Power Query SharePoint Folder Connectorは、SharePointやOneDrive上のExcel、CSV、PDFなどのファイルをPower Queryから取得・結合するための重要なコネクタです。2026年5月8日時点で管理者や開発者が特に確認すべきポイントは、SharePointサイトピッカーの利用範囲、FabricでのワークスペースID認証、オンプレミスSharePointの認証制約、フォルダー結合時の設計ミスです。単に「接続できるか」ではなく、誰の資格情報で更新するのか、どのフォルダーまで取り込むのか、将来の移行や展開で壊れない構成になっているかを見直す必要があります。
SharePoint / OneDriveのPower Query SharePoint Folder Connectorで押さえるべき結論
Power Query SharePoint Folder Connectorは、SharePointサイト内のフォルダーにあるファイル情報を取得し、必要に応じて複数ファイルを結合して読み込むためのコネクタです。Excel、Power BI、Power BI Dataflows、Fabric Dataflow Gen2、Power Apps Dataflows、Dynamics 365 Customer Insightsなどで利用対象として案内されています。Microsoft Learnの公式ページでは、リリース状態はGeneral Availabilityとして整理されています。(Microsoft Learn)
今回の確認ポイントは、既存のSharePointフォルダー接続が一斉に使えなくなるという話ではありません。実務上の焦点は、次の3点です。
1つ目は、FabricやPower Query Online側でSharePointサイトを選びやすくするSharePointサイトピッカーが広がっていることです。手入力のURLミスを減らせますが、初回認証やリージョン違いのサイト検索には注意が必要です。(Microsoft Learn)
2つ目は、Fabricの一部エクスペリエンスでワークスペースIDによるSharePoint Files認証が利用できるようになっていることです。ユーザー個人の資格情報に依存しない設計に近づけますが、Power BI Desktopではサポートされていないため、Desktop中心の運用と同じ感覚では扱えません。(Microsoft Learn)
3つ目は、SharePoint / OneDriveのフォルダー結合では、サブフォルダー内のファイルも対象になり得るため、ファイル構成・列構成・アクセス権限の設計を誤ると、更新エラーや想定外のデータ混入が起きやすいことです。(Microsoft Learn)
何が変わるのか:接続URLと認証方式の見直しが中心
Power Query SharePoint Folder Connectorの変更点は、ファイルを取り込む基本機能そのものよりも、接続作成時のユーザー体験と認証設計に影響します。
| 確認項目 | 内容 | 実務上の影響 |
|---|---|---|
| SharePointサイトピッカー | 接続作成時に、最近使ったサイト・お気に入り・アクセス可能なサイトから選択できる | URLの手入力ミスを減らせる。ただし初回認証やリージョン違いのサイト検索に注意 |
| ワークスペースID | Fabricの対応エクスペリエンスで、ワークスペースのマネージドIDを使ってSharePoint Filesに認証できる | 個人アカウント依存を減らせる。運用データフローでは有力な選択肢 |
| Power BI Desktopの扱い | ワークスペースIDはPower BI Desktopではサポートされていない | Desktopで作成・検証し、Fabricで本番更新する場合は認証差分を確認する |
| オンプレミスSharePoint | Microsoft Entra ID認証はオンプレミスSharePointソースではサポートされない | SharePoint Serverやオンプレミスデータゲートウェイ利用時はクラウドと同じ設計にしない |
| ファイル結合 | 選択フォルダー配下のファイル、サブフォルダー内ファイルが結合対象になり得る | スキーマ違いのファイル、テストファイル、古いファイルの混入に注意 |
特に重要なのは、SharePointサイトのURLです。Power QueryではSharePointのドキュメントライブラリに接続する際にサイトURLの入力が求められます。公式ドキュメントでは、クラシックSharePoint URLページはサポートされず、モダンSharePointホームページのみがサポートされると説明されています。(Microsoft Learn)
つまり、古い手順書にあるURLをそのまま使い回している環境では、接続エラーや認証エラーの原因が「資格情報」ではなく「URLの取り方」にある可能性があります。
対象になる利用者と影響範囲
ExcelやPower BI DesktopでSharePointフォルダーを使っているユーザー
ExcelやPower BI Desktopで、SharePoint上のExcelファイルやCSVファイルをPower Queryで結合しているユーザーは、まず既存クエリの接続先URLと認証方式を確認してください。
Power BI DesktopではワークスペースIDを使えないため、Desktop上では従来どおり組織アカウントなどで接続する前提になります。一方で、FabricやPower BIサービス側で更新する場合は、サービス側の資格情報、ゲートウェイ、接続設定が別管理になることがあります。
よくある失敗は、Desktopでは更新できるのに、サービスに発行すると更新に失敗するケースです。この場合は、Power QueryのMコードだけでなく、サービス側のデータソース資格情報、認証方式、アクセス権限を確認する必要があります。
