System Guard Runtime Monitor Broker が Event ID 7023 で停止する不具合と完全解決ガイド

2025年1月の月例更新(Patch Tuesday)を適用した直後から、System Guard Runtime Monitor Broker(SgrmBroker.exe)Event ID 7023 を伴って停止し、「アクセスが拒否されました」と表示される問い合わせが急増しました。Windows Defender 系サービスのエラーということで “セキュリティが低下するのでは?” と不安になりますが、実態は見た目だけのエラー であり機能・安全性に影響はありません。本記事では原因の仕組み、暫定対処から恒久パッチまでを詳しく解説し、管理部門やエンドユーザーが安心して運用を継続するためのポイントを網羅します。

目次

1. 発生条件と症状

問題は 2025‑01‑14 公開の累積更新プログラム:

  • Windows 10 22H2 用 KB5049981
  • Windows Server 2022 用 KB5049983

をインストールした環境で再現します。起動のたび System ログに次のエントリが出力され、System Guard Runtime Monitor Broker が停止したままになります。

The System Guard Runtime Monitor Broker service terminated with the following error:
%%3489660935  (イベント ID 7023)

サービス画面では “アクセスが拒否されました” と表示され、手動開始も不可となります。

2. なぜ起こるのか ― 仕組みと原因

Microsoft の問題番号 WI982633 によると、SgrmBroker.exe は Windows Defender の旧来コンポーネントであり、現在主流のSecure Launch / HVCI / Kernel‑mode Code Integrity などハードウェア支援の保護機構と機能が重複しています。2025年1月の品質更新で役割整理のためサービス定義のみが残り、実体バイナリが除去されたことで、「サービスが存在するのに実行ファイルがない」状態が発生しイベント7023が記録される、というのが真相です。

セキュリティや性能への影響

エラーが出ても Defender のリアルタイム保護・SmartScreen・Exploit Guard など主要防御機構は稼働し続けます。Microsoft 公式でも「実害なし」と明言されており、放置しても脆弱化やブルースクリーン(BSOD)の直接的原因にはなりません。

3. 結論と推奨アクションまとめ

結論詳細
機能・セキュリティ影響は無いMicrosoft 情報 (WI982633) で「不要なサービス。エラーは視覚的なもの」と説明。
恒久修正は 2025‑05 月例で提供済みWindows 10 22H2 KB5058379(OS Build 19045.5854, 2025‑05‑13)以降でサービス設定が整理され、イベント7023は消失。Windows Server 2022 も同時期パッチで同様に解消。
通常は無視で問題なしイベントビューア上はエラーだが保護機能は維持。操作不要。
ログ静音化の暫定策(任意)管理者権限でsc.exe config sgrmagent start=disabledreg add HKLM\System\CurrentControlSet\Services\SgrmBroker /v Start /t REG_DWORD /d 4 を実行しサービス/ドライバを無効化すると記録を抑止可能(Microsoft 公式も「安全」と案内)。
推奨しない操作.dll/.exe を旧バージョンへコピー、権限を強制変更など。整合性チェックや今後の更新失敗を招く。
BSOD との関係Dump 解析で他ドライバ要因が大半。もし発生する場合は GPU・ストレージ・BIOS のアップデートが先決。
Windows 10 サポート期限延長サポートは 2025‑10‑14 まで継続。本件はサポート終了誘導ではない。

4. 暫定的にログを止めたい場合の手順

  1. 管理者としてコマンドプロンプトを開く。
  2. 次の 2 行を順に実行。
    sc.exe config sgrmagent start=disabled reg add HKLM\System\CurrentControlSet\Services\SgrmBroker /v Start /t REG_DWORD /d 4 /f
  3. PC を再起動。
    以後イベント7023は出力されません。

この無効化は Defender エンジンや Core Isolation 設定には影響しません。必要になれば /d 2 に戻して「手動起動」へ再設定することで元に戻せます。

5. 恒久修正パッチの適用

OS修正を含む累積更新公開日
Windows 10 22H2KB5058379(OS Build 19045.5854)2025‑05‑13
Windows Server 2022KB5058380(OS Build 20348.2320)2025‑05‑13

Windows Update または WSUS/Intune で 2025年5月以降の品質更新を配布すれば自動的に解決します。更新ポリシーの関係で 1 月~4 月のパッチが長期残っている環境は、5 月品質更新を優先承認することでイベント7023問題を一括解消できます。

6. ブルースクリーンとの関連性を検証

海外フォーラムでは「エラー7023後に BSOD が増えた」との投稿も見られますが、WinDbg でミニダンプを解析すると多くが GPU ドライバやストレージコントローラの古いバージョンに起因しています。SgrmBroker.exe は停止したままロードされないため、カーネルクラッシュへの直接関与は考えにくいのが実状です。

もし BSOD が併発する場合は、次の順序で切り分けると効果的です。

  • 最新のグラフィックドライバ/NVMe ドライバ/チップセットドライバ適用
  • BIOS・ファームウェア更新(特に TPM 2.0 ファーム)
  • RAM 診断(Windows メモリ診断または MemTest86)
  • SFC /DISM で OS の破損確認

7. 監視ツールが「Critical」になる場合の運用ガイド

System Center Operations Manager(SCOM)や各種 SIEM が Event 7023 を Critical 扱いにしているケースでは、次の 2 段階運用が現実的です。

  1. 暫定:障害チケットが爆発しないよう、前述の sc.exe / reg add スクリプトをログオンスクリプト・GPO スタートアップスクリプトで配布しサービスを無効化。
  2. 恒久:5月品質更新を展開後、監視ルールを元に戻す。

監視ルール側を一時的に除外する方法もありますが、管理されていない例外が残り続けるリスクを避けるなら「サービス自体を一時停止→恒久パッチ後に元へ」が推奨です。

8. よくある質問(FAQ)

Q. ログを放置するとディスクを圧迫しますか? 1 週間で約数 MB 程度のイベントログ増加に留まります。古いログは自動ローテーションされるため容量逼迫は心配無用です。 Q. Defender Application Guard や Credential Guard には影響ない? はい、いずれも別サービス・ドライバで動作しており、停止中の SgrmBroker とは依存関係がありません。 Q. Windows 11 には同様の問題がありますか? いいえ。Windows 11(21H2/22H2/24H2)は当初から SgrmBroker サービスが存在せず設計上無関係です。 Q. 手動で EXE を戻せば解決する? 推奨しません。SFC や累積更新で再度除去されるうえ整合性違反フラグが立つ恐れがあります。

9. まとめ

「イベント7023は見た目だけ。安全性・機能に影響なし」—これが本件の核心です。実害はないものの監視アラートや社内問い合わせが煩わしい場合はサービスを無効化し、2025‑05 月例パッチを適用すれば完全解消します。不要な DLL 差し替え等の禁じ手に走らず、公式パッチで正規ルート解決することが将来の安定運用につながります。

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