、社内の情報システム部門、ヘルプデスク、Microsoft 365管理者などへ連絡します。

管理者には、本人確認を行ったうえで、既存の認証方法の確認やMFAの再登録を依頼します。Microsoft Entra IDの認証管理者は、利用者にMFAの再登録を要求する操作を行えます。再登録が要求されると、既存のAuthenticator登録などが解除され、次回サインイン時に新しい認証方法の設定を求められます。([Microsoft Learn][2])

管理者への依頼文例

件名:Microsoft Authenticator機種変更に伴う認証方法再登録のお願い

スマートフォンの機種変更後、Microsoft Authenticatorのバックアップを復元しました。
会社アカウント名は表示されていますが、再サインインに必要な認証を完了できません。

対象アカウント:
発生している表示:
旧端末の利用可否:
利用可能な別の認証方法:

本人確認後、認証方法の確認またはMFAの再登録をお願いします。

メールやチャットで、パスワード、ワンタイムコード、承認番号などを管理者へ送らないでください。本人確認の方法は、組織が定めた手順に従います。

症状別の確認ポイント

症状考えられる状態次に行うこと
会社アカウント名は表示されるが認証できないアカウント名だけが復元されている対象アカウントへ再サインインする
「Sign in to restore your account」と表示される追加確認が未完了「Sign in」から復旧を進める
「Action required」と表示される認証情報の再確認が必要アカウントを開いてサインインする
アカウントが一つも表示されないバックアップ用アカウント違い、バックアップ未作成、OS違いなどバックアップ元と利用アカウントを確認する
「Restore from backup」が表示されないすでにサインイン済みの可能性がある新端末側のアカウント状態を確認して復元をやり直す
パスワード入力後の確認を完了できない利用できる認証方法がない旧端末または別の認証方法を使う。なければ管理者へ依頼する
iPhoneからAndroidへ変更したOSをまたぐバックアップ復元はできない各アカウントを新規登録する
新端末へ通知が届かない新端末の登録が完了していない可能性がある再サインインまたは管理者による再登録を行う

復旧時によくある失敗

バックアップを何度も戻せば会社の認証も戻ると思う

職場または学校アカウントは、バックアップを繰り返し復元しても、アカウント名だけが戻るという基本動作は変わりません。

必要なのは、復元後の再サインインまたは認証方法の再登録です。

Androidで会社アカウントを使ってバックアップを探す

Androidの復元では、バックアップ時に使用したMicrosoft個人アカウントを使用します。

会社のメールアドレスを入力してバックアップが見つからない場合は、バックアップ用に使用した個人アカウントを確認してください。

新端末の確認前に旧端末を初期化する

旧端末が最後の認証手段だった場合、初期化すると新端末の登録に必要な本人確認を完了できなくなることがあります。

機種変更時は、次の順序が安全です。

  1. 新端末へAuthenticatorをインストールする
  2. バックアップを復元する
  3. 会社アカウントへ再サインインする
  4. 実際の業務サービスで認証を確認する
  5. 必要に応じて旧端末の登録を削除する
  6. 最後に旧端末を初期化する

iPhoneとAndroidの間で直接復元しようとする

Authenticatorのバックアップは、異なるOS間の移行手段ではありません。

iPhoneとAndroidをまたぐ場合は、各サービスの設定画面や会社の管理者が指定する方法で、アカウントを一つずつ再登録します。

会社の認証を復旧するために次に行うこと

Microsoft Authenticatorのバックアップを戻した後、会社アカウント名だけが表示されて認証できない場合は、次の順で対応します。

  1. 旧端末と利用可能な認証方法を残す
  2. 新旧端末が同じOSか確認する
  3. 正しいバックアップ用アカウントで復元する
  4. 「Sign in to restore your account」や「Action required」が付いたアカウントへ再サインインする
  5. 会社のサービスで実際に認証できるか確認する
  6. 別の認証方法がなく復旧できない場合は、管理者へMFAの再登録を依頼する
  7. 新端末での動作確認後に旧端末を初期化する

会社アカウントでは、アカウント名が見えているだけでは復旧完了ではありません。まず対象アカウントの再サインインを行い、完了できない場合は無理に設定を削除せず、社内管理者へ認証方法の再登録を依頼してください。
[1]: https://support.microsoft.com/en-us/authenticator/restore-account-credentials-from-microsoft-authenticator “Restore account credentials from Microsoft Authenticator | Microsoft Support”
[2]: https://learn.microsoft.com/en-us/entra/identity/authentication/howto-mfa-userdevicesettings “Manage authentication methods for Microsoft Entra multifactor authentication – Microsoft Entra ID | Microsoft Learn”

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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