Fabric Dataflow Gen2を使う管理者・開発者
Fabric Dataflow Gen2では、SharePointフォルダー接続の設計がより重要になります。公式ドキュメントでは、Dataflow Gen2でSharePointフォルダーに接続でき、フォルダーパス、結合して読み込み、結合と変換が機能として示されています。(Microsoft Learn)
また、FabricのSharePointフォルダー接続では、Dataflow Gen2向けに匿名、Windows、組織アカウント、ワークスペースIDが認証方式として整理されています。コピーについてはn/aとされているため、SharePointフォルダーをFabric Data Factoryのすべての機能で同じように使えると考えない方が安全です。(Microsoft Learn)
特に注意したいのは、同じSharePoint関連機能でも「SharePointフォルダー」「SharePointリスト」「OneLakeショートカット」「コピー ジョブ」「Dataflow Gen2」では、サポート範囲や認証方式が異なることです。移行時は、名称が似ているからといって同じ設定で展開しないようにしてください。
SharePoint / OneDrive管理者
SharePointやOneDrive側の管理者は、Power Queryの利用者がどのサイト、どのドキュメントライブラリ、どのフォルダーに接続しているかを把握する必要があります。
Power Queryは、ファイル単体ではなくフォルダー配下のファイル一覧を取得し、結合する使い方が多いため、アクセス権限の不足やファイル名の変更が更新失敗につながります。公式ドキュメントでは、ドキュメントライブラリの内容を要求するには、SharePointサイト、ドキュメントライブラリ、対象ファイルに至るフォルダーへの読み取りアクセスが必要とされています。(Microsoft Learn)
OneDrive for Work or Schoolでも使えるが、URL形式に注意
SharePoint Folder Connectorは、SharePointだけでなく、OneDrive for Work or Schoolにホストされているファイルでも利用できます。ただし、SharePointサイトで使うURLとは形式が異なります。公式ドキュメントでは、OneDrive for Work or Schoolの場合、https://<unique_tenant_name>.sharepoint.com/personal/<user_identifier> の形式を使うと説明されています。(Microsoft Learn)
たとえば、ブラウザーで表示されるURLが次のような形式だったとします。
https://contoso-my.sharepoint.com/personal/user123_contoso_com/_layouts/15/onedrive.aspx
Power Queryで使うURLは、完全なURLではなく、次のように前半部分だけを使うのが基本です。
https://contoso-my.sharepoint.com/personal/user123_contoso_com
ここでありがちなミスは、共有リンクやファイルの直接URLをそのまま貼り付けることです。単一ファイルをWebコネクタで取得するケースと、SharePoint Folder Connectorでフォルダー配下を扱うケースは分けて考える必要があります。
認証方式は「誰の権限で更新するか」で選ぶ
Power QueryのSharePoint / OneDrive接続では、認証方式の選び方が運用品質を左右します。特に、個人アカウントで作ったデータフローをそのまま本番化すると、担当者の異動、退職、MFA変更、パスワード変更で更新が止まることがあります。
| 認証方式 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 組織アカウント | Excel、Power BI Desktop、個人または小規模チームでの作成・検証 | 更新がユーザー資格情報に依存しやすい |
| ワークスペースID | Fabric Dataflow Gen2など、運用用途で個人資格情報への依存を減らしたい場合 | Power BI Desktopでは使えない。ワークスペースや権限管理が必要 |
| Windows | オンプレミスSharePointなど、環境に応じて必要な場合 | クラウドのEntra ID認証と同一視しない |
| 匿名 | 公開ファイルなど限定的な用途 | 企業データでは原則として慎重に扱う |
FabricのワークスペースIDは、Fabricワークスペースに関連付けられる自動管理のサービスプリンシパルです。Microsoft Entra ID上にサービスプリンシパルとアプリ登録が作成され、Fabricが資格情報を管理します。(Microsoft Learn)
一方で、ワークスペースIDは万能ではありません。作成と管理にはワークスペース管理者権限が必要で、My workspaceでは作成できません。また、ワークスペースIDを削除すると、それに依存するFabricアイテムは動作しなくなり、削除したIDは復元できないとされています。(Microsoft Learn)
本番運用でワークスペースIDを使う場合は、次の点を事前に確認してください。
- 対象ワークスペースがMy workspaceではないか
- ワークスペースIDを作成・管理できる管理者が決まっているか
- SharePoint側で必要なアクセス権限を付与できるか
- ワークスペース名変更、削除、容量移行時の影響を理解しているか
