Windows 11のネットワークリセットで何が消える?実行前の準備と復旧手順

Windows 11でWi-Fiや有線LANの不調が続き、再起動やルーターの確認、ドライバー更新などを試しても直らない場合は、「ネットワークのリセット」が有効なことがあります。

ただし、ネットワークのリセットは単なる再接続ではありません。インストールされているネットワークアダプターをいったん削除して再構成し、関連する設定を初期状態へ戻す操作です。VPNクライアントやHyper-Vの仮想スイッチは、リセット後に再設定が必要になる場合があります。

実行前に、固定IPアドレス、DNS、VPN、仮想スイッチなどの構成を記録しておくことが重要です。Microsoftも、ネットワークのリセットは一般的な対処で改善しなかった場合の「最後の手順」として案内しています。([マイクロソフト サポート][1])

目次

Windowsのネットワークリセットで何が起こるのか

ネットワークのリセットを実行すると、Windows 11に登録されているネットワークアダプターとその設定が削除されます。その後、PCの再起動時にネットワークアダプターが再インストールされ、設定が既定値へ戻されます。([マイクロソフト サポート][1])

PC内の文書や写真を削除する「このPCをリセット」とは別の機能ですが、ネットワーク構成には大きな影響があります。

項目リセット後に起こること必要な対応
Wi-Fi・有線LANアダプターいったん削除され、再起動後に再インストールされる通常は自動復旧。認識されない場合はドライバーを再導入
IPアドレス・DNS設定アダプター設定が既定値へ戻る固定IPや手動DNSを使っていた場合は再設定
ネットワークプロファイルパブリックネットワークへ変更される場合がある信頼できる自宅・社内ネットワークでは必要に応じてプライベートへ変更
VPNクライアント仮想アダプターや接続設定が影響を受ける場合があるVPNソフトの再インストールや再設定
Hyper-Vの仮想スイッチ再作成が必要になる場合がある接続先アダプターやVLAN設定を確認して復旧
その他の仮想ネットワーク仮想アダプターが再構成される場合がある使用している仮想化ソフトのネットワーク設定を確認
共有フォルダー・共有プリンターネットワークプロファイル変更により見えなくなる場合があるプロファイル、共有設定、ファイアウォールを確認
ルーター・ONUの設定変更されないルーター側の問題は別途確認

特に注意したいのが、固定IPアドレスを使っているPCです。

家庭用PCの多くは、ルーターからIPアドレスを自動取得するため、そのまま接続が戻ります。一方、社内ネットワーク、複合機接続用PC、サーバー管理端末などでは、手動でIPアドレスやDNSサーバーを設定していることがあります。

この情報を記録せずにリセットすると、インターネットや社内システムへ接続できなくなる可能性があります。

ネットワークリセットは最初に実行しない

ネットワークのリセットは、Wi-Fiがつながらないときに最初から実行する操作ではありません。

Microsoftの案内でも、次のような基本的な対処を行ったうえで、それでも改善しない場合に実行する手順とされています。([マイクロソフト サポート][1])

  1. Wi-Fiや機内モードのオン・オフを確認する
  2. PCを再起動する
  3. ルーターやONUを再起動する
  4. 同じネットワークへ別の端末が接続できるか確認する
  5. Wi-Fiを一度削除して再接続する
  6. Windowsのネットワークトラブルシューティングを実行する
  7. IPアドレスやDNSの状態を確認する
  8. ネットワークアダプターのドライバーを更新する
  9. Windows Updateを確認する

