「Secure Boot を有効にしないとゲームが起動しない」と言われ、慌てて調べてみたら自分の Windows は CSM+MBR だった――そんな状況で、mbr2gpt を実行しても「EFI システム パーティションの領域がない」とエラーになり、先に進めないケースはとても多いです。本記事では、MBR→GPT 変換が失敗する原因と、安全に UEFI+Secure Boot 環境へ移行する具体的な手順を、クリーンインストール案と現行環境を維持する案に分けて詳しく解説します。
状況の整理:ゲームのために Secure Boot を有効にしたい
まずは、よくある相談内容を整理します。
- 最新ゲームの起動要件を満たすために Secure Boot を有効化 したい
- 現在の環境は CSM(Legacy BIOS)+MBR でインストールされている Windows
mbr2gpt /validateは成功するが、/convertで
「EFI システム パーティションの領域がない」 とエラーになる- 回復パーティションが RAW になっており、
reagentc /infoは Disabled
典型的なディスク構成の例は次のようなものです(起動ディスクが Disk 1 の場合)。
| パーティション | 容量 | ファイルシステム | 役割 | 位置 |
|---|---|---|---|---|
| System Reserved | 約 50MB | NTFS | ブート領域(MBR 用) | 先頭 |
| C: | 約 236GB | NTFS | OS(Windows) | 2 番目 |
| Recovery | 約 505MB | RAW | WinRE(回復環境)だった領域 | C: の後ろ |
| 未割り当て | 約 1.9GB | なし | 未使用領域 | Recovery の後ろ |
一見すると「未割り当て領域もあるし、これで EFI 用の領域に使ってくれればいいのでは?」と思いがちですが、mbr2gpt には厳密な配置ルールがあります。
よくある勘違い:「セーフモード」と「セキュアブート」は完全に別物
まず、根本的な用語の勘違いから整理しておきます。
| 名称 | 役割 | ユーザー操作のイメージ |
|---|---|---|
| セーフモード(Safe Mode) | ドライバやサービスを最小限だけ読み込んで起動する「診断用の起動モード」 | トラブル時に一時的に使うモード。ゲームは基本的に想定していない |
| セキュアブート(Secure Boot) | UEFI が起動時に署名を検証し、不正なブートローダーを遮断する「セキュリティ機能」 | BIOS/UEFI 設定で ON/OFF する。多くのゲームの必須要件になりつつある |
最近のゲームが要求しているのはほぼ例外なく Secure Boot(+TPM) であり、「セーフモードで起動できること」が条件という意味ではありません。この記事では、ゲーム要件を満たすための Secure Boot 有効化 をゴールとします。
原因:なぜ「EFI システムパーティションの領域がない」と言われるのか
mbr2gpt が失敗しているポイントは、大きく次の 3 つに集約できます。
原因1:EFI 用の空き領域の「場所」が間違っている
最重要ポイントです。mbr2gpt は、MBR から GPT へ変換する際に、次のルールで ESP(EFI System Partition) を作成します。
- C:(OS ボリューム)の直後に ESP を作る
- 通常、100~300MB 程度の未割り当て領域が必要
- C: の「前」や、C: から離れた場所の未割り当ては基本的に使われない
今回の例では、未割り当て 1.9GB があっても、
- C: の直後 → RAW の Recovery パーティション
- 未割り当て → Recovery のさらに後ろ
という順番なので、mbr2gpt が ESP を配置できず、
「EFI システム パーティションの領域がない」
というエラーを返してしまいます。空き容量の「サイズ」ではなく「位置」が NG というわけです。
原因2:WinRE(回復パーティション)が RAW で壊れている
本来、回復パーティションは NTFS などでフォーマットされ、winre.wim が格納されています。しかし、何らかの理由で RAW になってしまうと、次のような状態になります。
reagentc /infoを実行しても Windows RE 状態:Disabled になる- 回復ドライブの作成や一部の修復機能が正常に動かない
- パーティションとしては実質「ゴミ領域」になっている
この WinRE の破損は、mbr2gpt のエラーの直接の原因ではありませんが、後述する回復環境の再構成で手間が増えます。そのため、
- 変換前に削除してしまう(ESP 用の空きを作る目的も兼ねる)
- 変換後にあらためて WinRE を再構成する
という扱いが現実的です。
原因3:起動ディスクの番号を誤認している可能性
起動ディスクが Disk 0 ではなく Disk 1 になっている環境も珍しくありません。このような場合、
mbr2gpt /convert /allowFullOSのように /disk オプションを省略すると、想定外のディスクに対して処理が行われるリスク
があります。幸い今回のケースでは /validate が通っているので、指定自体は間違っていない可能性もありますが、起動ディスクの番号を明示するのが安全です。
diskpart
list disk
select disk 1
list vol
のように確認し、「システム」「ブート」のボリュームがどのディスクに乗っているかを必ずチェックしましょう。
解決策の全体像:どのパターンを選ぶべき?