- 監査ログや管理ポータルで追跡する運用が決まっているか
管理者が確認すべき設定
サイトURLはモダンSharePointのサイトURLを使う
SharePoint Folder Connectorに入力するのは、基本的にSharePointサイトのURLです。ドキュメントライブラリやファイルのURLを直接貼り付けると、想定どおりに認識されないことがあります。
よくある入力ミスは次のとおりです。
| 入力内容 | 問題点 | 推奨対応 |
|---|---|---|
| ファイルの共有リンク | 認証やクエリパラメーターが混在しやすい | サイトURLから接続し、Power Query側でファイルを絞り込む |
| クラシックSharePointページのURL | 接続失敗の原因になる | モダンSharePointホームページのURLを使う |
| OneDriveの完全なブラウザーURL | _layouts/15/onedrive.aspx などが含まれる | personal/<user_identifier> までのURLに整える |
| サブフォルダーまで含めたURL | 期待どおりにフォルダー指定できないことがある | 接続後にFolder Path列などで絞り込む |
SharePointサイトピッカーは便利だが、手動URLの予備手段も残す
SharePointサイトピッカーは、接続作成時に正しいSharePointサイトを検索・選択しやすくする機能です。公式情報では、Dataflow Gen2とGen1のSharePointソース、Power BI Webモデリング、パイプライン、コピー ジョブ、Lakehouseショートカット、Dataflow Gen2の宛先で利用できると説明されています。(Microsoft Learn)
ただし、初回利用時に認証ウィンドウが表示され、現在サインインしているアカウントと同じアカウントを選択する必要があります。認証ウィンドウを閉じたり無視したりすると、サイトピッカーは機能しません。さらに、自分の地域外のリージョンでホストされているサイトの検索では問題が起きる可能性があります。(Microsoft Learn)
そのため、運用手順書には「サイトピッカーで選ぶ」だけでなく、「手動で貼り付ける場合の正しいサイトURL」も併記しておくと安全です。
オンプレミスSharePointではEntra ID認証を前提にしない
オンプレミスSharePointを使っている環境では、クラウドのSharePoint Onlineと同じ認証設計にしないでください。公式ドキュメントでは、オンプレミスSharePointソースに対してMicrosoft Entra ID認証はサポートされないと明記されています。(Microsoft Learn)
Power Query OnlineでオンプレミスSharePointフォルダーに接続する場合は、オンプレミスデータゲートウェイの指定が必要になるケースがあります。(Microsoft Learn)
開発者が見直すべきPower Query設計
結合対象のファイルを明確に絞り込む
SharePoint Folder Connectorでは、選択したフォルダー内のファイルだけでなく、サブフォルダー内のファイル情報も表示されます。ファイルを結合する場合、フォルダー内とサブフォルダー内のファイルは同じスキーマである必要があります。(Microsoft Learn)
実務では、次のようなファイルが混ざりやすいです。
- テスト用CSV
- 古いフォーマットのExcel
- 一時ファイル
- 担当者が手動で置いたメモ用ファイル
- 列名が少し違う過去年度データ
- 同じフォルダー内にある別業務のファイル
Power Queryでは、結合前にFolder Path、Name、Extension、更新日時などで対象を絞り込む設計にしてください。
たとえば、売上CSVだけを対象にするなら、次のような条件を先に入れると安全です。
Folder Path が /Sales/Monthly/ を含む
Extension が .csv
Name が sales_ で始まる
一時ファイルやバックアップファイルを除外する
「結合できたから完了」ではなく、「余計なファイルが追加されても壊れないか」を確認するのが重要です。
多数のファイルを扱う場合はSharePoint.Contentsも検討する
SharePoint Folder Connectorでは、SharePointまたはOneDrive for Work or Schoolサイトで利用可能なファイルを一覧として扱えます。一方で、公式ドキュメントでは、SharePoint.Contents関数を使うことで、フォルダー階層をたどって目的のフォルダーやファイルにアクセスする方法も案内されています。(Microsoft Learn)
特にファイル数が多い職場または学校環境では、SharePoint.Contents関数によるエクスペリエンスが適していると説明されています。(Microsoft Learn)
例として、Mコードでは次のように使います。
SharePoint.Contents("https://contoso.sharepoint.com/marketing/data", [ApiVersion="Auto"])
ただし、既存のSharePoint.Filesベースのクエリを無理に書き換える必要はありません。次の条件に当てはまる場合に、SharePoint.Contentsへの移行を検討するとよいでしょう。
- サイト内のファイル数が多く、プレビューや更新が重い
- 特定のドキュメントライブラリやフォルダーに絞って処理したい
- Power Queryの中でフォルダー階層を明示的にたどりたい
- 既存クエリでファイル一覧の取得に時間がかかっている
移行・展開前のチェックリスト