別のスマートフォンやPCもインターネットへ接続できない場合は、Windows 11ではなく、ルーターや回線事業者側に原因がある可能性があります。

この状態でPCのネットワークをリセットしても、根本的な解決にはなりません。

ネットワークリセット前に記録しておく項目

「今はつながっていないから、記録するものはない」と考えず、現在の設定をできる限り残しておきましょう。

設定内容が間違っていたとしても、リセット前後を比較するための重要な資料になります。

IPアドレスとDNS設定

次の場所を開き、IPアドレスの割り当て方法を確認します。

設定ネットワークとインターネットネットワークの詳細設定 → 使用中のアダプターを選択

特に確認したいのは次の項目です。

  • IPアドレスの割り当てが「自動」か「手動」か
  • IPv4アドレス
  • サブネットマスクまたはサブネットプレフィックス長
  • デフォルトゲートウェイ
  • 優先DNSサーバー
  • 代替DNSサーバー

「手動」になっている場合は、必ず数値を保存してください。

コマンドで現在のネットワーク情報を保存する

コマンドプロンプトを開き、次のコマンドを実行すると、デスクトップに設定情報を保存できます。

ipconfig /all > "%USERPROFILE%\Desktop\network-before.txt"
route print >> "%USERPROFILE%\Desktop\network-before.txt"

作成された「network-before.txt」には、主に次の情報が記録されます。

  • ネットワークアダプター名
  • MACアドレス
  • IPアドレス
  • DHCPの有効・無効
  • デフォルトゲートウェイ
  • DNSサーバー
  • ルーティング情報

ただし、VPNのパスワードやHyper-Vの仮想スイッチ構成までは保存されません。必要な画面は別途記録してください。

Wi-FiのSSIDとパスワード

リセット後も自動的にWi-Fiへ再接続できる場合がありますが、必ず再接続できるとは限りません。

次の情報を用意しておくと安全です。

  • 接続先のSSID
  • Wi-Fiパスワード
  • 会社や学校で指定されている認証方法
  • 証明書や専用接続ツールの有無

Wi-Fiパスワードが分からない場合は、ルーター本体のラベル、契約書類、管理画面などを事前に確認します。

VPNの構成

VPNを利用している場合は、少なくとも次の情報を記録します。

確認項目具体例
VPNソフト名組織指定のVPNクライアントなど
接続先VPNサーバー名、接続先URL
VPNの種類IKEv2、L2TP/IPsec、SSTPなど
認証方式ユーザー名、証明書、多要素認証
仮想アダプターVPNソフトが追加したアダプター名
インストーラー再インストール用ファイルの保存場所
管理窓口社内情報システム担当者の連絡先

パスワードや秘密鍵を、通常のメモ帳や共有フォルダーへ平文で保存するのは避けてください。

Hyper-Vの仮想スイッチ

Hyper-Vを利用している場合は、「仮想スイッチマネージャー」を開いて現在の構成を記録します。

確認する項目は次のとおりです。

  • 仮想スイッチ名
  • 外部・内部・プライベートの種類
  • 外部スイッチが接続している物理アダプター
  • 管理オペレーティングシステムとの共有設定
  • VLAN ID
  • 仮想マシンごとの接続先スイッチ

仮想スイッチ名だけを記録しても、どの物理LANアダプターに接続していたか分からなければ復旧できません。接続先まで確認しておきましょう。

ネットワーク関連ソフト

次のようなソフトを使用している場合も、製品名と設定内容を記録します。

  • VPNクライアント
  • 仮想化ソフト
  • セキュリティソフト
  • ゼロトラスト接続ソフト
  • パケットキャプチャーソフト
  • 仮想LAN構成ソフト
  • USB接続型LANアダプターの専用ドライバー

ネットワークリセット後、これらのソフトが作成した仮想アダプターを再導入しなければならない場合があります。

Windows 11でネットワークをリセットする手順

作業中のファイルを保存し、ブラウザやアプリを閉じてから実行します。ネットワークリセット後はPCが再起動します。

  1. スタートメニューから「設定」を開く
  2. 「ネットワークとインターネット」を選択する
  3. 「ネットワークの詳細設定」を選択する
  4. 「ネットワークのリセット」を選択する
  5. 「今すぐリセット」を選択する
  6. 確認画面で「はい」を選択する
  7. PCが再起動するまで待つ