この記事で紹介する解決策は、次の 3 パターンです。
| パターン | 難易度 | データ保持 | おすすめ度 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| A:クリーンインストールで UEFI 化 | 低~中 | バックアップ復元が前提 | ★★★★★(最も安全) | OS を入れ直しても構わない人/安定性重視 |
| B:mbr2gpt で現行環境を変換 | 中~高 | 基本的に保持(失敗時は復旧スキル必須) | ★★★☆☆ | トラブル対応に慣れている人/再インストールを避けたい人 |
| C:手作業で ESP 作成+ブート再構成 | 最高レベル | 自己責任レベル | ★☆☆☆☆ | WinPE や BCD 再構築に慣れている上級者 |
OS 自体が不安定・動作が重い・そろそろ環境を整理したい、という場合は、迷わず A(クリーンインストール)を選ぶのが結果的に早くて安全です。
解決策 A:クリーンインストールで UEFI+GPT 環境を作り直す
もっともトラブルが少ないのが、UEFI モードで Windows を新規インストールし直す方法です。時間はかかりますが、「変換に失敗して起動しなくなった」という最悪の事態を避けられます。
A-1 バックアップと事前確認
- 大事なデータは 別物理ドライブ や クラウドストレージ にコピー
- ゲームランチャー(Steam など)の再インストール手順や 2 段階認証情報も確認
- BitLocker などのドライブ暗号化を使っている場合は、事前に無効化しておく
バックアップは、「念のため」ではなく「前提条件」です。最悪ディスクを初期化しても後悔しない状態を作りましょう。
A-2 UEFI モードでインストールメディアから起動
- 公式のツールなどで Windows 10/11 のインストール USB を作成
- PC の電源投入直後に
F2、Del、F12などで UEFI 設定画面やブートメニューを表示 - 「UEFI: USB ○○」と表示されている方 を選んで起動
ここでレガシーブートの USB を選んでしまうと、せっかくのクリーンインストールが再び MBR 環境になってしまうため、必ず UEFI と書かれたブートエントリを選ぶのがポイントです。
A-3 既存パーティションを削除し、セットアップに任せる
セットアップでインストール先のディスクを選ぶ画面が出たら、
- 起動に使っていたディスク(例:Disk 1)を選択
- そのディスク上の既存パーティション(System Reserved / C: / Recovery など)を すべて削除
- 空き領域を選んだ状態で「次へ」をクリックし、Windows セットアップにパーティション構成を任せる
自動的に次のような構成が作られます。
- ESP(EFI System Partition)… 100~300MB / FAT32
- MSR(Microsoft Reserved)… 16MB
- OS パーティション(C:)… 残りすべて
- WinRE 用の回復パーティション… 数百 MB
ここまで終われば、ディスクはすでに GPT 形式 になっています。
A-4 初回起動後に Secure Boot を有効化し、状態を確認
- Windows の初回セットアップ(アカウント作成など)を完了させる
- 再起動し、UEFI 設定画面で次を設定
- CSM(Compatibility Support Module):Disabled
- Boot モード:UEFI
- Secure Boot:Enabled
- Windows 起動後、
Win + R→msinfo32を起動し、- BIOS モード:UEFI
- セキュア ブートの状態:有効
- コマンドプロンプト(管理者)で
reagentc /infoを実行し、- Windows RE 状態:Enabled
これで、Secure Boot 有効な UEFI+GPT 環境 が完成です。ゲーム側の要件(TPM 2.0 など)がある場合は、UEFI 設定画面で TPM(fTPM/PTT など)の項目も有効化しておきましょう。
解決策 B:現行環境を維持したまま mbr2gpt で変換する
「OS を入れ直すのはどうしても避けたい」「環境構築に時間がかかりすぎる」という場合は、mbr2gpt を使って現在の Windows を GPT 化する方法があります。ただし、
- パーティション操作に失敗すると起動不能になる
- 何かあっても自力でリカバリできる程度の PC スキルが必要
という前提を理解したうえで進めてください。
B-1 大前提:フルバックアップと暗号化の解除
- 起動ディスク全体をイメージバックアップできるツールがあればベスト
- 最低限、ユーザープロファイル(
C:\Users\ユーザー名)と各種設定ファイルはコピー - BitLocker など暗号化が有効な場合は 事前に解除 し、回復キーも控えておく
「mbr2gpt は安全」とよく言われますが、100%成功する保証はありません。バックアップが取れないなら、むしろクリーンインストールを選ぶほうが精神的にもラクです。