SharePoint / OneDriveのPower Query接続を本番展開する前に、次のチェックを行ってください。
| フェーズ | 確認すること | 失敗しやすいポイント |
|---|---|---|
| 事前調査 | どのExcel、Power BI、DataflowがSharePoint / OneDriveを参照しているか | 個人が作ったExcelクエリが管理外になっている |
| URL確認 | サイトURL、OneDrive URL、クラシックURLの有無 | 共有リンクや古いURLをそのまま使っている |
| 認証確認 | 組織アカウントか、ワークスペースIDか、ゲートウェイが必要か | Desktopでは動くがサービス更新で失敗する |
| 権限確認 | サイト、ライブラリ、フォルダー、ファイルへの読み取り権限 | サブフォルダーだけ権限が不足している |
| ファイル設計 | 結合対象ファイルの列構成、拡張子、命名規則 | スキーマ違いのファイルが混ざる |
| 本番切替 | 更新スケジュール、接続所有者、監査ログ | 担当者の退職や権限変更で更新が止まる |
| 運用監視 | 更新エラー、行数、ファイル数、列数の変化 | データは更新されているが一部ファイルが欠落している |
特に、Fabric Dataflow Gen2でワークスペースIDを使う場合は、ワークスペースIDの作成、SharePoint側の権限付与、接続設定、更新テストを一連の手順として確認してください。
よくあるトラブルと対処法
認証エラーが出る
認証エラーが出た場合、最初に資格情報だけを疑うのは危険です。ファイル名に特殊文字が含まれる場合、URL内でファイル名が切り捨てられ、通常とは異なる認証エラーが発生する可能性があります。公式ドキュメントでは、#、%、$ が含まれていないか確認し、含まれる場合はファイル所有者がリネームするよう案内されています。(Microsoft Learn)
確認順は次のとおりです。
- サイトURLが正しいか
- クラシックSharePoint URLを使っていないか
- 認証方式が環境に合っているか
- ファイル名に
# % $が含まれていないか - 対象フォルダーまで読み取り権限があるか
- オンプレミスSharePointでEntra ID認証を使おうとしていないか
ファイルが見つからない、または一部しか表示されない
ファイルが見つからない場合は、SharePoint側のアクセス権限とフォルダー構成を確認してください。サイト全体にはアクセスできても、ドキュメントライブラリやサブフォルダーに権限がないと、Power Query側で期待どおりに表示されないことがあります。
OneDrive for Work or Schoolの場合は、URL形式の誤りもよくあります。完全なブラウザーURLではなく、Power Queryで使うべきURL形式に整えてください。(Microsoft Learn)
結合後のデータが崩れる
ファイル結合後に列がずれる、nullが増える、更新でエラーになる場合は、対象ファイルのスキーマがそろっていない可能性があります。公式ドキュメントでも、ファイルデータの結合が正しく機能するよう、フォルダーとサブフォルダー内のすべてのファイルで同じスキーマにする必要があると説明されています。(Microsoft Learn)
対処としては、結合前に次のルールを入れてください。
- 拡張子を限定する
- ファイル名の命名規則を決める
- サンプルファイルを固定する
- 不要なサブフォルダーを除外する
- 旧フォーマットのファイルを別フォルダーに退避する
- 列名変更が発生した場合の検知手順を作る
Fabric Data Factoryのパイプラインで使えない
FabricのSharePointサイトピッカーはパイプラインなどでも利用対象として説明されていますが、SharePointフォルダー接続そのものについては、Microsoft FabricのData Factoryでは現在パイプライン内のSharePointフォルダーはサポートされていないと記載されています。(Microsoft Learn)
そのため、SharePointフォルダーのファイルをPower Queryで変換・結合する用途では、まずDataflow Gen2での実装を検討し、パイプライン側で同じコネクタが使えると思い込まないことが重要です。
まず実施すべきアクション
SharePoint / OneDriveでPower Query SharePoint Folder Connectorを使っている組織は、いきなり全クエリを作り直す必要はありません。まずは影響が大きい接続から棚卸ししてください。
優先順位は次の順番がおすすめです。
- Power BIサービスやFabricで定期更新している本番データフロー
- 退職・異動予定者の資格情報で更新している接続
- 複数部門が参照するSharePointフォルダー
- ファイル数が多いOneDrive / SharePointサイト
- 手動でファイルを追加する運用のフォルダー
次に、サイトURL、認証方式、ファイル名、フォルダー権限、結合対象のスキーマを確認します。Fabric Dataflow Gen2で長期運用する接続は、組織アカウントのまま継続するか、ワークスペースIDへ移行するかを検討してください。
Power Query SharePoint Folder Connectorは便利な反面、接続先のURL、認証、フォルダー設計が曖昧なまま使うと、更新失敗やデータ混入の原因になります。今回の公式情報をきっかけに、SharePoint / OneDrive上のファイル取り込みを「個人作業の延長」ではなく、管理可能なデータ連携として見直すことが重要です。

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