Microsoftが案内しているWindows 11の操作経路も、設定ネットワークとインターネットネットワークの詳細設定ネットワークのリセットです。([マイクロソフト サポート][1])

Windows 11の更新状況や組織の管理設定によって、項目の表示位置や名称が多少異なることがあります。見つからない場合は、設定画面の検索欄で「ネットワークのリセット」と検索してください。

再起動後に確認する順番

再起動直後にVPNや共有フォルダーから確認すると、どこで問題が起きているのか分かりにくくなります。

次の順番で確認すると、原因を切り分けやすくなります。

ネットワークアダプターが認識されているか

設定ネットワークとインターネットネットワークの詳細設定

この画面にWi-Fiやイーサネットが表示されているか確認します。

表示されない場合は、デバイスマネージャーを開き、「ネットワークアダプター」を確認してください。

黄色い警告マークが表示されている場合や、アダプター自体が見つからない場合は、PCメーカーが提供しているLANまたはWi-Fiドライバーを再インストールします。

ネットワークが使えなくなる事態に備え、実行前にメーカーのドライバーをUSBメモリーへ保存しておくと安全です。

Wi-Fiまたは有線LANへ接続する

Wi-Fiの場合は、SSIDを選択して接続します。パスワードを求められた場合は、事前に確認した情報を入力してください。

有線LANの場合は、LANケーブルを接続し直し、リンクランプや接続状態を確認します。

IPアドレスを確認する

コマンドプロンプトで次のコマンドを実行します。

ipconfig

家庭用ルーターからIPアドレスを自動取得する環境では、一般的にルーターと同じネットワーク内のIPアドレスが表示されます。

次のような状態では、正常にIPアドレスを取得できていない可能性があります。

  • IPv4アドレスが表示されない
  • デフォルトゲートウェイが空欄
  • 169.254から始まるIPアドレスになっている
  • 固定IP環境なのに自動取得へ変わっている

固定IPを使用していた場合は、記録した内容を基に再設定します。

ネットワークプロファイルを確認する

ネットワークのリセット後、既知のネットワーク接続が「パブリックネットワーク」へ変更される場合があります。

パブリックネットワークでは、同じネットワーク上のPCや機器から検出されにくい設定になります。そのため、インターネットには接続できても、共有フォルダーや共有プリンターが利用できなくなることがあります。([マイクロソフト サポート][1])

自宅や信頼できる社内ネットワークであれば、次の手順で確認します。

  1. 「設定」を開く
  2. 「ネットワークとインターネット」を選択する
  3. 接続中のWi-Fiまたはイーサネットを選択する
  4. 「ネットワークプロファイルの種類」を確認する
  5. 必要に応じて「プライベートネットワーク」を選択する

ホテル、空港、飲食店などの公衆Wi-Fiでは、安易にプライベートネットワークへ変更しないでください。

VPNを確認する

通常のインターネット接続が戻ったことを確認してから、VPNへ接続します。

VPNだけが接続できない場合は、次の順番で確認します。

  1. VPNソフトが起動するか
  2. 接続先情報が残っているか
  3. 仮想ネットワークアダプターが認識されているか
  4. 証明書や認証アプリが利用できるか
  5. VPNソフトの修復または再インストールが必要か

Microsoftも、ネットワークのリセット後は、VPNクライアントなどのネットワークソフトを再インストールまたは再設定しなければならない場合があると案内しています。([マイクロソフト サポート][1])

Hyper-Vや仮想ネットワークを確認する

Hyper-Vを使用している場合は、仮想マシンを起動する前に仮想スイッチを確認します。

仮想スイッチがなくなっている場合は、記録した構成を基に再作成します。その後、各仮想マシンのネットワークアダプターが正しい仮想スイッチへ接続されているか確認してください。