B-2 C: の直後に未割り当て領域を作る
mbr2gpt が ESP を作れるようにするには、C: のすぐ後ろに数百 MB の未割り当て領域を用意する必要があります。代表的な方法は次の 2 つです。
| 方法 | 概要 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 方法 1 | RAW の Recovery パーティションを削除して空きを C: の直後に作る | 余計な RAW 領域も掃除できる/空き容量が十分 | 削除操作を誤ると別パーティションを消すリスク |
| 方法 2 | C: ドライブを数百 MB 縮小して、その直後に未割り当てを作る | 回復パーティションを触らなくてよい | フラグメント状況によっては縮小できない場合がある |
共通の注意点として、
- 「パーティションの移動」操作は極力避ける
- オンライン環境での移動は特にリスクが高い
- どうしても行う場合は WinPE やインストールメディアからオフラインで実施する
ここでは比較的シンプルな「方法 1」と「方法 2」の概要だけを押さえておきます。
方法 1:RAW の Recovery パーティションを削除する
- ディスクの管理(
diskmgmt.msc)を開く - C: の直後にある RAW / 回復パーティション を右クリック → 削除
- 削除後、C: の直後が 未割り当て になっていることを確認
この方法では、壊れて使えなくなっていた回復領域を ESP 用の空きとして再利用できます。WinRE は後から別の場所に作り直す前提で進めましょう。
方法 2:C: ドライブを縮小する
- ディスクの管理 を開き、C: を右クリック → 「ボリュームの縮小」
- 縮小サイズに 260MB 以上 を指定(余裕を見て 300~500MB ほどが安心)
- 縮小後、C: の直後が未割り当て領域になっていることを確認
もし縮小可能サイズが小さすぎる場合は、あらかじめデフラグや不要ファイル削除を行うか、専用のパーティションツールを利用する必要が出てきます。この場合も、必ずオフラインでの操作+バックアップを徹底してください。
B-3 mbr2gpt の実行手順
C: の直後に十分な未割り当て領域ができたら、いよいよ mbr2gpt を実行します。ここでは、起動ディスクが Disk 1 のケースを例にします。
- 管理者権限のコマンドプロンプトを開く
- 次のコマンドで事前検証を行う
mbr2gpt /validate /disk:1 /allowFullOS
ここで「Validation completed successfully」と表示されれば、変換前提条件はおおむね満たされています。
- 続けて本番変換を実行
mbr2gpt /convert /disk:1 /allowFullOS
途中でエラーが出なければ、
- ディスクが GPT 形式へ変換される
- C: の直後に ESP(EFI System Partition)が作成される
- 既存の BCD 情報をもとに UEFI ブートエントリが作られる
あとは再起動して BIOS/UEFI 側の設定を切り替えるだけです。
B-4 UEFI 設定で CSM 無効化+Secure Boot 有効化
mbr2gpt による変換完了後、次の順序で設定を変更します。
- PC を再起動し、UEFI 設定画面に入る
- ブート関連設定を確認し、
- CSM:Disabled
- Boot Mode:UEFI Only
- Secure Boot:Enabled
- 設定を保存して再起動し、Windows が正常起動することを確認
- Windows 上で
msinfo32を開き、- BIOS モード:UEFI
- セキュア ブートの状態:有効
もしここで起動しなくなった場合は、
- 一時的に CSM を再度有効化してレガシーブートに戻す
- インストールメディアから起動し、スタートアップ修復や BCD 再構築を試みる
といったリカバリが必要になります。このリカバリを自力で行う自信がない場合は、やはりクリーンインストールの方が安心です。
B-5 WinRE(回復環境)の再構成
WinRE が壊れていた場合、mbr2gpt 後にあらためて回復環境を整えておくと安心です。管理者権限のコマンドプロンプトで次の手順を実行します。
reagentc /disable
reagentc /setreimage /path C:\Windows\System32\Recovery
reagentc /enable
reagentc /info
これで、C:\Windows\System32\Recovery 内の winre.wim が WinRE として登録されます。もし winre.wim 自体が存在しない場合は、別の正常な環境やインストールメディアからコピーするか、修復インストールなどで復元することを検討してください。
解決策 C:ツールに頼らず手作業で ESP を作成する(上級者向け)
どうしても mbr2gpt が使えない/使いたくない場合、WinPE などから手動で ESP を作成し、bcdboot でブート領域を構成する方法もあります。これは 完全に上級者向け・自己責任の手順です。
おおまかな流れは次のとおりです。
- Windows インストールメディアや WinPE で起動
diskpartで C: の直後に 100~300MB / FAT32 のパーティションを作成し、ESP として設定- 一時的にドライブレターを割り当てる(例:S:)
bcdboot C:\Windows /s S: /f UEFIで BCD を再構築
この方法は柔軟ですが、手順ミスの代償が非常に大きく、かつトラブルシュートも高度になります。特別な理由がない限りは、A か B の方法を強く推奨します。
作業前後に確認したいポイント(チェックリスト)
最後に、MBR→GPT 変換や UEFI 移行を行う際のチェックポイントをまとめておきます。
| タイミング | 確認項目 | 確認方法 | OK の状態 |
|---|---|---|---|
| 作業前 | 起動ディスクの特定 | diskpart → list disk / list vol | システム/ブートボリュームがどのディスクにあるか把握できている |
| 作業前 | バックアップ | ファイルコピーやイメージバックアップ | 最悪ディスクを初期化しても復旧できる状態 |
| 作業前 | 電源周り | UPS/ノートならバッテリー残量 | 作業中に停電・電源断のリスクが低い |
| 変換直前 | C: 直後の未割り当て領域 | ディスクの管理や diskpart | C: のすぐ後ろに 260MB 以上の未割り当てがある |
| 変換直後 | ディスク形式 | ディスクの管理 → ディスク 1 を右クリック | 「GPT(GUID パーティション テーブル)」になっている |
| 変換後 | UEFI/Secure Boot 状態 | msinfo32 | BIOS モード:UEFI/セキュア ブートの状態:有効 |
| 変換後 | 回復環境 | reagentc /info | Windows RE 状態:Enabled |
よくある疑問と補足
ゲームのために Secure Boot を有効にするだけなら、必ずしも mbr2gpt である必要はない
Secure Boot を有効にするためには、
- ディスクが GPT 形式であること
- UEFI モードでインストールされていること
が前提です。すでに環境がかなり古く、ソフトウェアも整理したい場合は、無理に mbr2gpt にこだわらずクリーンインストールしてしまう方が、結果的に安定したゲーム環境を作りやすいです。
WinRE が Disabled のままだと困る?
日常的な利用だけであれば、WinRE が Disabled でもすぐに困る場面は少ないかもしれません。ただし、
- 自動修復や「この PC を初期状態に戻す」などの機能で不具合が出る可能性
- トラブル時の復旧手段が限定される
といったリスクがあります。今回のように MBT→GPT 変換やブート周りの操作を行った後は、できるだけ WinRE も再構成して Enabled にしておくことをおすすめします。
もし変換に失敗して起動しなくなったら?
最悪のケースとして、変換途中でエラーが起きたり、CSM 無効化後に起動しなくなることもゼロではありません。その場合は、
- 作成済みの インストール USB から起動し、「スタートアップ修復」を試す
- コマンドプロンプトから
bootrecやbcdbootを使って BCD を再構築する - どうしてもダメな場合は、バックアップからの 復元やクリーンインストール に切り替える
という選択肢になります。ここまで想定したうえで、事前のバックアップと手順整理をしておくことが、精神的な安心につながります。
まとめ:失敗の核心と、安全に Secure Boot を有効化するコツ
この記事で扱ったケースのポイントを、最後にもう一度整理します。
- mbr2gpt が「EFI システム パーティションの領域がない」と言う最大の理由は、
「C: の直後に未割り当て領域がない」ことにある - 回復パーティションが RAW になっている場合、
WinRE はすでに壊れているので、削除して ESP 用の空きとして使い、後で再構成する方が整理しやすい - 起動ディスクが Disk 1 などの場合は、必ず
/disk:1のようにディスク番号を明示して mbr2gpt を実行する - 最も安全で確実なのは、
クリーンインストールで最初から UEFI+GPT 環境を作り直し、Secure Boot を有効にする方法 - どうしても現行環境を維持したい場合のみ、
C: 直後に数百 MB の未割り当て領域を用意してから mbr2gpt を実行する
ゲームの要件を満たすために始めた作業でも、やり方を間違えると Windows 自体が起動しなくなるリスクがあります。バックアップ・ディスク構成の確認・手順の理解の 3 点を押さえつつ、自分のスキルや環境に合った方法(クリーンインストール or mbr2gpt)を選んで、Secure Boot 有効な UEFI 環境を手に入れてください。

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