物理アダプターの名称や識別番号が変わると、以前と同じ名前の仮想スイッチを作っただけでは通信できない場合があります。必ず接続先の物理アダプターも確認します。

リセット後の症状から確認場所を判断する

リセット後の症状優先して確認する場所
Wi-Fiの項目自体が表示されないデバイスマネージャー、Wi-Fiドライバー
有線LANが未接続になるLANケーブル、物理アダプター、ドライバー
Wi-Fiにはつながるがインターネットが使えないIPアドレス、ゲートウェイ、DNS
インターネットは使えるが共有フォルダーが開けないネットワークプロファイル、共有設定、ファイアウォール
共有プリンターだけ使えないプリンターのIPアドレス、共有設定、ネットワークプロファイル
VPNだけ接続できないVPNクライアント、仮想アダプター、証明書、認証設定
仮想マシンだけ通信できないHyper-Vの仮想スイッチ、接続先物理アダプター
社内システムだけ開けない固定DNS、プロキシ、VPN、組織指定のセキュリティソフト

「インターネットにつながるか」だけで判断せず、通常使っている共有フォルダー、プリンター、VPN、仮想マシンまで確認することが重要です。

ネットワークリセットを実行しないほうがよいケース

次のような環境では、利用者の判断だけでリセットしないほうが安全です。

会社や学校から貸与されたPC

組織管理のPCでは、VPN、端末証明書、セキュリティソフト、接続制御などが組み合わされていることがあります。

管理者から指定された復旧手順がある場合は、そちらを優先してください。

固定IPの内容が分からない

現在のIPアドレスやDNSが手動設定になっているにもかかわらず、正しい設定値が分からない場合は、先に管理者へ確認します。

推測でIPアドレスを入力すると、他の機器と重複してネットワーク障害を起こす可能性があります。

VPNや仮想スイッチの再設定方法が分からない

VPNやHyper-Vを業務で利用している場合、リセットによって業務システムへ接続できなくなることがあります。

インストーラー、設定資料、管理者の連絡先を確保してから実行してください。

設定画面を記録するときの注意点

復旧用にスクリーンショットを撮影する場合は、画像内に機密情報が含まれていないか確認します。

特に次の情報は、そのまま共有サイトや問い合わせ掲示板へ掲載しないでください。

  • VPNのユーザー名や接続先
  • VPNの事前共有キー
  • パスワード
  • 多要素認証のコード
  • アクセストークン
  • 秘密鍵
  • 証明書のエクスポート用パスワード
  • BitLockerの回復キー
  • 会社名や内部サーバー名
  • 個人のメールアドレス

復旧記録として自分だけが保管する場合でも、保存先のアクセス権やクラウド同期の範囲を確認しておきましょう。

ネットワークリセット前後で確認するチェックリスト

実行前

  • 通常のトラブルシューティングを試した
  • 他の端末で同じネットワークへ接続できることを確認した
  • 固定IPとDNSの設定を記録した
  • Wi-FiのSSIDとパスワードを確認した
  • VPNの接続情報とインストーラーを確認した
  • Hyper-Vの仮想スイッチ構成を記録した
  • ネットワークドライバーを準備した
  • 作業中のファイルを保存した

再起動後

  • Wi-Fiまたは有線LANアダプターが認識されている
  • インターネットへ接続できる
  • IPアドレスとDNSが適切に設定されている
  • ネットワークプロファイルを確認した
  • 共有フォルダーへ接続できる
  • 共有プリンターを利用できる
  • VPNへ接続できる
  • 仮想マシンが通信できる
  • 業務システムや社内サービスへ接続できる

ネットワークのリセットは、複雑化したアダプター設定をまとめて初期状態へ戻せる一方、VPNや仮想ネットワークまで影響を受ける可能性がある操作です。

実行前に最低限、固定IP・DNS、VPN、仮想スイッチの3点を記録してください。再起動後は、物理接続、IP設定、ネットワークプロファイル、VPNや仮想環境の順に確認すると、復旧漏れを防げます。
[1]: https://support.microsoft.com/en-us/windows/experience/connectivity-networking/fix-wi-fi-connection-issues-in-windows “Fix Wi-Fi connection issues in Windows | Microsoft Support”

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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